音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
DUNE Part.2

待ちに待ったパート2の上映。

この時期は人並みに慌ただしく業務も能力を超えてずっしりのし掛かってくる。

なので、初日のこの時間だけはなんとか休みを取れるようにと、

珍しくあれこれ調整してきていた(笑)。

 

いよいよ物語は中盤に差し掛かり、血の因縁、悲劇を目の当たりにする。

驚くべきは、パート1もまさしくそうであったが、

たった一つのシーンも無駄にしないように、というくらいに、

鬼才ハンス・ジマーの音楽があまりに緻密で荘厳で、

もうこれ以上は無理と思うほどに展開されていく。

時に、音楽は謀略や哀しい運命の道標のように映像を見る者を導いてくれる。

わたしは、このままもう一度映画を観るか、

一旦「撤退」して、音楽のみを追体験するか迷ったが、後者を選択。

3月23日に発売される各種音源を待てず、OST一式を高音質音源でダウンロードした。

 

 

 

 

まだパート1を体験されていない方は、まずそこからをお勧めしたい。

せっかくなら、ということで。

つい最近、再生装置の電源ユニットを、より良いものに換装していただいたが、

そのおかげもあって、部屋の床の軟さを痛感するほど、這うようにして低音部が広がり、

目を閉じれば一気にあの砂の世界に飛んでいける。

ほんとうは、もっと音量を上げたいが、近所迷惑なので、それはやらない。

 

作曲家のポリシーで、映画の音楽を作る際はそのシーンの国の楽器を使って

作曲、演奏するとのこと。

DUNEの舞台は架空の砂の惑星なので、ひょっとして楽器を製作していたりする?

調べてみたら、取材記事にそのような記述が。

次は一体どんな音がするだろうか。

映画の中では映像と一体の音楽なので、音楽だけをこうして聴いてみる作業は

意外なほどに新鮮で別の楽しみを与えてくれる。

 

今回作のエンディングでも分かる通り、本作はPart.3が製作されるようだ。

これだけの作り込みでもあり、正直次がいつなのかは発表されていない。

またスターウォーズのように、シリーズ化の予定はないとのこと。

DUNEは、他のヴィルヌーヴ作品に比してエンタメ系の要素が強めだが、

重ための悲劇として収斂していくと思う。

パート2には多くの伏線が張られていて、期待するなというのも無理だが、

またこうして劇場で圧倒的な映像の体験ができることを期待するしかない。

当然ながら、音楽製作は巨匠の続投で。

 

◆ DUNE Part.2 Soundtrack

  mora : https://mora.jp/package/43000174/794043220425_48/

 

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映画音楽に埋もれる

坂本龍一さんが亡くなって1年近くになるのか。

雪が降ってそんなことを思いつつ、積読になっていた「坂本図書」や彼を特集したユリイカを

少しずつ読み始めた。

彼の音楽にそこまで耽溺していたわけでもないが、

いつも普通に響いている感じがするのは、

特に後年、映画音楽をたくさん書いていて、あの作品、この作品と見直すたびに、

彼の映画音楽をじっくり楽しむ機会があるからだと気づいた。

 

喪が明けたということではないのだけれども、

記憶の限り、古い作品から順にザーッと聞き直したこの2週間、

調べてみれば、盤を持っていない作品もちらほらあって、

買えなくならないうちに入手した方がいいなと思いつつ、

高騰著しいレコード盤の価格にも驚きつつ、

ウオントリストをまとめたところだ。

 

アップコンバートということだったが、hi-res音源も結構出ていて、

例えば韓国映画「天空の城」のサントラなどは、レコードでは入手困難だが、

ダウンロードの高品質音源なら手軽に入手できる状況だ。

 

メインテーマのメロディや構成が確固たる位置にあり、

そこからシーンに合わせて展開される形。

聴く者の耳にどんなふうに響いていくのか、に力点があるんだろうか。

聞き直してみて、共通する骨組みのようなものを強く感じた。

そして、なぜかその奥に、芥川也寸志さんの音楽が聞こえてくるような気がした。

似ている、ということではなくて、まさしく心の奥底に静かにこだまする魂の声。

 

子供の頃に見た印象的な作品には、芥川也寸志さんの音楽がつきもので、

物語がぐっと盛り上がる際の音楽を鼻歌できるくらい好きだった。

思えば、”そういう”作品には最近あまり出会えないでいるな。

効果音寄りではなく、メロディと作品がしっかりと結びついて離れないような。

 

