音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
Arrival

ここ数週間、もう次はないのではと思うほど濃密な音楽体験が続く。

ことばにすることで却ってその濃密さに綻びが生まれそうで、

口からあの溢れんばかりの熱が溢れでそうで、

真っ白の紙の上に文字を落とすことすら躊躇われる。

 

***

映画「Arrival(邦題:メッセージ)」を観た。

狐につままれたようなあっという間の2時間。

頭の中にぽっかりと浮かぶキーワードとキーワードが結構な時間差でもって繋がっていく。

繋がりと繋がりがさらに繋がってゆっくりと空間を埋めていく。

 

Johann Johannssonという音楽家の作品を意識的に聞いてきたことはなかったが、

一聴して思い浮かんだのは、Sigur rosの1stアルバム。

仄暗い空間から温かなものが浮かぶようにして現れる、あの空気感。

いずれもアイスランドの出身とわかると腑に落ちたというか、なんというか。

 

 

 

 

部屋を真っ暗にして、そう、できるだけ真っ暗にして、

隅に優しい灯りを1つ。

それからそこそこの音量感でしっかりと部屋に音楽を流す。

音を部屋に溜めていって、その中にすっぽりと体ごと埋まってしまうような聞き方がいい。

 

何かの先入観でもってわかろうとしない姿勢が、

ある音楽をこれほどまでに楽しくさせるのだということを、

こんな歳になってから知ってどうせよというのか、というくらい、

この没入感は他に代えがたいものがある。

 

結局、この映画の映像ソフトもOSTも揃えてしまった。

観て聴く度に心の中に新たな風が生まれては消える。

監督はDenis Villeneuve、あの待ち焦がれたBlade Runner続編の監督でもある。

ことばで伝えなければこんなblogの意味がないことは百も承知ながら、

Arrivalはぜひ観て聴いてみて欲しい、

それが人のこころという千差万別の鏡に一体どう映るのか、わたしは知りたい。

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SING

年明けから映画館に通い詰め。

遠くないところに大小さまざまな映画館があるんだから、と、

専門誌を読んだりしてこまめにチェックしていたら、

月に何本も観たいものがあって、毎週末、早起きして映画館へ。

ストレッチやランニングなどは続かないのに、こういうことは多少面倒でも続く。

 

第一四半期がそろそろ終わりそうなこの時期、

振り返って映画の内容はさておき、音楽が何とも印象に残り、

というよりは耳について離れない、ヘビーローテ状態の1枚がこれ、SINGのオリジナルサウンドトラック。

 

 

 

 

選曲の妙味。

あー、とか、いやーもー、とか。

歌は世につれ人につれではないけれど、来し方ゆかりがふーっと頭を過る楽しさよ。

 

驚いたのはタロン・エガートンの芸達者。

本作はアニメーションながら魅惑のキャスト(声)でそれだけでも楽しめるのだけど、

エガートン、彼もこんなに歌えるんだって、ソフトなタッチは若い頃のChetを思わせる。

もちろん、スティービー・ワンダーとアリアナ・グランデのメインテーマも。

ああ歌ってこんなに楽しかったかなと思わず体が動いてしまうような。

 

わたしの周囲ではララランド推しが多くて、確かにあのメロディも耳から離れないが、

このなんというか、みっちり豪華に詰め込まれた歌の魅力、ということでは、

シングを推したいのだ。

 

そういえば。

サントラの楽しさという点で、第二作目が楽しみな

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」は5月ロードショー。

カセットにぎっしりのあの曲、この曲は、今回どうだろうか。ワクワクだね。

 

 

急に冬に戻ったかという寒さにビビりながらも、

週末、小さな春を見つけたよとほくそえんだ公園の一角。

わたしはカセットではなく現代のウォークマンでほっと一息。

もちろんシングを聞きながら人前で踊ったりする勇気はないのでご安心を(苦笑)。

 

 

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Blacklist

米国のTVドラマって挿入歌がすごくいいと感じることが少なくない。

といって、国内のTVドラマをしっかり見て比較したりしているわけではないけれど。

 

レコードの発売リストをさっと眺めたところ、すぐにこれと分かるジャケットに惹かれ、

買ったのが、サスペンスドラマ、Blacklistのサントラ盤。

 

 

 

 

懐かしいポピュラーだったりロックやブルースだったりいろいろだけれども、

様々なエピソードからどれが選ばれたんだろうと思いながら聴いてみた。

 

