音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
細野晴臣&東京シャイネス
 いつかこんなことがあったらいいなあと思い続けていたことが今夜実現した。東京は九段会館での「細野晴臣&東京シャイネス公演」。

 ライブの予定は早々にアナウンスされていたが、大変だったのはチケット確保。ライブ実現に喜ぶ間もなく、チケット確保にあたふたしてしまった。どうやらこうしたチケット争奪戦にはノウハウがあるようだが、今回は運良く2度目に申し込んだ先行予約で最後方ながらもチケットを取ることができた。

 当日出かけてみると、後方というよりは最上席と言った方が的確なほど、私の席は随分と高いところにあった。見下ろすようにしてステージを眺めると、なんだか落っこちそうな気がするくらいの角度で、高所恐怖症の私は、細野さんのコンサートでなければおそらく公演をみないで帰ったかもしれないほどだ。

 細野さん&シャイネスのメンバーが舞台に登場すると会場の雰囲気は一気に盛り上がる。アンコールを含め15曲ほどの演奏は、なんとも和やかでアットホームな雰囲気の中で行われ、終始緊張すると言いながら歌っていた細野さんも、だんだんと調子が出てきたようだった。

 意外だったのは、「風をあつめて」をこうして人前で歌うのはこれまでほとんどなかったとのこと。「練習し過ぎで声あまり出ないです」と言いつつ、アンコールでも「風をあつめて」を再演。長く彼のファンでいるお客さんにはこれ以上ないプレゼントだったのではないだろうか。

 興味深いエピソードが披露された曲間のおしゃべりを楽しみつつ、あっという間に過ぎた夢の2時間。今回のライブで実感したのは、私は細野さんの紡ぎ出すメロディ以上に彼の声が好きなのだ、ということ。素晴らしい音楽に生理的に好ましい要素が重なるとこれ以上ない至福の時が生まれる。

 なんといっても個人的に一番盛り上がったのが3曲目に歌われた「暗闇坂むささび変化」。この曲が入っているとは夢にも思わなかったので、思わず「ももんが〜」と唱和してしまった、否もちろん迷惑にならぬよう小さな声で。曲が終わった後で、やはり小声で歌っていた隣のお客さんと「来てよかったですね」「いやまったく、ほんとうに」などと交わしたことばが妙に生々しかった。

 願いがかなうのは幸せなことだ。と同時に、かなってしまった願いには何か一抹の寂しさのようなものを覚える。幸か不幸か、今日の公演では「イエロー・マジック・カーニバル」や「ウォリー・ビーズ」は歌われなかったので、これらがいつかライブで聴けるかもというささやかな望みを持ちつつ、若い人たちからノウハウを学んで次なるチケット争奪戦に備えたい。


[当日のsong list]
*「ろっかばいまいべいびい」
*「風をあつめて」
*「暗闇坂むささび変化」
*「僕は一寸」
*「Pom Pom蒸気」
*"HI-HEEL SNEAKERS"(Tommy Tuckerのヒット曲、64年の作品だそうです)
*「恋は桃色」
*「ロータス・ラヴ」
*「夏なんです」
*CHATTANOOGA CHOO CHOO(「この曲が一番難しい」んだそうです-細野さん談)
*「終りの季節」
*「はらいそ」
[アンコール]
*「風をあつめて」
*「幸せハッピー」(坂本冬美さんに提供している曲)
*「STELLA」

※なお、当日の模様は夏にBSフジで放映可能性があるとのこと。DVDの発売も予定されているようです。

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4冠ならずとも
 今日はグランプリレースに相応しく、朝から澄み切った空気に陽の光がまぶしいほどの天気。大雪の騒ぎに各馬とも調整に気を遣いながら、無事今日という日を迎えた。

 話題はディープインパクトの無敗で4冠達成なるかどうか。3歳でグランプリを制した馬は少ないというわけではないけれど、3冠馬となると思い出せる範囲ではナリタブライアンやシンボリルドルフぐらいだろうか。でも無敗で4冠を獲った馬はまだ1頭もいない。それほど、難しいということなのだろう。

