音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
TIAS 2018

 

 

今年もなんとか東京インターナショナルオーディオショウに出かけることができた。

こういう記事を書くと、

「装置よりも音源にお金をかけたほうが幸せになりますよ」

といったメッセージが届いたりする。

だけれども、

オーディオをつくる企業の数、設計者の数、そして個々の製品の数だけいろんな音があり、

ことばで表すことがとても難しい、相手に正確に伝えるのが難しい音だからこそ、

自分が欲する音、その音で音楽が聴ける装置を探し出すのに、

(否、探し出せなくてもそれに近づくために)

こんな良い機会はないと思いながらあちこちのブースに出かけて楽しんでいる。

お店とは違い、「作り手」の側の方、設計者の方などが直接説明に出向いていて、

自らの手で生み出した製品について語る様子の瞳の輝きが、

わが子のことを話す親のようで、ただ話を聞いているだけで温かい気持ちになる。

 

例年と違うのは、残念ながら権利関係の問題で、

製品紹介に使われた音楽のリストが配られなかったことだ。

またリストでなくても、デモンストレーションの中で曲名やアーティスト名に触れるのも、

気を遣われているようで、

何曲かは、後日ディスクを入手するために訊いておきたかったが、少々気後れした。

 

そんな中で、とあるブースで紹介していただいたピアニストの音が、

どこかで聞いた覚えのある音なのだけれど、と気になって調べてみたら、

春先だったか観た映画のサントラでの演奏がその彼だった。

84年アイスランド生まれのピアニスト、VÍKINGUR ÓLAFSSON(ヴィキングル・オラフソン)。

 

取り急ぎ既発のアルバムを調べてみたら、まだダウロードでしか入手できないBachのEPが。

これがわたしの思うところの北欧の空気、透明感があるのに重々しい曇空のようなアレンジで、

すっかりハマってしまった。

ドイツ・グラモフォンからこの10月にリリースされたばかりのBach Reworks (Part1)だ。

 

 

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パート1だからパート2も出るのかと早くも期待がコップから溢れそうな1枚。

この1つ前にまとまったBachのアルバムも出ていて、

こちらはCDだけでなく、アナログレコードも発売されている。

もちろんこちらはLPでオーダーしたが届くのは週末になりそうで、

そろそろ暖房が要りそうな夜のひとときに待ちきれないアルバムだ。

彼のアルバムはApple musicで一通り聞けるが、音質がいまひとつなので、

やはり最低でもCDかレコードで聴きたいところ。

 

件の権利関係、確かにわかるのだけれども、

スマートフォンも持たず、即検索とはいかないが、

わたしのように気に入ったアルバムから同じ演奏家のアルバムにと、

相当買い込む人間もいるから、

来年のこのイベントまでにうまく物事が解決するといいなと思う。

 

そう、TIASの後はあれやこれやとCDやLPを探し、それなりの散財が待っている。

これもまた楽しいイベントということで、来年11月を楽しみにしたいと思う。

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TIAS 2017

年に一度の有楽町は国際フォーラムでの東京インターナショナルオーディオショウ。

少しずつ出展企業が入れ替わる中、

やっぱりこの会場でなければ聴く機会のほとんどない製品も多いから、

何かのお祭りに出かけるような気分で毎年この時期が楽しみでならない。

 

 

 

 

今年は、オーディオ評論でご活躍の傅信幸さんの講演を軸に初日と翌日の2日間出かけた。

初日は平日ということもあって、講演に合わせてブースを移動しても席が確保できたが、

翌日の土曜は人出もぐっと増えて、会場によっては酸欠状態で眠気が起きるほど。

一時期は景気の具合もあったのか、なんだか寂しさを感じた年もあったけど、

そんな気配も少しは変わってきたのかなと、それが気のせいでなければいいけれど。

 

今回、装置よりは、この曲を家でも聞きたいと思うCDやレコードが結構あって、

そうそう、去年と比べて明らかに感じるのは、

昨今のアナログブームを反映してか、LPレコードでのデモンストレーションが増えていたこと。

ブースの脇にずらっと並んだレコードの束を見るたびに、

そんなに急にいいレコードが集められるわけでもないから、

やっぱり関係者の多くはレコードを大事にとっていたり、聴いておられたりするんだな、

と、レコファンなわたしはほっこりしてしまった。

 

もちろん、装置はスピーカーもアンプもプレーヤーも、そしてカートリッジも!

