音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
遠い記憶が蘇るような

暑いのか寒いのかわからなくなるような気候に、いつの間にかなってしまった。

ニュースの見出しに芸能ネタばかりが踊るような時代に、

気候を云々したところで仕方がないのかもしれないが・・・。

ベランダの植物の具合を眺めていると、

日によってぐんと成長を感じることがあって、

どれほどややこしい日々であっても何かしら対処の方法はあるんだな、

機を逃さないのが大切かもと思い返す。

 

近所には紫陽花がたくさん咲いていて、

青でも淡い藍色でもない、そのグラデーションの美しさに見とれていると、

そういえばと思い出した歌声があった。

 

 

 

 

彼女の名前を見て、ああやっぱりアルメニアに所縁のある人なんだと納得した。

初めて彼女のピアノと歌声を聴いたのは、

同じくアルメニア出身のTigran Hamasyanのアルバムだった。

フォーキーで、まるでピアノと声が一つの楽器のように自在で抑制の効いた響き。

根の存在、確かさが伝わってくるような深い響きだ。

 

春先から立て込み始めた些事のせいで、夜休む時も緊張がなかなか解けないでいた時、

真っ暗な部屋で聴いたこのアルバムにどれだけ癒されたか。

周囲の物事への拒否感なのか、ものの見える範囲まで狭く感じる毎日の中で、

いつのことだったか、

新しい物事を見たり聞いたりするだけで幸せだった遠い記憶が思わず蘇るような演奏は、

救いという以外に何といえば良いだろう。

音楽の持つ力を改めて思わずにいられない作品だ。

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