音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
Now Arabia 9 & Komri
先週の土曜、友人と出かけたエル・スール・レコードさんで買った"Now Arabia 9"という
アラブのポピュラー音楽のコンピが強烈にヘビーローテ中。
寝る前は流石にThe Beach Boysの"Surf's Up"かPink Floydだけど(それも変わってる)、
今日も家に戻ってからずっと聴いている。

美味しいヒット曲集のこのコンピ、全部で19曲!
日頃女性ヴォーカルものはあまり聴かないけれど、
このアルバムには、おお!と耳が立つような曲が一杯。
トリのナンシー・アジュラムはもちろんだけど、
この中では18曲目のYaraが歌う"Twassa Feyi"という曲が一押し。
歌がめちゃ上手いとかそういうのではないのに、一度聴くと忘れられない。
メロウなメロディとちょっと控えめなアレンジがかえっていいのかも。

土曜に秋葉原はサウンドクリエイトさんでのイベント、
Komriのフルアクティヴのデモに出かけたのは別項で書いたけど、
お店のスタッフの方とLINN JAPANのFさんの案内で聴いたKomriは、
30畳ほどあるゆったりとした部屋の中で自然に広がる音の海の中に
自分の体がふんわり浮かんだような聴き心地だった。
デモの中では私が持ちこんだこのコンピの他、
Fさんの紹介でNitin Sawhneyの"Beyond Skin"から2曲目を聴かせていただいた。
これがまた私のハマる選曲で、私の持ち込みCDから数曲を聴いただけで、
たくさんあるデモ用CDからこの1曲を選ばれてしまった日には、
もう参りました、というしかない感じだった。

大きい部屋でないとKomriは鳴らせないのでは、という素人な質問に対し、
普通の家庭でも十分音楽を楽しめるようにというコンセプトなので大丈夫とのこと。
部屋が広ければそれだけエアボリュームが大きくなり、コントロールが難しくなる。
小さな部屋ではまたそれなりの利点もあるのだろう。
会場に根が生えたようにまだまだ聴いていたかったが、時間が尽きた。
また次の機会を楽しみに待つことにしよう。
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冬時間
ロシアでは冬時間に切り替わった模様。
毎年思うのだが、あるタイミングで一斉に1時間ずらすなんて結構大変だろうなあと。
海外に出かければ当然時差があるから、旅行中はなんとかしてしまうのだけれど、
それはあくまでも旅行先だからと思って我慢が利くだけの話(あくまでも私について、だ)。

日本ではサマータイムの話題が消える事なく何年かに一度は持ち上がるが、
その度に「そんなことはしないでくれえ」と呟く私がいる。
子供の頃からの起床時間を変えられないほど腹時計、
じゃなかった体内時計が意固地なほどに正確(と言えば聞こえは良い)なので、
何ヶ月かに一度、1時間ずらすというのがとても耐えられそうにない。
海外では多くの国の人がそうやって夏時間、冬時間というのを当たり前にしているから、
私だってやってやれないことはないのだろうが、なんだかとても辛そうだ。

ラジオ・マヤークでジングルが流れ「今**時です」というのを聞いていると、
お、冬時間だ、とか何げに思ったりするのだけれど、
国内でよく言われる経済効果とやらは本当にあるのだろうか。
昼も夜もない都会の生活を傍で眺めている身としては、どうもピンと来るものがない。
日本でも導入されるのかどうかはわからないが、
私のような不器用者はますます生きづらい世の中になっていくようで、
たかが「1時間」の話であっても息苦しさを覚える、というのは少々大げさに過ぎるだろうか。
よもやま | - | - | author : miss key
魅惑のアルメニアン・ムード歌謡
アルメニアのポピュラー音楽CDをジャケ買いしたら、これが思った以上にいい盤が揃っていた。
その中から男性ヴォーカルものをピックアップ。

 □ LIVE 2006 / Armen Aloyan

 アルメニアの男性歌手、アルメン・アロヤンの06年ライブ盤。
 会場は、ホテルのラウンジに特設したような感じで、
 演奏もシンセと電子バイオリンetc.といった簡単なもの。

