DE STAAT | 2007.05.29 Tuesday |
現代音楽、その言葉の響きだけ一つとっても腰が引けてしまいそうな、
そんなイメージを払拭できない人間のひとりだったりするわたしが、
偶然、ネット上で見かけたジャケットに一目で魅入られてしまった。
オランダの作曲家、Louis Andriessen(ルイ・アンドリーセン)の"DE STAAT"(邦題『国家』)だ。
つい最近まで、ミニマル、という言葉にすら実感の沸かない音楽生活を送っていたというのに、
得てして、恋は突然やってくる。
CDがまだ手に入ることがわかり、早速注文したものの、なかなか届かない。
なんとしても取り敢えずその中身を聴いてみたい。
そんなこんなで探し当てたレコードは、彼のコンピレーションというか、
宣伝用のデモアルバムで、『国家』と他の作品の抱き合わせになっていた。
しかも、というか、
残念ながら、ジャケットはブルーを基調とした、
上のものと比べると普通っぽさが否めない程度のもので少しだけがっかりしたのだが、
そのタイトルのレコードが「その」ジャケットで出ているかどうかもよくわからないし、
他に選択肢もなかったのでその2枚組LPを箱から引っこ抜いた。
部屋に戻るなり、早速かけてみたレコードから出た音は・・・。
こういう音楽、こういうサウンドを欠片程も思い浮かべてはいなかったけれど、
曲が始まるなり、すっかり引き込まれて瞬きも忘れるほどだった。
音を聴くのに瞬きしないというのはおかしな話だけれど、
今まで全く耳にしたことのない、新鮮で驚きに満ち満ちた世界に遭遇すれば、
他の人でもきっとそういう風になるだろう。
パッと聴きは決してリスナーにリラックスを許さないような感じがするが、
ガツンとくるのは最初の一瞬だけで、あとはとても身体が楽になっていく。
全身の力が抜けて頭の中に麻薬がじわじわ溢れてくるのだ。
癖になる、といえばもっと伝わりやすいだろうか。
幸か不幸か手元にある音源はレコードなので、
聴くのは「1日1回」に留めている。
レコードを大事にするこつの一つと教わって以来、それを頑に守っているのだけれど、
おかげでこんなとき、中毒症状を上手く回避できる。
でもCDが届いたら最後、当分飽きるまでリピート&かけっぱなし
なんてことをやらかしてしまいそうでこわい。
万人が聴いて楽しいとか快いとか感じる音楽ではないのかも知れないが、
こういう出逢いもあるのだよねえと独り言しつつ、
優雅に回るレコードを眺めてはため息を床にまき散らしている。
「人は見かけで選んじゃいけないよ」
とは子供の頃に教わったことだけれども、
レコードは中身も見た目も重要だ。
「その」レコードがあるのかどうかもよくわからないのに、
いつか自分の手元に来ますようにと念じてみたりする。
誰に迷惑かかる訳でもないが、思えばちょっとばかし滑稽で、
まさにそれは「恋」の感覚だったりする。
レコードというのは危険だ。
それにしても、また捜し物リストが増えてしまった。
困ったような、嬉しいような・・・。
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