備忘のために、ここしばらくヘビーローテしている作品を書き留めておこう。

98年の映画”Snake Eyes”(音楽 坂本龍一)。

この作品のメインテーマを含むオーケストラ演奏企画のレコードが再発と聞いて

予約していたが、通常の黒いレコードのバージョンは発売中止との連絡が。

カラー盤で妥協するかどうか。オケの演奏自体は賛否あるが、

Snake Eyesは戦メリやラストエンペラーと同じようにはいかないので、

大編成で聴ける機会は貴重。さてレコード、どうしてくれよう。

 

 

 

 

それから押しも押されぬ名作「事件」と「鬼畜」(事件の方は作曲・演奏が

エレクトーンプレーヤーで作曲家の松田昌、音楽監督 芥川也寸志、鬼畜は

音楽 芥川也寸志)の2作がカップリングされたCD。

坂本作品と並行して聴くなら、「八甲田山」の方が良さそうだが、

この2作の音楽、どちらも鍵盤楽器が肝になっているのでこちらを選んだ。

 

 

 

前者は中古盤を探せばまだ手に入ると思うし、後者はネットで普通に購入できる。

 

話は逸れるが、邦画のサントラ盤は意外に入手困難で、あっても結構な値段に。

再発企画を逃すと本当に探すのがしんどいので、

お好きな方は盤を見た時に入手をお勧めします。

探し物の多いわたしが書いてもあまり説得力がないかもですが(笑)。

 

さて、今夜は何を見ながら寝落ちようか。

寒さが緩んだ連休の夜だ。

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別れる決心

韓国の映画には海辺の町を背景にした作品が少なくない。

島国日本で生まれ育った人間が、ことさらその美しさや透明感、

侘しさに惹かれるのはなぜか。

運命に翻弄される人と人の繋がりがこれほどまでに焼き付いて離れないとは。

 

2月17日から都内でも上映開始の映画「別れる決心」は、

復讐3部作で知られる韓国の映画監督パク・チャヌク氏の最新作で、

なんと6年ぶりの作品だという。

彼へのインタビュー記事には、

増村保造監督の映画『妻は告白する』へのオマージュ?との質問にも

偶々そういう脚本であったということで、監督の意図ではないとのこと。

 

サスペンス&ラブストーリーというと薄っぺらな印象を否めない。

もっといい表現があるといいが。

主人公を演じる二人の間合い、ほんの少しの揺らぎがゆっくりと観る者をも包み込んでいく、

そのなんとも言えない湿り気に魅了される。

これ以上近寄れないという距離感をみせながら、

しかし実のところその二人が本当に結ばれることはあまりに遠い世界にしかない非現実であることを、

或いはそれへの渇望を、時には凪いでいて、或いは潮が満ち、波しぶきが飛び交う海の様子が

生々しく観る者に訴える。

映像の透明感に引き込まれる140分、エンドロールが始まった瞬間、

まるで重い夢から覚める時のようにして、目の前の風景が現実なのか虚なのかを曖昧にする。

 

脚本集も本国で注目されているとのことだが、

映像から来るこの感覚が字面からも得られるだろうか。

 

遅い時間の終演で、部屋に帰り着いたのは深夜もいい時間。

なかなか寝付けないでいたので、映画に負けないくらい透明感溢れる音楽を。

アイスランド出身のピアニスト、ヴィキングル・オラフソンの最新作 "From Afar"。

 

 

 

 

タイトルからは中身を想像しづらいので、アルバム紹介から引用を。

 :アルバムを構成するテーマは「自然」「ふるさと」「子供時代」「家族」の4つ

 :ハンガリーを代表する作曲家ジェルジュ・クルターグとの出会いからインスパイア

 :故郷アイスランドの民謡や幼少期の思い出の曲などを選曲

 

細かな粒子がゆっくりと部屋に広がる心地よさ。

彼のピアノが醸し出すゆらぎが、かの映像と混ざり合い、夜空に溶けてゆく。

今回紹介した映画は、一言でいえばあまりに切なく哀しい物語だ。

その哀しさ、切なさは理不尽を軽く通り越していたから、

それに負けないほどの美しく、優しい光が降り注ぐような音楽が欲しかった。

 

この1年はたくさん映画を映画館で観ることにした。

心の奥底の「自粛モード」を振り払い、「換気」をしっかりするために。

「別れの決心」、映画館で上映されているうちに、機会あれば、ぜひ。

 

 

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I'm a poor wayfaring stranger

