恋はみずいろ? | 2008.01.31 Thursday |
毎朝、家を出る前に聞いているラジオ番組で、
今週のテーマとなっているポール・モーリア。
わたしにとっては、フランシス・レイやバート・バカラックと同様、
とても馴染みがあるというか、オルガンを習い始めた頃によく聴いたり、弾いたりした。
若い人たちには、マギー司郎さんの出囃子で流れる曲と言った方が早いだろうか。
月曜の放送、特集の冒頭で「恋はみずいろ40周年!」という吉田照美の台詞におや!と思ったのだが、
何が40周年なのか、作曲されてから、という意味なのか肝心なところを聞き逃してしまった。
そういえばと思ってCDの棚を探してなかなか出て来ないジャズ・オルガンアレンジの曲。
確か日本女性のオルガニストだったが、
小柄な女性が弾いているとは思えない濃くてファンキーなタッチで、
およそみずいろとはほど遠い感じもして微妙なれども、印象的な演奏には違いなかった。
思えば、わたし自身にとって人との印象的な出会いはいずれも桜の花咲く季節で、
その気分を色に準えればうす桃色ということなんだろうか。
陽が差せば透き通ってその色すら捉えられなくなる程に淡く優しい色味だ。
桜咲く季節と言えば、千鳥ヶ淵の桜を見ながら夜通し呑みたいと言われ、
では来年の春にと約したのが、
とうとう果たせなくなり悔やんでも悔やみ切れずにいる。
いつか見た車窓からの風景が―
靖国神社を過ぎて目に入ってきた桜の色があまりに美しく、
そのときのことを思えば風の匂いさえ思い出せるほどに、
こんな春の日もあったのだと幾度となく呟かせる。
どうしても果たせない約束というのはこれほどやるせないものなのかと、
近所の川沿いに遊歩道を歩いてみたのが先週末。
春になればこの辺りの桜並木も見事な花をつけるというので楽しみな反面、
二度と過ごすことの出来ない春がやはりあるのだと思い直させられる。
そんな思い出が、『恋はみずいろ』を初めて聞いた頃の思い出のように、
おぼろげになるまで一体どれだけの時間を要するのだろう。
恋慕の切なさはこの歳になってかえって胸苦しいものだと知っていたら、
あの風景はわざと目を閉じてやり過ごしただろう。
永久に呑めなくなった酒の味とはきっとそんなものなのかと想像しつつ、
空気の冷たさに一人凍える夜。
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