音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
Cello Octet Amsterdam

全く先の見えない「自粛」の始まった頃、

ネット上で演奏家たちによる様々なアプローチが。

こんな方法があるんだ、と驚いたのが

メンバーが自宅で同時演奏しているのを中継したり、編集して1つの映像にしたり。

コンサートホールに大勢が集まれなくなってしまって、

演奏する側も聞きたい側も「どうすりゃいいんだ」状態になりかけた中で。

 

時間だけはたっぷりあったので、あれこれはしごしてたくさんの映像に癒されたが、

中でも強く印象に残った演奏があった。

1989年に設立されたヨーロッパのグループ、Cello Octet Amsterdamのペルトの演奏。

 

 

 

 

大好きなアルヴォ・ペルトの曲だから、というのも確かにあったが、

弦の音色の美しさ、合奏ならではの厳かな響き、鎮魂と生命の息吹への賛歌。

動画で紹介された演奏だけでは我慢できず、CDを探したところ、

大手通販店のカタログにはなさそうだったので、直接彼らのオフィシャルサイトで購入した。

 

 

 

 

演奏会には行けなくても、公開された動画をきっかけに音源を購入できる。

ダウンロードの時代に一体何をと思われてしまうが、

わたしのような物理音源に執着のある人間でもささやかながら演奏者を応援できて、

とてもありがたいと感じた次第。

ちなみに、航空便数が激減してとにかくモノが届かない時期にあって、

2週間程度で手に入れられたのは偶然にも幸運だったのかも。

 

ちなみに、このアルバムは録音もよくて、伸びやかな弦の響きを十二分に堪能できる。

youtubeが素晴らしいといっても、音質的なものには限界があると思うので、

気に入られた方には盤の入手を強くおすすめしたい。

 

* Cello Octet Amsterdam

        Claire Bleumer

        Esther Torrenga

        Genevieve Verhage

        Alistair Sung

        Rares Mihailescu

        René van Munster

        Sanne Bijker

        Sanne van der Horst

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motherland

あまりの暑さに部屋を出られないので、朝に夜にと盤選をしている。

今の住まいに引っ越して早5年、

一つ前の住まいの規模の3分の2程度の広さに、

ものは逆に3分の1以下に減らしての転居だったが、

気をつけてはいても徐々にもので飽和し、なんとかせねばと思ってはいた。

思ってはいたもなかなか腰が上がらなかったが、ようやく、というところ。

 

今回、大きめの箱に2箱分程度、次の聞き手にもらわれていくこととなった。

もう聞かないな、というものや、好みが変わってしまったもの、

もう十分聞いたからいいか、というものも。

選択を誤って(はやまって)後悔することもなくはないが、

よほど珍しい音源でなければなんらかの方法で聞けたりするから、

あとは所有欲との折り合いがつきさえすれば(これがなかなか難しいが)。

 

盤選の間、ずっと流していたのがmothelandというタイトルの、

ジョージア出身のピアニスト、Khatia Buniatishviliのソロアルバム。

 

 

 

 

アルバム自体は5年ほど前に出ていたもので、今回アナログレコードで再発されたので、

珍しく予約して入手した。

彼女の演奏はyoutubeでもたくさん上がっていて、

パワフルでエネルギッシュな演奏スタイルを思い浮かべる方も少なくないだろう。

が、このアルバムは、そういう先入観をいい意味で裏切ってくれる。

 

バッハからカンチェリまで幅広い小品を集めた演奏で、

一貫しているのは響きの心地よさ。

音の粒子が見事に揃っていて、

一つ一つは完全に同じものはないはずなのに、

並んでみると個では難しいだろう輝きを放つ。

まるで上等な真珠のネックレスのようだ。

 

彼女がこのアルバムを、「母国」としたのはどんな意味合いだろう。

わたしは「母国」ということばを自分の表現として口にしたことはおそらく1度もない。

母国、ということばのイメージ。

遠くにあって思い起こす時の故郷の懐かしさ、草の緑や陽の光、風の匂い。

季節の移ろい、そして時々に口にした果物や母の手料理の味。

或いは、民族や地理的なものからくる複雑な歴史、政情不安定、そして強いナショナリズム。

心の中で灯続けた変わらぬものへの想いがもし響きに換えられたのだとしたら、

こんな感じではないだろうか、と勝手な想像をしてみたりする。

 