 結果は、残念ながら記録の達成とはいかなかった。勝ち馬ハーツクライがゴールに飛び込んだときの、あのどよめきというか、スタンド全体の空気が一瞬にしてどーんと沈んだ感じ・・・。4角回ってディープが追い上げる様子が大画面に映し出されるのを見て、彼の勝ちを確信しなかった観客が一体どれだけいただろうか。

 懸命の追い上げもかなわず2着に負けたディープインパクトは、専門家からしても普段とそう変わりないとの解説だったが、歴戦の古馬と並んでパドックを回っている様子はいつもよりほんの少し小さく見えた。いや、実際に小柄な馬なのだから当然の事かも知れなかったが、嫌な予感は得てして当たるものだ。

 私は無気力無言で電車にあたふたと乗り、まっすぐ帰宅した。そして部屋に着くなりレースの録画を再生した。何故ディープインパクトが負けてしまったのか、自分を納得させてくれる理由がただの1つでもよいから欲しかったが、レースはそんな私の浅はかさとは無縁のところにあったようだ―負けて戻って来た馬の鼻面をいつもと同じように、否、いつも以上に「よくがんばったね」といとおしそうに撫でてやるスタッフの方の様子が画面に映し出された時、私は自分の心の狭さのようなものを感じて胸が苦しくなった。

 馬たちには本当に学ぶことが多い。だから競馬をなかなか止められない。固唾をのんで見守った大一番に、私は一体何を期待していたのだろう。日が暮れてようやく胸苦しさからも解放され、外の冷たい風を入れながらぼんやりと今日の出来事を頭の中で反芻した。肌を刺すような空気の冷たさに現実の厳しさを準えつつ、私自身も一からものを考え直さなくてはいけないと思い至った。この冬一番の長い1日だった。
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FB/DJ PARTY VOL.7 < POP ! POP !! POP !!! > Play list by Masakazu Kitanaka
 当日、音楽評論家の北中正和さんにいきなりお願いしてかけていただいた3曲のリストをアップしておきます。3枚のうち2枚は店頭でも試聴台に置かれているような注目の新譜、もう1枚はドイツのアーティストです。


 * * * * *


1.Wir Sind Heldenのアルバム"Von Hier an Blind"より
  "Wenn Es Passiert"

 ドイツのアーティストというと、すぐ思い浮かぶのはNENAぐらいの私ですが、秋にラジオ番組で紹介されたGlasshausといい、今夜のWir Sint Heldenといい、北中さんは女性ボーカルに特徴があって、透明感溢れる女性リスナー好みの素敵な音楽を紹介してくださいます。
 今夜かけられたのは1曲目の"Wenn es passiert"(If it happens)。例えば、彼氏とけんかして、なんとなく仲直りのきっかけがつかめない・・・そんな時に胸の中に流れていそうな雰囲気の曲。今夜の曲も含め、アルバム全曲をアーティストの公式サイトで試聴ができますのでぜひお試しを!


2.Mouss et Hakimのアルバム"Ou Le Contraire"より
  "Neandeltal"

 ゼブダというフランスはトゥールーズのバンドがあるそうで(私が知らないだけで多分凄く有名なアーティスト!)、このアルバムの帯解説によれば、そのメンバーのムースとハキムという兄弟のソロ・デビュー盤がこのアルバムとのこと。
 今夜のような機会がなければ、まず私などは自分で買って聴く機会のない音楽。アラブ音楽、ロックやレゲエ、ラップ、その他いろんな要素がまざりあって何の違和感もなく1つの音楽にまとまっていて、聴き始めると楽しくて止まらなくなります。普段、ロックやポップスしか聴かないよ〜というリスナーの方にもお勧めです。国内盤でもムース・エ・ハキム「はきむす兄弟」というタイトルで店頭に並んでいます。なお当日流れたのはこのアルバムの2曲目です。
 

3.サローキ・アーギ「ラメント」より「赤錆色の夕暮れ」

 ハンガリーの女性シンガー、サローキ・アーギのソロアルバム「ラメント」。ベシュ・オ・ドロームの「ギー!」というアルバムで歌っていたのが気に入って買ってみたら、どこか懐かしい民謡風味が効いたおしゃれなJAZZのような音楽にびっくり。「ギー!」ではもっとノリノリいけいけで歌っていたので、私にはうれしい誤算でした。
 ジャケットも素敵ですが、ブックレットも写真入りの豪華なもの。透き通った声にほんのりと艶のある声が魅力的で、audioファンの方にも超お勧め!のアルバム。寝る前に小さな音で流すととても心地よくてお勧めです。
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FB/DJ PARTY VOL.7 < POP ! POP !! POP !!! > Play list by miss key -- 2nd set
□ 2st Set(22:00 - 22:30)