全12曲の選曲がどんな基準なのかはわからないけれど、

驚くほど意外なほどにいい音がして、

ドラマのシーンを振り返るなんてのはそっちのけになってしまった。

またそれ以上に1曲、1曲にどんどんのめり込んでいける。

 

シーンに合う合わないだけでなく、音楽としての素晴らしさも徹底して妥協しない、

挿入歌はドラマの面白さを支える大きな要素でもある。

ドラマを観て音楽を聴いて、そこから手繰り寄せるようにして各々のアルバムを聴いてみて。

これから夜の長い季節。サントラの愉しみにどっぷりと浸かってしまおう。

 

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Inferno

 

 

読んでから観るか、観てから読むか。

このシリーズが映画化されるときに必ず迷うのだが、

今回は映画化の話が先に聞こえていたので読むのを我慢して観た。

 

わずか1時間半ほどでは掘り下げきれない部分があるのも確か。

それでも数々のシーンと音楽が幾重にも折り重なり、

壮大な絵巻になっていくところは第1作からのお約束だ。

 

エンドロールの後ろで流れたメロディ。

この作品を通してのメインテーマが朗々と流れる様に、

一つの区切り、着地点の在り処を痛感させられた。

 

細かなシーンを想起させる各々のメロディや効果音もさることながら、

個別の作品の音楽として成り立ちながらもこうして織りなされる世界に、

映画音楽ならではの楽しみを見つけてしまう。

 

気がつけば10月ももう終わり。

関西では木枯らし1号とか。

ああ観てしまった、という寂しさもあってか、冷たさを一層感じる。

しっかりと気持ちを切り替えていこう。

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映画漬け

この秋は稀に見る私的映画鑑賞ラッシュ。

偶然だけれども、この人が出てれば必ず見ると決めている作品が次々と上映され、

週末はほぼ毎週のように映画館に出かけている。

老眼な視力を少々恨みつつ、大音量に耳が負けそうになりつつ。

 

この連休は「ジェイソン・ボーン」を観に出かけた。

ネタバレは良くないから話の筋は置いておくとして、

或いは話題になっている街を封鎖しての200台!カーチェイスもすごかったが、

何というかいい感じで歳をとっている俳優さん揃いで、

それがまた何とも言えないいいスパイスになっている。

 

 

 

 

主演のマット・デイモン演じるボーンの落ち着き方もぐっとくる感じで、

ああシリーズ作品の良さだなあとしみじみするけれど、

何と言っても今回は敵役の「作業員」を演じるヴァンサン・カッセルの渋さよ!

ここ数年で観た中では「トランス」という作品の中で、

「この役は他の人じゃだめだよね」と思わせる何かがある人だと思ったけれど、

今回もまさにそれそのもので。

 

アクション大作は好き嫌いがでるけれど、こういう作品作りを支える何かが彼の国にはある。

単純に予算をかけましたということではないんだろうなあと感じるけれど、

してはいけないことだらけのどこかの国では到底望めないことなんだろうなあと。

或いは俳優という職業への考え方、捉え方が根本的に違うのかもと。

そんなことをつらつら考えながら大音量でぼんやりした頭で夜の街に出た。

風はもうすっかり秋、冷たさが心地よい時期は短いから楽しまないと・・・。

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47という名の

元はゲームソフトの物語で、後から映画になるものはそんなに珍しくはないのだろうが、

ヒットマンというゲームのことは何も知らず、

あのHOMELANDのクインを演じているルパート・フレンドが主演だというので、

とにかく観てみなくてはの一心だった映画、「ヒットマン:エージェント47」。

 

 

 

 

映像も精彩でダイナミック。

アップテンポのアクションシーンが目白押しで最初は目がついていかない程だったが、

後から見たシリーズの1作目と比べて主役(キャストは別)のキレが素晴らしい!

