音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
犬の目線
買って5年目になるコンパクトデジカメ、
途中で1度バッテリーがらみの修理をした他は何の支障もなく役立っている。
帰省時に持って帰ったContax G2との二台で実家の犬ばかり撮っていたが、
両親のリクエストもあって初めてデジカメデータからプリントしてみたら、
おやまあ、意外にいい感じに仕上がっていて驚いた。
画質は、さすがにG2で撮ったものと比べるのはかわいそうだが、
ちょっとしたスナップを気軽に楽しむのにはデジでも十分な感じだ。

10日近く寝てばかりの毎日だったが、
実家で座敷犬になっている柴犬が思いのほか遊び相手になってくれた。
寝室にそっと覗きにきてうれしそうにしたりして。
何がうれしいのかって、目線の高さが人と合うのがうれしいらしかった。
それでもって、目の表情でいろんなことを伝えてくる。
目は口ほどにものをいい、とは本当だ。
面白いので、犬目線に合わせて遊び撮りしてみた。




うちの犬は最初、カメラを嫌っていたが、
だんだんと慣れてきたのか、最後の方ではカメラ目線に(笑)。
動いているときの絵はさすがにぶれぶれで、デジタル一眼が欲しくなったが、
装置が大げさになると、威圧感でもって嫌がられるかも知れない。

今度帰省した折には、若い子たちがよく携帯電話のカメラでやってるようにして、
自分+犬を撮ってみよう。
それこそ嫌がられなければいいけれど(笑)。
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СИРЕНА. 12 историй рассказаных на рассвете / Алёна Свиридова
アリョーナ・シヴィリドーヴァの待望の新譜、"СИРЕНА"(シレーナ、魔女の意)。
タイトルに少し戸惑いながらも届いたCDをトレイに入れると、
聴くほどになんだか気持ちが優しくなれるアリョーナの歌声に部屋が満たされた。





全12曲のアルバム全体に通じるなんとも言えない自然さ。
ロシアのポピュラー音楽、特に歌ものはパワーポップタッチのものが受けるのか、
「歌い上げる」系の歌手がとても多い。
アリョーナ自身もデビュー当時は声の細さを露にしながらも、やはり力一杯歌うスタイルで、
わたしはそういうのが好きだからロシアの歌謡曲を聴いているということもあるけれど、
さり気ない中にも情感が宿るアリョーナの歌に、着替えの手も止めて耳を傾けた。





Youtubeにアップされているのは、
アルバムの3曲目、彼女の公式サイトでも紹介されている"Пока"(パカー)のクリップ。
出だしはぎょっとするような絵柄だけれど。


わたし自身、ここのところ気が滅入っていたので、
このアルバムがすっかりツボにハマってしまった。
ちょっと単調なラブソングが混じっているのはまあご愛嬌、
つまらない安定剤を飲むよりはずっと効き目ありの1枚。
同様の年代の、仕事と人間関係に疲れがちなOL同志に聴いてほしいアルバムだ。


☆ Алена Свиридова Official Site http://www.sviridova.ru/
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晩夏





ここ10日ほど東京の部屋を離れ、田舎の空を眺めて過ごした。
朝晩は肌寒いほど涼しいのに、昼間はまだ汗ばむほどの暑さ。
さあこれから運動会の季節かなと口にしたら、
今時は運動会も9月中に終わってしまうところが多いのだとか。
暑い最中に練習する子供がかわいそうだとは家人の言葉だ。


我が身はすっかり病気のデパートと化したので、
一度、環境を変えてリセットしようと端の迷惑考えず休みを取ったものの、
結局、日程調整の疲れが抜けないまま時間切れとなった(苦笑)。

休み中、見聞きしたものと言えばプロ野球中継ぐらいのもので、
新聞もろくに読まなかったのでPink FloydのRichard Wrightが亡くなったことも
人から電話で教えてもらって知った。
音楽は何も聴けない環境だったので、かえって寂しさが増したのか、少し堪えた。

とうとう使い道のなくなった、将来の再結成公演に備えて貯めたFloyd貯金。
いやどうとでも使ってしまえばいいが、
やっぱり当初の目的を失ったお金ほど侘しいものはない。