バカ高なとんでも製品だったりするので、

価格を伺ったりすると、はーっとため息も出なかったりで、

なかなか悲喜こもごもだったりするのも。まあ例年のことだから驚かない。

 

帰ってきてからヘビーローテなのは、傅さんがレコードで聞かせてくださった、

Sheffield labの1枚、James Newton Howard & Friendsのクロスオーバーな1枚。

 

 

 

 

このアルバムを取り上げる前段で、YAMAHA DX7の話題が。

もうこれだけで、うるっと来るキーボード好きはわたしだけではないはず。

そう、"She"という曲で、当時いろいろ聞いてたクロスオーバーの作品、

(フュージョンとすぐ言えない世代というか、年がばれる)

あれもこれもと、文字どおり走馬灯状態で。

 

全曲聴いても短いアルバムだけど、ダイレクトカッティングの説明をうかがって、

そりゃそうだなと納得した次第。

 

せっかくだからストリーミングのヘビーローテではなく、

やはりLPでと思って探してみたら、かなりの価格。

UK盤はパスしてUS盤で探せば状態次第でやっと手頃なものが。

季節が良くなってきたから、ここは探索エネルギー充填させて、

じっくり探していこう。

 

ショウで気になったアルバムは、いくつかオーダー中。

思いっきり懐かしい音源を、とても新鮮に聞けるのもオーディオの楽しみかも。

帰りがけの冷たい風に秋を感じての充実の週末だった。

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NAS入れ替えとバックアップ等々

音楽データがじわじわと積もり積もってこれまでのHDD、NASでは心許なくなった。

それでまずは4TBのHDDを積んだNASに入れ替えた。

あまりデータ量を大きくすると、ソフトで読み込むのにも一苦労するようなので、

これが限界に近いんだろうなあと思いながら。

 

新しいNASもすっかり落ち着き、以前のファン無NASよりむしろ静かかもと思いながら、

今度はようやく1つのHDDにバックアップを取り終えた。

ほぼ3日掛かり。

同期できるソフトお任せとはいえ、途中で止まったりしないかと落ち着かなかったのも確か。

少し前なら考えられないような容量だけど、HDDもずいぶん安価に入手できる。

TVの録画取り溜めとか、一般にも需要が結構あるのだろう。

 

そして、ここのところ調子の悪かった外付け光学ドライブ(重さのある5インチケースに

セットしたもの)。

重くて振動対策がしっかりしてあって、などと当時は何かに書いてあったけれど、

CDデータを取り込むときに正確かどうかの目安が画面にも出てくるのだから、

それで問題なければいいだろうということで、今度はコンパクトなものを選んだ。

おそらく価格も以前使っていたものの何分の1かだろう。

 

 

ロジテックというメーカーのドライブ。

薄くてiMacの近くにつなぎっぱなしでもデザイン的にもおかしくない。

CDデータの取り込み作業には十分な性能があることはもちろんのこと、

想像していたよりずっと静かで動作が安定している。

もっとギーッみたいな音がするかなと思っていたのだけれど。

気になることを無理やり探すとしたら、付属のケーブルがラップトップを意識しているのか、

やや短め。なので設置の仕方によってはケーブルは買い増しが必要。

今のところ、USB3.0端子への接続だけで電源も十分取れている。

 

なにより、以前の数キロもあるドライブセットをよいしょと持ってきてセットするより、

気楽につなげるし、つなげっぱなしでも何ら問題無し。

最近はCDを買ってもついそのままにして取り込みを先延ばしにしていたけれど、

これならCDがタワー化!する前に整理できるから気持ちも楽に。

 

