音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
10 Years Solo Live

Brad Mehldauが奏でる音色は、とちらかと言えば苦手な方だった。

ピアノトリオでの演奏を初めて聴いたのはいつのことだろう。

深く暗い淵に誘われるような響きに、

とてもではないが耐えられない、そんな心持ちの時期だったような気がする。

 

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そんな彼のピアノ演奏の、

しかも独奏ばかりを本人が選んだベストアルバムが出たというので、

試聴をしてみたのだけれど、

一人部屋でゆっくりと聞いてみたいと思ったのは何かの気の迷いなんだろうか。

しかもCDと比べて8枚組という大掛かりなLPレコードセットは少々高価で、

廉価になるのをしばらく待っての入手で、この休み、漸く耳にできた次第。

 

夏の蒸し暑い部屋に響かせるのはちょっと勿体ない気がした。

一音、一音に何かの重しでもあるんだろうかという強い存在感ながら、

時にラフに鍵盤の上を指が滑っていくような一瞬もあって、

適度に緊張が抜けるような、いい塩梅なのが私には良かったかもしれない。

 

内証的で独特の仄暗さは相変わらずで、

例えば北欧の港町の夕暮れが、どこまでも深い深い青みと冷たさを湛えるように、

ああこの箱は11月の終わりの、日曜の夕暮れ時に静かに聞くのがいいかもなどと、

ぶつぶつ言いながらも結局は一通り聴いてしまった。

 

そう、8枚のうち、これはと思う盤が7枚目、8枚目。

ポピュラーやロックからの選曲からブラームスetc...。

"Le Mémoire et la Mer"から"Hey you"に流れる面は、思わず息を呑む。

余計なものが一切取り払われて、メロディの美しさが浮かび上がる。

確かにこの2曲は、針を落としてぜひとも聴きたい、そんな2曲。

そして贅沢にもこの2曲で片面が終わるのだ。

 

ほぼ1年近く遅れての入手で、

しかも季節的にどうかというこの8月の猛暑の真っ最中ではあるけれど。

大切な1枚を手元に加えることができたことに感謝、感謝。

またしても悩める一週間が始まるけれど、いい音楽が聴けたのだからそれなりにがんばろう。

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