  ねえ 知ってるかい 人生はメリー・ゴーラウンド
  偶然に 君と逢えるなんてさ
  ・・・
  いつだって たった一言を
  探せずに終わるさ
  ・・・ 

帰りの飛行機で聴いた堺正章の歌う「メリー・ゴーラウンド」。
今日発売された堺正章のアルバム「時の忘れ物」の紹介を兼ねた機内放送番組での1曲だ。
この曲が出た当初はぱっとしなくて、作曲した寺尾聡が歌った方がずっと印象もよかったが、
人に贈った曲ゆえか、確か寺尾の歌でのスタジオ録音は出ていなかったと思う。

件の番組の続きを聴きたいからといって飛行機に乗るわけにも行かないが、
最近の機内放送は結構工夫を凝らしてあって、
1時間ほどの移動距離では少し聴き足りないぐらいだ。

人ごみに揉まれつつ、いつもの部屋に戻ってみれば、
当たり前のことだが、10日前と変わらぬ空気。
変わったのは日の短さぐらいのものか。
蜻蛉の舞う風の匂いを思い出しつつ、
無意識に人差し指を立ててみる一人の部屋だ。
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光を感じる
ここ数週間のこと。
飛んでもいない虫を払って手をばたばたさせていたので、隣人から医者に行くよう促されていた。
秋になってようやく夏休みをまとめて取れる準備もできたので、
軽い気持ちで眼科に出かけたら、網膜剥離のごく初期の可能性もあるので、
しばらく置いて再検査するとのことだった。
もしそれで何かあっても治療できる範囲だそうだが、
もしも視力を失ったらどんな風だろうかと想像するも、
身の回りに起こりうる様々な不便以外に思い浮かぶことも少なく、
我ながら乏しい想像力にうんざりして思わずため息がでた。

***

週末、縁あって参加させていただいているある詩人の研究会があった。
作品はドイツ語で書かれているため、わたしは議論に直接参加することはできないが、
若手研究者による発表をもとに様々に議論が膨らんでいく様子に圧倒されながらも、
何か視界が開けるような充足感に満たされたのが不思議なほどだった。

詩人の残したことばと向き合う、ということ。
何が得られるということの一切の保証なしに、
時には、何を求めていたのかわからなくなってしまうかもしれないほど、
深い森を地図もなしに歩き続けるような、或は海に沈んだ硝子のひとかけらをさがすような作業。

***

手元にある1本のテープに録音された詩人自らの朗読。
これを初めて聴いたときの、まるで胃を素手で弄られるような重苦しさを
絶望感と言わずしてなんと言えばよかったか。

しかし、そんな暗い淵から漏れ伝わるような響きの間にもわずかに感じる光のことをふと思い出した。
もしも視力を失ったとしても感じる光があるとすれば、例えばそんな光ではないだろうかと。
もしもわたしの頭上に導きの星があるならば、
暗闇の中にも出会うべき魂は行くべき道を知ることができるのではないだろうかと。
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ラジオ熱と秋の空



audio装置への熱もようよう落ち着いて、最近は雑誌の類いも書店でチラ見で終わることがしばしば。
それでも、この季刊誌だけはいくつかの連載を楽しみにしているので欠かさず買っている。

家に着くのも待てず、車内で広げた本誌から思わず眼に飛び込んできたのが、
とある外国の方のラジオコレクション。
20世紀少年ならぬ「20世紀ラヂオ」と題されたその連載記事には、
ソニーの、特に初期の頃のラジオがずらり並んだ夢のような部屋が紹介されていた。

ファン垂涎の、などと書くことすらもどかしいほどに、
可愛らしい色とデザインのプラボディのラジオがずらり勢揃い。
各々、色違いも揃っていて、わたしが前から欲しかったTR−66はなんと3色も!