取り込みやデータ整理、あれやこれやがようやくiMac1台で作業できるようになったので、

しばらく頑張ってくれたwindows7のラップトップもこれで引退。

各々、まだ使ってくださる方のところに旅立っていった。やれやれ。

 

 

ほんとうは年内にこれらのことを全部済ませ、2017年は聴いて観て聴いての1年にするはずが、

どうも1月から調子を崩してしまって2月ももう後半に。

溜息ばかりの夜、久々に聞くChet BakerのChetがやけに沁みる。

ちょっと肩が冷えそうな夜にぴったりの1枚だ。

 

 

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TIAS 2016

毎年恒例のTIAS2016。

今年は講演スケジュールが事前にアップされなくて日程がうまく組み立てられず、

土曜の明るい時間のごく数時間、駆け足で見て聞いただけになってしまった。

 

それでもナン億円分の装置の音を聴いたかもしれないが、

なぜか新しい感動というのはなくて、大して聞いてもいないのにお腹いっぱいで。

新しいものとか、そういうのをもういいやと体が言ってるのかもなんて思ったりして。

 

 

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このなんとも言えない気分を遠くに追いやってくれる1曲があるブースで流れた。

The WeekendのEarned it、映画"Fifty shades of gray"のサウンドトラックからの1曲。

 

 

 

 

 

  ...

  I'm so used to being used
  So I love when you call unexpected
  Cause I hate when the moment's expected
  So I'ma care for you, you, you
  I'ma care for you, you, you, you, yeah

  ...

 

 

 

 

映画自体は確かすごく話題になったと記憶するが残念ながら見ていない。

こんな曲が合うとしたらどんなシーンだろう、少し覗いてみたくなる。

(だとしたら、やはりサントラとしては成功だ)

 

 

The  WeekendによるPVがあまりに際どいので、

歌詞だけで絵が構成されたものを。

それにしてもなんてaudio的快楽に満ち満ちた声なんだろう。

歌詞も受け取り方がいくらかあるだろうが、そんな感覚があるんだろうか、

なんてついつい想像してもしまう。

 

 

 

 

こんなに近くにいても、本当の存在はあまりに遠い。

刹那に身をやつしても、その手に残るものは一つかみの砂より儚いかも知れない。

それでも。それでもの世界がどこかにあったりするんだろうか。

 

 

 

 

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春の一番に
夜中の強風に驚いて思わず目を覚ましてから、
いつになく冴えざえとしてそのまま朝に。
2月とは思えない強くて生温かな風に鉢植えがいくつも横だおしになり、
溢れた土を拾いながらとりあえずの養生を済ませたらもう昼近く。

***

今日は自室でLINN Exaktシステム体験の機会に恵まれた。
3時間超の試聴時間はあっという間に過ぎ去り、
私の部屋はその間貸切のコンサートホールになった。

断捨離、ミニマル、シンプルライフ。
そんな言葉を見ない日がないほどの今時にあって、
auidoのシステムも随分とシンプル化が進んでいるよう。
思えば、「ステレオ」を持ち始めてから今日目の前にあった装置まで、
まるで映画でも見せられてるような変化。
もちろんシンプルだからいいというのではなくて、
結果としてシンプルなシステムになったということなのだろうけれど。





貴重な時間の中で一番印象に残ったのがゲルギエフ指揮のシェエラザード。
もちろん全編通しては聴けていないのだけれど、
音の出だしで体ごと彼の国のホールに持って行かれたような衝撃。
妖しいほどに美しいバイオリン、ニュアンスや抑揚に思わず息を飲む。
ここまでくると「これはCDなんだから」と言い聞かせる必要もない。

ゲルギエフの指揮演奏に賛否両論あれど、
彼の音楽ほど旅したロシアのあの独特の空気を思い出させてくれるものもない。
部屋の中にはまださっきの余韻が残っている。
今夜もなかなか寝付けそうにないから、
小さめの音でゆっくりシェエラザードを聴くとしよう。
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apple music
3ヶ月無料のお試しを使ってみた、apple music。
意外なジャンルの意外なアルバムとの出会いがある、見つける楽しみがあるよ、
と教わったから。