*****

 

話が逸れてしまうが、彼女の母国が関係する南オセチア紛争をテーマにした映画が2本ある。

オーガストウォーズと5デイズ。

前者はファンタジックな映像も織り交ぜた戦争アクション系ながら見応えあり。

もう少し落ち着いたシビアな映像ということなら後者か。

北京オリンピックの裏側で紛争地を取材する米国人ジャーナリストを、

「ホームランド」でも熱演のルパート・フレンドが演じている。

視点の違いも興味深いものがあるので、機会があれば2本ともぜひ。

 

*****

 

思えば、レコードでこれだけしつこくリピートしてしまうアルバムもそうはないが、

CDと違ってレコードはどうしても盤が痛むので、こんなことならもう1枚買っておこうかななどと思う。

否、予備を買っておけるほど我が家は広くないので、レコードは温存し、普段はCD音源にしておこう。

このアルバムにそれほど興味が持てなくても、レコード独特の再生音がおすきな方は、

ぜひ騙されたと思ってお買い求めを。

盤質もなかなかで、当たり外れのある工業製品という点をおしてもやはりお勧めの1枚。

明日からまた仕事、サザエさんの歌は聞きたくない。

もう一度mothelandを聞いて1日を締めくくろう。

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promontoire

長い梅雨が明けたというのに、

急激な暑さと感染症対策でまるで我慢大会のような日々。

朝起きて35度近くになっていたベランダは、

水を打ってもすぐ蒸発してしまうほどの熱暑。

午後しかたなく買い物に出たが、往復20分程度の外出がサウナ地獄のようで、

これ以上の暑さが想像できないほどだった。

 

少しでも涼しく!とヒンヤリ系の音楽ばかり聞いている。

ジャズギターやベースが主役の、

低音が心地よいアルバムがやたら登場するのも仕方なし。

なんだけれども、この週末はアラン・ドロンの古い映画ばかり見ていて、

ちょっと陰があってくぐもるような音にまみれていたものだから、

シンプルだけど温かみもある癒し系の音楽がいいな、と選んだのがピアノソロの1枚、

Benjamin Mousseyの"Promontoire"(岬という意味のフランス語だそう)。

 

 

 

 

写真を撮り損ねたのではなくて、最初からこういうジャケットだ。

初のソロアルバムに収められた12曲は全てBenjamin Moussayのオリジナル。

内省的でリリカルな演奏。

陰影に富んだ響き、

だけど底なしな感じではなくて、静かに力漲る感に惹かれる。

 

 

 

 

 

ここまで書いて、ようやく蝉が鳴き出した。

暑すぎて鳴くどころではないのか、夕方になって少し気温が落ち着いた頃合いに

いろんな種類の蝉の鳴き声が一斉に聞こえる。

これだけでもいかに夏が短く忙しいのかがわかるというもの。

虫の鳴き声で季節や時間が楽しめたのは、遠い故郷の記憶ということにしておこう。

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ヴェルサイユ

ひょっとして梅雨明けか、と思うほどよく晴れた日曜だった。

調べてみると、今年の梅雨は例年よりも雨の日が多かったようで、

地域によっては大災害を引き起こしている。

あまり良いことではないが、災害に不感症になりつつある。

痛ましさは感じても驚いてはいない自分に、心の栄養が欠けているかとさえ思う。

 

******

 

Versaillesと書いて、ヴェルサイユと読むそうだ。

フランス語の綴りに馴染みがないので、当然ヴェルサイユと思い浮かんでなんかいない。

深い緑色のジャケットがものすごく綺麗だったので、

きっと中身(演奏)も素晴らしいに違いないと買った1枚、アレクサンドル・タローの近作。

最新録音かな?と思ったらもう次がリリースされてるというくらい、

次々とアルバムが発売され、彼という人自身に勢いがあるようだ。

 

 

 

 

