音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
時の過ぎるのは / Best1979-1985 / マシーナ・ヴレーメニ
1年という時が過ぎるのは早い。
今年もなんだかんだと多くの出来事と雑用に追われながらも、
とうとうサイトを作ることができて、収穫も多い年だった。
今、これを書きながら流しているのは、ロシア語でタイムマシンの意味のマシーナ・ウヴレーメニの古いベスト盤。
年の瀬になると、なぜか聴きたくなるアルバムの中の1枚だ。

マシーナ・ヴレーメニは、アクウ゛ァリウムのゲーベーと並んで超のつく有名シンガー、
アンドレイ・マカーレヴィチ率いる老舗のロックバンド。
メジャーになり過ぎてちょっと、という方も多いかもしれないが、
私にとっては、いつ聴いても元気爆発のユンケル的存在。
1曲目のパヴァロートはめちゃくちゃにヒットしたナンバー。
流石にベスト盤、捨て曲は1曲もなし。
大きい通販サイトならまだ手に入ると思うので、見つけたら買い!です。

本当は冬休みに向けて新譜の紹介をしようと思っていたのだが、
eMacの故障とニューヨークのお店のトラブル(システムを再構築しているようだ)で
CDが思うように届かずダブルパンチで、新年に持ち越すことになってしまった。
マックが帰ってくるまで、これはというアルバムを用意しておきたいものだ。

というわけで、今年最後のレコメになります。
9月に始めて以来、どうにかこうにか続けることができましたが、
来年もぼちぼち書いていきますので、ロシアンはじめ、
スラブ系ポップ&ロックミュージックに興味のある方、ぜひ来年も日記を覗いてみて下さい。
新年は、ようやく新譜の出たアンドレイ・グービンや注目のグリゴーリィ・レプス等を特集する予定です。
どうぞ皆様、良いお年を!
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言葉をみなおす / Союз30
こうして日記形式でレコメを綴るようになってから、
自分の言葉遣いや文章に多少気を遣うようになった。
文章の個性や文体と、日本語としての間違いやおかしさを一緒にする人もいるが、
やはり両者は全く別のものだ。

私は俗に言う「ら抜き」言葉が嫌いである。
耳慣れてしまったせいか、思わずそんな私の口からも出てしまうことがあるが、
そんな時は非常に恥ずかしいと感じる。
「食べれない」とか「見れない」とかの言い回しは、何か幼児語のようで、耳障りなのだ。
若い人だけでなく、最近はごく一般に受け入れられている「ら抜き」言葉だが、
抵抗感があるのは私だけではないだろう。

話していると気づかないが、あらためて紙に書いたりすると、文章のおかしさにはっとすることがある。
「読み書き話す」とはよく言ったものだ。
外国語を習得する際などにそういう言い方をするが、自国語であっても、
やはり気をつけていないと言葉は崩れていく。
「言葉は生き物であり、自然と変化していく」という側面を否定はしないが、
言葉を使って表現する能力は、それを磨く努力なしには維持できないと思う。

漢字検定がちょっとしたブームになっているのも、ワープロに慣れてしまった結果、
漢字が読めても書けなくなってきている人が増えていることが要因の一つではないだろうか。
「前は書けたのに忘れてしまった」ことに対する、朧げな危機感のようなものを感じている人は決して少なくはないと思う。

サユーズシリーズは、同名のレーベルから定期的にリリースされているオムニバス盤で、
その時々のヒット曲や注目アーティストの新曲を28曲前後、ダイジェストで収録している。
この数字のみのシリーズのほか、フセ・サユーズヌイなどいくつかのシリーズがあるが、
この30は一番ポピュラーなタイプのものだ。
まだロシアンポップスはあまり聴いたことがないとか、好みのアーティストを探すときなどは、
おためし盤としても重宝する。
通勤途上、何でもいいから耳から流したいという時には、手頃なアルバムだ。
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犬の知能 / Мне приснилась осень / Алсу
バウリンガルという犬の翻訳機が話題だ。
最初は子供のおもちゃとばかにしていたのだが、いろいろ聞いてみると、それがなかなか本格的なものだ。