確かに。
ゆっくり探す時間と気力があれば、それこそ底なし沼のようにいろんな音楽と出会える。
うれしかったのは、何と言ってもロシアを始めとした旧ソ連系アーティストの音源が、
それこそどっさり出てくること。
音質はそれなりだけれども、そこを贅沢言わなければ、さくさくと検索できるし、
アーティストによっては全アルバム登録されていたり・・・。

ラジオはまだこれからだけど、
apple musicが提案するプレイリストも適度な濃さでもってなかなか楽しめる。
契約するかどうかはまだ決めていないけれど、
さすがに聴けなくなると、それはそれで楽しみを一つ失うようなものかも。

ダウンロード音源が主流になりつつある今、露盤はかえって入手が面倒になってきているが、
好きなアーティストの新譜はやっぱりいち早く知りたいし、聴きたい。
ストリーミング放送で流れていた、気になるあの曲も探してすっきりしたい。

3ヶ月のお試し期間、まだまだあれこれ試してみて、気に入ったら継続しよう。
月々ほんのちょっとの費用でこんなに聴けるし体験できる。
今丁度これを書きながら、Чиж & Coの20周年記念liveを聴いている。
ああなんていい時代になったんだろう、
今時の若い人はほんとうにうらやましい、誰にも隠す必要もない、偽らざる本音だ。



 
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Space Optimisation
ついに桜が咲いた。
この季節、この時期ほど1年のうちで待ちこがれるときもない。
幾年何度眺めても、
桜が咲いた様子はこの国に生まれて来てほんとうに良かったと思わせてくれる。


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4月から職場も変わって、新しい仕事に就けることになった。
全く異なる分野だから、少々緊張もし、不安もあり。
そんないかにも春らしい気分でもって、朝明るくなってから桜を見て歩いた。
特に名所というのではないけれど、徒歩圏にはかなりの桜が植樹されていて、
ざっと見て回るだけでも随分な種類に上る。


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残念ながら、昼前頃から曇りだし、雨模様に。
満開前に花が痛んでしまうが、これも自然の理。
日曜の朝、満開に近い木もあったことを幸運と思おう。


部屋に戻り、LINN DSのアップデートをしてみた。
何でも、Space Optimisationという機能が追加されて、
再生時、響きの雑味が取れたりして、かなり面白いのだという。
部屋の大きさやスピーカーの位置、聴いている位置、壁などの材質などを入力するだけの、
随分簡単なものなのだけれど、
とりあえずはざっと目分量で入力して早速聴いてみた。

ゆったりまったりと音楽が部屋に鳴り響く様に、思わず声が出てしまった(笑)。
何曲か試しに聴いた後、大雑把ではなく、きちんとメジャーで距離を測って再度入力し、
同じ曲を聴いてみたところ、
誰に訊かれている訳でもないけれど、思わず頷いてしまった(笑)。
音の解け方というかスピーカーから音が自然に放たれているようで、
聴いていて一層楽しく、音楽に入り込めてしまうのだ。
見通しが良くなった、と言い換えることもできるかも知れない。

新しい機能の詳しい使い方は、LINN JAPANのWeb Siteに掲載予定だという
普段は面倒臭がって新しい機能をあまり活用しなかったりする方だけれど、
今回のSpace Optimisation機能は試してみる価値あり。
今週は新旧業務の引継ぎで、ただでさえ寝不足になりそうなのに、
とんでもないタイミングで更新してしまった!と困りつつも、
それがうれしい悩みであるのは言うまでもない。
春眠暁を覚えずとはいうけれど、寝過ごさないように気をつけなければ・・・。


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iPodが壊れた
10年以上も使ってきた2台目iPodがとうとう壊れた。
最初は、突然ダウンしたり、音が飛んだりと、
ああとうとうハードディスクがおかしくなったのかなと思っていたら、
一週間と経たないうちに本格的に動作がおかしくなり、まともに再生ができなくなった。

