音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
Red Sparrow

2018年も3分の1が過ぎてしまった。

「しまった」というのも、人から指摘されてはっと気がついたほど、

時の経過に意識が向けられておらず、驚いたから。

 

備忘の意味で、気になった映画を順に書き留めておこう。

前評判とは全く関係のないところで、とにかく初日に観たいと思い、チケットを取ったのが、

「レッド・スパロー」。

ジェニファー・ローレンス主演のスパイ映画、と紋切り調に書くのもどうかだけれど、

James Newton HowerdのOSTを聴くだけでも、その時代めいた独特の重たさが

どっしりと伸し掛る、スパイ物好きにはなかなかの好作品だ。

 

何かと不穏なニュースが流れるロシアで、

諜報機関の上級幹部を叔父に持つバレリーナがジェニファー演じる主人公。

才能に恵まれた彼女が思わぬ同僚の行き過ぎた嫉妬によってプロの道を断たれてしまう。

重い病気で治療費の掛かる母親を抱える彼女にとってバレエは金策の道でもあったのに、

劇場があつらえたアパートからも出て行かなくてはならない。

ありえないくらいの不幸の吹き溜まりのような出だしで驚く間もないほど、

その後の彼女を取り巻く人間模様も出来事も、あまりに時代めいていて、

一体いつの話なのかと困惑しているうちに、観ている自らがすっかりその空気に囚われている。

 

叔父の歪んだ愛情と上昇志向によってスパイ養成所に送られてしまった彼女。

その養成所というのも、ハニートラップを専門とするスパイ養成所。

叔父を演じた俳優が彼の国のリーダーにそっくりであまりに意味深だが、

それはさておき、彼女は、逆境を逆手に取って自らの足で立ち上がる。

(ちなみに、スパイ養成所の教官にシャーロット・ランプリングが出てくるのも、

 「愛の嵐」のワンシーンを思い起こさせそうであまりに重たいが・・・)

 

 

 

 

バイオレンスと裏切りの渦の中にも彼女はまるで使い込んだ銀器のような魅力を放つ。

無垢に見えて、その背後に溢れるほどの妖艶と力。

それらは必ずしも主人公を幸せにはしなかったが、

信じるものを失わないということが今の時代においても有用かどうかは別にして、

ブレないことの強さを思い知らされるのだ。

 

 

 

 

さて、OSTはアンジェリーナ・ジョリー主演のSalt OSTも手がけたJames Newton Howard。

全曲、クラシカルなオーケストラ仕立てで編まれたサウンドトラックに、

嫌が応にもどっぷりと作品の世界にはまり込んでしまう。

映画はちょっと、という向きにも本作のOSTはオススメだ。

iTunesの音源の他、海外版のCDが出ている。

また近々、真っ赤なカラーレコードでも発売されるらしい。

私はCDで購入したが、音質も安定していてなかなか楽しめる。

 

単純なスパイ物として見てしまうと、ストーリーにやや無理を感じるかもしれないが、

映像と音楽の全編に立ち込める言葉にできない不安感は、

決して遠い時代の話に終わらせない忠告のようでもある。

言いたいことを全て映像化するのではなく、観る者に手番を渡すような作り、

エンドロールが終わっても尚、喉のつかえを感じながらも、

もう一度じっくり見たいと思わせる。

できれば、人気の少ない、場末の鄙びた映画館で。

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Салют7 (Salyut7)

気がついたらもう桜も散ってすっかり葉桜の季節。

街路樹も青々とした新しい葉をつけ始めている。

この春は花粉アレルギーが随分酷く、元々インドアなのにさらに引きこもりに。

映画館通いは控えつつ、部屋で映画ばかり見ている。

 

そのような中、これだけは忘れずにいようと思う作品がいくつもあって、

これはもう嬉しい悲鳴というか、なんというか。

とりあえずの1本ということで、まずは、

懐かしいメロディを織り込みながら歴史的な出来事(実話)を基に作られた"Салют7"(サリュート7)を。

 

 

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映画館での上映時には見逃していたため、TSUTAYAレンタルで借りてきたDVDで鑑賞。

通常のDVDというのが本当に返す返すも残念、というのは置いといて。

 