<song / artist / album>

10.Вторая Половина / Братья Гримм/ Братья Гримм

 ブラーチャ・グリムの大ヒットラブソング。曲よりもジャケに注目していたゲストの方がずっと多かったけど、ギターポップの明るいサウンドは日本のリスナーにも注目されるはず。05年にリリースの1stアルバムの中では一押しの1枚。

11.Мишель / Данко & V.I.P. / Gramofon Russkoe Radio no.12(V.A)

 ちょっとフロアに合いそうなものから1曲。ダンコの最新盤も捨てがたかったが、女性ボーカルとのユニットによるこちらの方がお洒落でお店の雰囲気にも合っていると思う。

12.Все сначала / Кристина Орбакайте / My life

 クリスチーナ・オルバカイテの最新アルバム「マイ・ライフ」より1曲目の「フセ・スナチャーラ」を。ノリもよくて今年のマイベストテンに入るヘビーローテの曲。彼女自身はバラードを歌いたいような雰囲気だけれど、キャラクターにはこの曲のような感じの方が合っているような気がする。

13.Летала до пера / Варвара / Gramofon Russkoe Radio no.12(V.A)

 バルバラのこの曲もラジオなどでよくかかっていた。まだこの曲を含めたアルバムはリリースされていないので、コンピレーションからかけたが、05年リリースの新曲の方は今ひとつだったのが残念。来年出るだろう3rdアルバムに期待!

14.Ночная Кобыла / Мельница / Перевал  

 不思議な雰囲気を持つ文学系バンド、ミェーリニツァ。同じルーツポップっぽさでも、南のキエフ方面ではなくて、北欧やケルトを意識したサウンドも魅力。「歌詞がわからなくても音楽を聴いて感じたままに受け止めて」というのが彼らのコンセプトで、私はそういう姿勢が気に入っています。
 
15.Юность в сапогах / Конец фильма / Юность в сапогах
 
 エストニアのロック・グループ、カニェーツ・フィーリマの3rdアルバムより表題曲、「ユーナスチ・フサパガーフ」(ブーツの青春)。メッセージ性の強い歌を歌い続けている彼らだけれど、サウンドはシンプルで受け止められ易いと思う。この辺りから選曲者の趣味が思いっきり入っている(笑)。

16.Город Обмана / Ёлка / Город Обмана

 ヨールカ(もみの木)はまだ結成されて間もないユニット。彼らの1stアルバムから表題曲「ゴーラット・アブマーナ」(まやかしの街)をかける。ボーカルのヨールカ(女性)の個性が全てとも言える重ための音づくり。ジェーン・チャイルドを思い出させたりもするが、意味深なグループ名や突きつけるようなメッセージは今のロシア社会を表しているかのよう。今後、要注目のグループ。

17.Если в сердце живёт любовь / Юлия Савичева / Союз 37(V.A)
 
 ユリヤ・サヴィチェワの最新シングルをコンピレーション盤から。彼女の名前はサヴィチョワ(ё)だと思っていたけれど、調べ直してみたら普通のeでした(訂正します)。美しいピアノのイントロが気に入って下さったゲストの方がいらっしゃった。彼女を含め、マクシム・ファジェーエフがプロデュースするアルバムは構成も凝っていて、ちょっと前のロシアンポップスとは一線を画している。逆にロシアっぽい泥臭さのようなものがなくて物足りないけれど、ヨールカの重たい曲の後にはこの曲ぐらいしか思いつかなかった。

18.Моя Москва / Валерия / Валерия
 
 10年前のワレーリャのシングル、「マヤー・マスクヴァー」(私のモスクワ)を。ゲストの方がお持ちいただいたので、この鐘の音で始まる曲をかけさせていただいた。ロシアと言えば鐘とお寺の街。彼女のサウンドも、どちらかと言えば今のアルバムよりも当時の方が私も気にいっている。実は当日、1stセットに入る前の時間に、彼女の最新シングル、「マーリンキー・サマリョート」も流している。※ジャケットの絵柄は同曲を収録している彼女のベスト盤。なお当日はシングルCDをゲストの方からお借りしました。

