レコード屋をはしごする―Soft Journey--Chet Baker &Enrico Pieranunzi | 2003.11.28 Friday |
Chet Bakerが好きで、時間をかけてライブラリを充実させてきた数年間だったのだが、探しに探した結果、入手が可能なものはほとんど集まってしまった。本当なら、大変にハッピーなはずなのだが、何だか気が抜けて、寂しささえ感じてしまう。
もともと、コンプリ―トが非常に困難なアーティストなため、全てを手にすることはハナから考えていないが、通常ファンの間で把握されている基本的なディスコグラフィーに載っているものは、いくら多いといっても数に限りがあり、またCD化されているものというと全体の何割かということになるので、集め始めた時期は遅かったのだが、だいたい大切な録音を手元において聴くことができるようになったのは、幸運としかいいようがない。
それでも、 LPのみの発表で気になる作品はどうしてもあり、いろいろ気になっていたこともあって、ついに廃盤専門というようなレコード店をまわってみることにした。そういう店は大抵夕方から夜遅くまでの営業だが、いい時間に行くと、狭い店内がマニアで溢れかえっており、探すのが大変なことは想像がついたので、金曜の午後、休みをとって出かけた。
ジャズ喫茶のマスターが何かの雑誌で推薦していた店やレコードマップという中古レコードを扱う店の情報誌をもとに3店ほど選んだが、そのうち2店は内容が非常に濃かった。今日の1枚をみつけることができた専門店は渋谷の老舗であり、ご主人が一人でやっている知る人ぞ知るというジャズ専門店である。狭い店舗にぎっしりと並んでいるLPレコード。目玉が壁に掛けられている他は、特に人気のアーティスト以外は大ざっぱにくくられ、宝探しのような状態である。私の目当てであるチェットは、ご主人も気に入っているアーティストのようで、1か所に集められていた。
私の背中から、何を探しているのかとご主人が興味深く見ていたようだが、私が手に取った「Chet」はともかく、価格も決して安くはない「Soft Journey」が手放せないでいるのに、驚かれたようだった。Chetの作品を集めていると、探しにくさで言えばなんといってもイタリア盤であることには間違いがなく、このお店の他の客も同様のことを言っていたらしいので、みなさん、苦労して探しているんだなあと共感したのだが、特に、このエンリコとの共演は、ファン注目の1枚であった。何でも現地の知り合いからまとめて数枚を仕入れられたということで、ほとんど新品の状態でもあり、考えていた予算よりもずっと高いレコードにもかかわらず、私は購入することにした。ご主人からいろいろ質問されたが、やはり私のような年の客は少ないのか、面白かったようである。また「しっかり食事は摂りなさいね」と、すっかり”お見通し”の様子。初めてのお店でここまで見抜かれると参ってしまう。
もう1店は、新宿にある新興店で、チェットの作品の数やレア盤の品揃えで言えばかなりのものだったが、音楽を楽しむファンよりは、珍しい廃盤を多少お金をかけても集めたいといったマニア向きのお店だったように思う。こちらでもやはり、LPのみのアルバムを数枚購入したが、次々と目の前に出されるアルバムのジャケットを見せていただいただけでも、大変有難いことだった。もっとも鮨店に通うように、付き合いと駆引きの巧さがないといいアルバムを安く買うことは難しいようで、私のような初心者では、高い買い物になりがちかも知れない。まあ、これも授業料のようなものかも知れないが。
レコードプレーヤーもないのに、レコードなどかってしまって、と笑われそうだが、やはりレコードのジャケットは見ているだけでも至福である。また細々とではあるが、チェットの作品はレコードでの再発もあって、オリジナル盤にこだわりさえしなければ、或はマニア垂涎のEP盤などに迷い込まなければ(笑)、いい音を気楽に楽しめるんだろうなあと思う。もっとも、LPでしかリリースされていない作品は結構あるので、一部のブートレグや自主制作盤を除き、余裕のあるときに少しずつ集めてみようかと思う。
今日のアルバムは79年から80年頭にかけて録音されている。1曲目に収められているソフト・ジャーニーはエンリコのオリジナルで、6曲中4曲が彼の手になる曲から選ばれている。とっておきの1曲は、マイ・ファニー・バレンタイン。この演奏のみ、エンリコとチェットのデュオになっている。いつか近いうちに、音を聴いてみたいと思う反面、針を落とすのが勿体ない感じもして複雑な気持ちである。レコードを手にして思ったのだが、レコードは、CDにはないモノとしての魅力が絶大で、最近になって多くのファンがレコードに注目している事実に納得がいく。単なる懐古趣味とは笑えない奥深さに、改めて魅了された1日だった。