サリュート7はロシア(旧ソ連邦)の宇宙ステーション。

1985年、突如制御不能となったサリュート7の修復のため、

ベテラン宇宙飛行士と技術士が現地に赴き、見事、成功したという実話を基に描かれている。

折しも米ソ冷戦の最中、

制御不能のサリュート7から技術を奪われんとして撃墜を主張する軍、

宇宙開発の遅れを懸念して何とか修復を試みようとする研究スタッフたち。

人々の思惑の間で、図らずや運命に身を委ねることとなった2人とその家族の思い・・・。

 

 

 

 

ロケットの打ち上げもままならない日本からすれば、

30年以上も前からこのような有人の取り組みを実現している科学技術力に脱帽だけど、

この映画が胸にジーンとくるのは、そういう堅苦しさだけではなくて、

ちょっと演歌が入ってるかな、というぐらいの泥臭い彼の地の人間模様があって、

懐かしいヒット曲がサウンドトラックに使われていたりもして、

作品中、当時の出来事を伝えるソ連国内のニュース番組のオープニングたるや、

モスクワ放送でも耳馴染みの曲だったりで、懐かしさに感涙を禁じえず。

 

 

 

 

残念ながら、本作はDVDの国内販売は未定で、レンタルかストリーミングでの鑑賞になる。

とはいえ、もう1度じっくり見たい!と思うだろうから、

結局、ebayで露版のブルーレイをオーダー。

字幕はないがリージョンフリーとのこと。

高額でも構わなければ、ドイツ版の4K UHDが出ている(私の買った盤の4倍近く)。

そして懐かしの曲が盛り込まれたOSTもストリーミングのデジタル配信のみのようだ。

 

すでに本作を観た方で、あの曲は誰が歌っているのか?という、

来るかどうかもわからない問い合わせを先取りすると(笑)・・・

 

切ない歌詞でちょっと演歌入ってるかな、というメロディラインのあの曲は、

Cергей Скачков(セルゲイ・スカチコフ)の歌う"Трава у дома"。

当時、彼はЗемляне(ゼムリャーニェ)というロックバンドのヴォーカルで、

今でも何と現役!とのこと。Apple Musicでは彼の旧譜もいろいろ聞ける。

 

クライマックスシーンに流れたあの女性ヴォーカルは、

言うまでもなくアーラ・プガチョーワ。

"Арлекино"(道化師)がここで流れるなんて意味深と取るべきか、どうか。

 

そして最後を締めくくるのは、ヴィソツキーの歌う"Корабль"(船)。

独特の声でロシアの心を歌い上げる、まるで舞台で演じるようにして。

 

DVDはもう返してしまった(だから今夜はもう一度この映画を見られない)。

今時はネットでモスクワからも簡単にディスクを買うことが出来てしまう。

(だからポチッとブルーレイを買ってしまった!)

リージョンとかもう止めてもらいたいと思いながらも、

目を閉じるとあのシーン、このシーンと浮かび上がってくる。

もう一度見たいなあと思える映画にたくさん出会える幸せに感謝する夜だ。

 

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Shape of Water

すっかり映画小僧な生活を取り戻している。

できればもっと黒が締まるモニターで見たい、そんな贅沢なことを思いながら、

ネットで最近のTVをあれこれ漁っていると、

「没入感」という表現に行き当たった。

 

「没入感」・・・。

 

あまりに画面が美しすぎて、われを忘れるほど映像に集中する様のことだろうか。

もちろん作品が素晴らしいことが大前提なんだろうけれど、

単に映っている絵にそこまで入り込めるとしたらどんなに楽しいだろうか。

そういう想像をしているだけですっかりお腹が一杯になってしまい、

店頭に製品を見に行くようなことも全くなかったりする。

オリンピックや大きなスポーツイベントに合わせて良い製品がでたりするから、

家で三管じゃなくても豪華に楽しめるミニシアターがひょっとして実現するような、

手頃なTVが売られるようになるかもしれない(と期待しよう)。

 

ところで。

最近観た中で、エンドロールが流れる間の幸福感といったらなかった1本を。

Shepe of Water、ギレルモ・デル・トロ監督作品。

 

 

 

 

当初は観る予定にも入れてなかったのが、OSTのジャケットを見て、これは行かねばと。

話の筋もよく知らずに行ったので、このジャケットのシーンがいつ出てくるのかも、

予習なしで行ったから却って良かったのか。

 