19.Я тебя люблю / Сосо Павлиашвили / Best for you
 
 あまり濃いものは避けようとしてたけれど、最後の1曲くらいはいいでしょう、ということで、ソソ・パブリアーシュビリのベスト・ライブ収録盤よりラリーサ・ドーリナとのデュエットで"I love you"を。ソソ自身はグルジアの人だが、今最もエストラードナヤを歌える歌手は実は彼なのではないかと思っている私。この曲を気に入っていただけたゲストとはとても趣味が合いそうですね(笑)。
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FB/DJ PARTY VOL.7 < POP ! POP !! POP !!! > Play list by miss key -- first set
 寒い中、FB/DJ PARTY VOL.7 < POP ! POP !! POP !!! > にお越しいただいたみなさん、本当にありがとうございました!

 今回のルールは2005年リリースの新譜からセレクトされたロシアンポップス、ということでしたが、つながりの今ひとつのものについては、入れるつもりだったアーティストの別タイトルから選曲しています(ルール違反すみません)。

 また当日、お友達のロシアンフリーク、川口博司さんがワレーリャのマヤー・マスクヴァーのシングルCD等をお持ちいただいたので、2nd setにかけさせていただきました。鐘の音で始まる素のままのワレーリャの歌声、10年前と今のモスクワでは何がどう変わっているでしょうか。川口さん、素敵な選曲をありがとうございました。

 CDの入手方法などご質問はどうぞお気軽にメールにてお問い合わせください。1曲でも気に入っていただけた曲やアーティストがあったらいいなとおもいつつ・・・。


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□ 1st Set(20:00 - 20:30)

<song / artist / album>

1.All About Us / t.A.T.u./ ЛЮДИ ИНВАЛИДЫ

 まずはタトゥのシングルカット、All About Usから。「ロシアンポップスってどういうの?」というゲストが大半の中で、とりあえず名刺代わりの1曲。一時期の荒れた様子はどこへやら、伸び伸びと歌う彼女たちらしさがうれしい久々の新譜。ロシア国内盤でも英語でしか歌われていないので、この曲のロシア語バージョンはどうやらなさそうなのが残念。

2.Невеста / Глюкоза / Глюк'oza Nostra

 グリュコーザは2ndもなかなか楽しめるのだけれど、彼女の1曲となると、どうしてもニヴェースタになってしまう。昭和歌謡のようなムードもそこここに漂わせながら、ティーンエイジャーらしいあっけらかんとした本音の効いた歌詞もなかなか楽しい。

3.Письмо Уме / UMA2RMAN / А может это сон?

 ウマ・トゥルマンの最新盤より1曲、「ウマへの手紙」。彼らの名前は女優ユマ・サーマン(Uma Thurman)から来ているのだけれど、乗れてるのか乗れてないのか、微妙なずれ具合がこれまでロシアンになかったサウンド。一体いくつ引き出しを持っているのかというような彼らの音楽は、これからがますます楽しみ。注目のア−ティスト。

4.Белая / Аквариум / Zoom Zoom Zoom

 「何だかアフリカっぽい」という感想が聞かれたアクヴァリウムのシングルカット。ベーゲーもすっかり角が取れてしまって、それはそれで好き嫌いが分かれるだろうが、私はいい具合に脱力した彼の歌は好き。今年は2枚リリースしていて、後半はレゲエで締めくくったアクヴァリウム。で、来年は一体何!?