子供の頃からずっと、映画音楽が好きだ。

映画音楽、ということばではなくて、映画の音楽、だったけれども。

単なる効果音とは違う、映画になくてはならない要素。

映像があって、音楽があって。

その逆もまた然りで。

 

基本、作品として作られたものを素直に受け入れ、楽しむ派だが、

OSTとして出された盤の中に、肝心な1曲というか、

これは絶対に入っているだろう、と思っていたのが、

「なかった・・・」とため息が出たのが「1917」のサントラ盤だった。

 

多分、同じような感想を持たれた方も少なくなかったと思う。

映画の方を再度見直す機会があったので改めて検索したところ、

CDやレコードではなく、ダウンロード音源で出ているではないか。

ここのところ音源のリリースをこまめにチェックできていなかったとはいえ、

これはなんたる不覚。

ビデオ作品も売られていて驚いたが、

それだけそのシーンなり、歌声などに魅せられて「出して欲しい」という

要望が多かったんだろうと思う。

 

 

 

 

わたしが購入したのはmoraの3曲セット(アカペラバージョン、映画バージョン、

それから歌詞がオリジナルのものの3つ)。

こういうのこそレコードで出して欲しいと思うが、今回の音源も十分良い音質だった。

 

この「ミニアルバム」を購入以来、Jos Slovick(彼は歌手ではなく俳優)の歌声を

聞かないで寝ない日はない。

年末に、この1年、どの曲をよく聴いたのか整理してみようと思っているが、

この年末近くに購入したアルバムが、ひょっとしたらダントツ1位かもしれない。

 

正直、この歌聴きたさに映画作品を何度も見られるかというと、

映像があまりに重たすぎて(特にウクライナの戦争が進行中である今は)無理なので、

静まり返った深夜の部屋で極小音量で流すとか、ヘッドホンで寝る前の1曲として聴くとか、

音源が出たありがたみが身に染みつつもまさに彼の歌声を、歌の歌詞を満喫する日々。

 

2022年という年も残すところあとひと月となった。

この1年、何事にも段取りが悪く、物事の進行が思わしくないままここまできた。

この流れを来年に持ち越さないよう、残り1月でうまく切り替えたい。

そのためには、まずは心の中の「いつも通り」を取り戻すこと。

その意味でも、今日の1曲はなんとも奥が深く、乾いた心になんとも沁みるのだ。

今夜も寝る前の最後の1曲に彼の歌を聴くことにしよう。

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映画小僧の週末

お世話になっているクリニックの医師から、

「寒くて空気も乾燥しているし、感染予防のためにもなるべく自宅で過ごしてください」

とのアドバイスが。

気管支に持病があるので今の時期は何がなくとも最警戒モードだが、

さすがにこの状況下では中古レコード屋を巡回する気力もない。

そこで、夜な夜な見逃している映画をチェック、

食べ物を確保してサブスクで映画をハシゴ見する休日が常となった。

 

昨日などは雪がチラつく冷たさ。

洗濯物を取り込む間にも手がかじかんでくる。

最近のサブスクにはロシアのTVドラマや映画も結構入っていてびっくりするが、

中途半端な語学力で予習&2度見、3度見しなくて済むから、

日本語字幕付きで観ることができるのはやっぱりありがたい。

おやつも用意して、日曜の1本目はロシア映画「フロンティア(原題:Рубеж)」。

細かい説明はリンク先のDVD情報をご覧いただくとして、とりあえずトレーラーを。

 

 

 

 

ここ数年のロシア映画の特撮(という言い方自体が古い)は凄いというか見ていて楽しくて、

筋立て以上にエフェクトをガン見してしまいがちであったりもするが、

本作は一見歴史SFのようでいて根底にあるのはヒューマンドラマだ。

冒頭のベタな恋愛シーンに食傷して見るのをやめずに、

どうかもう少しだけ物語を見進めてほしい。

 

ネタバレが一番いけない類の作品なので中身にはこれ以上触れないが、

検索して出てくる感想が面白いように二極化しているのも興味深い。

わたしは結構楽しめた方で、できればblu-rayでディスクも入手したいところだ。

(1度見た程度では作り込みの細部に気付けていないので、

 何度もみてああでもないこうでもないとやりたい・・・)

 