ややチープな感じは否めないが、歌はバラード&しっとり系でなかなか◯。
アルメニアの歌謡曲というと、ドゥドゥーク(アルメニアのオーボエとも呼ばれる伝統楽器)の複雑で
日本のリスナーにはやや忙しい感じに聞こえる、くるくる回るメロディに乗せて歌うリズミカルなものと、
本作のアロヤンの歌のようにムーディなものの2つに大きく分かれるようだが、
その中でも、このライブはいかにもアルメニアンソングといったこってこてのものでもないので、
アルメニアのポピュラー音楽を耳にしたことのない方でもハードルは低いような気がする。
DVDが付いているが、残念ながらノイズの多い画像で、ほんと気持ちだけのおまけと思った方が良さそう。
ちなみにYou Tubeでもアロヤンの映像が掲載されているようだ。
アロヤンの歌を聴いて、はまりそう!と思った方は、
もっとディープなアルメニアン歌謡の世界が貴方を待っていますから(笑)、
あとはジャケの絵柄で選ぶか、ヒットソングのコンピから入るといいかも。

※アルメニアのCDはアメリカ国内にいくつか通販ショップがあります。
 本タイトルで検索しても何店か出てきます。
world music | - | - | author : miss key
narkissos
TVをあまり見ない私はサディスティックミカバンドが再結成されて
「タイムマシンにおねがい」がCMで流れているのも知らなかったが、
アルバムも出るよ〜と聞いて、リリースを心待ちにしていた1枚が"NARKISSOS"。

タイムマシンに〜というと、アルバム「黒船」のオリジナルが好きなのだけど、
Vo.が木村カエラに変わっての新しいバージョンもなかなか楽しい。
彼女の声はストレートで気持ちのいいくらいスカッとしている。
28日の午後、LINNのショップでKomriのフルアクティヴによるデモがあったが、
そこでもかけてもらったら、じっと座っているのがもどかしいくらい
楽しい音が部屋に溢れた。

高橋幸宏のドラムの音がYMOの頃のそれっぽくて、
思わず昔のレコードを引っ張り出して聴きながらこれを書いている。
オリジナルのミカバンドにこだわると今回のアルバムの評価は分かれそうだが、
私などは単純なので、それはそれとして喜んで聴いている。
詳細はいろんなサイトで既に触れられているが、
何と言っても、メンバーの年季も入って、
自分たちも楽しめる演奏をしているのが音から伝わってくるのがいい。
聴いているだけじゃなくて、自分も楽器を持ってどこかに飛び出したくなるようなアルバムだ。
pop & rock | - | - | author : miss key
眠る、眠る、そしてまた眠る
久しぶりに休暇を取った。
最近、少しずつ買いだめていたCDやLPをのんびり聴こうと思ってのことだったが、
数日前から風邪をひいてしまっていたようで、
前日の夜はいよいよ喉の調子もおかしかった。
思えば、少しずつ寝不足が溜まっていたし・・・と横になっていたら、
朝食後に目が覚めたのが昼過ぎ。
寝ているだけなのに、空腹感だけはしっかりあって、軽い食事を摂ったら、また眠気が。
敢て逆らうことはせず、また横になっていたら、あっという間に夢の世界に堕ちた。

まだ私が小学生の頃のこと。
大阪でファーブル展が開催され、珍しい昆虫の展示をはじめ、ファーブル直筆のキノコ類のスケッチが数多く展示された貴重な機会だった。
連れて行って欲しいと親にせがんだところ、珍しく父が連れて行ってくれることに。
当時見た虫を端から言えるほど一つ一つの展示をじっと眺める子供に、
父がどんな思いを持ったかは想像つかないが、
会場を出て、もう夕飯時だからと、初めて鰻飯を食べさせてもらったことまで鮮明に再現される。
夢というのは本当に不思議なもので、
いや、よほどそれが美味しかったのか、父と出かけたことがうれしかったのか、
子供の頃の記憶の鮮やかさに改めて驚かされた。

寝付けずに困る、という悩みとはほど遠い生活を送っているがゆえに、
例えば、眠る前に1枚だけレコードを聴きながらというわけにはいかなかったりする。
< アームが勝手に上がるプレーヤーをもっていないので
聴きたいタイトルはCDで買い直したりもしているが、
寝る前の1枚こそレコードの音色の方がぴったりなので、
できれば寝室でも簡単にレコードを聴けるようにしたいものだと思う。

