『デッド・オア・ウェイブ』 | 2008.06.28 Saturday |
ロシアの映画シーンが熱い、みたいな話しはもう数年前から聞こえていたけれど、
溢れるように毎月更新される新作リストにかえって手が伸びにくいと感じている人は
決してわたしだけではないような気がしている。
とりあえず日本語字幕が付いている娯楽作品―文芸ものや戦争もの以外の―が何かないものか、と
近所のレンタルショップの棚をぐるり見わたしてみたら、
『デッド・オア・ウェイブ』という作品がパニックコーナーにあった。
「デッド・オア・アライブ」のもじりのような邦題に思わず笑ってしまうも、
< ロシアでのタイトルは"Сдвиг"(「ずれ」の意)
Дмитрий Ульянов(ドミートリィ・ウリヤノフ)の名を見つけて内心嬉しくもあり、
いそいそとカウンターに持っていったのはいうまでもなく。
ストーリーは判り易くて、書くと即ネタバレになるので、
地震兵器を巡るウリヤノフ演じる気鋭の科学者とテロリスト、国家警察etc...のサスペンス・ストーリー、
とだけ書いておこう。
注意すべきは、決してパニックものではないこと(笑)。
大スペクタルシーンを期待してみると、がっかりしてしまうかも。
登場人物の葛藤や、騙し騙されてのどんでん返しはロシアものの得意とするところ、
人物同士のちょっとしたやりとりや台詞にロシアの情況が透けて見えるのが、
なかなかにロシアンフリーク泣かせだ。
作品そのものを離れてみても、台詞も専門用語以外はとても明瞭で聞き取り易いので、
ロシア語を勉強している方のネタとしてもお勧めかも。
ちなみに、ウリヤノフのここ数年での注目作品は「72メートル」。
残念ながら字幕付きのDVDが出ていないので露盤(しかもPAL)で見るしかないのが人に勧めにくいところ。
このあたりが字幕付きで国内盤が出るようならほんとうにロシア映画が身近になると思うのだけど、
採算うんぬんを想像すれば、よほど熱心な業者が間に入らない限り難しいのかも。
いずれにせよ『デッド・オア・ウェイブ』、肩の力を抜いて楽しめる1本だ。
cinema & Soundtrack | - | - | author : miss key