衣装の黒いスーツにしても、ラインが美しくキマっていて、それだけでも楽しめてしまう(笑)。

 

独特のシーンの積み重ねは、

ひょっとしたら元のゲームのものを再現しているのかもしれないが、

ゲームの詳しいことは全くわからないので何とも。

細部へのこだわりには自信ありと窺える作りで、

効果音と演技、そして音楽の独特のリズム感もバッチリで見ていてほんとに爽快。

 

否、正直、暗殺者の物語だから登場人物が次々と死んでいったりするから、

そこもまたゲームチックなのかもしれないが、

もちろんストーリーもしっかりと描かれていて、映像の美しさに負けてはいない。

 

どこかで聞いたかもしれない、と調べてみたら、音楽はマルコ・ベルトラミが担当。

バイオハザードも確かそうだったはず、道理で。

バイオハザードもそうだけど、この手の映画は、とことん主役がかっこよくないとつまらない。

もう観てるこちらが恥ずかしくなるくらい、あるいは感情移入ですっかり主役になりきるくらいに。

 

それにしても、あのクインがそうであったように、

隠しても隠しきれないあの陰はどうも俳優自身が持っているキャラクターのよう。

強敵のエージェント役にスタートレック新作品シリーズのザカリー・クイント、

主役が霞みそうな濃い設定ながら、それがなかなかどうして。

 

土曜の夜から都合3回見たけれど、できたらもう1回観たい!

今回はレンタルのブルーレイだけど、これはもう手元にソフトを買うしかないかな。

月曜から寝不足もどうかと思うから。

 

深夜に一人こっそりと見るのも良さげだけど、音的にもレンジが広いつくりなので、

ちょっと気を遣ってしまうかも。

ゲームを先に知っている人なら何と言うか興味津々の1本。

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Spooks/MI-5
このところ暇さえあれば映画三昧。
視力が落ちたのはこのせいではないと思いたいがどうだろう。
物語の中に入ってしまえば、1日がどれほど散々であったとしても、
すっぱり切り替えられることをしばらくぶりに思い出した。
目は疲れるが、それでも映画を観よう。

劇場にも出かけているが、レンタルでおっと思ったのはこの1枚、
英国の大ヒットTVドラマ"Spooks"の映画版、もちろん最新エピソードだ。





TVドラマをご覧になっていない方が見たときに、少々辛いものがあるかもしれない。
アクションや謀略の数々の見せ方よりも、
人間関係が複雑に織りなす世界が魅力の作品だから、
独立した映画として成立はしていても、前提を知っていればそれだけのめり込める。

人の心がどれだけ荒んだように見えていても、
血の通う温かみを完全に失う人なんてそうはいない。
静かな息遣いの中にも、全てを賭してその責務のために闘う様に、
思わず胸熱くする充実の1本。


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Spectre
先行上映の感想があまりにも↑↑だったので、とにかく見なくてはと、
寒い中いそいそと映画館に出かけた。
ひょっとしてもうすぐ封切りのStar Wars一色かと思っていたがそうでもなく、
行ってみればいつもの映画館だった。





かなりの長尺をあれだけ満員のお客さんがじっと正面を眺めている様子はある種異様だ。
007は振り分ければアクション映画なのだろうけれど、
全体に色味も音も抑えめなのに、
画面の中でぐっと存在感を増したBondの立ち振る舞いに胸熱くしたのはわたしだけではないはず。

イントロは何やらオーソドックスなのに少々驚いたけれど、
テーマ曲までの独特の入り方にいつも期待してしまう私は、
歌い手は一体誰なんだろうと気になりながらも、
だれが歌っているのかは映画を見るまでネタバレを避けてきた甲斐があったというか、
ああなるほどそうなんだあとその歌い出しに納得至極で。
007 Spectreの挿入歌Writing's on the Wallを歌うのはSam Smith。





 


この美しいメロディを耳にして、最後のシーンはきっと印象的なものに違いないと思った。
ネタバレしてはいけないのでなかなか書きづらいが、
主人公が女性と共に消えていくシーンがキザにならない人って、
実はそうはいないのではないかと、本来の筋とは違うところに感心したりもして。

筋と違うといえば、男性はスーツ姿が決まっているとなかなかに素敵で、
スーツ姿が素敵な男性はもうそれだけでいいやとは言わないけれど、
先日のKIngsmanでもそうであったが、やっぱりかっこいいわけであって。

できれば、ダニエル・クレイグ版007の全作品を一通り見てから、
最新作Spectreをご覧になることをお勧めしたい。
いろんな意味で幾重にも楽しめること請け合いだから。

サントラは前作に引き続きThomas Newman。
スカイフォールみたいだけどおとなしい、という感想がそこここにあるけれど、
サントラを耳にしてシーンが浮かんでくる様は、出汁のよく効いた煮込みのようでもあって。
ああサントラっていいよなあとしみじみしたのだった。

