音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
『いつもレコードのことばかり考えている人のために。』



眺めているだけで楽しくなる本はそれだけで値打ちがある。
ずっと手元に置いて、何度も何度もページを繰っては、
知っているはずの紙面にまだ気がついていなかった新しい発見に感動したりして。

レコードのジャケットを集めに集めた本書。
帯のことばを借りれば「レアなレコードから誰も見向きもしない駄盤まで1500枚!」。

レコードとの接し方については、この半年ばかりいろいろと考えてきた。
その一方で、いつもレコードのことばかり考えているわけではないけど、
「部屋に少しでもたくさんのレコードを買い込めるように」
と想定していなければそんなにモノを処分できないというくらい、
「優先順位」に従って徹底的に部屋の中を整理してきた。

どんなにモノを整理して物理的空間を空けたところで、
自分の月々負担できる床のコストはたかが知れている。
それ以前に、
ダブってモノを買ったりしないで済む頭の中の「持てるキャパシティ」の限界値が低いので、
どんな基準でレコードを買ってよいことにするのか、
それは声高に人に話すことでもないけど、自分の中ではとても大事だったりする。

大体、肺の底に膿が溜まって咳が始終止まらないという面倒な病気がようよう治ったばかりで、
埃と大のお友達である中古レコードのことばかりあれこれ考えてしまうというのも困りものだ。
でも体が元気になると、やっぱり出かけてしまうのがレコ店と本屋。
そして『いつもレコードのことばかり〜』を眺めていると、
誰も聞いちゃいない「約束事」を作るのに一喜一憂していたのが何だかバカバカしくなった。

この本、紹介されているレコードに関して溢れんばかりの蘊蓄が披露されているとか、
集めまくったレコードに埋もれた部屋の写真が掲載されていたりとか、
そういうまとめ方はされていない。
レコードの中身は取り敢えず置いといて、図録集としてあっけらかんと楽しめる、
そんな割り切りに思わず笑みが洩れる人はどのくらいいるだろうか。

美麗な装丁にジャケ絵を眺める楽しさのスキマ隙間にそっと隠されたレコードの愉しみ。
ここに入り込むと面倒というか厄介と言うか、でも幸せだろうなあと、
先に進むか引き返すか行きつ戻りつ「寝しなに眺めて」楽しめる本。
レコードの話 | - | - | author : miss key
Estate



最近になってまた五月雨的にリリースされているChet BakerのCD。
同じタイトルがジャケ違いで出されたりするので、うっかりダブってしまいそうだ。

上のジャケットのアルバム、レアではないけど探すと案外出て来ないタイトルの再発もの。
敢て買う価値があるのが絵柄違いのジャケット、ではなくて(笑)、
Chetの盤にしては充実のブックレットとボーナストラック1曲。
それと、最初に出たCDよりは収録時間が長めで音の余韻が楽しめたりもする。

最初にCD化されたものは、レコードのジャケとタイトルそのまんまの
"Jean-Louis Rassingosse Chet Baker Philip Catherine"。
今回の再発盤はリマスターされているようで、音は今回の方が断然良い。
もっとも、録音状態はあまりよくないので、そういう粗も出てしまうけれど、
「そこで演奏している」雰囲気というか空気の存在が生々しい。

さてこのアルバム、1曲目の"Crystal Bells"からカテリーンのギターがエンジン全開。
スタジオ中を漂うような艶かしい響きが、今聴けばまるでChetの葬送曲のよう。
フィロロジーでの静寂溢れる演奏ほどでないにせよ、
程よい緊張感の中にも伸びやかなChetのトランペットに眩しさを覚える。

またボーナストラックはカテリーンのギターをフィーチャーした"My Funny Valentine"。
こういうセットでのマイファニー〜は珍しいということもあるけれど、
それ以上に、今回のようにサイドメンに恵まれたときのChetのプレイの冴えといったら、
一度でいいからLiveで体験しておきたかったと悔やんでも悔やみ切れないほど。

夜風にあたる心地良さのような作品、Chetをまだ聴いたことの無い方にもお勧めの1枚だ。
others (music) | - | - | author : miss key
ノイズの洪水の中から聞こえるのは
書店でふと手に取ったロックのアルバムを500枚集めたディスクガイド。
よくある「最初だけカラーであとはモノクロ」じゃなくて、ジャケットの絵柄が全部カラー。
だから詳しくないジャンルの音楽でも、最後まで飽きずに眺めていられるのがいい。