私の実家にも薄赤の柴犬がおり、田舎を出た子供代わりに両親が溺愛している。
私のみるところ、彼は両親の気持ちを巧みに読み取り、自分の都合のいいときにだけ、
” お上手”をしているようだ。賢い、と思う。

犬の知能については、古今東西いろいろ語られているが、これという決定版はないようで、
犬の感情におかしみはないというようなものから、人間の5歳児程度の知能はあるようだというものまで様々だ。
私は、年に数えるほどしか相手のできないうちの犬をみていて思うのだが、学習能力は相当なものだ。
特に、語彙はどんどんと増えている。

犬が首を傾げるのをみて笑う私に、
母は「耳慣れない言葉を聞くと、首を傾げて一生懸命考える」のだという。
笑うなかれ。
彼の前ではうっかりしたことを言えないのだ。特に彼にとって都合の悪い言葉は。

彼が覚えやすいのは、音が少なく、頻度の高い言葉らしい。
「(どこかに)いこう」とか、「ごはん」の類いはまっ先に覚えた。
水とかおもちゃの「まり」というような短くて、自分の関心の高い言葉も覚えも早い。
また人の名前や基本動作、場所、方向など。

私が驚いたのは、母が彼に「お父さんはどこ?」と聞くと、彼は一目散に玄関に向かったことだ。
父は不在であり、まだ帰っていなかった。
帰ってくるかどうか気配を確かめに行ったのだ。
うちの犬はまだ1歳半。生活の大半を人間とともに過ごしている。
それにしても短いとはいえ文章を理解しているとは。

今日はメジャーデビューして活躍中のアルスーを選んだ。
このアルバムはヨーロッパを意識して出されたもので、新曲と旧譜のヒット曲から選曲されている。
彼女のデビューアルバムが正式にはどれなのかわからないくらい、曲が重なっているものがいくつもあって、
これと勧めにくかったのだが、このアルバムは音質も良く、彼女の魅力を十二分に堪能できる。
お勧めは13曲目の"Свет в твоём окне"。
静かなバラードを聴きながら、残り少ない2002年を振り返りたい。
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出会いの記号化 / Евгеника / Браво
ネットを通じて出会った男女が心中した事件が新聞を賑わしたのはつい数日前のことだ。
何かの事情があって、それなりにつきあいのある二人が死を選ぶことは考えられなくはない。
が、尋常ではないのは、双方ともいっしょに死ぬ相手を探していたらしいことだ。
ある学者はそれを「出会いが記号化している」と表現した。
もう10年以上も前に構造論だの記号だのという言葉がやたらに飛び交ったことがあったが、
氏の言いように何か乾いたものを感じたのは私だけだろうか。

携帯電話にネットと、出会いの機会はそれこそ無尽蔵に提供され、
どこかで誰かが相手を求めて彷徨う電磁空間は無限に広がる。
しかし、「きっかけ」はあっても、その出会い自体がすべからく前向きに発展のあるものかどうかは保証の限りではない。
無味乾燥に、まるでベルトコンベアに乗せられるがごとくの安易な接点には、
彼や彼女が期待を抱いているからこそ、傷つくことも多い。

しかし、死ぬために、独りでは寂しいからというだけで、
相手を探し、出会い、死ねるものなのだろうか。
出会いのかたちは、出会う人の数だけ存在する。
やはり、ある専門家の話では、出会ってすぐ心中するというようなことは昔からあるようだ。
人の心は複雑怪奇というが、「単細胞」「真空管」とあだなされた私は、
自分をに「分かりやすく」生んでくれた両親に心から感謝している。
自ら死を選び取るほど思い悩むことは、意味無くはないだろうが、
やはり辛いと思うからだ。

