音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
HOSONO HOUSEを聴き比べてみた

細野晴臣さんの1stアルバム、HOSONO HOUSEを手持ちの音源で聴き比べてみた。

というのも、このアルバムが発売されてから50周年ということで記念の再発盤も出たりして、

同じものはなるべく買わないわたしのところにも、レコードだけで3種類揃ったので、

少々遊んでみたくなった。

 

 

 

 

1枚目はつい先日発売された50周年記念LPレコード。

音がすっきりと整理されているような印象。

ボーカルがぽっと浮かんで楽器音と切り離されたように聞こえるが、

全体にこじんまりきれいにまとまっている。

 

2枚目は45回転2枚組レコード。

わたしの持っている3枚のレコードの中では一番hifiで音数が多く聞こえる。

でも、初期盤の持つ「ぎゅっと凝縮した音の塊感」はあまり感じられない。

 

3枚目は最初に買った73年発売の初期盤(の中でもバリバリの1stではなくて)。

もう随分長いこと聴いているけど、耳が覚えてしまっているせいか、一番ホッとする音。

演奏と歌のぎゅっと感が楽しい。

 

参考に手持ちCD(リマスターじゃない)の再生と比べてみると、

音が全体にふくよかなのがレコードで、CD音源は楽に聞けるというメリットとの天秤。

 

ついでと言ってはなんだけれども、

これまでで一番、というHOSONO HOUSEは、

あるイベントで聞かせていただいた、プロモ盤でかつ状態がものすごく良いレコードだった。

なんでも細野さんの関係者でご本人から贈られたものだそう(うらやましい)。

会場に言いようのないため息が漏れたのは言うまでもない。

 

海外発売のカラーレコード盤などは購入していなくてわからないけれど、

以上の感想もあえて比べてみれば、という感じで、それぞれ普通に聞く分にはどれも音質十分。

細野さんのレコードはこのアルバム以外にも、何度も再発しているアルバムがあるけれど、

例えばPink Floydの「狂気」のように、1stとそれ以外の再生音の落差が激しい感じはしない。

 

ちなみにHOSONO...の初期盤買えば今いくらぐらいか検索してみたら、

わたしが購入した頃の10倍!ほどにもなっていて、

とても人に薦められるような代物ではなくなっていた。

レコード人気、細野さんが内外で改めて注目されていることなども影響しているかもしれないが、

本当に聞いてみたいと思う方が気軽に手にできなくなってしまっているのが本当に残念。

 

前にもどこかに書いたけれども、

レコードに興味を持った方が、気軽に体験できる環境になればと願わずにいられない。

盤を虫干ししたくなるようないい風の吹く休日の独り言。

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Record Store Day 2023

レコードストアデイというイベント、

一体いつ頃からはじまったのかと思い調べてみたら、

なんと2007年からとのこと。

当初、どんな感じだったかが思い出せないが、

ここ数年は、イベントに合わせた特別な盤がずらっと発売されて、

気になる盤を手に入れるため、当日はお店に行こう!みたいなことになっている。

 

お祭りじゃなくて、商業化した! という批判の声も多いそうだが、

今回のリリースは個人的に見逃せないものが少なくなく、

すっかり商業ベースに巻き込まれてしまった次第。

 

1枚ごとの感想は別にして、2023上期のRSDにこれを買った!と備忘のメモを残そう。

 

1 Chet (Mono Edition) / Chet Baker

 

 

 

一体どれだけのバージョンが出ているか把握も難しそうな超有名盤。

オリジナルの盤と比べるのはかわいそうだけれど、今回のはとても好ましい音質で、

バランスがいいかな、と思った1枚。

 

 

2 Blue Room: The 1979 Vara Studio Sessions in Holland

     / Chet Baker

 

 

 

わたしの一番の目玉というか、もうないだろうと思っては出てくる未発表音源。

さきほどのChetとは違い、ファンの方ならおすすめのアルバムだけど、

2枚組レコードで1万円!というのはさすがにおすすめしづらい(苦笑)。

しかしながら未発表音源にありがちな音質イメージとはかけ離れていて、

いい意味で予想を裏切られた格好(落涙)。

 