そろそろ次の台を確保しないと、と思っていた矢先だった。
秋頃、最新のiPod classicにしようと思っていたら、
またしてもappleから突然の販売停止のお知らせが。
部品の調達が厳しくてもう作り続けられないようだ。
それですぐ店頭在庫をチェックすればよいものの、
何時もの通りぐずぐずしていたら、新品は酷いプレミアで何倍もの価格に。
ひと世代前の中古もびっくりする値段で、
修理も利かないかもしれない再生機にそれだけのお金を出す気にはなれなかった。


iPodのない生活も、一応は考えてみた。
そんなに長くない通勤時間。
音楽がどうしても必要だろうか。
でも、やっぱりないと、どうも調子が出ない。
あまりに当たり前の生活になっていて、違和感さえ感じる。

やれやれ。

それで、音楽再生専用機のコンパクトなものをあれこれ探し始めた。
Sonyのwalkmanも試聴してみたが、
耳に残る独特の圧縮感のようなものが疲れるようで、
コンパクトで価格もこなれているから魅力的ではあったが、パス。
そうすると、海外の見慣れないポータブルも視野に入れないと、
ということで、あれこれ弄ったり試聴させてもらい、
中古ではあるけれど、iriverというメーカーのものを入手した。





AK100というモデルのバージョンアップ版で日本国内仕様だそうだが、
細かなスペックは気にせず、聴いてみて耳馴染みが良く、操作が単純なのを選んだ。
データの取り込みも以前はmacのみで不便だったが、
この機種はハードディスクと同じように扱って平気、特に必要なソフトもなし。
iTunesに縛られることもなく、これなら便利と喜んで使っていたipodを忘れられそう。

さすがに今時のmp3プレーヤーよりは大きく、重たいけれど、
ポケットに入れてもかさばるほどではなく、大して気にするほどのこともなし。
これでflacで取り込んで聴けるのだから、DSとデータを共通にできるのも好都合。
同じ音源なのにflacとmacのデータが2種類というのは何とも無駄な話で、
かといってmacの形式にすべてを統一するのもどうかと迷っていたところだった。

予算の関係もあって中古を探したけれど、この機種はまだ店頭で売られている。
上位機種が随分と高価で、でも音質も良いらしく、
専門誌で取り上げられているのを目にしたことがあるが、
わたしが求める音質ならこのエントリーモデルで十分すぎるほど。
クリアで自然な再生は通勤途上ならずともヘッドホンでじっくり聴きたい時にぴったり。

たしかに操作の軽快さは使っていたiPodに劣るし、
データを更新したときの読み込みもゆっくりだが、
慣れればこれで十分というレベルのもの。
ちなみに、キリル文字の表示は問題ないが、
ウクライナ語のアルファベットは文字化けを起こして四角に×の表示が(笑)。
(このくらいは仕方ないかも)
これで新年の通勤態勢もばっちり(笑)。
年末の最後の最後で、いい買い物ができたかもとほっとする冬の夜。
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Kazoo
LINN DSの新しいコントロールソフトがリリースされた。
その名もKazoo。
LINNの製品はどれもネーミングが少し変わっているから、
今度はどんな名前になるのやらと思っていたが、
覚えやすくて可愛い響きでちょっと意外。


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わたしはアルバムのジャケットで選盤するので、
こうしてザザーッと一覧できるのがありがたい。
左側のアルファベットバーで大まかに場所を探せるし、
Kinskyよりも見易く探しやすい。
1つのNASに約2,000枚分くらいデータが入っているが、
そのくらいの量ならさくさく探せてしまう。

プレイリストのつくり方が以前よりスマートになっていて、
最初は戸惑うもすぐに慣れた。
おそらくは、便利な機能がたくさんあるんだろうけれど、
おいおい覚えていこう。