5.Серденько / Таiсiя Повалiй / Серденько  

 ウクライナの歌姫、タイーシャ・ポヴァリーの最新盤、「セルデニコ」(心)から表題曲を。セールスに乗ってくるようなアーティストではないので、まず何か機会がないと聴くチャンスがないと思いセレクト。美しいのは歌声だけではないので、ぜひビデオクリップなどでもお楽しみいただきたいアーティスト。※Таiсiяの最初のiは点が2個のi。

6.По лужам / Дискомафия / На соседней улице
 
 クラブ系グループからも1曲、ディスコマフィアの「パルージャム」(水たまりに)を。さり気なく歌われるロシアの日常から切り取られたシーンに、思い浮かべるのは何だろう。今年ヘビーローテの1曲。

7.Берега / Hi-Fi / Союз 36(V.A)

 同じくクラブ系グループからHi-Fiの最新シングルを選ぶ。聴き心地のよい彼らのサウンドは、一般のポップスファンにも違和感なく受け入れられたよう。ステージもなかなか素敵なので、いつかはぜひ来日してもらいたいアーティスト。

8.Жестокая Любовь / Филипп Киркоров / Незнакомка
 
 この曲は今年のものではないけれど、「すでに3月にはアーラと別れてた」というショッキングなニュースが飛び込んで来たのは最近のことで、ひょっとしてこの曲を歌っていたときは既に・・・なんて勘ぐりたくなってしまう私です。ひとり静かに聴くと泣ける1曲です。

9.Моя / Чай вдвоём / Утреннее чаепитие

 チャイ・ヴドゥヴァヨーム(二人でお茶を)の今年リリースされた2枚シリーズのベスト盤から選んだのは「マヤー」。抽象的な歌の文句だけれど、一度聴いたら忘れられない美しいバラード。前半の最後にぜひお聴きいただきたかった曲。
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< FB/DJ PARTY VOL.7 - POP! POP!! POP!!! > のお知らせ
 私がいつもお世話になっているForest Beat Desert Jazz主宰のDさんが、POPの大好きなリスナーのために忘年会を開いてくださいます。私もその場を少しだけお借りして、ロシアンポップスの今年注目された新人アーティストやチャート上位を独占した話題曲などからいくつか選んでかけさせていただくことになりました。会場はそれほど広くありませんが、ご興味のある方、ぶらっと覗いてみてください。

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< FB/DJ PARTY VOL.7 - POP! POP!! POP!!! >

DATE : 2005年12月17日(土)
TIME : 19:00 - 24:00 (or midnight?)
SPACE : 渋谷・国境の南
http://www.kokkyo.net (TEL: 03-3463-5381)

DJ : miss key (Russian Pop) + FB/DJ (World Pop)

年の終わりが近づいて、暗い話、悲しい話、情けない話ばかりが、ますますはびこっているようにも思いますが、せっかく音楽を愛しているのですから、せめてはハッピーな極上ポップに耳を預けながら、1年を締めくくりたいものです。そのような思いから今回のFB/DJ版の忘年会のテーマは『POP』。小難しい音楽談義は少しの間だけ忘れて、HAPPYでPOPなサウンドを素直に楽しんでみませんか?

DJはロシアン・ポップ・フリーク・レディの miss key さんにお願いいたしました。最近のロシアン・ポップのお薦めを披露していただきます。私DB/DJは、ワールド・ミュージックではなく、今年のワールド・ポップをプレイする予定です(なので、アフリカものはかけません。カニエ・ウェストからロロロまで、2005年のワールド・ポップのみを回そうと選曲中)。

さて、ここで宿題!
今回も EL SUR ルール(?)を採用です。

ご来場下さる方は、今年聴いた中で一番 HAPPY な POP を持って来てください。できれば、自分だけではなく、誰もを HAPPY にさせられるものを。時間はたっぷりありますので、何曲でもOK!

今年最後のFB/DJ PARTY です。
どうぞヨロシク!!
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美味しいアップルパイは何処に
 たくさん食べられなくなった、という話を書いたばかりだが、ここ数年の不景気のせいか、通っていた店が営業を止めたり、移転したりで、慣れ親しんだ味を求めてボヘミアンになっているものが少なくない。

 アップルパイはその最たるものの1つで、日常的に食べるものではないが、ふと食べたくなるとそこの店のを買ってきていたのが、久しぶりに出かけてみると移転かなにかで店はなくなっていた。となると、かえって食べたくなるのが人情。ブランドにそれほどこだわりはないので、どのお店でも構わない、似たような味わいのアップルパイはないだろうかと足を向けたのが新宿のデパ地下街。