KORNというバンドの音楽は、最新盤のジャケットがとても気に入って買ったのが最初だった。
ただ、2枚目に買ったアルバムは聴けば聴くほどに物悲しさがこみ上げて来るので、
それ以来、少し距離を置いてしまっていた。

この"Follow the Leader"というアルバム、
ジャケットが気になっていつかは聴いてみようと思いつつ買わず終いだったのが、
先のガイドブックに背中を押されて中古屋の棚から引き抜いてきたもの。

13曲目からしか音楽が始まらない(※12曲目までは無音)ので、
廉価盤の箱から拾ったから(傷があって)読めないのかなとかCDPの表示をじっと睨んでしまったが(笑)、
ジャケットをよく見たら、13曲目から曲名を並べてあったので妙に納得。

ノイジーな音を重ねた録音は、実は全く得意ではなくて、
最初は目新しさに気をひかれてもすぐに飽きるか喧しくなってしまう。
だから、盛大に歪めたギターの音に翻弄されながらも
最後までリモコンのスイッチに触れることなく聴けるのが不思議だった。

毎日毎日リピートしたいかと訊かれたら、多分そうじゃないと言うけれど。
音量の大小によらず一定の距離でもって語りかけてくる独特の距離感が快楽源。
この手のジャンルが苦手な方にもぜひ一度聴いて欲しいアルバムだ。
pop & rock | - | - | author : miss key
横道に逸れながらも
横道に逸れたのは、イベントの内容ではなくて、わたしの聴きどころの話、念のため。

午前中は好天に恵まれて家事も無事片付き、昼過ぎから空腹のまま渋谷は「国境の南」へ。
好評のうちにも2ヶ月に1度の定例イベントとなった今日のレコードコンサート、
寝不足募る週末のダルさも何のその。

今回は『アラブ・アンダルース音楽からシャアビへ』と題して、
古典から現在のシャアビまでを一気に俯瞰してその根底に流れている「何か」を掴もうという目論み。
途中一度の休憩を挟んで主催者御三方の軽妙で興味深い解説と16曲の選りすぐりの歌と演奏を
3時間にわたって楽しんだ。

ウードの演奏に歌というシンプルな組み合わせでクラシカルな曲調のものも捨て難いが、
何しろベタな歌謡曲が好きなわたしのこと。
紹介が現代に近づくにつれて手元のメモもつい力が入りがちになった。

大筋はやはり先日紹介した『アラブ・アンダルース音楽歴史物語』を参考にしていただくとして、
それ以外の、という条件で今日の気になる3曲は次の通り。




□ アルジェリア移民が愛した歌 / オリジンヌ・コントロレ

今回はこのアルバムから空港を意味する『白い家』という美しいメロディの歌が流れた。
少し前に話題になった『はきむす兄弟』のムース・エ・ハキムをフィーチャーしたアルバムとのこと。
聴いたのはたった1曲ながら、万華鏡のようにいろいろな表情を見せてくれる彼らのことだから、
きっとこのアルバムも1曲を選び難い充実の内容に違いない。




□ アン・ドゥ・トロワ・ソレイユ / ラシッド・タハ、ハレド、フォーデル

豪華ライブアルバムから選ばれた1曲はイベントの締めに相応しい『故郷を追われて』(ヤー・ラッヤー)。
この歌自体はシャアビに詳しくないわたしも前に聴いたことが何度もあったが、
歴史的な背景やここ10数年ほどのフランス事情などを交えて解説をうかがうと、
歌詞も判らぬこの曲の美しさと力強さに惹かれる疑問も氷解するというもの。
このCDは国内盤も出ていて、何とDVDがセットになっているとか。
アルバムやアーティストの簡単な解説がamazonに出ているので、ご興味のある方はぜひチェックを♪




□ Alger, Alger / Lili Boniche

「アラブ・アンダルースというより東欧のジプシー音楽のような」といった感想も出たほど、
どちらかというとエリア的にはかなりわたし向き(笑)な曲がこのアルバムから流れた。
声も歌いまわしも、その濃さの具合は今日のテーマから外れてはいなかったが、
個人的にはもう何とも言えずの魅惑の歌声。
それで帰宅早々このCDを探してみたものの、amazonで見る限り中古で探すしかない様子。
では、と某動画サイトでBonicheの名前で検索したら、彼のライブ映像などを見ることができた。
もうすっかりおじいさんなのだけど、声音は当たり前だけど今日聴いたそれそのまんま。
もちろんこのアルバム、どこかでゲットするぞと探し物リストに載せたのは言うまでもなく。