どういうわけかRSDに何かしらの盤が発売されるChet。

確実に売れる枚数が読めるんだろうなあと思うが、流石にこれを書いている時点でも

購入できる。レコードにこだわりがなければCDでもいいかもしれない。

 

 

3 It's A Jungle In Here (30th Anniversary Edition)

     / Medeski, Martin & Wood

 

 

 

彼らの2ndアルバムが初アナログ化。

後から探すのが意外に大変で、数年前のレコードが高額取引されがちな彼らの作品。

高いけど目を瞑って買っておくしかないわけで。

1軒目のお店では初日完売、慌てて他のお店に探しにいきました。

 

 

4 Full Moon / Full Moon

 

 

 

ニール・ラーセンやラーセン・フェイトン・バンドが好きな方ならご存知かも。

オリジナルの盤は見たこともなく、あってもえらい高額かもなので、

今回出ると知って小躍り状態でした(笑)。

 

 

5 Zolpidem / 大山田大山脈

 

 

これはお店でちょろっと流れていたのを気に入って買った1枚。

私的マストアイテムが多い今回のRSDで手元の予算が乏しいので、

いかにもお祭り楽しい的な選び方ができたのはこのアルバムだけ。

アーティストのこともまだ全然わかっていませんが、

「おおやまだだいさんみゃく」と読むのだけはお店の方に教えてもらいました。

<お勧めありがとうございました♪

 

◆ 以上5点が今回の購入盤。

  それなりに予算を組んだのに、1作品あたりが高額で、5点がせいぜい。

  いやはや、いいんだか、なんなんだか。

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原点に還る

クロスオーバーイレブンのことをあれこれ思い出していたら、

音楽体験のゼロ地点はやっぱりラジオだったんだなと。

家に1台しかなかったポータブルラジオは、野球中継のある時期だと父の専用機で、

普通ならリカちゃん人形が欲しいというような年頃に、

口を開けると自分のラジオが欲しいとせがんだせいか、

小学校入学の年に、お年玉の貯金を足すんだったら買ってもいいよということで、

ソニーのラジカセがやってきた。

 

やはり当時習い始めていたオルガンの先生が、親に進言をしてくださったのもあったよう。

というのも、「この子は楽譜を読もうとせず、耳から入ったものを(信頼して)弾いている。

なので、なんでもいいから音楽をたくさん聞かせてください」と。

ラジカセを得たことで、教室から借りたテープがあれこれ聞けるようになり、

文字通り、夢のような放課後、土日の時間が生まれた。

窓から見える田んぼの移り変わりがイコール季節の移ろいのような田舎で、

娯楽らしいものもなかったから、それこそ生活が一変したわけだ。

 

そんな時期に耳にした、NHK-FMのジャズ番組での一幕。

Chet Bakerのボーカルが何曲か流れたのだが、

文字通り、モノラルのスピーカーの前で釘付けになった。

思えばあれを正しく甘美な歌声というのだろう、

解説にあった「中性的な」ということばが焼き付いて、

その説明を母に求めたが、まだ小さすぎてよく理解できなかったと思う。

 

 

雨が降ったり病んだりのなんとややこしい日曜、蒸し暑くもいい風が入ってくるそんな日に、

遠い子供の頃を思い出しながら、久々に"Sings and Plays"を聴いた。

思えば特徴のあるRuss Freemanのピアノも眼中になく、

何故にトランペットとあの歌声だけが全てだったのかはわからない。

夢中になった、といえばそれだけのことかもしれない。

 

 

 

 

このレコードのジャケットを知ることになるのは、歌声を初めて耳にした時の何年も後のこと。

地元の大きな図書館に併設されたレコードライブラリには、

当時大好きだったStan GetzやChetのレコードはやはり入っていなくて、

リクエストが利くJAZZ喫茶の存在を知った時は、第二の夢の扉が開いた感がしたものだ。

その時代の空気まで連れてくる「レコード」という円盤の素晴らしさにも。

 