 切り売りのをいくつもお試し買いするのがいいが、そんな一度に食べられないし、それに、シナモンが入っていないパイが結構あるようなのだ。最近はアレルギーの関係なのか、含まれる食品などが表示されていたりするが、私はシナモン抜きのアップルパイなどあり得ないと思っている。お店の方に尋ねてみると、今時のアップルパイは「如何に美味しい林檎がたっぷり入っているか」ということに差別化のポイントがあるようで、「うちのはどこそこの紅玉です」とか、「パイ生地は薄く、たっぷり林檎が入っています」(うーん、たいやきじゃあるまいし)というのがほとんどだった。

 アップルパイ一つで難民になるのは大変だが、以前ロシアでホームステイしたときに、そのいずれの家庭でも美味しいアップルパイ(もちろん手作り)が出されたものだから、他の物はともかくとしてこれだけは執着がある。自分で焼いたりできればいいのだが、お菓子に凝ると失敗作を食べ続けて体重がどんどん増えるため、やはり買って来た方が合理的だ。昔食べた美味しいアップルパイは何処に。「ここのが美味しい!」という情報がありましたらぜひお寄せください、よろしくお願いします。
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健啖と呼ばれて
  【健啖】さかんに食べること。食べるさま。※健啖家:大食漢

 俗に「やせの大食い」という言葉があるが、まさにかつての私はそれにピッタリであり、よくもまあそんなに食べるねえと人を呆れさせるのは日常茶飯事であった。ちなみに身長は中学入学時より変化はないが、文字通り大喰いだった当時の体重は38kgほどで、今時の美しくダイエットしたお姉さん方にも負けてはいないだろう。

 ところで、「健啖」という言葉を聞いたのは随分大きくなってからのことだった。職場に入ってから、「**さん(私)は随分と健啖ですねえ」と年配職員の方々から羨ましそうに言われたのだ。その頃はまだバブルの残り香の如く、女性向けに豪華料理の食べ放題やデザートビュフェなどが流行していて、某ホテルなどでは毎週決まった時間にかならず催されていたものだ。私の給料がまだまだ安かったこともあるが、お腹いっぱい食べたい!と思うと、昼ご飯代わりにそうした”食べ放題”や”タイムトライアル(時間内に食べると只になったりするやつ)”に出かけていたので、そう呼ばれるのも無理はない。

 私は30過ぎるぐらいまでよく食べ、よく飲む習慣は変わらなかったのに、体重が今ぐらいに落ち着き始めてから、めっきり食べられなくなった。ケーキ食べ放題の広告にも心奪われなくなってしまった。食に関心がなくなったわけではないが、量的には以前に比べ、もうそれこそ全然食べられなくなってしまった。

 ネット上で探し物をしていたら、偶然、ジャンボパフェ荒らしの愛好家さんのサイトに行き当たった。何でも同好の士が大勢いるらしく、1つ1万円を超える想像を絶する大きさのパフェの攻略までリポートされていて、私は時間もないのについ熟読してしまった。まあここまで来ると、食べる楽しみを超えてもっと別な世界があるが、それでも何だか羨ましい。

 帰宅途中の買物で、デリカの売り場にジューシーで美味しそうなチキンバスケットを見た。たった5切れ「しか」入っていない、7つの方にしようかなどと思いながら1コインで買える5個の方にした。なのに、帰って来て温かいうちにといざ食べ始めてみたら、2切れ食べるのが精一杯だった。

 冷めたチキンバスケットを眺めながら思う。かつて先輩職員が私を指して健啖家だと楽しそうに話すのが可笑しかったのだが、たくさん、しかも美味そうに食べる様は、人から見ていても気持ちのよいものなのだ。あんなに食べられたらいいなあと。今ここにかつての自分を懐かしみつつ、食欲旺盛な人を見て羨ましく思う自分がいる。「食」への考え方を少し変えてみようかなと思う今日この頃である。
よもやま | - | - | author : miss key
旅をするなら
 冬の旅というと、温泉や美味い魚が食べられるところという具合で、およそイマジネーションとか発想の豊かさとはほど遠いところにある私だが、この季節の印象深い旅行というと、初冬に訪ねた阿蘇・天草巡りと冬の富山を味わうブリツアーの2つだ。

