一時期、ロシアもののリリースがピタッと止まっていたかと思ったら、あれよ、あれよという間に、どんどんと海外向けのリリースラッシュが始まった。アメリカのショップでも、これまでロシア国内盤オンリーだったDVD付きの限定バージョンが出回り始め、CDや映像ソフト、果てはグルジアワインまで禁輸という何が理由でそうなっているのかよくわからないロシアの事情からして、これはもう多少価格が高くてもファンの嬉しい悲鳴が聞こえそう。
今、届いたパッケージを一通り開けて、DVDの再生が大丈夫かどうか大雑把に確かめてみたが、リージョン5になっていたのは1枚のみ。音楽ソフトはほとんどがリージョンフリーになっていて、家庭用のPALコンパチ機ならまず大丈夫そう。家にあるパイオニアの廉価DVDプレーヤーでもきれいに再生できているので、Russian DVDあたりで買おうかどうしようか迷っている方がいたら、ぜひどうぞと背中を押してあげたい(笑)。
ところで、内容の良い作品がどんどん出ているけれど、ファンならまずワレーリャのデラックスなDVD付最新アルバムがマストアイテム。パッケージを開けると香水をしみ込ませた薔薇の花びら(造花だけれど)が5枚ほど。凝っているなあと思いながらDVDを見ると、これまでリリースされた作品やMTVにかかっていたものもあるけれど、最新曲のスタース・ピエーハとのユニットによるクリップは必見。
アメリカのショップで売上上位に食い込んでいる、グリゴーリィ・レプスの最新盤「迷宮」もDVDが付いている。曲数は少ないが、クリップは最新のものでクオリティも流石。レプスの曲はそう一般受けしないけれど、今回のアルバムは全体にややポップに振って、アレンジも軽め。その分、彼のボーカルが前に出て聴きやすく、レプスを初めて聴く方にもお勧めの1枚だ。
新譜というと、ブラーチャ・グリムのセカンドが堂々リリース。まだ全曲聴いていないので、詳しい紹介はまた後日としても、これもロシアンポップスファンなら必須アイテム。前作よりちょっぴり大人のサウンドで、意外性も。ブックレットのデザインもなかなかおしゃれ。
シャンソン系では、イリーナ・バグシェフスカヤのDVD付ライブ録音がお勧め。ロシアものとしては音もいい方。ロックバンドだけど、アクアリウムのアルバムもなかなかまとまりが良くてお勧め。フレンチの真似だという人がいるが、それはベーゲーの歌をもっと聴いてから言って欲しい。真似でできる表現の世界ではないから。
映像では、サンレモinモスクワのDVDがなかなかカルトで濃いファンにお勧め。なんと、久々にエフゲーニ・オーシンの歌う姿が。もうこれだけで涙ものでしょう。カルト、というと、セルゲイ・ペンキンのライブDVD(これは曲数も多くてかなり豪華な仕上がりです)、それからピクニークのアンプラグドライブ(これは見る人を選ぶと思います、ロックとは別世界のまとめ方で私も驚き。でも素敵なピンナップがおまけに付いていて、こういうのを喜ぶ日本のファンは私の他に誰かいるのか、という気もします)、アリーサの20周年記念ライブは、画質が今ひとつで、うん、さすがに20周年だなという感慨が深くなる作品。おしゃれ〜なライブというと、ウマトゥルマンのライブDVDは、超おすすめ。いやはや。
それから、私のような歌謡曲ファンには、イーゴリ・ニコライエフのクリップ集が嬉しい再発。最近はお嬢さんとクリップに出たりしてるけれど、このDVDにはちょっと前の作品も入っていて、MTVで見たけど、もう一度見たい!的なファンにはとっても便利な1枚。
そうそう、まだ海外向けは出ていないけれど、大御所キカビッゼ!の新譜CDもモスクワでは既にリリース済み。ああ、早く聴きたい。
という感じで、日々、書き変わるショップのニューリリース欄に閉口したというメールを下さった読者の方向けに、雑ではありますが、感じたことを書き流しました。Russian DVDならほとんどが試聴可能なので、詳しくは実際にお試しをどうぞ。私は経済的な制約の許す限り、これと思うものを拾いまくっています。1stロットの後があるかどうかわからないという、未だ流通のややこしさが残るロシアものですので、これは!と思ったら、見た時に買うのが鉄則です(苦笑)。
「こんな雑な説明ではわからん!」と怒られそうですが(笑)、適当に何枚か抜いてもそうハズレはない、そんな感さえある、ロシアンポップス&ロック06春の陣であります。詳細は、またいずれ、サイトで紹介する予定です。