音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
まるで絵のような
 今日は天気も悪かったので、気になる「勝負」をTVで端から観戦した。まず一つは横浜国際駅伝。日本は将来を見据えた若いチーム編成で、ロシアや中国、エチオピアといった強い相手に胸を借りるようにして走るのだろうかと思いきや、最終区の新谷選手のゴールには思わず声が出た。

 コース後半のデッドヒート、抜きつ抜かれつとはこのことで、じりじりとガチンコの走りが直前まで続き、もうだめかと思うような場面がいくつもあったが、新谷選手はゴールテープのほんの手前でエチオピアの選手よりぐいと前にでて3位。しかも区間賞というからその精神力には驚いてしまう。

 次いで、今日で引退という松永幹夫ジョッキーの阪急杯、そして文字通りラストランとなる最終12R。阪急杯には高松宮杯を睨んでそれなりの強い馬が揃っていたが、松永騎手が跨がるのは11番人気のブルーショットガン。それが、ゴール前にスルスルと進出してとうとう先頭馬を抜き去り優勝。その模様を画面に映し出していた中山でもゴール前から拍手が巻き起こった。

 去年の天覧競馬の天皇賞といい、何と絵になる人かと思ったら、最終レースのフィールドルージュでもきっちり勝って、通算勝利1400勝を達成した。牝馬に強いというミッキーが"ルージュ"という名の馬で勝ったのは何かの縁かも知れないが、それにしても有終の美とはまさにこういうことをいうのだろう。

 そして何といっても「こんなデビュー戦なんてない!」と話題になっていた亀田三兄弟の二男、大毅が1R、23秒の強烈なKO勝ち。しかもその後リング上で歌までうたってしまうというおまけ付き。兄弟の人気にあやかる演出なのだろうが、それにしてもすごいパンチだった。

 兄を意識しすぎた振る舞いに、まだ彼らしさがどこにあるのか私にはよくわからないけれど、とにかく兄弟揃って無事に進んでいってもらいたいというボクシングファンには心躍るような彼らの活躍に、何となく沈み勝ちな気分もTVを消した頃にはすっかり晴れ渡っていた。

 先日のトリノでアジア人初のフィギュアスケート金メダルを獲った荒川選手にしても、そういう星の元に生まれているのか、あるいは人の何倍もの努力の賜物なのか、世の中には絵になる人がいるものだ。

 それにしても、ミッキー。これで最後というのが返す返すも惜しい。観る者にそう思わせずにいられない、まるで絵に描いたようなラストラン。久しぶりに"観戦"を堪能した1日だった。
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『私一人』
 人から可愛げのないと言われる私が、以前からずっと「ああ、なんてこの人は可愛いのだろう」と思わずにいられない人がいる。女優の大竹しのぶさんだ。

 彼女が最初の結婚をして男の子を生み、復帰してからすぐのことだったと思う。TVのトークショーで「お子さんは幾つですか?」と訊かれた彼女は「いち」と一言。相手のタモリが「ふつうは一歳とか言うじゃないですか(笑)」とつっこみながらも、彼女の溢れんばかりの笑顔にすっかり参っていたようだった。それを画面で見ていた私も、ああ何てこの人は可愛い女性なんだろう、チャーミングで健康的な伸びやかさ、天真爛漫とでも言うのか、その魅力に羨ましさにも似た感覚を覚えたものだった。

 彼女の自叙伝が出るという話をラジオかなにかで耳にしていたので、これはぜひ読まねばと思っていた。年明けすぐと記憶していたが、今日、近所の書店の平積みになったのに気づいて買ってみたら、すでに第3刷。これまでの結婚や恋愛についても思いが綴られているという触れ込みだったので、話題性もあったのだろう。

 淡々と綴られた文章に特別なものを感じる訳ではないが、タレント本にありがちな取って付けたような造りもの臭さはなくて、逆にどんどん読み進めてしまえるような流れのようなものが一貫している。私は彼女の持つ可愛さの源が一体どこにあるのか、それが知りたくて『私一人』を読んでみたのだが、それは文字通り持って生まれたものの他に、自分に対して正直であるということが大きな要素のような気がした。