***

夕方から雨の予報にも拘らず、イベント開始時間にはほぼ満席の店内。
DJパーティとはまた違った距離感が楽しめるこのレコード・コンサート、
毎回異なるテーマでタイムマシンに乗っての世界旅行気分。
今回も贅沢な週末の3時間だった。
live & イベント | - | - | author : miss key
☆ レコード・コンサート「世界の音楽を聞く」at "国境の南"(渋谷)
☆ 恒例のレコード・コンサート、「世界の音楽を聞く」の開催告知を
  主催者のお一人、北中正和さんのサイトから転載してご紹介します。

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渋谷・国境の南 (電話03-3463-5381) のレコード・コンサート「世界の音楽を聞く」
5月24日(土) 15:30 open 16:00 start
会費1000円(ワンドリンクつき)
司会 蒲田耕二+田中勝則+北中正和

「アラブ・アンダルース音楽からシャアビへ」

 中世のイベリア半島で生まれ、
 地中海各地に広まったアラブ・アンダルース音楽とはどんな音楽なのか。
 北アフリカ歌謡のシャアビはその遺伝子をどう発展させたのか。
 名曲「故郷を追われて」(ヤー・ラヤー)をきっかけに、
 関心が集まるアラブ・アンダルース音楽の魅力を多彩な角度から分析してみましょう。

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会場の国境の南はJR・東京メトロ渋谷駅から徒歩5分ほど。
都会の喧噪を忘れるほど音楽に浸れる素敵なお店です。
会場の下見兼ねて仕事帰りにちょっと覗いてみるのも大いにアリです。

☆ 国境の南 http://www.kokkyo.net/

 

とりあえず音楽の方を予習したい!という熱心な方には
『マグレブ音楽紀行 第1集〜アラブ・アンダルース音楽歴史物語 (2CD) 』がお勧め。
amazonにも熱い感想が寄せられていますが、
参加してから聴くか、聴いてから参加するかはあなたの自由です♪
このアルバムの詳細はオフィス・サンビーニャのサイトでご覧いただけます。
 
live & イベント | - | - | author : miss key
部屋
初めて彼の声を耳にしたとき、素直にいい声だなと思った。
女性歌手とのデュエットで、曲そのものは実にありきたりなロシアの歌謡曲。
バックの演奏というか打ち込みのチープなアレンジが、
かえって二人の活き活きとした歌唱を印象づけた。
その彼が、去年の夏、デビューアルバムとしてリリースしたのが"Комната"(コームナタ、部屋の意)。





彼の名はЮрий Титов(ユーリィ・チトフ)。
プロフィールは定かではないが、まだ若くてこれからのアーティスト。
若手男性ヴォーカルでは、安定した人気を誇るジーマ・ビランなんかと違うのは、歌に幅を感じること。
売り出し方の違いもあるのだろうけれど、
あまりに何もかもがパッケージ化されたジーマに比べ、
荒削りで未完成なところも上手に残してあって、ユーリィが歌って見せる独特の彩りに強く惹かれる。

アルバムの構成も小さなドラマを語り継ぐかのような曲間の詰め方が、
別に特別なことでもないのに新鮮に感じられるのはなぜだろう。
4曲目の表題曲『部屋』には、
あのわたしが初めて聴いた頃の剥きたてのゆでたまごのような感触は無く、
彼の放つ歌詞が空中を漂う煙草の煙のように耳にまとわりつく。

かつて90年代、ディスコサウンド全盛の最中、Shuraのデビュー当時のことを思い出す。
一度聴いたら癖になる感触は二人ともほんとうによく似ているが、
Shuraの陽性でサイケな音楽に比べ、ユーリィの歌は緩くてダーク。
彼の声は決して美声ではない。でもそれがかえって功を奏している気がする。