おおっと声が出てしまったのは、エンドロールの開始後に流れる挿入歌が

なんとЛеонид Агутин(レオニード・アグーチン)だったこと。

ほんのり甘さを感じるボーカルは未だ健在。

ロシアのポピュラー音楽も、

大抵のタイトルはストリーミングでチェックできるようになり、

盤を丁寧に追いかけて手元に揃える習慣が途絶えて久しいが、

調べて見ると、CDで手に入るアルバムもポツポツでているではないか。

早速、該当の歌が入っているアルバム他をオーダーしたが、

届くまでは(多分感染症の影響で普段の倍ほどは時間がかかるだろう)とりあえず、

Spotifyやアーティストご本人のyoutube映像で楽しむことにしよう。

 

春が来るまであと2ヶ月弱。

様々な物事が好転することを祈りつつ、当分は映画小僧でいようと思う。

 

⭐︎ Две Минуты Жизни (OST «Рубеж»)

 

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no time to die

嗚呼、とうとうこの時が来てしまった。

007のシリーズは映画を観始めてからずっと親しんでいる作品だけども、

演じる俳優とのマッチングで言えばこんなにハマったシリーズもないなと思っていた。

コロナ禍で延期に次ぐ延期、

作品の中ではとっくにクレイグ主演の主人公は遠い空の星になっていたわけだけれど、

今回の作品"No Time To Die"がダニエル・クレイグ主演の最終作と聞いていたので、

劇場に行くまではとにかくネタバレ情報を掴まないように耳と目を塞いていた。

とはいえ、いろんな想像はできたけれど、嗚呼やっぱりそうなったかと。

 

 

 

 

敵役もおそらくはものすごく検討されたんだろうが、

むやみに強いとかではなく、「純粋な悪の塊」、氷のような心の持ち主であり、

それを演じたMr.Robotのラミ・マレックの陰の濃さというか深さというか、

瞳の色まで演技で変えられるんだろうかと思ったほど。

 

映画の方はやはりぜひご覧いただいてということになるが、

同じ時期に届いたサントラのレコード。

映画をみて2週間は経っているが、まだ封すら切れていない。

 

 

 

 

カラーレコードではない、ノーマルなタイプにしたが、

これを聴いてしまうと、

自分の中で本当にダニエルのシリーズが終わってしまうことになるようで、

終わってしまったものをどうこうできないのに、

悪あがきというかなんというか。

劇場で2度連続で鑑賞、あのシーンにあのメロディ、音楽というのが焼き付いている。

ストーリーや絵作り的なものからいえば、

スカイフォールの方が1枚上だったかもしれないが、

このややこしい時期での一区切りは、

長年のファンからすればなかなかに重たいフィナーレだ。

 

聴いていないから盤や再生状態がどうだったかということに一切触れられないが、

そういう音源もあるんだなと思った。

わたしの心の中でこのシリーズに本当の意味での区切りがついたら聴いてみようかな。

no time to die、本当に主題の投げかけ方まで意味深で、考え込んでしまう映画だった。

さよなら(まだできないけど)ダニエルの演じた007。

 

 

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Dune

Dune 砂の惑星のドゥニ・ヴィルヌーヴ版がやっと公開された。

わたしは原作の小説を全部読み切ってはいないが、

映画の製作に絡んでは様々なエピソード、諸説あってそれだけでも話題満載。

今回は映像美でも随一の監督が手がけたとあって、

感染症蔓延の影響で1年ほど公開延期の影響もあり、

近場の映画館はけっこうな蜜状態とのこと。

 

DuneのサントラといえばTOTOだったのだけれども、

今回作品ではHans Zimmerが手がけていて、

触り聞くだけでも壮大な絵巻にふさわしい雰囲気が漂う。

そして、何と言っても、特別な感情を抱かずにいられないのは公式トレイラーだろう。

 

 

 

 

Pink FloydのEclipseをHans Zimmerがカバー、わずか1分半ほどの序曲ながら、

これほどDuneの出だしにふさわしい曲はないものと。

本作のサントラにはこの楽曲は含まれていないが、

Spotifyやmoraのhi-res音源などで取り急ぎ聞いたり、入手できたりする。

DSOMフルバージョンは出ないのかもしれないがそれでも。

 

映画の方は、一体何部作になるのかがよくわからないが、

最低でも前後編、しかも1話が長尺なので、今回出たOST CDも70分強とボリューム大。

続編も同じ監督&作曲者で行ってくれそうなのかはまったくわからないが、

映画自体がものすごく費用かかってそうな感じなので、

興行がふるわないと次は厳しいかも。

 