 女優という、しかも人気女優という立場柄、正直であり続けるというのは大変なプレッシャーだったのではないかと想像する。二度目の結婚や別れ、その後の恋についても率直に触れられているが、あまりにもあっさりと語られていて驚いたのは彼女の「男の人をずっと好きでいられない」という言葉だった。

 人間誰しもエネルギーの要る状態を長く続けることはできないので、そのこと自体は人という生き物のもつ摂理のようなものではないかと思うが、その自分に対してあまりにも正直でありすぎることが、必ずしもその人自身を幸せにするとは限らないようだ。

 翻って、普通のサラリーマンである私も、自分の気持ちに正直でいることは結構大変なことだと思い始めている。言いたいことを言える人、と周囲から言われたりもするくらいだから、自分の気持ちにウソは付けない不器用な人間であることは少しは理解されているようだ。ただ、それは必ずしも一番楽な身の処し方とは言えなくて、巧く自分を騙すことができればそれに越したことがないと思えることもある。

 最近よく考えるのは、可愛いというのは年齢には関係ないということだ。若い時の見た目の可愛さや美しさとは違い、その人の内面から溢れるものには時限がない。私も心持ちの可愛さのようなものをほんの欠片でも持てるようになりたいものだとつくづく思う。何かと余裕がなくてぎすぎすしがちなこういうご時世だからこそ、気持ちの有り様にもっと目を向けたいと強く感じるのかも知れない。

 『女一人』は男性が読んでどうこう思う本ではないかもしれないが、私には考える種をいろいろと与えてくれた貴重な一冊だった。或いは、この本を読んで、女性として生きることは結構しあわせなことかも知れないなどと思えたりもした。女性の方には単なるタレント本と思わずに、書店で手に取ってご覧になることをおすすめしたい。
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買物は面倒
 もともとものぐさで面倒臭がりなので、必要なものの買物ですら先送りにしがちであったが、そろそろ春だと思ってタンスを覗いたらあれもこれもと足りないものばかり。仕方なくだるい体を引きずって街に出かけた。

 周りには買物で憂さ晴らししているという同僚も多くて、先日など素敵なペンダントを見せてもらったりしたせいか「私もそういうのが欲しい!」などと思っていたのだが、実際に売り場であれこれ眺めていると、それだけでお腹一杯になってしまった。

 これでは用事が済まないうちにうちに戻りたくなる、と思い、春物のスーツや靴を見て歩いたが、どれも今ひとつピンと来ない。ここ2、3年、服を買うのに苦慮しているのは、腰を絞った窮屈なデザインのものが流行なのか、そういうのばかりで、座りっぱなしの仕事に向いているようなのがなかなか見つからない。

 でもまあ、気分転換にいいかな?とマーメイドデザインのスカートを試着してみた。なかなかフィットして感じもよいが、体の線がくっきりと出過ぎてしまい、3月一杯までとはいえ職場の「セクハラ相談員」を仰せつかっている私としては、「これはまずいだろ」と思われた。

 イメージチェンジで受けは狙えそうだったが、まあ職場でウケ狙っても仕方ないなあと思い、また別なのを探そうとおもってあれこれ見てみたのだが、やっぱりこれがいい!と欲しくなるような服は1着も見つからなかった。日頃そういう買物をしていないから探し方も良くないに違いない。

 思えば、春からの職場は雰囲気もがらりと変わるだろうから、新しいところに移ってから身の回りのものを揃えた方が無難かも知れない。それを言い訳にして、また面倒な買物は先延ばしにすることにした。それにしても、お金を預けるから予算内で誰か代わりに買物してきてくれないかなあとはいつも思うことだ。

 ただ今日の買物は決して無駄ではなかった、と思えることが一つ。最近体重が気になっていたが、やはりダイエットすべきだと痛感した。どんなにあまのじゃくで強情な私でも重力には逆らえない。春はもうすぐだ、急がなければ間に合わない。早速、計画をつくることにしよう。
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16年振りの面接
 随分と久しぶりに面接を受けた。数えてみたらちょうど16年振りのこと。今の職場に就職する際の最終面接以来で、そういえば複数の人からあれやこれやと自分のことを尋ねられるなんて、緊張もするがそれはそれで楽しみなことだなと思って呼び出しの通知をまじまじと眺めた。