舞台は1960年代、冷戦下のアメリカ。

地味に米ソの「探り合い」が下敷きにあったり。

車に詳しい方なら、要所要所に出てくる車種でもって時代がわかるかも。

とある政府の研究機関にて、発話できない一人の女性が職場のメンテナンス業務についている。

その研究所に秘密裏に運ばれてきた、一見半魚人のようなもう一人の主人公。

この物語は、彼女と彼のファンタジー&ラブストーリーだ。

 

ストーリーはせっかくだから伏せておこう。

物語を詳細に追いかけずとも、きめ細かく計算されて造られたセットや、

映像の色合いなど、さきほどの没入感ではないが、

まるで自分がおとぎ話の主人公になったような気分だ。

できれば、もっと大きな画面でたった一人でひっそりと見たかったなあ。

ミュージカルの舞台でたった一人、クライマックスシーンで歌って踊る、みたいな、

物語だけではなくて、自分自身がすっかりファンタジーな空間に躍り出ていた。

 

ところでOST。

アレクサンドル・デスプラ作曲の、不思議感、浮遊感たっぷりの楽曲集。

時代めいた雰囲気を出すためなのか、ラジオデイズな音作り。

劇中、主人公の女性が彼に音楽を聞かせようとこっそり持ち込んだ蓄音機とレコード2枚。

グレンミラーとベニーグッドマン。どちらがいい? みたいなシーンが焼き付いて離れない。

当時、そんな女性がいたのだとしたら、それだけで思わず恋しそうな予感(笑)。

 

 

 

 

OSTにも収められているグレン・ミラー楽団の"I Know Wry (And So Do You)"。

当時のグレン・ミラーサウンドにぴったりな甘いボーカル。

この歌詞があって映画のストーリーができたのかと思うほどの出来すぎ感。

目をそらしたくなるような現実から逃避するためのファンタジーではなく、

本当にほんとうのファンタジー。かくあるべし、ファンタジーの世界。

しつこいようだけど、この作品はぜひ劇場で。ぜひに。

 

 

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SEIMEI

毎日のようにメダル獲得のニュースに沸いた平昌オリンピック。

印象に残る競技はたくさんあったけれども、

思わず溜息が出たのは男子フィギュアスケートだった。

優勝、それもオリンピック2連覇を達成した羽生結弦選手。

フリーの演技はプログラム(選曲)としては既出ながら、一層磨きがかかった4分半。

負傷して痛いところのある選手とは思えない、

そういう気配さえ感じさせない凛とした姿に、

最高の結果も付いてきてそれ以上何を望むだろう。

 

 

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梅林茂さん作曲の陰陽師サウンドトラックから編まれたプログラム。

多くのファンが古いCDを買い求めるからなのか、

オリジナルの中古盤はプレミアで高額に。

陰陽師2の盤も同様だが、2015年に2枚合わせて再発盤が出ているので、

これからCDを買い求める方はそちらをぜひ。

 

夢枕獏原作で映画作品の方は主演を野村萬斎さんが2作とも演じられているが、

劇中もさることながらエンドロールに流れる妖艶な舞があまりにも美しい。

日本中世の不思議旅といった物語から、

本当に目の前に出てきたかと思うような生きた安倍晴明だったが、

羽生選手の演じるSEIMEIには、

音楽の持つ力強さも加わってまた萬斎晴明とは違った美しさがある。

 

選手を指導するコーチの言葉に、

羽生選手を他所の星から来たようなといった表現があったが、

冷静に、計ったように技を決め、そこにある空気すべてを支配した彼の演技は、

当代随一の科学者にして魔術師といった陰陽師が

氷に降り立ったらきっとそうなんだろうと、

こじつけてしまいたくなるようなものだった。

 

こうして改めてこのサントラ盤を聴いていると、

癒し系のメロディーが多いのに改めて気付く。

龍笛や琵琶などの古楽器を使った本格的な雅楽を楽しむためには、

また別の盤を探さなくてはならないが。

今夜はいい具合に空気が冷たくていい。

静かな夜、久々にこのまま全曲聴き直してみよう。

 

 

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oldboy

韓国映画のOSTを取り上げるのに、

このアルバムを外してそのままにすることはできないだろう。

原作は日本の漫画作品ながら、パク・チャヌク監督による韓国の作品で、

2003年公開の「オールドボーイ」。

 

 

 

 

平穏無事な日々を送るサラリーマン男性が突如拉致され、某所に15年間も監禁される。

何故、自分が。そして一体誰が。

設定も背景も不明なまま物語が進み、ありえないようなシチュエーションながら、

見る者を不思議な世界にぐいぐいと引き込んでいく。

公開当初も、その直前も、とにかくネタバレに気を遣ったのだというが、

その何故、への答えは最後の最後に明かされる。

 