やるせない気分を晴らそう。
ブラーヴァの最新盤エフゲーニカが今日のお勧め。
ギターがかっこよくて踊れるお洒落なナンバーが何よりも好きな方に・・・
そして、悩む前に好きな音楽聴いて踊って楽しもうよ!と思いっきり叫びたい、
そんな夜にお勧めです。
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雪が降る / Белый / Сергей Дикий
昨夜から降り続いた雪、雪、雪。
橋の上から臨む神田川は、雪粉が風に舞い、それに絡まるようにカモメが飛ぶ様が幻想的な美しさだった。
事務所がある秋葉原界隈は、川と橋と線路とが立体交差し、本当に絵になるところだ。
もう少し先へ歩くと、さだまさしの歌にした風景が目の前に広がる。
今日のような日には仕事などせず、写真を撮り歩くべきなんだろうが、
かえって休みづらい末席の哀しさ。

何かに背中を押されたかのように選びだしたジーキィの唱う男のシャンソン。
ラジオでもよく流れる人気歌手だが、
このベールイには、ロシア、モスクワの冬を思い出させるメロディがいっぱい詰まっている。

無理矢理ジャンルわけするとシャンソンなんだろうけれど、
アレンジはなかなか斬新で、シャンソンと聞いて想起する古臭さみたいなものは全くなし。
飾り気のない歌声が冷えきった心を温めてくれる。
’男系’でもミッシャ・シュフチンスキィやリュベーとはまた違った世界を覗かせてくれるセルゲイ。
忘年会疲れを癒す自信の1枚です。
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夢が物語る / Dok Si Uz Mene / HARI Roncevic
最近、毎晩のように夢を見る。
以前は年に数回しかみなかったのだが、眠りが浅くなっているのか、
連日、しかも全く脈略のない、内容の異なる絵を見るものだから、
すっかり気持ち悪くなってしまった。

手放しで喜べるような内容のものなら未だしも、
そこに出てくる風景も人も知らないものばかりで、
ストーリーについても思い当たらないようなものばかり。

何かの本で、夢は深層心理を物語る要素があると読んだことがあるが、
いったい自分は何を考えているのだろう。
心の奥底に自分自身も知らないでいるような何かが溜まっているというのだろうか。

いっそ、眠る環境を全くかえてしまおうかと、せんべい布団をやめてフカフカベッドでも導入するか、
などと考え、昨日は臨海部にある某有名家具店の展示場にも立ち寄った。
価格の安い高いはもちろん、数がありすぎて、いくつかに絞ることもできなかった。
たくさん見るというのは考えものだ、予備知識がなくてただ見に行く者にとっては。
しかし、手の届く範囲で、フカフカ〜はいくつかあったので、しばらく考えようと思う。

おかしな夢を立て続けに見るなんて疲れているに違いない。
そんな私には、ノー天気とまではいかないが、普通に明るくて普通にノリの良い音楽が薬になる。
ということで、クロアチアのポップシンガー、ハリ・ロンチェヴィッチを取り上げる。
これといって特徴のない歌と曲なのに、小さい音量でとろとろ流すのにはピッタリ。
主張が強くない分、BGMにはお勧めできる。
そろそろクリスマスが近いけれど、’微妙な距離感’が辛い2人の緊張をほぐすにはもってこいの1枚。
ぜひお勧めします。
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臨海散歩 / The Final Cut / Pink Floyd
土曜は通常なら休日だが、今日は仕事の用向きでお台場に向かった。
ビッグサイトでエコプロダクツという見本市が開かれ、
そこでショーが開催されるのを見るのが目的だ。
あいにくの雨模様と、あの地区独特のビル風のような強い風。
天気がよければ水上バスでも使おうかと思うが、おとなしくゆりかもめに乗った。

ビックサイトの辺りは、本当に無機質な風景で、人工臭さになかなか馴染めない。
写真を撮ったりすると面白かったりするのだろうが、
例えば、「惑星ソラリス」に出てくる首都高の場面に感じるものとは、全く違う。
水際の近未来像という意味では、タルコフスキーの一連の作品をついつい想起してしまうのだが。
 
湿気の高いのが苦手な私は、雨が降るだけで鬱な気分だ。
そういうときに決まって流すのがピンク・フロイド。
原子心母を探したが、CDでは買っていなかったのか、見つからない。
フロイドは私の伯母がファンで、小さい頃からレコードで聴かせてもらっていた。
Trioのレシーバーと、どこのメーカーだかは不明だが、
8畳ほどの部屋には不釣り合いな大きさのスピーカーから小音量で流れるピンク・フロイド。