 事前に十分な時間があれば、それなりに想定問答でもつくってきちんと準備しようかと思ったが、通知が来たのは前々日のこと。かえってありがたくもあり、体調だけは崩さないようにと思ったが、前日に酷い事件があって上司の愚痴に夜通し付き合う酒の席だったため、やっぱり寝不足で当日を迎えてしまった。

 今回の面接は、春から今とは全く違う職場に異動することを前提にしてのこと。転職に近いほど仕事の内容が変わるため、本人の意志確認や適性をみるためのものだという。それでも、尋ねられたことの大半は「残業にどれだけ耐えられそうか」といったような内容で、正直驚いてしまったが、まあ厳しい質問をして様子をみてみようといったこともあったかも知れない。

 そこそこの年齢の人間をトレードしてまで採るのだから、それなりのリスク覚悟で採用していただいたのだろうが、面接の担当者たちはもっと違うイメージの人間を想像していたようで、私が部屋に入ったときは少々拍子抜けしていたようだ。面接を受ける側に表情を読まれるようではどうかとも思うが、球数の少ない中でできるだけましなのを採りたいという気持ちはその立場に立てば痛いほどわかることなので、訊かれたことには私もできるだけ隠さず詳らかに答えたつもりだ。さて、結果はいかに。

 それにしても、自分のことをあれやこれやと訊かれるのは意外に楽しいことだった。思えばそんな機会は滅多にないのであって、面達で鍛えた幕の内弁当のような応答よりは、自然体のやりとりが面接官も新鮮なようで、わずか20分かそこらであったが、なかなか充実した時間が過ごせた。

 今の職場の上司や同僚が随分心配してくれたりしたのが、なんといってもありがたかった。こういう時こそ周囲が自分のことをどう思ってくれているのかわかるようでもあり、なんだか面接よりはこういうことで日頃の自分が試されているような気がしたが、「新しい場所で2年頑張ってだめだったらまた戻ってこい」という上司の言葉に胸が一杯になった。

 ここのところ、ずっと仕事がキツくて逃げ出したいほどであったが、今回のことで何とか頑張れそうな気がした。人間を動かす原動力というのは、やはり気持ちなのだと改めて痛感する。春がもうそこまで来ている、そんな気がする清々しい1日だった。
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【更新情報その他】
 今夜のWorld Music Timeは最近のロシアンポップス特集でした。

 ロシアの曲もそうですが、もともと置き換えないと英字表記できないアーティスト名や曲名というのは、翻字が間違っていると検索にも使えなくなってしまうという面倒さがあります。逆に、英語訳のみで元々のタイトルがわからないと元ネタに当たるのに厄介なことがあります。ここら辺をどうしたらよいか、使い勝ってのよいリストづくりをどうしたらいいか、まだまだ工夫が必要かなとは、今日リストを作っていて思ったことでした。

 今日の番組中にもキルコロフの歌う"Gold-domed Moscow"という曲がリクエストされていて見つからないという話がありましたが、民謡系のコンピレーションはそれこそ山のようにリリースされていてアーティストの特定や、逆にアーティスト別のディスコグラフィーからは辿りにくかったりします。時折、このサイトあてにも探し曲のお問い合わせをいただけたりしますが、うまく見つかるときとそうでないときがあります。後者は大抵オリジナルではなくコンピレーション系のものが多いです。

 それにしても今年の冬は寒すぎます。写真でも撮りに行きたいと思いつつ、時間があれば音楽を聴きながらうたた寝をするのが一番幸せだと感じています。
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寝る時間を30分削ってすることは
 先日、気の置けない友人たちと久しぶりに中華を囲んで話していたときのこと。メンバーの一人が「僕もついに40になったよ。40になった、とおもったらなんだか急に力が抜けたというか、どっとくるものがあってね、なんだか鬱になっちゃったよ」というようなことを話していた。私とその彼がグループの中では年長で、あとは30半ばから20代なので、「40になるというのはそんなに大変か」というような顔をされてしまった。