どんでん返しとか、衝撃の結末、とか。

サスペンスやスリラー、はたまたアクション系の作品にはありがちで、

或いは、恨みと悲劇は韓国映画に付き物なのかもしれないが。

 

物語は興味を持たれた方が各々ご覧いただくとして、

何と言ってもこのOSTが映像が先か、音楽が先か、

というくらい濃密に作品に沿う内容で。

 

 

 

 

このジャケットは、作品の重要な鍵を握る小物に一貫して採用されているデザイン。

映画を見た方なら、CDを手にした時に、数々の重要なシーンを思い浮かべることだろう。

曲順ももちろん作品の流れに沿って配されているが、

ここという曲がワルツというのも、恨みと復讐の輪廻よろしく、

その旋律が美しく切ないものであればあるほど、複雑な感情を噛み締めることになる。

 

映画のラストは、見る者によって解釈や受け止め方がかなり異なる作りだ。

年代や男女の違いによっても随分違ってくるのかもしれないが、

猥雑で埃っぽい世界から、一転、背景を雪の山中に切り替えているところからも、

さあ、解釈は、ご自由に、と宙に投げ出されたような虚を覚える。

 

韓国版のDVDを見ると、他で見るものと異なるシーンが追加されている。

(他では削除されているということなのかもしれない)

本作が同監督の復讐三部作、と呼ばれる所以か、韓国版の方がより徹底している気がしたが、

さて、その真意はどこにあるだろうか。

謎解きのてんこ盛りのような作品で、何度見ても飽きないが、

本国には熱心なファンの集うクラブがあるというのもうなづける。

 

OSTのCDは、上のジャケットのデジパック韓国版のほか、日本盤も出ているが、

残念ながら日本盤はCCCDとのこと。迷わず私は韓国盤を選択した。

廃盤ながら、中古はわりと入手しやすいが、apple music等でも聞けるので、

興味を持たれた方はまずはストリーミングで。

否、できればこれは映画を先に見た上でぜひ。

 

なお、蛇足ながら、日本語字幕のあるDVDは、中古でも結構出ているが、

blu-rayはプレミアなのか異様に高価。

英語字幕のみでよければ数年前にリマスターされたblu-ray盤がおすすめだ。

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降雪

まとまった雪を見たのは記録を遡れば4年前の大雪以来のことらしい。

降雪の翌日、事務仕事は一旦置いて、事務所敷地内の雪かきを半日潰してやった。

南国育ちゆえ雪かきのこつというものをそもそも知らずに始めたので、

余計なところに力が入り、足元もおぼつかずで帰宅後から酷い筋肉痛に見舞われたが、

トンボで溶けた水も側溝にしっかり追いやっておいたおかげで、

翌日はよく乾き、来客の足取りも見ていて安心だった。よかった。

 

冬休みに見た映画に、「南極日誌」というのがあった。

音楽は日本の川井憲次さんだ。

 

 

 

 

興行的には成績に恵まれなかった、とは、出演者談であるが、

見渡す限り雪景色というのは、想像を絶するものがある。

などと感じるのも、わずか10cmほどの積雪を除けるのにどれだけ大変か、

自分の体で体験してみてわかる雪の大変さというか、

きれいだろうなあなどと暢気な調子ではいられない。

絶海のど真ん中も、見渡す限りの雪景も、果てしない孤独に変わりない。

 

映画の筋はネタバレになるのでとりあえずおいておくが、

音楽は映画を見なくてもその気分にどっぷり浸れてしまうのがいい。

今日などは暖房なくしていられない寒さだけど、

このサントラを流すと部屋の空気がキーンと張り詰めるようだ。

言葉にならない心の叫びが聞こえてくるようでもあり、

響きの美しさの向こうに身につまされるような切なさがある。

 

寒い次いでにベランダでバラの予備剪定をした。

まだ咲いているバラもあるが、そろそろ春の準備をしないといけない。

隣のマンションにはまだ雪が残って凍ったままだ。

見ているだけでも寒々しいが、今週はまた雪の予報が出ているらしい。

次はもう少しうまく雪かきできるだろう。がんばろう。

 