もともと、コンプリ―トが非常に困難なアーティストなため、全てを手にすることはハナから考えていないが、通常ファンの間で把握されている基本的なディスコグラフィーに載っているものは、いくら多いといっても数に限りがあり、またCD化されているものというと全体の何割かということになるので、集め始めた時期は遅かったのだが、だいたい大切な録音を手元において聴くことができるようになったのは、幸運としかいいようがない。
それでも、 LPのみの発表で気になる作品はどうしてもあり、いろいろ気になっていたこともあって、ついに廃盤専門というようなレコード店をまわってみることにした。そういう店は大抵夕方から夜遅くまでの営業だが、いい時間に行くと、狭い店内がマニアで溢れかえっており、探すのが大変なことは想像がついたので、金曜の午後、休みをとって出かけた。
ジャズ喫茶のマスターが何かの雑誌で推薦していた店やレコードマップという中古レコードを扱う店の情報誌をもとに3店ほど選んだが、そのうち2店は内容が非常に濃かった。今日の1枚をみつけることができた専門店は渋谷の老舗であり、ご主人が一人でやっている知る人ぞ知るというジャズ専門店である。狭い店舗にぎっしりと並んでいるLPレコード。目玉が壁に掛けられている他は、特に人気のアーティスト以外は大ざっぱにくくられ、宝探しのような状態である。私の目当てであるチェットは、ご主人も気に入っているアーティストのようで、1か所に集められていた。
私の背中から、何を探しているのかとご主人が興味深く見ていたようだが、私が手に取った「Chet」はともかく、価格も決して安くはない「Soft Journey」が手放せないでいるのに、驚かれたようだった。Chetの作品を集めていると、探しにくさで言えばなんといってもイタリア盤であることには間違いがなく、このお店の他の客も同様のことを言っていたらしいので、みなさん、苦労して探しているんだなあと共感したのだが、特に、このエンリコとの共演は、ファン注目の1枚であった。何でも現地の知り合いからまとめて数枚を仕入れられたということで、ほとんど新品の状態でもあり、考えていた予算よりもずっと高いレコードにもかかわらず、私は購入することにした。ご主人からいろいろ質問されたが、やはり私のような年の客は少ないのか、面白かったようである。また「しっかり食事は摂りなさいね」と、すっかり”お見通し”の様子。初めてのお店でここまで見抜かれると参ってしまう。
もう1店は、新宿にある新興店で、チェットの作品の数やレア盤の品揃えで言えばかなりのものだったが、音楽を楽しむファンよりは、珍しい廃盤を多少お金をかけても集めたいといったマニア向きのお店だったように思う。こちらでもやはり、LPのみのアルバムを数枚購入したが、次々と目の前に出されるアルバムのジャケットを見せていただいただけでも、大変有難いことだった。もっとも鮨店に通うように、付き合いと駆引きの巧さがないといいアルバムを安く買うことは難しいようで、私のような初心者では、高い買い物になりがちかも知れない。まあ、これも授業料のようなものかも知れないが。
レコードプレーヤーもないのに、レコードなどかってしまって、と笑われそうだが、やはりレコードのジャケットは見ているだけでも至福である。また細々とではあるが、チェットの作品はレコードでの再発もあって、オリジナル盤にこだわりさえしなければ、或はマニア垂涎のEP盤などに迷い込まなければ(笑)、いい音を気楽に楽しめるんだろうなあと思う。もっとも、LPでしかリリースされていない作品は結構あるので、一部のブートレグや自主制作盤を除き、余裕のあるときに少しずつ集めてみようかと思う。
今日のアルバムは79年から80年頭にかけて録音されている。1曲目に収められているソフト・ジャーニーはエンリコのオリジナルで、6曲中4曲が彼の手になる曲から選ばれている。とっておきの1曲は、マイ・ファニー・バレンタイン。この演奏のみ、エンリコとチェットのデュオになっている。いつか近いうちに、音を聴いてみたいと思う反面、針を落とすのが勿体ない感じもして複雑な気持ちである。レコードを手にして思ったのだが、レコードは、CDにはないモノとしての魅力が絶大で、最近になって多くのファンがレコードに注目している事実に納得がいく。単なる懐古趣味とは笑えない奥深さに、改めて魅了された1日だった。
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