本作は、17〜18世紀のチェンバロで演奏された楽曲をピアノアレンジにして演奏されたもの。

アルバムの解説にもチェンバロではなく、

クラヴサン(フランス語でチェンバロのことだそう)とある。

チェンバロというと、音がそれほど大きくなく、

繊細なタッチの楽器というイメージがあるが、

同じ鍵盤楽器でも、性質が随分異なるだろうピアノの曲にアレンジしようと思ったのは、

単に彼がピアニストだから、というだけではないだろう。

演奏者としての顔以上に探求者のイメージが強い彼なら、それも納得。

なんといっても、元曲を知らないで聞いていて、流麗に響く曲の数々に違和感どころか、

これこそがオリジナルとさえ感じるのはほんとうに興味深い。

心に効く薬、というのではないが、特にラモーの曲は乾いた気持ちにもそっと寄り添う。

 

当時の宮殿ではいったいどんな風に響いていただろうか。

地元フランスではノートルダムに続き、ナントの大聖堂が火災に見舞われ、

典雅な響きを想像することすら不謹慎に思われる。

先日、売り上げの一部がノートルダムの再建資金に寄付されるレコードが発売され、

レコードを買って応援できるのならと思って買い物かごに入れたばかりの今日。

誰の元にも、様々な災禍がそんなこともあったと振り返る日が1日も早く来ますよう。

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Harmony

数字に一喜一憂しても仕方ないのかもしれないが、

つい先日まで「収まってきたか」と感じたのは、

単にそういう期待も大きかったからなのかも。

こういう時は何かと不調を来すものが増えてくるようで、

或いはレコードばかり聞いていたからなのか、音楽データを入れたNASが不調に。

対応をご教示いただき、あれこれやってみたが、

やはり今ひとつなので修理に出すことにした。

 

そんな些事を余所目に、天気の良い日に散歩で見つけたたくましい植物たち。

都会のコンクリートの割れ目も逃さず、そろそろ建築開始の更地には雑多な植物が繁茂。

人の目の届かないところで大変な生存競争があるだろうにせよ、

その力強さには感嘆以外のことばが出てこない。

 

思えば、人の歴史は様々な災害や疫病を乗り越えてこそのものだっただろう。

暮らしが便利になり過ぎ、或いはそれが前提の仕組みが出来上がり過ぎて、

本来は持っていたかもしれない柔軟さが失われつつあるように思う。

否、生物としての強さは、他の動植物には敵わないからこそ、

ものや知識の蓄積で精一杯武装してきたのが人間だとしたら、

今回の感染症蔓延をどう捉えたらよいだろう。

 

蒸し暑さが増すこの時期、考え事はついネガティヴに向かいがち。

なので、今日はヒンヤリクールなBill Frisellのギターと、

意外にマッチするカントリーライクな女性ヴォーカルのアンサンブル"Harmony"を。

 

 

 

 

最近、リリースが続くBillの本作は、Blue Noteから2019年10月に出たアルバム。

メンバーはヴォーカルのPetra Haden(なんとC.Hadenのお嬢さんだそう)、

Hank Roberts(ac.g, b. etc...)、Luke Bergman(cello, voice)。

 

わたしは当初「寝る前の1枚」にいいかと思いCDで入手したが、

実際に聴いてみてこれは!と思い、レコードで買い直した。

今後は、少々高いけど、これと思うものは最初からレコードで買おう。

発売元のPRに「トリオとヴォーカルの静かで強力なハーモニー」とあるけれど、

なるほどその通り、足し合わせることばは不要。

 

音楽の根の持つ強さ、特に本作に感じる力強さは、

先に書いた植物の強さにつながるようで、

2つをつないでいるのはまさに土の薫りだ。

 

窓の外はまた降雨。梅雨とはいえ洗濯物を干す暇もないほど雨が降る。

今日はまた近所の植物を探しに出歩こうと思っていたが無理そうだ。

備忘の意味も込めて、先日見つけた、あまりに力強いスミレを載せておこう。

わたしも彼らのように地の強さをもっと蓄えていきたい。

 

 

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revages

待ちに待ったレコードプレーヤーが戻ってきた。

オーバーホールや部品(この部品というか仕組みには名前がついていて、Karouselという)