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グエムル

年末近くなってだったか、近くのレンタルビデオ店でやっていたバーゲンで、

ジャケットが気に入ったDVDをいくつか買った。

まとめ買いがお得というようなもので、

盤とジャケットのみ、ケースなしというレンタルアップのものだ。

状態も見ないで掴んできたからそれほど期待していなかったが、

その中の1枚がやけに気に入った。

年末年始の休みに何回見ただろう。

日本語字幕でセリフも覚えてしまったので、

同じ作品のblu-rayを海外から買った。

英語字幕すらないが問題ない、もうセリフは覚えたから。

 

その「何度も見た」作品と同じSong Kang-hoさん主演の映画で、

邦題は「グエムル 漢江の怪物」、副題から単なる怪獣映画を想起するもそうではない。

本作は、彼の演技がものすごく印象に残り、手に入るDVDを大人買いした中の1枚で、

これは日本でも話題になったのか、手元に来たのは豪華な特典付きのボックスセットだった。

 

 

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映画を観ている途中から耳に残るフレーズがいくつかあってー要所要所のサビに出てくる、

どうしても音楽だけ通しで聴いてみたいからとサントラ盤を探すが、

韓国盤というのはなかなかどうして、近い国なのに中古を探すのが意外に大変だった。

都内の中古CD店を覗いても、そもそも韓国や中国の盤はほとんど置いていない。

流通経路が違うんだろうか。

amazon、e-bayや海外のモール、あとは国内の韓流ショップ。

あれこれ探して、結局見た映画のOSTも見つけたものはとりあえず入手した。

 

このグエムル、副題がもう少し何とかならなかったのかと思わないでもないが、

縦横の糸がいい具合に絡みつつ、最後のシーンを見終わる時には、

あったかい気持ちで胸が一杯になり、様々なシーンが走馬灯のように頭をよぎっていく。

その数々のシーンに寄り添うような、サントラ決定版のような音楽集がまさにこのOSTだ。

 

電子音楽、弦楽をメインにしたオーケストラ仕立て、

そしてどこかバルカンを思わせるブラスまで、かなり盛りだくさんな構成。

映画を見てない方でも楽しめる内容だ。

ちなみに、上のジャケットは韓国盤CDのもので、

それ以外にCD−R(オンデマンド)が少々マンガチックな別ジャケで手に入る。

 

ところで、ここ2、3ヶ月でまだ50本は見ていないかもしれない韓国の映画作品、

濃淡はあれど、まだ子供の頃に映画が見たくて映画館に行きたくてどうしようもなかった、

あの頃の感覚がじんわりと湧き上がってくるような作品がこれまたやけに多いのだ。

レンタルショップやストリーミングサービス(netflixは結構充実している)等々、

音楽に比べて映画を探すのはまだ楽な方だが、

それでも古い作品は中古DVDを当たるしかなく、

これはもう、このジャンルに詳しい方に弟子入りした方が早そうな気配だ(笑)。

 

今年は何か新しいことを一つぐらいはしてみようと思っていたが、

手元に増えた韓国盤の文字や、

或いはせめて俳優さんの名前ぐらい読めるようになりたいと思い、

最近、ハングルを勉強し始めた。

 

まだまだ映像の流れに追いつけないが、少しずつ読めるようになってはきている。

インターネットの翻訳を頼りに、ブックレットの情報を少しずつ読み進めてたりしているが、

何より痛感するのは、隣国の歴史や事情にこれほど無知であったということだ。

今更だけれども、ミサイルや冬オリンピックということではなしに、

映画や音楽をきっかけに、もっと根本的な何かに目を向けること、理解することが、

とにもかくにも私には必要だ、それには文字から始めるのもいいかもしれない。

 

ともあれ、毎晩のように遅くまで映画と音楽に塗れるであろう1年も、

あと少しで1月が過ぎようとしている。

いつものようでいて、いつものようでもない1年の始まり。

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Arrival

ここ数週間、もう次はないのではと思うほど濃密な音楽体験が続く。

ことばにすることで却ってその濃密さに綻びが生まれそうで、

口からあの溢れんばかりの熱が溢れでそうで、

真っ白の紙の上に文字を落とすことすら躊躇われる。

 

***

映画「Arrival(邦題:メッセージ)」を観た。

狐につままれたようなあっという間の2時間。

頭の中にぽっかりと浮かぶキーワードとキーワードが結構な時間差でもって繋がっていく。

繋がりと繋がりがさらに繋がってゆっくりと空間を埋めていく。

 

