生き物は死ぬ、それでも―The Last Great Concert My Favourite Songs Vol.1&2--Chet Baker | 2003.04.27 Sunday |
知り合いが飼っていた柴犬が死んだ。11歳と少しという時間が、長いのか短いのかは分からない。しかし、家族を失ったロストの痛みは、想像に難くない。私の実家も犬が好きで、今の白柴は、私が生まれてから数えると5代目になる。16年も生きた犬もいれば、数年で死んでしまったのもいた。どちらにしても、死んだときは、同じように辛く、悲しかった。
特に4代目は私によく懐いており、大学受験の宅浪中に自室でいっしょに暮らしていたのだから、思い入れも深かった。16歳といえば、人間で言えば結構な歳になるらしい。自然の老衰死だったので、先日紹介した「コーシュカ」の猫のようではなかったが、それでも、悲しみはそう簡単に消え去るものではない。
両親は、先代がなくなってから、新しい子犬を迎えるのを随分とがまんした。といっても、1年だったが、それでも「喪中」と称して、否、私に気を遣って子犬を貰い受けることはなかった。今のトキ(白柴)はこの5月で2歳になる。彼が家に来ているのを、私も弟も半年以上知らせてもらえなかった。年末に実家に帰ることになり、帰るコールをしたときの「実は・・・」と、いかにも言いにくそうな母親の声を忘れることはできない。
どうやら「前の犬が死んでしまってすぐに新しい子犬をもらうなんて、おもちゃをとっかえひっかえするみたいで酷い」という思いがあるようだ。確かに、そういう見方もできなくはないだろうが、生き物はどうしたって死ぬ。家族が欠けたら寂しいのは当然だし、それを埋めて余り有る新しい家族を迎えるのに、反対する理由はないだろう。否、そんな人間の手前勝手を、先代の犬はどこかで腹立たしく思っているだろうか。
アルコールを止められてからというものの、一層チェットベイカーを聴く時間が長くなった。私にとって、彼の声は何よりの癒しなのだ。今日の2枚組ライブ盤は、長らく探していたラストコンサートの記録である。エンヤからリリースされているが、この1枚目だけが、「My Favourite Songs」というタイトルで独立して発売されており、国内ではそれが手に入るかどうかという感じだった。私はどうしても、コンプリートな形で入手したかったので、アマゾン.COMから手繰って、アメリカの業者の在庫からゲットすることができた。なぜか、日本のアマゾンからは取り寄せできない。どうも、アマゾンは国別に独立して運営されているので、在庫の共有はないようである。
マイファニーヴァレンタインは、チェットの得意中の得意ナンバーで、私も大好きである。この他、サマータイムやテンダリーといったスタンダードな選曲になっているが、息が続かず苦しさを所どころ覗かせながらも、やはり彼の演奏は素晴らしい。謎めいた事故死が人の興味を引くチェットだが、このアルバムを聴くにあたってそういう先入観は、なんら意味を持たないだろう。
エンヤの社長はチェットの大ファンで、未発売の音源を探し当てては「レガシー」シリーズで発売している。同レーベルから出ているアルバム、StrollinとPeaceも同様にお勧めできる充実した内容だ。スティープルチェイスからの作品群と比べると、その落とし所の違いにも興味深いものがある。いずれにせよ、死を惜しみつつ聴く演奏は、やはりどこか寂しく、一度はライブで聴きたかったと悔やまれる。そんな私にとって、心底特別なアルバムである。
特に4代目は私によく懐いており、大学受験の宅浪中に自室でいっしょに暮らしていたのだから、思い入れも深かった。16歳といえば、人間で言えば結構な歳になるらしい。自然の老衰死だったので、先日紹介した「コーシュカ」の猫のようではなかったが、それでも、悲しみはそう簡単に消え去るものではない。
両親は、先代がなくなってから、新しい子犬を迎えるのを随分とがまんした。といっても、1年だったが、それでも「喪中」と称して、否、私に気を遣って子犬を貰い受けることはなかった。今のトキ(白柴)はこの5月で2歳になる。彼が家に来ているのを、私も弟も半年以上知らせてもらえなかった。年末に実家に帰ることになり、帰るコールをしたときの「実は・・・」と、いかにも言いにくそうな母親の声を忘れることはできない。
どうやら「前の犬が死んでしまってすぐに新しい子犬をもらうなんて、おもちゃをとっかえひっかえするみたいで酷い」という思いがあるようだ。確かに、そういう見方もできなくはないだろうが、生き物はどうしたって死ぬ。家族が欠けたら寂しいのは当然だし、それを埋めて余り有る新しい家族を迎えるのに、反対する理由はないだろう。否、そんな人間の手前勝手を、先代の犬はどこかで腹立たしく思っているだろうか。
アルコールを止められてからというものの、一層チェットベイカーを聴く時間が長くなった。私にとって、彼の声は何よりの癒しなのだ。今日の2枚組ライブ盤は、長らく探していたラストコンサートの記録である。エンヤからリリースされているが、この1枚目だけが、「My Favourite Songs」というタイトルで独立して発売されており、国内ではそれが手に入るかどうかという感じだった。私はどうしても、コンプリートな形で入手したかったので、アマゾン.COMから手繰って、アメリカの業者の在庫からゲットすることができた。なぜか、日本のアマゾンからは取り寄せできない。どうも、アマゾンは国別に独立して運営されているので、在庫の共有はないようである。
マイファニーヴァレンタインは、チェットの得意中の得意ナンバーで、私も大好きである。この他、サマータイムやテンダリーといったスタンダードな選曲になっているが、息が続かず苦しさを所どころ覗かせながらも、やはり彼の演奏は素晴らしい。謎めいた事故死が人の興味を引くチェットだが、このアルバムを聴くにあたってそういう先入観は、なんら意味を持たないだろう。
エンヤの社長はチェットの大ファンで、未発売の音源を探し当てては「レガシー」シリーズで発売している。同レーベルから出ているアルバム、StrollinとPeaceも同様にお勧めできる充実した内容だ。スティープルチェイスからの作品群と比べると、その落とし所の違いにも興味深いものがある。いずれにせよ、死を惜しみつつ聴く演奏は、やはりどこか寂しく、一度はライブで聴きたかったと悔やまれる。そんな私にとって、心底特別なアルバムである。
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