音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
空気の冷たさに心改まる

つい最近まで台風が来ていたのに、2週後にはこれほど冷えた風が吹くとは。

慌てて衣替えをし、秋冬から春にかけて咲く花の苗を植え付けた。

 

現実逃避ではないが、出歩くことなく部屋でじっとモニターを眺めていると、

それが映画でもテレビのドラマでも或いは音楽の映像でも、

夜昼季節関係なく、暗い箱の中にちんまりと収まってしまう。

そういうのが誰に言われたわけでもないが、あまり良いことに思えず、

外の空気を吸うために買い物に出かけ、

これから成長して花をつけようとする植物に触れ、

日差しのあるうちに土と水と鉢を用意する。

単純ながら、指先に触れる土や植物の柔らかさ、温かみ、

そして耳元で風が切る音でもって少しずつ体が目を覚ましていくようだった。

 

日が落ちて暗い部屋の中で、

例えば今日のようにすっきりとした秋晴れの夜に合うアルバムは。

邦題「黒猫の歩み」というタイトルからは、

少し想像しづらいウードとピアノ他のトリオによる演奏。

 

 

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アヌアル・ブラヒムはチュニジア出身のウード奏者。

この盤はジャケットが気に入って買ったもので、ジャンルも演奏者も何もわからずだったが、

多くの雑事に追われて一杯いっぱいの1日も、

彼らの音楽で全てを空っぽにすることができる。

録音からして楽曲の持つ透明感を目一杯生かすような工夫がしてあるようで、

部屋でこうして聞いていると、すぐ手の届く所で演奏しているような錯覚さえ起きる。

楽器や曲の調子が合わないとしても、

澄み切った響きに身を置いてみるだけでも、と思う。

根を感じる土台の確かさが、聞き流しを許してはくれないが。

 

緊張から解かれているならば、きっと心地よい眠りに誘われるだろう。

1曲、1曲が緩く繋がって流れる様が読み聞かせのようだ。

遠く懐かしさを想起させるのはウードの力なのかどうか。

2002年と少し古い録音ながら、秋の夜のお供にぜひ。おすすめの1枚だ。

 

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