今日という日は朝からほとんどの時間を寝て過ごしているが、
いつもの時間になったら、やっぱり眠気が襲ってくる。
眠れない夜を苦にしている方に、この眠気を分けてあげることができたらいいのに
つくづくそう思う今日この頃。
よもやま | - | - | author : miss key
美味しい料理と音の隠れ処 - gatita
平日からこんなに美味しいもの食べてくつろいでいいのだろうか
JR西荻窪駅南口からすぐの静かな通りに面した
「小さいバル ガティータ」
―日常ワイン・タパス・音楽―
というお店のキャッチフレーズそのままに
お洒落だけど気取らないお店だ(加えてお財布にも優しい!?)

オープンされてまだ数ヶ月のピカピカのお店
スペインはマドリードで料理修行したオーナーが
黒板に書き出した選りすぐりのメニュー
貴方が食いしん坊なら端からはしまで全部オーダーするもよし
小粋におつまみ数点とワインでリラックスタイムを堪能するもよし
仕事帰りに食事がてらちょっとお酒を!なんていいかもしれない
(女性客が仕事帰りの行きつけの店にできる貴重な雰囲気!!)

夜8時過ぎからお邪魔して、気がついたら11時を回っていた
医者からお酒を止められているのに
お料理のいい香りにつられて1杯だけ頼んだ青リンゴ風味のビールがまた美味
お腹が空いていたのでごはんにチキンときのこのミニカレーをいただいたが
甘みと少し遅れて口に広がる辛みが絶妙(おすすめ)

音の快楽的日常なのに、食べ物だけで終わりか〜(そんなはずはない)
もちろん、素敵な音楽も流れている(その辺のお店のBGMとはひと味もふた味も違うよ〜)
美味しい料理と音楽空間を手軽に楽しみたい欲張りなあなたにぜひお勧めしたいお店です

◆ 小さいバル ガティータ(gatita)http://www.gatita.jp
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ささやかな贅沢
自分の生活を振り返って、ささやかな贅沢だなあと感じることがいくつかある。
例えば、夕飯の材料を買い込みにスーパーの売り場を眺めている時。
いつもの納豆の売り場には3個100円の特売商品から、2個で198円の納豆までいろいろ並んでいる。

紀伊国屋やガーデンに行けばもっと高いのがあるだろうが、
私の近所の店ならせいぜいそんなもの。それでも私はどれにしようか躊躇する。
好みのブランドはあって、その中ですら、どのランクにしようか、迷う。

否、いつもは一番安いので十分なのだが、時にその2個198円をかごに入れる時、
ほんのささやかなよろこびを感じるのだ。
きょうはちょっとばかし贅沢してしまったよ〜、と。

1個当たりの値段が3倍のものを買うのだから、絶対額は大したことないとしても、
それで得られる贅沢感というのはちょっとしたものなのだ。

普段、欲しいCDは余程予算が逼迫していない限りは購入してしまうのに、
そんな生活のありきたりな場面で数十円に思案するというのは、
今時の消費行動として珍しくはないにせよ、気持ちの有り様として、
ちょっとどうかなと思わないでもない。

生活のバランス、みたいなものを考えた時、
音楽からあまりにも多くを、有形無形を問わず得ている私は、
音楽を享受することにお金を惜しまない生活になっているが、
結果として、納豆3個100円がスタンダードになってしまっているのは事実で、
だから2個198円に贅沢と幸せを感じてしまえたりするのだろう。
それがいいのか悪いのかも、正直よくわからなくなってしまう。
そういうつまらないことに頭を悩ませているうちは、きっと幸せなのだろうと、一人問答して納得する。

外は雨。冷たい空気がドアの隙間からそっと顔を覗かせ、思わず後ろを振り返る。
冷蔵庫の静かな振動に侘しさを覚える夜。
よもやま | - | - | author : miss key
気がついたら外は雨
久しぶりに自分から電話をかけて30分程話した。
電話を置いてしばらくしてから雨が降り出しているのに気がついた。
小さな音で流していたP.F.Mの"Photos of Ghosts"が聞こえないほど、
ざあざあと豪快な音を立てているというのに、
電話が苦手なせいか緊張していたのかも知れない。