 あと何ヶ月かしたら同じような体験をするかもしれない立場にある私が最近、特に感じるのが「瞬発力」や「反応力」に欠けること。一つか二つのことをじっくりやる分には、別に若い人や逆にベテランとくらべてもどうという違いを感じずにいるけれど、扱うテーマがどっさり増えてくると事情が変わってしまう。この3週間ほどは常に5、6つのテーマを抱えていて、1つ終われば2つ新しいのが増えるというおかしな状況の中で走り続けていたら、悲鳴を上げたのは体ではなく頭の方だった。飽和してしまって新しい情報が頭に入って行かなくなった。

 いきおい仕事にかかる時間は伸びがちになるし、それだけ睡眠時間も短くなる。でも帰って寝るだけになると、ますます仕事の効率は悪化していく。何もする時間がないというストレスがこれでなかなか厄介だった。なので、寝る時間を30分削って本を読む、というルールを作ってとにかく頭を切り替えるのに役立ちそうな本をどんどん読んだ。30分しか読んではだめだと思うから、くたくたで目もまともに開けられないのにとにかく読む。力ずくでがしがしと文章を噛み砕き、頭に叩き込む。

 それでも、いかんせん年齢のハードルというのはやはりあって、以前なら大丈夫だったことも、今は随分負担に感じることも多くなった。前みたいにできなくなったこともある。特に読書はそうで、たくさん(頭の中に)入れて必要なものだけ都合よく引っ張り出すことができてたのに、今は入れることすらできない。がしがし詰め込んだところで、活字の残骸が頭の中に積み上がっただけであった。それになんといっても感慨に乏しい。何てとぼしいのだろう。

 読書量を維持し、頭の切り替えをするために別な刺激や話題を与えるのがいいと単純に考えてやってみたが、残ったのは何ともし難い寝不足感と疲労感。お金と時間を使って残るのは疲れだけというのでは最悪だが、そうやって読み潰した本の中に、人に勧めても良さそうなものがいくつかあり、例えば、武信悦夫の『ワンコイン悦楽堂』などはその1冊。

 51という若さで事故で亡くなった著者は元々朝日新聞の記者だったが、晩年、ネットで書評をこつこつ発表していたのを1冊に編んだもの。10代の頃から万巻の書に親しみ、14歳で小林秀雄論を書き上げたほどの人だったそうだ。本書からはそういうある種の険しさや評論者にありがちな冷たい視線というのはあまり感じられない。むしろじんわりとした鉈のような切れ味と、一定に保たれる著者と作品との距離感が読み手にある種の心地よさを与える。肩の凝るような話題は少なく、数分で読み切れる短編の束になっているので寝る前の読書にもぴったりである。
 
 というわけで、少々休息を取って、読書もルールを変えようと思う―朝、気持ちよく目覚めたら家をでるまでの間、お茶しながらゆっくりと読める分だけ読むことにした。元々、勤勉ではないので、ちょっと根詰めてはたらくとすぐ体に来てしまう。周りの若い人と我が身を比べては情けなさを感じつつ、まあそろそろ大台なのだからギアをチェンジしないとなあなどとお茶を濁す今日この頃。それにしても本の読み方まで変えていかなくてはならないとは思いもよらなかった。大台一歩前の笑うに笑えない話であった。
よもやま | - | - | author : miss key
Floydの再結成はならず
 D.ギルモアのインタビュー記事にため息が出た。予想はしていたのだけれど、フロイドの再結成はもうないときっぱりと言い切っていた。live8でのことはそれ1度限りだとも。live8の意義を再確認しながらも、「Pink Floydを再結成して活動していくにはエネルギーがたくさんいる。僕はもう60・・・」と率直な思いを吐露するギルモア。
 
 3月に彼のソロアルバムがリリースされる予定だが、内容はFloydファンには堪らない音作りになっているのだとか。これに合わせて予定されているツアーも瞬間的にソールドアウト。一人のプロジェクトの方がのんびり好きにやって行けるのだろう。ロジャーの「もう一度やってもいい」といった発言が出て、再結成のハードルはかなり低まっているのではと内心期待もしていただけに、記事を読んだそのときは思いっきりどっときてしまって、座り込んでしまった。