Johann Johannssonという音楽家の作品を意識的に聞いてきたことはなかったが、

一聴して思い浮かんだのは、Sigur rosの1stアルバム。

仄暗い空間から温かなものが浮かぶようにして現れる、あの空気感。

いずれもアイスランドの出身とわかると腑に落ちたというか、なんというか。

 

 

 

 

部屋を真っ暗にして、そう、できるだけ真っ暗にして、

隅に優しい灯りを1つ。

それからそこそこの音量感でしっかりと部屋に音楽を流す。

音を部屋に溜めていって、その中にすっぽりと体ごと埋まってしまうような聞き方がいい。

 

何かの先入観でもってわかろうとしない姿勢が、

ある音楽をこれほどまでに楽しくさせるのだということを、

こんな歳になってから知ってどうせよというのか、というくらい、

この没入感は他に代えがたいものがある。

 

結局、この映画の映像ソフトもOSTも揃えてしまった。

観て聴く度に心の中に新たな風が生まれては消える。

監督はDenis Villeneuve、あの待ち焦がれたBlade Runner続編の監督でもある。

ことばで伝えなければこんなblogの意味がないことは百も承知ながら、

Arrivalはぜひ観て聴いてみて欲しい、

それが人のこころという千差万別の鏡に一体どう映るのか、わたしは知りたい。

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SING

年明けから映画館に通い詰め。

遠くないところに大小さまざまな映画館があるんだから、と、

専門誌を読んだりしてこまめにチェックしていたら、

月に何本も観たいものがあって、毎週末、早起きして映画館へ。

ストレッチやランニングなどは続かないのに、こういうことは多少面倒でも続く。

 

第一四半期がそろそろ終わりそうなこの時期、

振り返って映画の内容はさておき、音楽が何とも印象に残り、

というよりは耳について離れない、ヘビーローテ状態の1枚がこれ、SINGのオリジナルサウンドトラック。

 

 

 

 

選曲の妙味。

あー、とか、いやーもー、とか。

歌は世につれ人につれではないけれど、来し方ゆかりがふーっと頭を過る楽しさよ。

 

驚いたのはタロン・エガートンの芸達者。

本作はアニメーションながら魅惑のキャスト(声)でそれだけでも楽しめるのだけど、

エガートン、彼もこんなに歌えるんだって、ソフトなタッチは若い頃のChetを思わせる。

もちろん、スティービー・ワンダーとアリアナ・グランデのメインテーマも。

ああ歌ってこんなに楽しかったかなと思わず体が動いてしまうような。

 

わたしの周囲ではララランド推しが多くて、確かにあのメロディも耳から離れないが、

このなんというか、みっちり豪華に詰め込まれた歌の魅力、ということでは、

シングを推したいのだ。

 

そういえば。

サントラの楽しさという点で、第二作目が楽しみな

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」は5月ロードショー。

カセットにぎっしりのあの曲、この曲は、今回どうだろうか。ワクワクだね。

 

 

急に冬に戻ったかという寒さにビビりながらも、

週末、小さな春を見つけたよとほくそえんだ公園の一角。

わたしはカセットではなく現代のウォークマンでほっと一息。

もちろんシングを聞きながら人前で踊ったりする勇気はないのでご安心を(苦笑)。

 

 

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Blacklist

米国のTVドラマって挿入歌がすごくいいと感じることが少なくない。

といって、国内のTVドラマをしっかり見て比較したりしているわけではないけれど。

 

レコードの発売リストをさっと眺めたところ、すぐにこれと分かるジャケットに惹かれ、

買ったのが、サスペンスドラマ、Blacklistのサントラ盤。

 

 

 

 

懐かしいポピュラーだったりロックやブルースだったりいろいろだけれども、

様々なエピソードからどれが選ばれたんだろうと思いながら聴いてみた。

 

全12曲の選曲がどんな基準なのかはわからないけれど、

驚くほど意外なほどにいい音がして、

ドラマのシーンを振り返るなんてのはそっちのけになってしまった。

またそれ以上に1曲、1曲にどんどんのめり込んでいける。

 

シーンに合う合わないだけでなく、音楽としての素晴らしさも徹底して妥協しない、

挿入歌はドラマの面白さを支える大きな要素でもある。

ドラマを観て音楽を聴いて、そこから手繰り寄せるようにして各々のアルバムを聴いてみて。

これから夜の長い季節。サントラの愉しみにどっぷりと浸かってしまおう。

 

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