うっかりして目立つところに火傷の痕を作って親が泣いてから、
ハンダごては握っていないわたしながら、
こんな記事を眺めていると、やっぱりラジオのある生活はいいものだとうらやましくて仕方がない。

そんなことをつらつら思っていたら、あっという間に最寄り駅に到着。
駅が終点でなければ、写真に見入ってしまって乗り越していただろう。

そうそう、人目のある車中でちょっと読めないのが『微に入る(ヴィニール)些事は投げられた』。
文章の軽快闊達なところもさることながら、
その面白さ、黒い円盤に魅せられし厄介な病の持ち主なら笑いを堪えるのが苦しいほど。
やはりこのコラムは人がいないところで「くくっ」と笑いをかみ殺しながら読むのがいい、
なんて思っているのはわたしだけだろうか。

「微に入る〜」はわずか1頁という禁欲的な分量だからこそ、次の3ヶ月先が待ち遠しくなる。
今回号で当コラムは15回目。いずれほどよい区切りで単行本になることを心から待ち望んでやまない。
わたしは書き手でもないのに、装丁や書き下ろしコラムを勝手に想像しつつ、
いつか手にするかもしれない本を想ってついほくそ笑む。

駅の外にでれば涼しい風、いつの間にかすっかり秋の空。
CD棚もちょっと衣替えしてみることにしよう。
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植物のあかりと翳り絵 / 金井一郎展
幻想的な植物のあかりと翳り絵の個展のお知らせです。
心癒される作品の数々、ぜひお友達を誘ってお出かけください。
(開催通知のDMより転載してご案内いたします)

***

金井一郎(かないいちろう)展 / 植物のあかりと翳り絵

期日:2008年9月23日(火)〜10月5日(日) 会期中無休
   10:30〜18:30 (最終日〜18:00)

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をテーマにした翳り絵の世界と
今回も身近な植物や珍しい植物を使ったあかりのさまざまを
お楽しみくださいませ。

会場:兜屋画廊
   中央区銀座8-8-1 出雲ビル8F
   TEL 03-3571-6331
http://www.gallery-kabutoya.com



※画像は金井一郎氏の昨年の個展の作品です。
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デジカメのセミナーに参加する
あまり片意地を張らず、デジカメのきちんとしたのを買って撮ってみようと思い、
Nikonサロンの初心者向けセミナーに参加した。

何も教わらなくても一応は撮れるけれど、
デジカメにしかない機能があったり、
プリントでお任せだった部分が自分の作業になっていたりと、
どうもフィルムカメラと勝手が違う。

なかでも一番ピンときていなかったのはレンズの焦点距離。
今出ているほとんどの機種はデジタル一眼専用の狭いフォーマットで、
35mmのカメラと比べて同じレンズだと長くなってしまう。
最近、16mmとか18mmとかってやたら広いレンズが出ていると思ったら、
それもそのはず、1.5倍換算しないと35mmカメラと同じにならないのだから。

一方で、従来の35mmサイズと同等のフォーマットをフルサイズと言っていたり、
FXフォーマットとか言ってみたりと各社で呼び方も違っていたりするから、
各々別のものなのかと混乱してしまっていたり(笑)。
今日のセミナーは、新製品のコマーシャルを兼ねてのもので、
しかもD700というFXフォーマット最新機種での講習会ということで、
画角については違和感もなく楽しめた。

D700はファインダーも見やすく、操作性も良いので、
価格がもっと身近であれば欲しくなったかも知れないが、
さすがに機能満載の反面、重量もかなりあって、本体のみで約1kgもある。
わたしが日頃使っているフィルム用の一眼レフは電池込みで約800g。
その200gほどの差が意外に手首にずしりと来るので、
明るいズームをつけるとわたしの手にはかなり厳しい感じ。
横位置はともかく、縦位置は肩が凝りそう(笑)。

もっとも、こなれた価格帯の別機種は取り回しも楽で気楽に持ち出せそうなので、
もしデジタル一眼レフを購入するとすれば、
画質はともかく、街に出かけるときに常に持っていけるような手軽さが選ぶポイントになりそうだ。

ところでD700、光の少ない条件の厳しい撮影でもノイズが抑えられていて、
夜景の作例は特に印象的だった。
ナノクリスタルコートという特殊コーティングを施したレンズ使用とのことだったが、
本体と合わせて軽く50万円オーバーのシステムに(苦笑)。
夜景が美しく撮れるとあって、少し気になったが、この値段にはさすがに腰が引けた(笑)。