 イギリスでもフランスでもアメリカでもどこでもすぐ行けるように、貯金も随分貯まったのに、ぶたの中に貯まったお金は使い道がなくなってしまった。ここ数ヶ月、楽しい夢を見られただけでも十分かななどと思いつつ、ぶたの中からお金を引っ張り出す気にもなれない。せっかく貯金癖がついたので、このまま無目的に貯めてみようか。いやいや、貯金は目的があるから意味があるのだし、楽しいわけで、単に貯めることに執着しても空しいだけだ。

 N.メイスンが書いた半ば暴露本とも言われている"Inside Out"は、それを読んでしまうとFloydの「完結」を認めてしまうようでなかなか手が伸びなかったのだが、とうとうamazonでオーダーしてしまった。ファン必携と言われるほどなので中身はとても充実しているのだろうが、読み終えたらそれはそれでまたどっときてしまいそうだ。

 思えば夢を頭に思い描いている最中というのは、本当に楽しいものだった。どうやって休みを取ろうかとか、あれこれ考え始めるときりがなくて、でもそういうことがあるからここ数週間根を詰めてはたらいてこれた。夢は夢に終わってしまったが、仕事はまだまだ先が長い。やれやれ・・・。

 そういえば、"PULSE"のDVD(UK ver.)が年内にリリースされる予定とのこと。国内盤も多分出るだろうからせめてそれを心待ちにしよう。何かを待つというのはあまり得意ではなかったのだけれども、待つ何かがあるということは幸せなことだ。貯金箱のぶたの顔が何となく寂しげに見えるのは気のせいだろうか。再結成がないということの諦めがつくのにはもう少し時間がかかりそうである。
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【ロシアンポップスを特集した番組のお知らせ】& 更新情報
 NHK-FMの「World Music Time」でロシア音楽の特集が組まれます。ご興味のある方はぜひお聞きください!

☆ 2月12日(日)21時〜22時 / NHK-FM "World Music Time"

 案内役は音楽評論家の北中正和さんです。今回の特集では、ロシアのいまどきのポピュラー音楽を取り上げていただける予定です。
 当日流れた曲目については、後日、私のサイトでもご案内したいと思っています。

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 最近の更新状況については、今年はあれこれ内容を充実しようと思いつつ、なかなか実現できていませんが、新しく始めたおすすめアルバムの紹介は三日坊主の私ながらなんとか1ヶ月間続きました。ですので、レギュラーの項目にしてほそぼそながら続けていこうと思います。

 日記に画像を貼るのが面倒なため、時々思い出したようにして書いていたおすすめ集は、memorandumに載せるようにしましたので、ぜひご覧下さい。Jazzからロシアンポップスの新譜、World系からプログレはたまたHR/HMまで、ジャンルにこだわらず聴いて良かったものをご紹介したいと思います。

 ここのところ、凝っているのはアラブポップとシンフォニックかつプログレッシヴなメタルロック。アラブ系の音楽は濃度の点でロシアンと同じくらい(笑)。なので、ロシアンにはまっている方にはぜひ一聴をお勧めします。

 遅ればせながら、今年もどうぞよろしくお願いします。
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小学生のマネーゲーム
 「財テク」という言葉が流行したのは、今からおよそ20年前のことだったか。後にバブル景気と呼ばれる好景気が持続して、日頃は投資に興味を示さない層まで株や先物買いに手を出し始め、学生に至ってはマネーゲームサークルと称する輩まで現れた。

 学生たるもの学業にいそしむべきとまでは言わないが、高校まではサボりがちだった自分のことを悔いて大学の4年間はほとんどどの講義も休まず出ていた私にも、その「お誘い」は突然やって来た。

 当時、だんだんと普及し始めていたノートパソコン(PC-98)で株価の行く末を分析し、小金持学生に銘柄を勧めたりするサークルに知人が入り、「これからはこうでなくちゃ」と得意げに画面を私に示しては、「**さんも少しは買ってみたらどう!?」としきりに投資を勧めるのだ。

 その頃はアルバイトで自活していたから、お金の運用には少しだけ興味を持った私であったが、お金儲けは正直自分には合わないと一歩引きながらも、小額の資金で株を買ったのは3年の冬の頃だったかと思う。友人の勧めに従って株を買ったはいいが、株価というのは本当に小刻みに動くので心臓に悪い。本当に、株の値動きが気になって一喜一憂を繰り返し、生きた心地がしない。