あとほんの少し何かがずれたりしていれば、きっと眠かったり煩かったりするのだろう。
どこかぎりぎりを感じさせる作りがこのアルバムをリピートしたくなる理由なのかも。

何年か後の彼の作品を先取りしたくなるようなワクワクも秘めながら、
しっとり聴かせてくれる女性にお勧めの1枚。
夜の雨音が切ない独りの部屋にぴったりのアルバムだ。
pop & rock (russian and other slavic) | - | - | author : miss key
音が変わってさあ大変!
音楽を普段聴いているリビングの模様替えで、ラグを外したのはつい先日のこと。
洗濯しても綺麗にならなくなったので処分したが、
元はと言えば、以前住んでいた和室の部屋の響きを少しおだやかにするのに敷いたのだった。

今の部屋は音の響きで言えば、音の溜まってしまう場所がいくつかあったり、
あるいはスピーカー各々の置いてある条件、
例えば天井の高さが違うとか、シンメトリーにできないことから、
微妙に左右のセッティング位置をずらさなくてはいけないけれど、
何をしてもデッドで「響き」を得づらい前の部屋に比べれば、それはもうずっと調整が楽だ。

しかし、ラグを外したら随分音が変わってしまって、
それは変わるだろうなとは思っていてもなお驚いたほどだった。
かといって、広々とした印象の今の状態を変えてまで別のラグを敷く気にもなれず、
半ば仕方なくスピーカーのセッティング等をやり直した。

ついでだから、リビングに詰め込んであった本棚などをもう一つの部屋に移動して、
思いっきりライブな方向に振ってみたら、
意外にもすっきりと音がまとまり始めた。

いい音というよりは好みの状態で聴けるのが一番なので、
筋肉痛の辛さを押してそこまでやってしまうのだけど、
思ったより早く位置決めをすることができたので、内心ほっとした。
今のスピーカーを買って半年くらいは、「何をやってもだめ」というくらい、
迷路に入って出られなかったのが嘘みたいだ。

位置を変えてから今日で5日目。
漸く新しい条件にも馴染んできたのか、
重心が低く、しっとりとした響きが得られてほっとするひととき。

***

此処数日残業続きでそろそろ疲れもピークというタイミング。
ロシアものの新譜も手元に届いているというのに聴く気力がないほどぐったり(笑)。

最近はKevin AyersかRick Wrightかというくらい同じものばかりリピートして聴いている。
音楽を聞きたいというよりは疲れが取れるからこれを聴くという感じで。
ずっと以前は、本当に疲れているときは無音の部屋でじっとしていたりしたけれど、
今は小さめの音量で気に入ったアーティストの歌を聴くのが一番だ。
明日はいよいよ金曜、あと1日で週末。がんばろう。
audio | - | - | author : miss key
TV付けっぱなしで寝る習慣
年に2度ほど田舎に帰る機会がある。
半年ほど家を空けていると、知らないことや新しいものが増えていてぎょっとしたりする。

何と言っても興味がつきないのが犬の生活ぶりだ。
犬、といっても、人間ともう7年もヒト同然に暮らしているから、
犬離れしているというか、おそらく自分が犬だという自覚がないのだろうとは、
彼を見ていていつも思うことだ。

わたしが使っていた部屋は既に改装されて両親たちが寝室につかっているが、
なぜか寝室を2部屋、夫々が使っていて妙な感じだった。
なぜか? その答えはすぐに判った。

父はTVを付けっ放して寝るのがすっかり習慣になっていたのだった。
わたしがまだ田舎に住んでいた頃は、TVではなくラジオのナイター中継かなにかだったと思う。
音量は絞っているといっても、夜の静かな田舎のことだから結構響く(笑)。
隣りの部屋に居ても、かなり響いてくる。
煩いなと思って隣りを覗くと、
父と犬(注:犬の寝台は父の部屋にある)は見事に高いびきでぐっすりだった。
加えて犬がお腹を上にして大の字になっていたのがなんだか笑えた。
その格好があまりに無防備だからだろうか、その姿に野性は微塵もない。

年老いた父はまだ仕事をしていて、時折家を空けることもある。
習慣とは恐ろしいもので、
うちの犬は今ではTVがついていないと眠れないようだ。
なので、母が番組表を見ながら「なるべく遅くまでやっているチャンネル」を探して、
わざわざそれに合わせてから犬を休ませる。
そうしておけば朝までぐっすりなのだというからまた笑ってしまった。
(注:実家の犬は自分が眠れないと家族を叩き起こすのでなかなかしんどい)