Chetのアルバムを古いのから順に追って聴いていくと、

走馬灯のように様々なシーンが浮かんでは消えていく。

盛衰ということばがいいのかはわからないが、ある種の浮き沈みを伴い、

その中でもがくように、

ひょっとしたら音楽という海で溺れていたのはChetその人かもしれない。

そんな身勝手な想像をしながら聴く、彼という存在を知らしめたこのアルバムは、

幸せな午睡との相性も絶妙な、陽の部分がフィーチャーされた稀有な作品。

彼のことを特段知りたくない人にでも気軽に勧められる「貴重」な1枚だ。

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「日常」の有り難みを思い知る

約2年越しで待ちに待った映画を観に行った。

少しでもネタバレするとまだこれからの方に被害甚大なので何も書けないが、

映画以前に、久々に出かけた街中の騒々しさと人混みに思わず酔ってしまった。

世の中のしくみやルールがどうあれ、

2年近くも職場との往復に明け暮れるような生活をすると、

こうも感覚が違ってしまうものかと驚いた。

とにかく、目に入るもの、耳から入る情報過多で異様な疲れ方(苦笑)。

少しは街中を歩いてみようと思ったが、レコードを2軒ほど見て回ったくらいで帰宅。

もっとも体力がた落ちな今は何をしても疲れるのだろうが、

以前当たり前に享受していた日常を自分なりに取り戻すのはなかなかにしんどそうだ。

 

今回買った中の1枚、"YUKIHIRO TAKAHASHI LIVE 2018 SARAVAH, SARAVAH!"。

 

 

 

先週に続き黒っぽいジャケが続いて恐縮だが、

CDを買うかレコードにするかで迷っていて今まで入手せずじまいだったもの。

DVDが付属するCDに未練はあったが画質が今一歩との話も聞き、

レコードを結局買ってきて聴いている。

 

還暦を過ぎたユキヒロさんの声、想像以上に穏やかで淡々と歌い進める様子に

ただただじっと耳を傾けた。

もとはソロデビューアルバムの楽曲を歌い直しで再現したスタジオアルバム、

"Saravah, Saravah!"を、今度はステージでとの公演。

長いステイホームの期間に手持ちのアルバムを古い順に通しで聴いてみたりしていて、

なんといっても彼の歌の魅力を再発見!できたこともあり、

受け止めるわたしの変化があって今のリスニングに至っているのかもしれないが、

このアルバムは特段彼のファンの方でなくとも一聴の価値ありと思う。

 

この公演のメンバーもまたすごいので、メモしておこう。

高橋ユキヒロ
佐橋佳幸(G)、Dr.kyOn(key)、林立夫(Dr)、矢口博康(Sax)、有賀啓雄(B)、

斎藤有太(Key)、ゴンドウトモヒコ(Ehpho, Computer, etc)、藤井珠緒(Per)、

重住ひろこ(Cho)、岡村玄(Cho)、ツヤトモヒコ(Cho)
細野晴臣(B,AG)!!

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「元気が出るレコード」

今まさにCASIOPEAの第○次マイブーム到来!(笑)。

盤の棚卸しをして、「あれはあってこれがない」みたいな作業の中で、

わたしにとって青春の1ページ的な代表バンド、CASIOPEAのアルバムを

改めて1stから聴き直している。

 

毎日これほどうんざりするニュースに溢れた時期をわたしは体験したことがない。

なので、現実逃避ならぬ音楽への逃避が続くわけで、

< 逃げ込める場所があるのはきっといいことに違いない

改めてCASIOPEAのアルバムを手に取ってみると、

「これ、無理してCD買ったんだよなあ」とか鮮やかに浮かんでくるのが不思議なくらい。

当時、CDの出始めで、1枚たしか3200円とかした< Make Up Cityとか・・・

とにかく時間はあってもお金はないその時期に、

DENONのエントリーモデルのCDPをラジカセのLINEにつないで聞いていて、

盤も滅多に買えないという、それだけに当時手にしたアルバムは印象深いものが。

 