サーバーのソフトの方はまだ文字化けがあったり安定していないようだが、
MacとiPad上で使ってみる限り、特に問題はなさそう。
Davaarのアップデートと被ってしまい、落とすのに少々時間がかかったが、
DSユーザーならKazooを試す価値ありと思う。

我が家にDSがやって来て早3年、とうとう4年目に突入した。
レコードは簡単に手放せないものの、CDはおかげで大分整理がついて、
この週末も押入の肥やし状態になっていた聴かないCDを整理した。
確かにあるはずなのに、しまった場所がわからなくてもう1度買う、
というような酷い状態から脱却できたのも、
探している最中に積み上ったCDのタワーが崩れてどっと疲れることもなくなったのも、
DSという便利な装置のおかげ。

時折、LINN DSの使い心地などお問い合わせをいただくけれど、
NASへのデータ取り込みなどは慣れてしまえば何と言うことはないので、
それほど構えなくても自然と使えてしまうし、
わたしなどはあれほど執着していたCDPからあっさり離れてしまえたので、
案ずるより産むが易し状態でした。
手元の盤が半端ない数あって、似たような悩みを抱えるリスナーの方に、
一度ぜひお試しあれと思います。よかったらぜひ。


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いい音で
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 「いい音だなあと思ったその時、心の音楽の窓が大きく開いているということである」。

ステレオサウンド最新号の特集記事、いい音60選の傅信幸さんのエッセイ。
毎号、傅さんの記事を楽しみにしているが、
この1行に、そうそう!と思わず声が出てしまった。

魅力的な音楽がいい音で聞けた時の、体中の細胞が開く感覚。
心の音楽の窓、という美しい表現にはほど遠く、生々しすぎるかもしれないが、
きっと同じ線上にある感覚ではないかと。

時折、再生装置にお金をかけるのはあまり意味が無い、
同じなら限られた資金を音源につぎこむべし、というようなメールをいただく。
音楽の良さはいい音でなくてもわかる、という意味なんだろうか。
それとも数多ある音楽との出会いを増やして、
1つでもこれという音楽を見つけることの方が重要だ、ということだろうか。

素晴らしい音楽と出会うことの高揚感が忘れられず、
ボヘミアンのようにあちらこちらと聞きかじっては次ぎの音源探しと、
それ自体が終わることの無い旅のようになってしまっているが、
自分の好きな音楽がいい音で(単純に自分自身がいいなあと思う音で)聞ける時、
その楽しみ、歓びはぐっと増していく。

audio装置は、再生音はもちろんのこと、見た目や操作感など、
その持ち主の拘りを反映できるいくつもの観点があるように思う。
わたしはずぼらな人間なので、楽にいい音で聞けるのが一番のため、
できるだけ操作が単純で、例えばボタンが少なく、
日頃弄るところが極力少ない装置を選んでいる。
見た目もシンプルで、その分、デザインの主張が強いものにはなっているが、
何年も部屋にあって飽きるということがない。

最近、部屋に戻れる時間が遅く、以前よりも音楽を聞ける時間が短くなった。
なので、1つ1つのアルバムを集中して聴きたいからこそ、
傅さんの書かれているように「音がみっしりぎっしりと、いっぱい聴こえて」、
それが違和感なくごく自然なまとまりで1つの音楽として体感できると、
本当にありがたいというか、それ自体がとてもうれしかったりする。
そのために今手元にある再生装置は無くてはならないものだ。

例えば、今、目の前にある1枚のレコードの中に、
いったいどれだけの音、音楽が詰まっているのか。
できれば入っているもの全てを聴きたいと思う。
全てが聞こえなくてもその音楽の素晴らしさを感じ取れない訳ではないけれど、
全てに近づけば近づくほど、よく深く感じ取ることができるのではないかと。

否、単純に何が入っているのか知りたいだけなのかも知れない。
いったいレコードの溝にどれだけの音が刻まれているのか。
有限の中に無限を感じるのはなぜだろう。
不思議の尽きない夜、もう真夏かと思えるほど蒸し暑い夜だ。
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