の更新をお願いして約2週間ほどの「不在」を経て。

audioの装置は中古で探すことが多いわたしにとって、数少ない新品で買ったプレーヤーで、

自分のものとして手に入れたものとしては2代目のレコードプレーヤーになる。

10代の頃、実家にあったモジュラーステレオはほぼ独り占めだったから、

これを入れれば3代目か。

 

今のプレーヤーは思えば使い出してから10年以上経っていた。

ピンクフロイドの再結成ツアーがあるということで昼食おにぎり1個みたいな無理貯金して

貯めたお金が、結局ツアーは開催されず行きどころを無くしたときに、

ややっと目に留まったのがこのプレーヤーだった。

その前に使っていたのが気に入らないわけでも何でもなくて、

寧ろとてもいい音でいい調子だったのだけれど、どうしようもなかった。

 

以来、楽しい日も嬉しい日もしんどい日も辛い日も悲しい日もずっと一緒だった。

でも、こうして何もかも見違えるようにピリッとして戻ってきたのを見たら、

長いように思えたその2週間も、あっという間のことだったように思えた。

 

少し話がそれるが、機械とか装置とかの、

人の手が介在し、細やかな配慮があって手元に届き、こうして動作する様が好きだ。

元の部材の一つ一つが意味のある形で、理想に近い形に作られ、組み上げられている。

エレクトロニクスの素晴らしさも、もちろん大きいのだろうけれど、

金属の塊から削り出されて生み出されたその形自体が本当に美しく素晴らしいと思う。

レコードプレーヤーに執着があるのは、そういうところが動作や外見に強く現れるから。

ほんとうに滑らかに静かに回っているターンテーブル、

そして出音の確かさは見た目のそれと完全につながっていて、信頼とか安心とか、

一言では表せない揺るぎなさとなる。

 

 

今日、取り上げる1枚は、どうして最初からレコード出してくれないかな、

とちょっと残念に思ったアルバム、Jean-Louis Matinierのアコーディオンと

Kevin Seddikiのギターでのデュオ作品、"Rivages"。

 

 

 

 

最近はSNSが便利で、フォローしているレーベルの新作が、

試聴リンクとともにどんどん紹介される。

ECMもその1つで、アルバム買う前からちょい聞きがいいかどうかは別として、

これはぜひ早く聞いてみたいと予約ページを覗いたら、

ECMで最近よく出るアナログレコードでの発売がない!

もう少し待ってみれば出るかな、とも思ったが、試聴した曲がものすごくよかったので、

まあいいか、寝る前の1枚にするならCDも欲しいということで購入。

 

動きや表情の豊かなアコーディオンに、これまた万華鏡のようなギターのアンサンブル、

火花が散るような演奏合戦ではなくて、互いにしなやかに交わるような。

音の響きもさることながら、演奏の背景というか空気がなんとも言えず嫋やかで、

これはぜひともレコードで聴いてみたいと、聴けないのが残念で仕方ないほどで。

 

レコードの方が音質が良い、ということではなく、これはもう好き嫌いの世界に近い。

良い音というか、聴いていて間違いなく心地よく、これが好きだと迷うことのない音だ。

もちろん盤にも良し悪しがあるから全てがそうではないが、

わたしがずっと聴いてきたアーティストの全盛期にはCDはまだ出てなくて、というのが大半。

音楽を聴き始めた頃のメディアが偶然レコード(そしてカセットテープ)というのがあるけれど、

子供の頃美味しいと思ったものは忘れないというが、それと同じような気がする。

 

今回のオーバーホールでうれしいというか悩みが1つ増えた。

レコードはCDより大きいし、ましてやダウンロードと比べたら見た目の「がさ」がある。

かたや部屋の収納力には限りがあり、引越し時に用意したレコード棚はもう一杯だ。

でも、聞きたい新譜がレコードで発売されるのなら、多分レコードで買ってしまうだろう。

もちろん古い音源もレコードで買うだろう。

かといって、あまり聞かない盤を手放すというのもどうか。

わたしはまだそのレコードに入っている音を全部聞いたわけではなかったことが今回分かってしまった。

手元の1枚、1枚にどんだけの音が入っているんだろう、そう思っただけでうれしくなる。

レコードってすごい。レコード万歳!