IMAXの劇場とノーマルとどうせなら両方見るかな。

今回は音楽も物語もしっかり予習して臨むが、

原作などに触れる機会のなかった方なら登場人物などを

チェックしておく方がいいかもしれない。

物語も音楽も壮大すぎて尻込みしそうだけれども、

こういう作品を観ることができること自体とてもハッピーなことなので、

感染症禍が少し弱まっているこの時期には感謝しかない。

 

さあ。準備整えて劇場へ出かけよう。

冷たい雨と風の、これもまた秋らしい日曜。

 

 

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Bosch

Boschのシーズン7が日本語字幕で見られるようになっているのを知って、

取り急ぎ一気見した。

知ったのが休みの日で良かった。

 

 

 

 

原作を読まれている方ならまた別の感想があるのかも知れないが、

わたしはamazon originalのドラマ作品から入ってしまったため

今更主演のボッシュ役がTitus Welliver以外に考えられないくらい、

この人のイメージでしか見られなくなっている。

郊外の高台に夜景を一望できるガラス張りのリビング、とかは

正直あの小説の流れとは一致しないけれど(笑)、

お気に入りのレコード(節度ある枚数!といっていいんだろうか)と

マッキントッシュのアンプ、マランツのプレーヤー?にOhmのスピーカー。

こういうおしゃれな聴き方ができる大人になりたいと思いつつ、

現実はなかなかに厳しいと思わず溜息が出る(笑)。

 

以前にも紹介したことがあるが、このドラマの魅力はストーリーもさることながら、

映像中に流れる音楽も充実度高しで。

主人公が自宅で聴き入る曲も含め、ざっと音楽だけでも眺めることができるのは

本当に便利なので、サブスクで紹介されている公式プレイリストをメモしておこう。

 

◆ Bosch : Official Series Playlist  (Spotify)

 

このリストでも紹介されているGene Ammonsが今日の1枚、1曲。

 

 

 

Salome's Tuneは当時のレコードでももちろん聴けるが、

先のリストでも紹介されているのはこちらのCD(既に廃盤の様子)。

他に収録されている曲も良いので安価で見つかればラッキーかも。

 

********

 

Jazzのレコードも手元にいくらかあって、

テナーやアルトは音色が気に入ったものだけという単純な理由だけれど、

それは10代の頃ラジオで聞いて気に入ったからで、

演奏者やジャケット、スタイルなどはずっと後年になって追いついてきた。

「この曲ってこんな人がこんなアルバムで聞けるんだ」という発見の連続が、

いまだに楽しくてhappyだったりもする。

 

音楽って入り口がたくさんあるようでいてそうでもないようなところがある。

うまく行き当たればその後も長い付き合いになるだろうが。

手っ取り早くいい音楽を紹介してほしい、というリクエストを身近にもらうことがあって、

そう言う時は少し考えてしまうが、最近は手軽なコンピやプレイリストがたくさんある。

それでいいかどうかは別として、

URLを送りさえすれば、相手の方は即聞き始めてしまえたりもする。

自分の記事にプレイリストを紹介しているのに矛盾するようだが、

手軽に始まったものが長続きするかはまた別の話だ。

 

今目の前にある自分の装置を改めて眺めてみると、

レコードの再生は残してあるが、数としては圧倒的にたくさんあるCD音源の再生を

手軽にし易いことを主眼にしたデジタルのシステムになっている。

見た目はシンプルだけれど、実は背景が複雑でちっともシンプルでないことに、

今更気づいてしまった。

 

雑誌の受け売りだが、年をとるを取ると重たいものや複雑なもの、ようは面倒なものから

いきおい遠ざかりたくなるようだ。

なので、今は喜んで使っている装置も、コレジャナイ感がいきなりやってくるかもしれない。

その時手元に残る音源はやっぱりレコードなんだろうと予感する。

嗚呼装置はともかく。Boschのようにおしゃれに盤を扱える人になりたい。

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familia

映画を観る本数は例年と比べて寧ろ多いくらいだが、

全然違うのは劇場に行けていないこと。

主だった大作は上映延期が続き、

予定を立ててさあと思ったら緊急事態宣言で休館。

仕事帰りに無理やりでかけても、寝不足なのかなんと鑑賞中に寝落ち。

これはさすがに失礼極まりないので、やはりコンディション整えないとと反省。

 

今年、一体何本新作が出るのかは知らないが、

邦画ではこれが印象的だな、と年末も同じ感想でいるのではないかという1本が。

藤井道人監督作品、舘ひろし・綾野剛主演の「ヤクザと家族 The Family」。

 

 

 

 