 ブリツアーって何よ、といわれそうだが、この時期、富山では美味しいブリが食べられる。それこそブリしゃぶ(美味しい日本酒を使っての!)や刺身、煮付けとブリのフルコースである。ブリづくしにするために丸々魚を1本仕入れる都合から、人数がそれなりに揃わないと難しいが、当時たまたま知り合った方のご縁で地元の宴席に参加させていただく事ができた。

 もちろん富山に向かう目的は他にもたくさんあって、1日に数本しか運行されていないローカル線乗車や能登方面に向かう途中にある温泉巡り、あるいは富山港にほど近い町にある寿司用の鱒を加工している商店や寿司店を訪ね歩き、本当に美味しい鱒寿司を体験すること、などなど。その頃は鉛筆や割り箸と墨でスケッチをして遊んだりしていたので、立山連峰を臨む静かな港町で熱いお茶をすすりつつせっせと風景を写し取ったりもした。どれもこれと選べない思い出深いものばかりだ。

 そうそう、富山と言えば越中富山の薬売、というくらいなので、老舗の薬屋を訪ねたりもした。まる3日富山に滞在したが、あっという間に時間は尽きて、暗くなった街を後にした。前から乗りたかった特急はくたかに揺られ、雪のどっかりと積もった十日町を車窓から眺める。民家から漏れる灯りの何という温かさよ。

 これまで、行った先で「帰りたくない」と思ったのは国内で3つ。最初に書いた天草の先の隠れキリシタンの里と云われる小さな港町と松江、そしてこの富山だ。3カ所とも港町なのは、海に沈む夕陽の美しい町にいつか暮らしたい、そんな思いがあるからかも知れない。

 この冬は田舎に一度帰った後、いろいろと片付け物があるためにまとまった日程で旅するのは難しい。せめて当時の写真を眺めつつ、夢の中で旅に出ることとしよう。今夜はとても冷えるから、温泉につかる夢で穏やかな朝を迎えたいものである。
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リアルな夢
 毎晩夢を見る、と人に話す度に笑われる私である。まるで子供のようだとも云われるし、「眠りが浅いだけ」とかえって健康を気遣ってくれる人もいる。夢を見ている時間は眠りが浅いというのを何かで読んだことがあるが、一体正味どのくらいの時間、夢を見ているのか、時計で計れるものなら計ってみたいとも思う。

 私の夢は色付きである。カラーだからモノクロよりも優れた夢だ!などと下らないことを言うつもりはない。日頃、私という人間はものの形よりは色で見ているようだ。頭の中の記憶の底で、より鮮明に残っているのは色や音であり、例えば人物にしても、輪郭や髪型はいい加減で、夢の中で「**さん」と話しかけているのに、起きて思い出してみれば、全然違う人の姿形を適当に置いていたりする。それに対し、声の印象などは、まるで真空パックされたようにあまりにも生々しくリアルだ。

 夢の舞台とは非常に面白く、また通常起きているときに記憶を掘り起こしてあれこれ思い浮かべるのとも違っている。私の夢は、なぜか異なる年代の記憶がチャンポンになって展開されることが多い。いい加減な私だからそういうことが起こるのかもしれないが、40年近い私という歴史のなかで、まるでパッチワークのようにつぎはぎにして、いろいろなエピソードが掘り起こされていくのが面白くてならない。

 最近は、何かに追いかけられるとか、恐い夢はほとんど見なくなった。そういう夢を見ているときは精神的に追いつめられていたり、あるいは単に調子が悪くてお腹が痛かったりしてその影響があるなどと聞いている。今の職場に移ってからは、努めて発想や気持ちの切り替えをするようにしているので、夢の中までしんどい思いをしないで済んでいるようだ。

 私は常々思う事がある。「こういう夢を見たい!」と思ったらその夜は朝まで自分の思い浮かべた通りのストーリーが夢に展開されるといいなあと。思い通りのキャストで、結末も筋書き通りで(笑)。「そんな夢に登場させられたら堪らない」と一瞬想像された方もいらっしゃるかもしれないが、所詮、他人の頭の中の話。そこは寛容と慈愛の心をもってどうかお許しいただきたい。誓って見た夢の話をここにひけらかすような真似はいたしませんので―。
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