何かの記事で読んだ「CDの売上は年々減少する傾向にある」という話、
それが国内盤のことなのか、外盤も含めてなのかはっきり書かれていなかったが、
個人的には価格の問題が大きいんじゃないかと感じている。
もちろんそれだけでは背景を語り尽くせないだろうが、
最近ではロシア盤の価格も高騰、感覚的には2、3年前の倍以上になっていたりして、
予算が増えなければ購入枚数は当然減るし、買う盤を選ぶときにも以前よりずっと慎重になるので、
わたしの例で言えば、ロシア盤の購入金額は結果として以前より少なくなった。
CDが売れないという背景もあるからなのかどうか、わからないけれど、
滑稽なほどに「フレンドリー」をアピールするCDを見つけて思わず和んだのが『Viva!! ショスタコーヴィチ』。
ロックとかポピュラーだと、お客さんに対してこういう距離の取り方はしないんだろうなと思う。
日頃、闇雲に難しく、敬遠すべきものと感じる人が少なくないだろうクラシック音楽だからなんだろうなあと、
その具体例がまんまわたし自身だったりするので、
PR用裏ジャケ(わざわざ別紙でくるんである!)の説明に笑いを禁じ得ない。
「ショスタコーヴィチというと、そのしかめっ面のルックスと重苦しい交響曲で、
一般のファンからは敬遠されがちですが、ここで聴けるメロディはショスタコの
そんなイメージを払拭させるほど、ポップで、キュートなメロディがずらり。
『チーチン・プイ・プイ』なんていうお馬鹿さんなメロディも・・・
生誕100年を機会に、一度ショスタコにはまってみませんか?」
(以上、裏ジャケPR用から引用)
ショスタコーヴィチのルックスは、特に若い頃のそれは、牛乳瓶の底のようなトレードマークの眼鏡も相俟って、
文学青年フェチなわたしには、言われなくてもキュートだったりするが(笑)、
仮に、この1枚を機会に、メモリアルで出された各種BOXセットを買ってもらおう的な下心があったとしても、
いやもう、個人的にはこういうノリは大歓迎なのだ。
早速、このCDを聴いてみると、なるほど印象に残りやすくてポピュラーファンに受けそうな曲を、
うまくまとめてあるなあと感心。
ツボの押さえ方など、DJの時の選曲にも役立ちそう。
そして言われてみれば、なのだが、ショスタコーヴィチの交響曲第5番、第4楽章の一部は、
TVドラマ『部長刑事』のテーマ曲だったりするし(関西圏の方にしかわからない話かも)、
わたしは見たことがないが、先の引用文にある「チチーン・プイ・プイ」は、
シュワルツネッガー出演のCMで使われた、交響曲第7番「レニングラード」第1楽章を指していて、
意外なところで耳にしているかもしれないショスタコーヴィチなのだ。
話しはそれるが、CMのBGMで驚いたのは、自動車かなにかのCMでカリンニコフが流れたこと。
ロシアンフリークとしては、こういうちょっとしたところにロシアが顔を覗かせるだけでも、
思わずほくそ笑んでしまったりする。
ところでショスタコーヴィチ。
今日のダイジェストCDから、視点を変えれば全然違った楽しみ方があるのを教わったので、
今度まとめて聴いてみようかな、なんて思ったりする。
それってメーカーの戦略にハマってるってことか!?
まあ、音楽を聴くきっかけは、どんなものだって構わないわけで、
せっかくだから、むやみに敷居を高くせず、面白い、楽しいと感じたものは、
経済的に許せる範囲であれこれ聴いてみようと思い直した。
『Viva!! ショスタコーヴィチ』、まあまあ以上に楽しめる入門盤にもお勧めな1枚。