さて、表題の「元気が出るレコード」とは。

CASIOPEAのアルバム、 HALLEの帯に文字通りその言葉が(笑)。

 

 

 

 

本作は85年リリース。

個人的にはどうにもならなかった1年で、そのほとんどを療養に費やしていたが、

このアルバムの曲は他に代え難い心のビタミンそのもので、

次の朝、目が覚めるんかなと思いながら夜なかなか寝付けない、

そんなときにもイヤホンでつらつら聴きながら寝落ちする日々も。

 

CASIOPEAの初期アルバムの多くは、hi-resデータでも手に入るから、

今改めてプチパチいうこの盤で聞かないといけなくはないが、

当時はもったいなくて盤に針を落とすのはあまりなくて、

録音したカセットでもっぱら聞いてたこともあり、

そういう思いみたいなものと一緒くたになった音を追体験したいとなると、

こうして手元のレコードを聴くのが自然なのだ。

とはいえ、hi-resデータも手に入るうちになんとかしておきたい。

(結構な軍資金が必要・・・盤のように安い中古探すとかできないし)

 

それにしても、こころの平和のための常備薬がこれほど必要になる日々が来るとは。

この騒ぎがいつかは終わるんだろうと思いながら、毎週末をレコード三昧で過ごしている。

1枚ずつ手に入れた時のことを思い出しながら。

これはこれで本当に贅沢な過ごし方かもしれない、皮肉なことにこんな時期だからこそ。

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blue note

雨続き。梅雨時にもここまで続いたのはなかったような。

先月レコードの棚卸しをしたが、

「その盤は既に持っているか」がはっきり覚えていられる数には一定の限度があるようだ。

もちろん盤の数が1万を超えるような場合にも完璧!という方もおられるだろうが、

わたしの場合には、2000を超えるあたりからどうやら怪しくなっている感じだ。

 

筋肉痛で辛い作業にはなるが、盤の棚卸しは年に一度はやるべき行事だと思った。

あ、こんな盤手元にあったんだ、みたいな発見や、

逆にCDでしか持っていないのにレコードで持っていると思い込んでいたものも。

ジャケット違いでのダブりもあったり(多分わざと買ったものではなさそう)。

 

ちょうど7年ほど前に狭い部屋への引越しといわゆる断捨離を兼ねて、

大掛かりな音源の整理をしたが、

盤質のよくないもの、これからあまり聴かないだろうものは手放した。

後日聴きたいと思い、書い直したものもわずかにはあるが、

今増えている盤は20代の頃ジャズ喫茶通いでハマった音楽が中心だ。

 

自宅でいる時間がいっそう増えたこともあるが、

年始からのマイブームはその中でもほぼblue note盤が中心で、

音楽だけでなく盤のジャケットもカッコいいものばかり。

とはいえ、欲しい盤を欲しいままに買ったりしたら大変なことになるので、

眺めて楽しい!的な欲求を満たすために買い求めたのが次の2冊だ。

 

 

 

 

大きい方は、blue noteの創立75周年を記念しての公式解説本。

重くて大きい本だが値段もけっこうした。

ただ日本語翻訳されていて、このレーベルのことを知らなくても、

時代背景や求めていた音楽表現がわかりやすく解説されていて、

読んだら余計に盤が欲しくなってしまうかもしれない(笑)。

主だったアーティストやエピソードも満載。

ただ、解説が充実している分、取り上げあられたジャケット(盤)数は少なめ。

 

なので、手前の方のいわゆるカバーアート集を追加で購入した。

こちらは英語版。

手頃な価格でamazonなどで買えるが、安い分、印刷の質はそれなり。

ただ、数多くのカバーアートをざーっと眺めて楽しんだり調べたりするには便利。

ジャケットが気に入って、なおかつ中身の音楽も好みとなれば、

お金を貯めて盤を買う、という流れになるんだろうか。

 

最近はレーベル自身が再発を積極的にやっていて、

CDと比べて高めの価格設定だけれど、

人気タイトルを新品で購入することもできるように。

もちろん、音の質といいジャケットの手触りや風合いなどは、

どうしたってオリジナルの盤がいいことが多いと思うので、

過去のリリース状況や時価をDiscogsあたりで調べて狙いを定める!