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肩の力が抜けるように

決まった時間に防災警報が鳴り響くようになって何日経っただろう。

GWは1度買い物に行く以外は外に出ず、ベランダからの眺めが一番の愉しみになった。

人間の騒ぎとは関係なく、ベランダの鉢植えは伸び伸び育ち、バラはほぼ満開に。

午前中の早い時間帯がまさにゴールデンタイム、屋外なのにいい感じで香っている。

 

今日はまたしても風の強い日になった。

花がいくつもついて頭でっかちになった枝は根元から折れてしまう。

なので、なるべく自然に育てる方針だが、切り花にした。

記念に残しておこう。

 

 

 

 

こういう時節柄だから、というわけではないが、ここのところすっかりレコード回帰。

普段だとCD音源もたくさん聴いているのに、ほぼ100%レコードでしか聴かない日々。

エアコンも要らない良い季節が年々短くなるから、今こそレコードタイムを楽しむべきだ!

 

そんな中で、ここしばらくヘビーローテーションになっているDexter Gordon。

そんなにたくさんもってないから同じのを何度も聴くことになる。

ついでに時間があるものだから、次に手に入れるのはどのアルバムにしようかと、

妄想時間が相当に増える。

まだ手元にありもしないレコードが、

ターンテーブルに乗って再生されてる様子が目に浮かぶ。

レコードが好きな方ならきっと通じるに違いない。

 

Dexter Goronにはエピソードがある。

昔通っていた中古店のオーナーに、

「デクスター・ゴードン、きっと気に入ると思うわ、騙されたと思って1枚聴いてみ」

と言われたが、当時はStan Getzがものすごく好きだったし、

そう何枚も買えるほど余裕もなかったから聴かずじまい(買わずじまい)だった。

購入傾向ではないけれど、jazz好きな親父さんはわたしを見ていて思ったんだろう。

少ない予算で、これぞというお気に入りの盤を手にできるよう、

遠回しにオススメしてくれたのに、

すでに棚から抜いたGetzのSweet Rainは手から離れなかった。

 

それから一体何年が経っただろう。

ジャケットがかっこいいからと買った1枚がこれほど何度も聴くことになるとは。

話が逸れた。

わたしが次に買うなら、とあれこれ探していて気になったのはこの1枚、"Gettin' Around"。

 

 

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久々Spotifyにアクセスしたら、ネット環境のせいか異様に重たい。

それでもフルアルバムを聞けるのだからありがたいことだ。

さて、Gettin' Around。

ジャケットも素晴らしいけれど、このアルバムに収められた曲の中に、

シャイニーストッキングスという曲があって、これがなんとも言えない肩の力の抜け方で。

ああ、今のわたしに必要なのは、まさにこの1曲だ。

なので、次に行くのは迷うことなくこの1枚だ、と決まった。

 

常、頼りにしているDISK UNIONさんも今は店舗販売をお休み中。

できれば、通販じゃなくて、お店で見つけてハコの中から引っこ抜きたいんだな。

そんなこと言っていたら一体いつ手に入るかわからないけれども、

レコードは出会いのものだから。

宣言解除になったら、何はともあれまずはレコード屋に行かなくては。

そう思ったら、しばらくはがんばれそうな元気が出てきた。

最後のさいごで、良い日曜になった。今週もがんばろう。

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強雨のあとの

春一番というのは、一体どのくらいの回数やってくるものか。

一昨日から昨日夕方にかけての強雨はさすがに参った。

天気回復の今日は、朝からベランダの清掃や痛んだ植物の世話に明け暮れたが、

専門家曰く、気分の浮かない日が多いなら、午前中はこうして陽に当たった方がいいのだと。

科学的にも根拠があるそうで、精神的によい物質を体内に生み出すきっかけになるそう。

 

休みの日の午前中から午後一番にかけて、最近繰り返し聴いているのは、

ヴィキングル・オラフソンの最新録音、ドビュッシー&ラモーだ。

 

 

 

 

ドビュッシーはともかく、ラモーは好きだ。

グラモフォンの公式サイトでは、ドビュッシーと大文字で、ラモーは小文字で。

でも、収録された楽曲リストを眺めると、小文字に扱う理由はどこにもなさそうで。

否、やめておこう。

それでは、政府が何か発表する度に対案出さずに批判や中傷ばかりの集団と変わらない。

音楽は、ただ楽しめばいい。

 

