魂に近づく―Basie is back! | 2006.05.28 Sunday |
昨晩、雨の中、秋葉原はDinamic Audio Sound House 5Fで開かれた"Basie is Back"に出かけた。それほど広いとは言えないフロアに、20人ほどのお客がぎっしり詰めかけたのは、店長の厚木さんの渾身の調整でベイシーの新譜が聴けるということに加え、スペシャルゲストの山口孝さんの解説がつくというこれ以上は望めない素晴らしい条件に他ならないだろう。
このアルバムは、つい先日発売されたばかりのLPで、05年10月に仙台で行われたカウント・ベイシー楽団の結成70周年記念ライブ盤だ。エイティ・エイツからリリースされる新譜で悩ましいのは、LPとCDでは曲目が一部異なり、しかも曲順も違うので、結局どちらも欲しくなってしまうこと(笑)。
山口さんの解説では、どちらがいいとはおっしゃらなかったが、LP盤の選曲と曲順は、Basieファンにとってもうこれ以上ないもの、との言葉に私はまず LPから買うことにしたが、この会は、その選りすぐりの全10曲がもれなく素晴らしい環境で音楽ファンに披露された素晴らしい2時間だった。
曲と演奏、そしてその再生の素晴らしさはもとより、演奏と同じかそれ以上に熱い思いを込めての山口氏の語りに、私などがあえて説明するまでもなく、ああ久しぶりに浴びるようにして本物のスイング、本物のJAZZを聴いたという震えるような感動と爽快感で一杯。仙台のライブ会場の空気がそのままイベント会場に届いたかのような臨場感に、体をじっとさせてはいられなかったのは、私だけではなかっただろう。「時を超えて、突き抜けるもの」。音楽を、心を込めて調整されたaudioで聴くことの醍醐味を、惜しみなく体験させていただいた。
山口さんが話されたことの中で、最も印象的だったのは、「人はhappyになりたいから音楽を聴く」というもの。音楽の持つ人を幸せにする力を信じる人の語る言葉には、一言、一言に力があって、私は山口さんの話を噛み締めるようにして聞いた。氏の雑誌の連載ではとても難しい表現があって、私はなかなかその言わんとするところに辿り着けないでいるが、手を伸ばせば届くような間近で視線が時々合いながら聞くその言葉は、とても噛み砕かれたもので、しかもまっすぐこちらの胸に投げ込まれてくる。受け止める側にもエネルギーの要る熱を帯びたことばに、自然と目が潤む。そんな語り手はそういないだろう。
余談だが、解説の冒頭にいソノてルヲさんの名前が出てきて、かつてNHK-FMの毎週日曜夜に流れていたいソノさんの解説による番組でJAZZを教わり、その後一生の憧れになるChetの歌と演奏に出会った私は、うれしくてすっかり舞い上がってしまった。私は評論の世界にはとんと疎いのでよくわからないが、いソノさんはちょっと変わっていたのか、 JAZZ好きの方と話をしていてもあまり会話に出てくることもない。そんな氏の名前が山口さんの口から出て、何倍も嬉しくなってしまった。
私はaudioを趣味にしてはいないけれど、昨日のBasieのように、本物のBasieがそっと後ろから見守っているのではないかと思うような世界を体験すると、装置の調整をもっと突き詰めることでChetに近づけるのではないかと思ったりする。スツールに浅くかけて歌うChetと刺し違えることもできそうなくらい、生々しく、そして狂おしいほどに彼の魂に近づくことができたなら・・・。帰りの車窓が雨に濡れて揺れるネオンの色に見とれながら体を揺らす。"Basie is Back"、本当に素晴らしいひと時だった。
このアルバムは、つい先日発売されたばかりのLPで、05年10月に仙台で行われたカウント・ベイシー楽団の結成70周年記念ライブ盤だ。エイティ・エイツからリリースされる新譜で悩ましいのは、LPとCDでは曲目が一部異なり、しかも曲順も違うので、結局どちらも欲しくなってしまうこと(笑)。
山口さんの解説では、どちらがいいとはおっしゃらなかったが、LP盤の選曲と曲順は、Basieファンにとってもうこれ以上ないもの、との言葉に私はまず LPから買うことにしたが、この会は、その選りすぐりの全10曲がもれなく素晴らしい環境で音楽ファンに披露された素晴らしい2時間だった。
曲と演奏、そしてその再生の素晴らしさはもとより、演奏と同じかそれ以上に熱い思いを込めての山口氏の語りに、私などがあえて説明するまでもなく、ああ久しぶりに浴びるようにして本物のスイング、本物のJAZZを聴いたという震えるような感動と爽快感で一杯。仙台のライブ会場の空気がそのままイベント会場に届いたかのような臨場感に、体をじっとさせてはいられなかったのは、私だけではなかっただろう。「時を超えて、突き抜けるもの」。音楽を、心を込めて調整されたaudioで聴くことの醍醐味を、惜しみなく体験させていただいた。
山口さんが話されたことの中で、最も印象的だったのは、「人はhappyになりたいから音楽を聴く」というもの。音楽の持つ人を幸せにする力を信じる人の語る言葉には、一言、一言に力があって、私は山口さんの話を噛み締めるようにして聞いた。氏の雑誌の連載ではとても難しい表現があって、私はなかなかその言わんとするところに辿り着けないでいるが、手を伸ばせば届くような間近で視線が時々合いながら聞くその言葉は、とても噛み砕かれたもので、しかもまっすぐこちらの胸に投げ込まれてくる。受け止める側にもエネルギーの要る熱を帯びたことばに、自然と目が潤む。そんな語り手はそういないだろう。
余談だが、解説の冒頭にいソノてルヲさんの名前が出てきて、かつてNHK-FMの毎週日曜夜に流れていたいソノさんの解説による番組でJAZZを教わり、その後一生の憧れになるChetの歌と演奏に出会った私は、うれしくてすっかり舞い上がってしまった。私は評論の世界にはとんと疎いのでよくわからないが、いソノさんはちょっと変わっていたのか、 JAZZ好きの方と話をしていてもあまり会話に出てくることもない。そんな氏の名前が山口さんの口から出て、何倍も嬉しくなってしまった。
私はaudioを趣味にしてはいないけれど、昨日のBasieのように、本物のBasieがそっと後ろから見守っているのではないかと思うような世界を体験すると、装置の調整をもっと突き詰めることでChetに近づけるのではないかと思ったりする。スツールに浅くかけて歌うChetと刺し違えることもできそうなくらい、生々しく、そして狂おしいほどに彼の魂に近づくことができたなら・・・。帰りの車窓が雨に濡れて揺れるネオンの色に見とれながら体を揺らす。"Basie is Back"、本当に素晴らしいひと時だった。
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