今年は本当によく雨が降る。
よもやま | - | - | author : miss key
Бенефис в кругу друзей - Toto Cutugno
カテゴリーをどうしようか迷ったのだけれど、
"Бенефис в кругу друзей"はイタリアの歌手トト・クトゥーニョが、
ロシアのポピュラー歌手ともうこれでもかっというぐらい豪華なコラボによる
ライブ録音なので、とりあえずRussianがらみにしておいた。

ここ数年、萎む様子をみせないロシアでのToto人気。
私もトトという人の歌はサンレモinクレムリンで初めて聞いたので、
ちょいとググってみたら、80年代から90年代にかけて本国でとても人気があり
また評価された歌い手なのだそうだ。
嗄れたというか、割れたような声音に哀愁たっぷりのメロディは、
ロシアンシャンソンに近いようで、やっぱり違うという微妙な味加減になっていて、
ひょっとしたらアレンジをロシア向けに振っているのかも知れない。

 このアルバムは2枚組になっていて、全24曲。
 コラボレーションの相手も、サンレモでも実現しているペンキンや
 ソソ・パブリアーシュビリの他、マルシャル、
 ディアナ・グルツカーヤ、タチヤーナ・オビシエンコ、
 若手アーティストではイリーナ・ドゥブツォワと、
 トトに歌い負けない個性的な歌手が名を連ねている。
 声や歌い方には好きずきが出そうだが、
 曲はどれも美しいメロディで、
 歌謡曲ファンならどなたでも楽しめそうだ。

サンレモinクレムリンほどの組み合わせの妙はないものの、
ロシアンファン的には、最近アルバムリリースのないウラジーミル・プレスニャコフの歌が聴ける、
みたいな点でもお勧めしたい。
pop & rock (russian and other slavic) | - | - | author : miss key
Russian Rock 歴史のかけら
抱き合わせで適当に買ったDVDの中に、
80年代終盤のロシアンロックについて取りあげたドキュメンタリードラマがあった。
画質も今ひとつで、解説も少ないのでどうしようかなあと思いながら眺めていたら、
ナースチャ、アガタ・クリスチー、ノーチラス・ポンピリウス、チャーイフなどの
貴重なライブ映像やインタビューが出てきたので、
100分間の映像を休憩入れずに見てしまった。

面白かったのは、ノーチラスが日本のTV番組に出演していて、
(おそらく、来日公演のプロモを兼ねてなのだろうと思うが)
アルバムが***万枚うれたら、彼らのギャラはいくら?というのがクイズになっていた。
回答は2000ルーブル、それが安いのか高いのかはよくわからないが、
楽器を入手するにも大変だ、みたいな取材映像を交えての数分間は、
今見てもなかなかカルトで貴重なものだと思う。

80年代の終わりと言えば、ゴルバチョフが出て、グラスノスチ、ペレストロイカから
壁がなし崩しになっていった時期のこと。
ペレストロックなる造語もできて注目される割には、
ロシアのポピュラー音楽にアクセスする機会はそれほどなくて、
ラジオからか細く流れる流行曲は、正直あまり楽しめたものでもなく、
環境が落ち着くにはそれなりの時間を要したように思う。

それにしても、ロシアのロックにかかわらず、
ポピュラー音楽の変遷についてまとめられた資料はほとんどなく、
全体の流れを把握してから、好みに近そうなところから入ろうとしても、
なかなかそれができなかったりする。

A.トロイツキーの『ゴルバチョフはロックが好き!?』の中で、
ロシアンロックの黎明期から大きく転換を迎える時期までの様子が
主だったアーティストのインタビューも交えながらまとめられているが、
アーティストや作品に対する評価は,その個人のものなので、
何が非凡で、誰が平凡なのかといったところは、
ぜひ各々のアルバムを自分の耳で聴いていただきたいと思う。

私自身は音楽シーンの分析を生業にしているわけではないので、
ヘビーリスナーの一人として、個人的に面白いと思った作品の感想を書くことで、
興味を持っていただける人が一人でも増えればいいなとは、
管理人の勝手な独り言である。
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