real you | 2021.07.25 Sunday |
嗚呼猛暑の日々。
気温の急上昇についていけず悲鳴を上げる胸の内。
折しも緊急事態宣言中で、
連休があっても盤探しに出かけるにはいい日和ともいかず。
ネットで新譜情報など眺めていると、
ここ数年で随分様変わりしたな、と感じるのは、
当初よりアナログレコードで発売されるアイテムの多いこと!
嬉しい悲鳴、いやいやお財布の中身も全く追いつけず、
この暑い最中に苦しいとは言わないがなかなかの悩みごとに。
もっとも、全てが万歳といかないのが世の常で、
演奏が素晴らしくても、録音なのか盤質なのか、がっかりする盤がなしでもなし。
なので、ああこれは良かったと快哉叫ぶ1枚との出会いはやはりうれしい。
この暑さ、なのでBGMにいいかなと思う盤がいくつもあるが、
どこまでも嫌な音が一つもしない、達人の技的な1枚を。
Enrico Pieranunzi(p)とThomas Fonnesbaek(b)のデュオで、
The Real You : A Bill Evans Tribute。
ジャケットからもお分かりの通り、超のつくベテランたちによる演奏。
Bill Evansにとってベースとのデュオって、ピアノ+1ではなくて、
ピアノトリオ−1のデュオなんだろうか。
構成は違うけれど、わたしがよく聞くChet Bakerが好んだドラムレスとは
意味合いが違うよう・・・。
本作はトリビュートアルバムとして編まれながらも、
収録の10曲中、Evansの曲はOnly ChildとInterplayの2曲のみで、他は
Pieranunziらのオリジナル曲。
しかしながら秘めた思いがそっと解き放たれるが如く、
どこまでもリリカルで細心のタッチが切ないほど美しい。
Evansをたっぷりと聴いている方ならどんな感想をもたれるだろうか。
このアルバム、その点から離れて聴いたとしても十分楽しめること請け合い。
録音は2020年7月、その頃のヨーロッパの状況を思えば演奏に込めた思いは・・・。
何かとささくれ立ちがちな気持ちをそっと癒してくれる珠玉の1枚。