なんてことも盤探しの楽しみの一つかもしれない。

 

新譜がレコードでもバンバンリリースされている今のようなレコード天国が

一体どのくらい続いてくれるのかはわからない。

とはいえ、レコード店の壁に飾ってあるような盤が買えなくとも

その楽しみが損なわれるわけでは全然ないので、

「部屋の中に入る量」を頭のすみで意識しつつ、盤探しを愉しみたい。

 

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□ ブルーノート・レコード 妥協なき表現の軌跡

 (著者:リチャード・ヘイヴァーズ、行方均(監修))

 (出版:ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス )

The Cover Art of Blue Note Records: The Collection

    (Graham Marsh, Glyn Gallignham)

※ いずれもアフィリエイトの設定はありません。

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The Gordian Knot

ゆったりとした書斎やリビングの壁一面にレコード棚。

雑誌等に紹介されている写真を眺めるたびに、ああ羨ましいと思う。

たくさんのレコードがあることではなく、

選びやすく一面にざっと並べられた盤の様子、それを許せる住環境や

その他諸々の事情が。

 

レコードは、いい音がするだけでなく、眺めても触っても楽しい特殊な品だ。

それは幾度となく書いてきているが、

触れにくいネガティブな部分、それは何と言っても「集まれば嵩高で重い」こと。

50枚以下の、おしゃれなオブジェも兼ねられる量なら無視できる。

それが、100、200と増えて1000に到達するまでの時間はそれほどかからない(笑)。

人によっては、万の単位だったり、そもそも数えるのを諦めていたり。

わたしの部屋はお世辞にも広いとはいえないので、

しかも生活の場所と兼用のため、何を優先するのかのせめぎ合いが常に生じる。

優先順位というのは、決めさえすれば良い。良いのはわかっているんだけれども。

 

新しく盤を手に入れようとすると、そろそろ保管スペースが足りなくなってきているので、

ここいらで一旦棚卸をと思って手をつけたのが先週末。

棚から一旦抜いて、盤の状態やダブりチェックはもちろんのこと、

違った場所にとりあえず入れてしまった盤をしかるべきところに戻し、

残念ながら、「ただ持ってるだけ」状態の盤は「放流候補」の箱へ。

従前は、安いレコードを深く考えもせず喜んで掴んできてしまっていたので、

放流候補はそれなりにいた。

でも今の住まいに転居してから早7年目、

狭いが理由で気に入ったから即捕獲するような真似はしていない。

なので、最初の1度以降、ほぼ聞いていない盤を見つけても、

なんとも言えない迷いの霧が部屋じゅうに立ち込める。

 

そういう悩みから解放される点では、一見、データで音源を管理できるのは

有利に思える(ハードディスクやら何やらがわたしには面倒だが)。

そうなんだけれども、数値的には劣ると言われるレコードの方がやっぱり心地よい。

特に古い時代の音楽については文句なしにレコードが良い。

 

そう言っている端から一体なんだとお叱りをうけそうだが。

先週末以来えっちらおっちら作業を進めているが、

腕の筋肉痛(盤を抜き差し、棚から下ろす、入れるetc...)が酷くて進みが悪く、

プレーヤーの前に盤がどっさり溜まってしまったため、

レコードをかけることが物理的に難しい。

画像掲載が説得力を持つが、「大地震でもありましたか?」的な絵図で晒せない(自粛)。

なので、今日というこの日曜に作業を終えようと喝を入れるためにも

データ再生で勢いのあるBGMを選んだ。

Gordon Goodwin's Big Phat Bandの2019年アルバム"The Gordian Knot"。

 

 

 

 