幼い時に受容したものはなかなか忘れないというが、
あの頃の音が私の求める音像のベースになっている。
そんなこともあって、最近、またレコードに戻ろうかなどと考えたりしているが、
ある記事によれば、レコードで聴くのは今時随分とコストがかかるので、
余程お金に余裕がないと止めた方がいい、とか。

確かに。レコードの回るのを見ながらゆっくりと聴く音楽は、
今となっては大層な贅沢品となってしまった。

今日はピンク・フロイドのファイナルカットを。
いくつかバージョンがあるみたいだが、私は輸入版のブックレットが充実しているのを買った。
ピンク・フロイドの音楽について今さら私が書くこともないが、
お勧めしたいのはこのブックレットなのだ。
シュールな画像が盛り込まれていて、写真集としても十分に楽しめる。

このバンドは日本でも人気があり、
CDも再発やアニバーサリーバージョンなど同じタイトルがいろんな形で並んでいる。
同じ買うならブックレット付きをぜひお勧めしたい。
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がんばれ、ヤスケン! / The Best Collection / Yo-Yo Ma
自他共に認めるスーパーエディターの安原顕さんが、
肺ガンの悪化で余命幾許もないことを自身の連載サイトに公表して一月余りが経った。
私は彼の書評の大ファンで、最近は自分で読む本を漁れないことから、
彼の書評が単行本でまとまった時点で、それを道標に’お勧め’をまとめ買いし、一気読みしている。
ここ数年は、盆暮れの恒例行事となっていたが、
なんだか氏の著書がどんどんと出版されているのをみて、
様子が変だと感じていた矢先のことだった。

今は、転移したリンパ腺の癌の治療のために入院され、
少しでもその治療によって痛みを抑え、さらに執筆するのだという。なんという執念。
氏のエッセイには過激な表現も少なくなく、
パッと見は氏の人柄を勘違いしそうな要素が多分にあるが、
書物に対する分析は非情と言えるほど鋭くても、
例えば周囲の人々には細部まで気配りし、人一倍気疲れする、
そんな方ではないかと私は想像している。
氏の紡ぐ文章の行間に、人間臭くて温かいものを感じ、いつも励まされていた自分。
心から最後の一瞬まで安原さんの奇跡の快癒を祈りたい。

これまでの経過は安原氏が綴る日記に明らかだ。
ブックファーストのサイトbk1を覗かれたし。読み返してみるにつけ、がんばれ!と思いつつ、
やけに冷静な文面がかえって読む者の辛さを倍増させる。
こんな夜には、静かにチェロの音色に癒しを求めるよりほかはない。

ヨーヨーマのベストコレクションには、オコーナーのアパラチア・ワルツや
ラフマニノフのウ゛ォカリーズなど、痛んだ心の襞を修復してくれる名曲が詰まっている。
特に後者は、ボビー・マクファーリンとの珠玉のデュオ。
聴かずに死ねるか、の一押しだ。

その人の「根っこ」を感じさせる、そんな演奏にどこまでも惹かれるヨーヨーのチェロ。
日頃はクラシックなど見向きもしない私のようなポップスファンにこそ、
ぜひお勧めしたい1枚である。
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懐かしのポータブルレコードプレーヤー / Бриллианты слёз / Наташа Королёва
秋葉原をぶらぶらしていて、
偶然、ある店で見覚えのある赤いポータブルのレコードプレーヤーを見つけた。
実家には、私がオルガンを習うようになってから買ってもらったラジカセ以外に、
音の出るものはテレビぐらいしかなかったのだが、
小学校時代の友達のうちには、このプラスチック製のなんとも可愛いプレーヤーがあって、
随分と珍しく眺めたものだった。
 
なぜそんな古い話を覚えているかというと、それには訳がある。
私はラジオ小僧で暇があればラジオを聞いていたが、
当時は俗にいう共産国系のプロパガンダ放送が全盛の頃で、
地元の放送局を蹴散らすかのように強烈な電波が送り込まれていた。