5月上旬からNetflixで見ることができるようになった。

自宅のモニターで鑑賞したが、ああこれは映画館で観ておかないといけない1本だった。

作品の重たさと「後悔」とが混じって大きな溜息が出た。

観る者の立場や思いでいくらでも感想が変わってくるだろうが、

この1年超の災禍の時にあって、人と人の繋がり、あり方を否応無しに意識するこの時期に、

ぶち当ててきたわけでもないのに、この沁み方、辛さは一体なんだろう。

残酷の大盛り、出口のない焦燥、それでも絶望しない最後の何かの存在。

 

本作の主題歌、millennium paradeの"familia"。

上のPVは彼ら音楽集団の公式PVで、映画のトレーラーを見るよりは作品が見たくなるような。

邦楽のチェックがいまひとつ甘いわたしでも話題になっている彼らのことは知ってはいたが、

正面向いてしっかり聴いたのはこの曲が初めて。

映画作品のテーマはものすごくベーシックで重心の低いところに力点があるのに、

この曲は非現実的なコラージュのような作りである種の救いのようだ。

 

 走馬灯に映る全ての記憶が
 あなたで埋め尽くされたなら
 もう思い遺すことは無い   "familia より"

 

これがただの美しい歌詞であればよかった、とさえ。

どなたにでもお勧めしたい映画では決してないが、

時機を得てというところにある種の感動を覚える。

新作で観た邦画はこの前というとひょっとしてアウトレイジだったかも、

というのは置いておいても。

 

ちなみに。

この主題歌も入った豪華2枚組レコードがリリースされる。

透明感のある黄色とオレンジの模様入り(クリアスプラッター盤!というらしい)。

この手のレコードは投機的に買われたりしてすぐさま異様な値段でフリマに売られたりするが、

気になる方はぜひ通販サイトなどをチェック。

 

ようやく連休疲れというか五月病モードを脱出、と思ったらもう梅雨入り近し。

不器用な人間にはほんとうに行きづらい世の中になってしまったが、

どこかに拾う神ありと信じて明日もがんばろう。

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ピクミンの世界

久々にゲーム機を中古で手に入れた。

自粛モードでSwitchを買ったけれど、結局使わずじまいと手放した方から。

ちょうどSwitch版が出たばかりの「ピクミン3デラックス」も買って。

 

何がデラックスかというと、以前は別途有償で入手のコンテンツも全部盛りで、

しかも初心者でもつまづきにくくなるよう配慮が。

具体的に並べて比較したわけではないが、映像はより鮮やかになっている。

 

ピクミン。

年代が近い方なら、独特の悲哀あるコマーシャルを覚えておられるかも。

メロディもさることながら、その唄の文句が何とも・・・。

ゲームをしてみれば端的にその特徴が表現されているとはいえ、

これって本当に子供のゲームなの?と思っていたら、

後年、まさかハマってしまうとは(笑)。

 

 

ゲームについてのレビューはブログや動画などそこここに溢れているので、

ここではゲームのサントラを。

原点となった「ピクミン」のサントラ、そして挿入歌などのシングルCD。

 

 

 

オリジナル「ピクミン」のBGMがほぼ一通り収められているのが、

左上の「PIKMIN WORLD」。

あまり売れなかったのか、かえって今は中古価格も高騰気味だが、

驚くのは、ゲームのBGMと侮ることなかれ、

これぞサントラと声が出るほど、個別のシーンがバッチリ思い浮かぶサウンド。

このゲームの面白さ、中毒性は、こうした音響効果も大きいだろう。

 

ゲームに詳しくないわたしが、このピクミンシリーズがいいなあと感じるのは、

いわゆる上がりについては、一定の条件があるものの、

そこに至る「解答」は複数、それもかなりの数あって、

いろんな工夫やチャレンジが許容されていること。

 

問題=解答 が一直線じゃないのが本当に楽しい。

迷って構わないし、迷っているうちに時間もなくなるけれど、

あるいは決断力が足りなくて、「仲間」が大勢犠牲になることもあるけれど。

 

驚いたのは、ピクミン3デラックスが発売されて、その翌日からは、

中古ソフトとして、フリマサイトなどにたくさん並んだことだ。

たった一晩でやり尽くした方ばかりではないだろう。

もっともソフトが山のように売られていても、

肝心のゲーム機はなかなか買えなかったりして、

こんなことでさえ、「日常」のありがたみが湧き上がる。

 

このゲームを一通りやり終える頃には、

以前の日常がそのまま戻るとは思えないけれど、

ならば世の中に、新しいシーンが生まれていたりするのだろうか。

 

 

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