最初に残念な部分を。

ただ聞くならSpotifyなどでも聞けるが、

このアルバムは直販を除き、CD-RとAAC音源等ダウンロードのみのリリース。

CD-Rも今の時点では手に入れにくいので本来ならおすすめしづらい。

なんだけれども、この閉塞感をスカッと打開してくれそうな

前傾姿勢&疾走感満載な音楽というとやはりBig Bandで、

中でも推したいバンドの最新盤を選んだ。

 

Big Phat Bandのアルバムとしては、とてもナイーブで「穏やかな」仕上がり。

うだるような暑さの中で聞いても良い感じに心地よいバラードもあり、

人によっては一昔前のフュージョンを思い浮かべるかも。

辛口のレビューがちらほらあるのは、ある種上品になってしまった点が期待外れ

なんてこともあるんだろうけれど、

バンドメンバーもリスナーも、等しく1年に1歳年を取ってるわけで、

以前にも増して彼らの音楽はフィット感アップ(当社比)。

 

 

 

 

ビッグバンドなんて密厳禁な今は本当に苦労されていることだろう。

そんな中、このCD-Rも自費出版に近い様子で、CDが簡単に売れない今を反映している。

なんだけれども、ジャケットやその他の質感は普通のCDと変わらない。

 

もしyoutubeやspotifyで聞いてみて気に入ったらぜひ音源購入を。

音源の置き場に困っている人間が声を大にして言うことではないかもだけれど、

こういう時節柄、ミュージシャンを応援する手軽な方法はやはり音源購入だと思うので。

そう思うことで、新しい盤を迎え入れるスペースを作るべく、

今日も1日がんばります、というか今日棚卸作業を終えます宣言をして締めくくろう。

 

タワーレコードでのCD-R取り扱い (2021.7時点でお取り寄せ可能)

◆ Gordon Goodwin's Big Phat Band Official Shop  (Bandwear)

   

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record store day 2021.6.12

昨日はレコードストア・デイ。

特殊な状況なので6月と7月の2日間に分けて開催。

去年はその日自体を忘れていて後の祭り状態。

しかしながらどうしても欲しかったものは運良く通販でゲットできた。

本当は店頭で入手する、というのが大原則なのだけれども、

時間差で通販でも「解禁」される仕組みだ。

 

今年は、というと。

なんということか、体調を崩した。

今週末はレコードストア・デイだから、と人参を目の前にぶら下げての日々。

思いつめた訳ではないが、朝起きた時の体の重さが無理といっていた。

なので、解禁時間である13時に、買い求めようと思っていた企画盤をピックアップ。

ネット上のカゴに入れてお会計、のはずだった。

最初はいつものdiskunion。なんだかものすごく混んでるのか、全然繋がらない。

やっとほしいアイテムの画面になってもカゴに入らない。

モタついている間にカゴに入れたはずのレコードはsold outに!

 

30分ほど格闘して画面に「カゴのなかにはなにもありません」状態が。

呆然とする。

いや、諦めてはいけない。次はHMV。

こちらはdiskunionほど重くはないが、それでもいくつかはsold out。

先ほどの反省というか教訓を踏まえ、どうしてもほしい2枚は先にお会計。

それがこちらの2枚だ。

 

 

 

 

細野さんの「あめりか」2枚組はさっき覗いたけれどまだHMVには在庫あり。

diskunionと持ってる数が違うんだろうか、それとも企画元だから?

ChetのCool Cat、これはジャケ違いというだけで他に何が違うのか?だけど、

このジャケットなら持っていないとダメでしょう(笑)。

輸入盤だから元々数がなかったのかもしれないが、危なかった(笑)。

 

店頭に出向いたわけではないのに、買えないかもと焦るなんて、

臨場感だけは味わえたかも(笑)。

 

先日入手した、こうした企画盤ではなく通常のリリースだった

Pink Floydのネブワース2枚組、45回転盤も、発表直後に予約したのになかなか届かず、

まさか予約で入手できず?と焦ったが、1ヶ月遅れで無事手元に。

最近購入したものは人気盤であることが多いのか、買うのにいちいち疲れる(苦笑)。

あるいは同じものを複数買ってネットで高額出品しているのを見ると、もっと気分が↓。

レコードは、音楽が好きで、レコードで聴いたり盤やジャケを眺めるのが好きな人の手元に

届いてほしい。

「そういう」お金儲けの道具にしないでほしいと願わずにいられない。

 