 マネーゲームという言葉の響きも手伝って、当時の私は株の売買を単なる余剰資金でのお金儲けと勘違いしていたが、本来はリスクを負って成長性の見込める企業や支持したい企業に対して投資をすることだ。また株の世界はある種様々な憶測や駆け引きの上に成り立つガラスの城のようなもので、決して企業の実績評価の反映にとどまらない。

 結局、10万円ほどの原資を倍ほどに増やした時点で私はすっぱり株を止めてしまった。その間わずか数ヶ月。友人の素晴らしいナビゲートのおかげで結果オーライだったものの、思えばプラス収支であったのは奇跡だった。普通はうんと「痛い思い」をして退場するのが相場だろう。私が株で払った授業料は、幸か不幸か心落ち着かず過ごした時間の犠牲程度で済んだ。

 いまどきはライブドアブームも手伝って、小学生でも親の許諾のもとに株を買っているという。パソコンで手軽にデイトレードできるからだろうが、そんな風で授業に身が入るのだろうか。人はみな年齢や成長ステージに応じて経験したり学ぶべきことがそれぞれあるだろうに。私がもし小学生トレーダーだったら、将来はばかばかしくて働く気がしないような気がする。

 取捨選択の余地なく情報が洪水のようにして私生活に流れ込む現代では、「知らないで済む幸せ」はなかなか成立しない。人を出し抜いて成功することよりも、真っ当な生活を選びとることにある種の勇気を要する時代。こんな世の中に楽しいはずの子供時代を過ごす彼らを気の毒に感じるのは私の驕りなのだろうか。あるいはそうであって欲しいと思う。寒さをことさら強く覚えるのは何も厳しい寒波のせいばかりではない。心の豊かさとはなにか、いま改めて問われるべきだと思う。
よもやま | - | - | author : miss key
「春」はまだ遠い
 朝日が心地よく、いつも通り目が覚めながらもベッドの中でラジオを聴きながらぼんやりしていた。ピーター・バラカンさんの番組を久しぶりに楽しんだが、今日はソウルのビッグスターの特集だった。ソウルってどんな音楽のこと?と前から気になっていたが、その歌手がかつてステージで語った「言葉で巧く言えないけれど、聴くと自然と足が動き出したり、体をじっとさせていられない、そんな音楽のこと」というエピソードに思わずうなづいてしまう。

 ここ2週間、深夜帰宅が続いたせいか、朝方におかしな夢を見ることが多い。ストーリーも登場人物もはちゃめちゃなものもあれば、思い出深い出来事の再現のようなものもあって、起きた瞬間はたと考えさせられるようなものも少なくない。寝ている間も考え事をしているのだろうかと思うとうんざりだが、面白い夢を見た朝は寝不足でも職場に自然と足が向く。

 「今日は仕事にいきたくなかった」「明日はやすみたい」といった言葉を同僚たちから頻繁に聞く。そうはいっても誰一人として休むような人はいないのだけれども、せめて本音を口にすることでストレスを少しでも軽くしようとしているのか。誰に向かってということのない独り言も増えて、ため息が目に見えるなら、きっと天井近くまで積もりつもっているだろう。

 最近になって鬱病で2年ほど休職していた方が復帰してきた。いきなりは仕事にならないので週に2度ほどの馴らし運転状態だが、その人の様子に一度心が壊れてしまうとその復旧には時間がかかるというのが痛いほど分かる。精神的な疾患がその人だけのせいだとも、あるいは世の中が悪いからだとも思わないが、ライン(担当)違いとはいえ傍に居て何のケアもできない自分に居心地の悪さを感じる。

 音楽を聴いて思わずステップを踏んだり、自然と体が動いたりするのは、心が健やかだということ。みんな音楽を聴けば幸せになれると思うほど私はおめでたくはないが、せめて職場にBGMでも流れていれば随分気分も違うのになと思う。精神的な余裕が持てる方が、仕事の能率も上がるに違いない。

 資料作りに追われてつい押し黙る時間が長く、「冗談を言う人もいなくて今週は気詰まりだった」という後輩の言葉にはっとした。来週は顔を上げて職場の「風通し」にできるだけ気配りしなくてはと反省の1日であった。
よもやま | - | - | author : miss key