外国局ながら日本語での放送であり、幼い私にも意味が分からずとも簡単に聞くことができたし、
なによりもクイズに応募したり、感想文を送ったりすると、絵はがきをはじめ、
いろいろなプレゼントが貰えたのだ。

いつだったか、ある局からソノシートが送られてきた。
それがどうしても聞きたくて、友達のプレーヤーで聞かせてもらったのだ。
大分後になって判ったことだが、その歌は、今話題となっている某国の指導者を讃える歌だった。
現地語で歌われているため、意味は分からなかったが、
覚えやすい節だったのでいつのまにか口からついて出るようになっていた。
今思うと、少々複雑な気持ちだ。

話が脱線したが、30年近く前の記憶であるために、外観の細かなところは不確かながらも、
件のプレーヤー、おそらくデザインは昔と変わらないのではないだろうか。
また当時は気が付かなかったが、壁掛け状態でも使えるという。
ただ眺めているだけで、モノラルの、ほのぼのとした音が聴こえてきそうだ。
こんな古い製品がまだ売られているなんて驚きだが、定番の赤と白のタイプ以外に、
水色のスケルトンタイプまであって、意外に若い人から支持されているだろうことが容易に想像できた。
財布にもう少しお金が入っていたら多分買っていただろう。
うちには1枚のレコードもないというのに。

今夜は気分を変えてのチョイス。
本当は、そんなプレーヤーで聞いたらさぞ楽しかろうと思ってクラフトワークのCDを探したが、
埋もれていて出てきそうにない。
ということで、選んだのは、声もルックスも魅力的なナターシャ・カラリョーワの一押し盤だ。

97年のリリースだが、当時のラテンブームを反映して、
このアルバムにもラテンアレンジのナンバーが入っているのだが、
彼女の声の厚みや張りの感じによく合っている。

曲のほとんどは、彼女をデビュー当時からプロデュ―スしている
イーゴリ・ニコライエフが書いている。
イーゴリ自身もまだまだ現役で歌っているけれど、
他のアーティストに提供している曲の方が全然イイと感じているのは私だけだろうか。
最新のライブ盤もチャート上位に長くランクインして好調のナターシャ。
オリジナルの新譜が待ち遠しいアーティストだ。
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もう頬づえはつかない / Bebop City / Dusko Goykovich
好きな映画のDVD化がいつか、いつかと最近専門誌をよく読むようになった。
邦画の場合は、コストの関係もあってDVDはどうしても高くなってしまうそうで、
よほど売れる目算が立たなければDVD化してもらえないという。
ストーリーもキャストも大のお気に入りで録画したメディアを持っていない作品がいくつもあるのだが、
「もう頬づえはつかない」もその一つだ。

東京の大学に進学することを決めたのも、この映画の影響を抜きには語れない。
東京の大学の自由な雰囲気にもまして、貧乏アパートでの下宿生活は、
田園風景の中で育った私にはとても魅力的に映った。
寺山修司に「かぶれた」のもこの時期であり、
私の頭の中では仮想東京生活だけがむくむくと膨張していった。

もう頬づえ・・・が上映された当時、私はまだ中学生だったが、
桃井かおりの気怠い演技が脳裏に焼き付いて離れなかった。
手の届きそうで届かない、大人の女性の生きざま、とでも言ったらいいのか。
おまけに恋人役が森本レオとくれば、これがハマらずにいられるか、という具合。
今見れば、なんということない青春ものの1つなのだが、
この作品を見る度に、自分の心象風景の遷ろいが透けて見えるようで何となく面白いのだ。
DVDの方が手軽に楽しめるので、東宝東和さん、どうかDVD化をお願いします。

というわけで、上京目指して宅浪していた頃によく聴いていたジャンルから1枚。
ダスコ・ゴイコウ゛ィッチは日本でも人気の高いトランぺッター。
サイドメンで注目はピアノのケニー・バロンとベースのレイ・ドラモンド。
4曲目のLament、それから6曲目のNo Love Without Tearsがお勧め。
抑えた音色が乾いた心に潤いを取り戻してくれる。
流行の北欧系とは一線を画した元祖癒し系の隠れたお勧め盤です。
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