レコードが注目されるのが嬉しい反面、多くの人が注目するとそれなりに色々出てくる。

こんなことをうだうだ考えるのもきっと部屋の中にこもっているからに違いない(笑)。

秋になったら、いつものお店を巡り歩き、

袋を持つ手が痛くなるほどレコードを買うつもりだ。

心配いらない。

買い損ねた盤がいくつもあっても、買うべき盤が1枚もないなんて日は

絶対にこないから。

それまでは、手元のウオントリストを充実させてその日に備え、軍資金を貯めよう。

それから何はともあれ、健康。がっつり歩けて重い荷物を持てないとだめだから。

がんばろう。

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2021年の盤運を願って

A Happy New Year  2021.1.1

 

誰も知らない辺境のようなこのblogをご覧くださっている皆様、

2021年も少しずつ更新をするつもりでいますので、

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

コロナ禍にあってまだそんなことを言ってるんか💢💢💢

という声が聞こえてきそうな新年早々の表題。

「今年はどこかに出かけたい」とか、

いただいたメッセージで最も多かったのが(海外に)出かけたい、だった。

 

わたしは徹底してインドアなので、そう言われれば行ってみたいところもあるが、

1番に思い浮かべたのは、レコードのことだった。

欲しいレコードがこれ、とあるわけではないが、

今年も去年に負けないくらい盤運に恵まれますように、と。

 

欲しい盤を手にするには、努力も資金も必要だが、何と言っても運、

人と人の出会いが運や縁であるように、レコードのそれもやっぱり運であり縁だと思う。

世界中で最もレコード好きにとって恵まれた都市といわれる街に住みながら、

去年はコロナ禍で主だったお店の巡回すらままならない。

それでDiscogsのようなネット上のモールを徘徊することがぐっと増えたが、

かれこれ10年以上「欲しい!」と思い続けていた盤を偶然見つけたのが去年の11月。

もちろん海外のお店だったので、発送してくれるかどうかわからなかったが、

連絡してみたら、「時間かかるかもだけれど、それでよければOK」だった。

ヨーロッパの国々から物を送ってもらうのに2ヶ月近くかかったところもあったが、

今回のお店がある北ドイツからはなんと2週間足らずで届いてしまった。

郵便事情については思うところ多々あれどここではやめておこう。

 

さて、そのレコードとは。

Peter Serkinが演奏するバッハ、ゴルトベルク変奏曲の記録上は2回目の録音で、

ネット上の情報によると、

 ・ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州フライブルクのパウルサールでのライブ録音

  (1982年1月30日)

 ・非売品

 ・ Landesstudio Freiburgから、フライブルクのRombach-Centerで400部限定で配布

 

 

 

 

2度目といっても、最初が65年のデビュー間もない初々しい頃のチャレンジが初回だから、

きっと期するものがあったのではと勝手な想像をしつつ、

(ロンバッハセンターというくらいだから、そういう催しものだったのかも)

このレコードの存在を知った時からずっと聞いてみたいと思っていたのだった。

 

 

 

限定400部というのが多いか少ないかでいえば、

たくさん出ても売れなくて、世の中にさほど残っていない珍盤を思えば、

極端に少なくて宝くじに当たるようなもの、ほどでもないだろう。

それでも10年かかり、その10年待った中で突然在庫の報にいきあたり、入手までできた。

おまけに、安値で送料の方が高いくらいだったのにも拍子抜け。

もし手にできたら「ひゃっはー!」くらい嬉しいものだと思っていたが、

ものすごく冷静に受け止めてしまったのが本当にもったいないくらいだ。

でも無理はない、手に入るなんて実感がこれまで全くなかったのだから。

現実感が伴わないから、嬉しいという感覚に直結しないんだろう、

人間って複雑だ。

 

 

 

 