実家の犬は今年のこどもの日で無事7歳の誕生日を迎えた。
ヒトの年齢で言えば、とうとうわたしも彼に追い越されてしまった勘定だ。
それにも増して、実家の新しいルールは彼を中心につくられていく。
自分の生家でありながら、どこか知らない家のような座りの悪さを覚えながらも、
その反面、今度は一体何が出てくるやらと楽しみでもある。
人間とはつくづく勝手な生き物だと思いつつ。
よもやま | - | - | author : miss key
ヒドゥン
週末に限って雨。
ゴールデンウィークも休みの日に限って雨で、
雨嫌いのわたしにはここのところ気持ちの晴れるような天気の日は少なくて困ってしまう。

そろそろ暖かくというか暑くなる前に、
もう長いこと敷きっぱなしだったラグを洗ってみたのだが、
部屋で宴会開いたときの跡(お酒とか料理をこぼしたりとか)がやっぱり取れず、
専門のクリーニングに出すほどの値段のものでもなかったので思い切ってお役御免にした。

驚いたのが、中途半端にラグを敷くよりはない方がずっと部屋が広く感じられること。
まあ当然と言えば当然だけれど、当分ラグ無しで十分だと思いながら、
その下に敷きっぱなしだったホットカーペットも片付けた。おかげですっきり(笑)。

快晴なら、一仕事終わった勢いでもってお弁当もって緑地公園にでも散歩に出るのだが、
やっぱり今日は雨。
折角のG1レースを観戦したいという気にもなれず、
今日は1日おとなしく部屋で過ごすことにした。



で、何の気無しに選んだのが『ヒドゥン』。
何とも言えず無機質ながらも憂いある演技で主演のカイル・マクラクランに釘付け。
彼の出演作品をあれこれ見てみたが、やっぱりこれが一番。
"Dune"(砂の惑星デューン、確かTOTOがサントラやった映画)なんかもまあまあだけど、
それではっと気合い入れて観た『ブルー・ベルベット』は・・・(無言)。

特撮ものでSF&ホラーというといかにもな感じがするけれど、
『ヒドゥン』はメロドラマっぽい下敷きがあるので、
グロい特撮場面はそれとして、物語そのものが分かり易いのがいい。
『ターミネーター』シリーズのように、時系列で?と考え込んでしまうような面倒さは全くなし。

もっとも『スラブ舞曲第二集作品72、NO.2』を聴いてもセンチになってしまうわたしなので、
どんな映画でもそういう角度から観てしまう色眼鏡のようなものを元々持ってるのだけど、
本作は1度観てネタバレした後はなかなか見る気もしなくなるような作品とは一線を画す。
サウンドトラック的にも面白い作り込みがあってその手の興味も尽きないけれど、
残念ながらサントラCDは廃盤で中古でも高値。
とりあえず、ジャケットだけでも備忘録として貼っておこう。
まあ、古い録音なので今時のCGを駆使した作品のOSTのようにはいかないだろうけれど。

cinema & Soundtrack | - | - | author : miss key
優しい時間
胸の病気には海風か森林浴がいいと医者も言っていたが、休日に出かけたとある海沿いの町。
生憎の天気、でもそれが幸いしたのか、
晴れた日には見かけることのなかった海猫の群れに遭遇。
波の音、突堤にぶつかる潮の音と海猫の鳴き声が風にもまれて。





若い海猫が強い風に羽をとられて水面ギリギリをよろけながら飛ぶ姿。
生きる姿の力強さと、飛ぶ姿の美しさと。





海の近くを飛ぶこうした姿の鳥を、どれもカモメだと思っていたが、
海猫とカモメの違いを今回初めて知った。
成鳥になっても黒い帯が尾に残っているのが海猫で、そして海猫は留鳥ということだ。
といっても海猫もカモメ科カモメ属の鳥で一般にカモメと呼ばれる鳥の一種とのこと。
そういえばエストニアで出会ったカモメはもっと大きくて青色の羽をしていた。

わたしの気持ちを窺うこともなく、鳥達はひたすら群舞する。
そんな様子をぼんやり眺めるだけで時はどんどんと過ぎていく。
霧雨が体を潤すままに、静かに過ぎ行く優しい時間。
よもやま | - | - | author : miss key