そう、音楽は。

ほんの少し残念なのがこのジャケットで、

このジャケットでもって、買うのを躊躇したり、他のアルバムを買ったりというのは、

あるような気がするけれど、そう思ったわたしも買って正解だったと記しておこう。

 

何と言っても、一曲目のドビュッシーの、何とも芳醇な響きに思わず声が出てしまう。

それこそ先ほどのお日様の、ではないが、

体にいい成分がいっぱい詰まっているような音がする。

 

 

明日はまた月曜だと思うと、サザエさんの歌を耳にすると、という笑い話のごとく、

やっぱり少しだけ鬱になるが、カンバロウと思わず淡々といけばいい。

何かあって気持ちが落ちても、また部屋に戻れば楽しいことがあると思い出すことにしよう。

 

 

 

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追悼

Peter Serkinが昨日、2月1日に膵臓癌で亡くなったとのニュースをSNSを通じて目にした。

去年の11月、来日公演の予定が急な中止となり驚いたばかりだった。

公開されたご本人のメッセージでは、健康上の理由とあったが、そんなに重い病だったとは。

 

パッと思い浮かぶのは、

何年前だっただろう、松本市でのコンサートで聞いたバッハのアリアが、

これまでわたしが耳にしたその曲のベストだということだ。

最初に聞いた彼の録音もやはりバッハで、瑞々しさ溢れる素晴らしい演奏。

何十年もの時を経て目の前で弾かれた同じ曲は嫋やかで、

消えゆく一音、一音の響きが本当に美しかった。

 

追悼というにはあまりにも急な出来事で、正直実感がない。

なのでやはりいつものこの1枚を棚から出して聴いてみる。

 

 

 

 

CDにもなっているが、このアルバムの音源で一番気に入っているのは英盤のモノラル。

米盤でステレオ盤ももちろん出ているが、

1枚だけ聞く時間があるのならモノ盤になってしまう。

珍しいものではないので見つかればすごく安く手に入る盤。

発売された当時、このレコードをどんな人が聞いて何を思っただろう。

 

レコードは、針を上げることで区切りがつく。

そういう意味で今夜はやはりレコードがいい。

折しも暖冬の休日、エアコンなしでしんみりと彼のバッハを聴こう。

 

 

 

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True Blue

秋があっという間に終わってしまった。

否、今週はまた少し暖かさが戻るのだと言っているが、

ベランダの植物たちを見ていると、すっかり冬支度の様子だ。

バラの幹は紅葉のように紅く色づき、本格的な冬への備えを始めている。

 

それに比べて人間(わたし)はどうだろう。

部屋に戻って仕事の疲れもそこそこに、audioのスイッチを入れていつもの位置に座り込む。

年齢のせいなのか、せいにしてはいけないのか、

次の作業になかなか移れないもどかしさ。

どこまで自分を甘やかしていいのか、悪いのか。

 

そうこうするうちに室温が低すぎるのを慌ててエアコンで調整。

人間(わたし)のためではなく、少し前に引き取った胡蝶蘭のためだ。

元は南の国の暖かく湿度の保たれた森林の中で生きている植物たち。

観葉植物とはなんと人にとって都合の良い呼び名だろうかとつくづく思う。

病院ではないけれど、体力を取り戻しつつある様子がなんとも嬉しい。

 

さて、今夜の1枚。大好きなArchie Sheppのアルバム、True Blueを。

 

 

 

 

Archieの何が好きかって、Vocalが好きだ。

このアルバムでも"Que Reste-t-il De Nos Amours"をすごくリラックスして歌ってる。

辺りを温かく包み込む深い歌声。

サキソフォンの太さ、強さとはうって変わって物凄くジェントル。

この1曲だけでこのアルバムを聴く値打ちがある。

 

なので、仕事でやられてぐったりしているときの褒美なのだ。

頭の中に麻薬が出ているんじゃないかと思うくらい癒される。

音楽の力は偉大だ。

嘘だと思うならぜひこの1曲をどこかで聞いてみてください。

特に女性のリスナーにオススメしたい1枚。

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