この演奏が特別に素晴らしいんですか? と何人かの方から訊かれたが、

Peter Serkinのファンなら彼のそれとわかるゴルトベルクが聴ける、

ことばは何だが安定のクオリティというのが正直な感想。

ソロにアンサンブルに、演奏曲もクラシカルな楽曲からシュールな現代音楽まで、

幅広に数多くの録音を残してくれた彼の演奏の中でも、

バッハのゴルトベルク変奏曲、特に最初のアリアは特別な曲ではなかったか、

と、ここ数年のリサイタルを思い起こす度に痛感されるが、

彼の最初のゴルトベルクがあまり瑞々しくて、それ以来、

同じ曲を弾いたのなら全部聴きたい、そう思いながら聞いてきたから。

 

盤運使い果たしたかな、とは正直な感想で、

あといくつか手元にあったらいいなと思う盤は、

価格が極端なだけで世の中にあるのはわかってるものばかりなので、

それこそ捨て値で見つかれば、というレベルのもの。

でも、未知ながら一度手にしたら離れない、みたいな運命の盤がある。

そういうレコードと1枚でも2枚でもいいから出会いたい。

そういうことが普通に許される日常が戻ることを切に願ってやまない。

そのための努力を最大限やっていけたらと思う。

多くの人々の元に、ごく当たり前だった日常が少しでも戻りますよう。

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秋晴れの休日に聴きたい1枚

日は久々に青空の清々しい日曜。

見た目の印象通りに空や雲を撮れたらいいな。

最近は、カメラについているせっかくの機能を使ってみようと、

飽きることのない空の表情を撮っている。

同じ風景はおそらく2つとない空模様、今朝は秋らしい鱗雲が素晴らしかった。

 

早起きした褒美ではないが、

休日の朝、落ち着いた時間にレコードを聴くのはなんとも幸せなひとときだ。

今日のように、秋晴れのいい休日に聴きたいレコードを選んでみた。

1枚とはいかず、引っこ抜いた盤は全部で4枚。

 

1 Once Again / Barclay James Harvest

 

 

 

 

BJHの2ndアルバム、71年リリース。

叙情的、とは彼らの音楽を評してよく出てくるキーワード。

清々しくも、どこか落ち着かないこの季節のように、

メランコリックだったり、激情だったりが漣のように去来する。

オーケストラを従えての音作り、自然と耳に馴染むのは、

どこか懐かしい歌謡曲と似たところがあるからだろうか。

 

 

2 Crystal Silence / Chick Corea & Gary Burton

 

 

 

リターントゥフォーエバーではなくてこちらを。

チック・コリアとゲイリー・バートンのデュオ作が数ある中で、

透き通った秋空のブルーに一番近いイメージのものを思い浮かべたら、

72年のこのアルバムが。

アコースティックで静けさの中にも熱を感じるひととき。

 

 

3 She was too good to me / Chet Baker

 

 

 

陽の傾きに季節を感じる今時分の午後。

邦題「枯葉」といえば、Chetが特に好きという方でなくても棚にありそうな1枚。

70年代のChetは、カムバック、そして新しいステージへと様変わりの時期。

ポップな中にもクールなトランペットの響き、鈍い煌めきの印象的なサウンド。

こみ上げる郷愁、熱い紅茶を飲みながら迎える夕暮れ時の寂しさよ。

 

 

4 More / Pink Floyd

 

 

 

69年発表の映画「モア」サウンドトラック、Pink Floydのアルバムとしては3枚目。

「狂気」のようにポピュラーではないけれど、

落ち着いた曲調の中にもカントリーやjazz、ブルースといろんな要素が入っている。

歌の文句も思わず首をかしげるような不思議さ。

なんの味かビンから取り出すまではわからない飴のような楽しさ。

 

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今日紹介したどのアルバムも、レコード・CD共に廉価で手に入るものばかり。

レコードの場合、流石に70年前後の発売で古いけれど、

プチプチというノイズも含めて、のんびり楽しんでいただけたら。

今日という日曜、久々に晴天に恵まれたいい1日だった。

 

 

 

レコードの話 | - | - | author : miss key