夏準備―Slick Rock--Denny Zeitlin | 2004.06.24 Thursday |
女一人暮らしの部屋なのに、うちにはオーディオとかカメラとかがごろごろしていて、そうでなければ本だのソフトだのが棚に詰め込まれ、およそ潤いというものに欠ける。そう感じていたのは私だけではなかったようで、先日、美しい花束を「部屋に飾れば少しは・・・」と頂いた。
しかし、この連日の暑さだ。主のいない昼間にうだるような室内に置いたのだから、花の方は堪ったものではない。人間なら悲鳴を上げて息絶えただろうなどと穏やかならぬ想像ができそうなほど、ぼろぼろに萎れているのを見たときは、夏の疲れをどっと感じて呆然とした。結局花は3日で潰えた。
ならばと、今日は家でだらだら過ごす予定を変更して街に出て、まず髪を切り、さっぱりとしたところで、小さな鉢の観葉植物を買った。わずか420円。今時は同様の需要があると見えて、売り場にはうんと小さいサイズのものから従来の立派な鉢植えまでずらりと揃っている。また種類も、そこいらの畦道に生えていそうなものから南国のものまでいろいろで、葉っぱの色形で選ぼうにも数が多すぎる。
どうせ世話もろくにできないのだから、日光と水さえあれば逞しく生き延びそうなのをと、マングローブの小さな苗木を選んだ。早速家に帰って、フォノイコライザーの棚の余分にその小さな透明の鉢を置いてみると、不思議と棚の茶色とうまくマッチして、空間が随分と瑞々しくなった。それではと、前に貰ったガラスの蛙5匹を並べてみた。
最近は、プチ神経症候群とでもいうのか、病気でもないのに神経を病んでいるといって薬を貰い歩く人が増えているなどと聞く。薬マニアは昔からいたが、健康に過ごしていればそういうところに気をやることも本来はないのだろうから、その意味で生活の質はとても大事だと痛感する。余裕が無いと嘆く前にできることが一杯ある。時間と心の余裕は自ら創りだすものだと、改めて自分に言い聞かせる。
私の部屋にやってきた「小さな夏」に心踊る気持ちを表すかのような、躍動感溢れるタッチのピアノが楽しめる1枚、それが今日のBGMだ。デニー・ザイトリンは寡作で知られる本業精神科医という変わり種のピアニストだが、日本ではファンも多い。その彼が久々に吹き込んだ演奏がやっとリリースされたと聞いて、とりあえず店頭に急いだ。
シックなジャケットに載る彼の表情は、さすがに上品とはいえすっかり年老いていて、録音の貴重さを思わずにいられない。しかしながら、このアルバムにはオリジナル7曲を含む全13曲が収められ、適度な緊張の中にも洗練された響きに満たされている。洗練といったが、彼のオリジナル曲は、今流行のヨーロッパ風ピアノトリオなどと比べるとどこか骨太で、矛盾しているようであるが、気持ちというよりは魂に訴えかけてくるような強さがある。洗練されてはいるが、決して柔くはない。
私が愛聴するアーティストはすでに亡くなっている人が多く、その意味でもデニーの演奏を現在進行形で聴けることに深い喜びを感じる。ここ数日の暑さですっかり弱っていたのだが、この1枚で随分と力を取り戻すことができた。その意味で夏準備にぴったりのアルバムである。
しかし、この連日の暑さだ。主のいない昼間にうだるような室内に置いたのだから、花の方は堪ったものではない。人間なら悲鳴を上げて息絶えただろうなどと穏やかならぬ想像ができそうなほど、ぼろぼろに萎れているのを見たときは、夏の疲れをどっと感じて呆然とした。結局花は3日で潰えた。
ならばと、今日は家でだらだら過ごす予定を変更して街に出て、まず髪を切り、さっぱりとしたところで、小さな鉢の観葉植物を買った。わずか420円。今時は同様の需要があると見えて、売り場にはうんと小さいサイズのものから従来の立派な鉢植えまでずらりと揃っている。また種類も、そこいらの畦道に生えていそうなものから南国のものまでいろいろで、葉っぱの色形で選ぼうにも数が多すぎる。
どうせ世話もろくにできないのだから、日光と水さえあれば逞しく生き延びそうなのをと、マングローブの小さな苗木を選んだ。早速家に帰って、フォノイコライザーの棚の余分にその小さな透明の鉢を置いてみると、不思議と棚の茶色とうまくマッチして、空間が随分と瑞々しくなった。それではと、前に貰ったガラスの蛙5匹を並べてみた。
最近は、プチ神経症候群とでもいうのか、病気でもないのに神経を病んでいるといって薬を貰い歩く人が増えているなどと聞く。薬マニアは昔からいたが、健康に過ごしていればそういうところに気をやることも本来はないのだろうから、その意味で生活の質はとても大事だと痛感する。余裕が無いと嘆く前にできることが一杯ある。時間と心の余裕は自ら創りだすものだと、改めて自分に言い聞かせる。
私の部屋にやってきた「小さな夏」に心踊る気持ちを表すかのような、躍動感溢れるタッチのピアノが楽しめる1枚、それが今日のBGMだ。デニー・ザイトリンは寡作で知られる本業精神科医という変わり種のピアニストだが、日本ではファンも多い。その彼が久々に吹き込んだ演奏がやっとリリースされたと聞いて、とりあえず店頭に急いだ。
シックなジャケットに載る彼の表情は、さすがに上品とはいえすっかり年老いていて、録音の貴重さを思わずにいられない。しかしながら、このアルバムにはオリジナル7曲を含む全13曲が収められ、適度な緊張の中にも洗練された響きに満たされている。洗練といったが、彼のオリジナル曲は、今流行のヨーロッパ風ピアノトリオなどと比べるとどこか骨太で、矛盾しているようであるが、気持ちというよりは魂に訴えかけてくるような強さがある。洗練されてはいるが、決して柔くはない。
私が愛聴するアーティストはすでに亡くなっている人が多く、その意味でもデニーの演奏を現在進行形で聴けることに深い喜びを感じる。ここ数日の暑さですっかり弱っていたのだが、この1枚で随分と力を取り戻すことができた。その意味で夏準備にぴったりのアルバムである。
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