ちなみにSamの歌う挿入歌はサントラCDには入っていない。
別途発売のSam SmithのSingleで聴けるのでご注意を。


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Soul Food, Soul Music
先週末は久しぶりに関西は大阪へ。
随分前に貰っていた旅行券がそろそろ失効しそうになっているのに気付き、
出かける先をあれこれ考えてみて、
普段逆にあまりやらないことをしてみようと思い立った。

観光というと大袈裟だけども、
再開発の進んだ繁華街の様子を少し見て歩きたかったし、
ことばの感覚がごく自然な地元の延長でゆっくり買い物もしたかった。
飲む食べるといわなくなったのは歳のせいだろうか。


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毎日放送の本社が千里中央を離れて何年になるのだろう。
収録を見学に行った10代の頃をつい懐かしく思い出すも、
昔はこんなあか抜けた感じでは無かったな、でもあれも良かったなと。


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早朝に出かけたのに、あっという間に日暮れ時に。
地下街をうろつきながら懐かしいお店、新しいお店を冷やかしつつ、
夕飯をゆっくり楽しんだ。
何より、お客とお店のやり取りがとてもいい具合で。
関西のことばの抑揚が、疲れたからだに食欲を呼び戻してくれる。

ソウルフードという表現はこれまでしっくりこなかったけれども、
ソースの味一つとってみても、ぴたっとハマるものがある。
おふくろさんの味というのとはまた違う意味合いの食べ物への郷愁、懐かしさ。
宿に戻って聴いたのは他でもない、映画"Chef"のサントラ盤だ。





邦題「シェフー三ツ星フードトラック始めました」という映画をご覧になった方なら、
曲が流れる毎に、あの料理、この料理と思い浮かんで困ることだろう。
ラテンのリズムに乗ったあの曲、この歌。
単なるオムニバスではなくて、映像に登場したミュージシャンによる演奏も。

ストーリーは少々上手く出来過ぎかも知れないが、
テンポよく進む物語に、旨い料理は手際が良いなんてことも思い浮かべるぐらい、
気がついたらハッピーエンドのラストまでうまく乗せられてしまう(笑)。


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番組のもう一つの主役、キューバサンド。
映画の中でも実に美味しそうなのだけれど、
これを何とか作れないかというファンのためにレシピがネットのそこここに。
ぎゅーっと押さえてこんがり焼くのがコツのようだが、
うちの台所でもうまく作れるだろうか。

それにしても、豪華キャスト、各人がどんな役回りかは観るまでのお楽しみ。
聴いてるだけで体が動いてしまう、そんな楽しい音楽てんこ盛りの1枚だから、
映画と全く切り離してしまっても楽しめるけれども、
やっぱり、これはぜひ映画の方も。
観てから聴くか、聴いてから観るか。わたしは観てから聴いた。
個人的には2015年聴いたなかでの5本の指に入確!の1枚だ。
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Kingsman
封切り直後の反響に居ても立ってもいられず、
混むと知ってて出かけた日曜の映画館。
ゴジラで有名になったビルはまだ真新しいけれど、
近くに行きすぎると、ゴジラの爪しか見えない。
なぜかって、ゴジラはビルの随分高いところに鎮座しているから。
ところで、観たのは他でもないスパイアクションの"Kingsman: The Secret Service"。





何者にも属さない組織のエージェント、
キングスマンの一人を演じるコリン・ファース、
正直、エージェントというイメージは全然なかったけれども、
その意外性もあってか、
大画面に登場後の数分で先入観ほど映画に不要なものはないなと痛感。

ネタバレはよくないから内容はかけないけれど、
組織の領袖にマイケル・ケイン、これだけでスパイもの好きには堪らない。
クレイジーと言うのは簡単だけど、極端に濃いキャラの悪役にサミュエル・L・ジャクソン。

何を軸に観るかにもよるのだろうし、評価も割れるであろうけど、
いやもう何というテンポの良さとここまでやるかという過激さは、
或る種のオマージュも織り交ぜられて痛快というほかない。


 


最後に思ったことが一つ。
続編がありあり、というありがちな最近の映画のラストに辟易していたが、
この作品にはそういう中途半端さが全くない。
映像の強弱、最近観た中ではちょっとないなという独特のざらつきが無性に焼き付き、
夢の中に出て来そうだ。

会場でエンドロールが終わりに辿り着き、
灯りがともった時に思わず拍手をしていたお客さんがいるのもうなづける。
ひっさびさに掛け値なく面白かった映画をほんとうにありがとう。
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