それにしても今日の会場、わたし以外は年配の男性客ばかりで、
団塊の世代を狙った高額商品、みたいな文句がつい頭に思い浮かんでしまうけど、
お話を伺ってみたら、他の皆さんはもう何台目かのデジカメということで、
初心者どころか、新しい商品レビューを体験に来たユーザーさんたちだった。

おまけに皆さん、Rawデータで撮って自ら加工もされている様子。
そこまでの根気がそもそも今のわたしにはないな、とあっさり白旗をあげつつ、
まあしばらくは銀塩カメラとコンパクトデジカメ(finepix)でも十分かなと思い直し、
大粒の雨がばらつく中、会場を後にした。

音楽の再生もどんどんデジタル化していて、わたしはどうも流れに乗り切れずぱっとしないのだが、
まあ合わない服を無理矢理着て窮屈な思いをするよりはいいと言うことなのかもしれない。
この秋、晴れた日にはカメラを意識的に持ち出してみよう。
撮っても、撮らなくても、どちらでもいいから・・・。
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胃カメラをのむ
今回ほど、検査中に音楽が鳴っていればと思ったことはない。
職場の健康診断に引っかかって二次検診に回されての内視鏡検査。

何でも検診費用の見直しがかかり、検査機関が昨年までと様変わり。
予算が大幅に削られたのか、呼び出しのあった会場に出向いてみると、
一目でこれまでに比べて質が落ちたのがわかった。

簡単な問診を終えて検査室へ。
ここで既に予約時間から30分を経過。ただでさえ忙しいのに。
部屋の中に通されて喉麻酔のゼリーを流し込まれて3分間じっと待つ。
最近は鼻から細いケーブルを通しての検査が続いていたので、
久々に喉からケーブルを入れる従来方式、というのも嫌な予感がしたが、
その検査機もちょっと前のものなのか、ケーブルもかなり太くてうんざりした。

麻酔薬をろくに吐き出すこともできずにケーブル挿入。
胃カメラは慣れている方だと思っていたが、これまでにない苦しさ。
動悸が収まらず呼吸も荒くなっているというのに、
医者はぶつぶつ言いながらゆっくりポリープを探している。

ポリープの多発とやらで、細胞検査に回すための細胞を取るのにも難儀して、
必要以上にもたもたされていったいいつ終わるのやらという苦しさ。
ケーブルを引き抜かれたときは冷房の効いた部屋なのに汗だくだった。

今回の麻酔薬が合わなかったのかもと言われたが、
もっと手際よくやってくれればいいものを、
レントゲンでも見えるほどのたくさんのポリープをなかなか見つけられないなんて、
本当に呆れてしまった。

せめても、何か音楽でも流してくれていれば気が散ったかもしれないが、
そういう気遣いは皆無のところのようで、
少し横になって休みたいと思っても、早々に部屋から出るよう促され、
もう終わったからお引き取りくださいとのこと。

胃カメラくらいと馬鹿にせず、自分の慣れた場所で自腹で検査を受けるべきだった。
おかげですっかり調子を崩してしまい、
ここのところアガタ・クリスチーばかりリピートしている。

いつか見たモスクワの曇り空と同じ、暗くて湿り気がある音なのに、歌の文句は乾いている。
クリスチーを聴いていると、何故か空腹を忘れてしまう。
とにかく胃の存在から遠く離れてしまいたいので、クリスチーの音楽は都合がいい。
嗚呼、人生最悪の胃カメラ検査。しばらく病院には足が向きそうにない。


※ アガタ・クリスチーの旧作品が新ジャケットで再発されたとのこと。
  下はその宣伝用ポスターです♪




□ Агата Кристи Official Site http://www.agata.ru/
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アコーディオンの貴公子 ― 23 / Петр Дранга



Петр Дранга(ピョートル・ドゥランガ)は84年生まれの若きアコーディオン奏者。
音楽家である両親のもと、モスクワのリヒテル音楽学校に学び、コンクールに入賞。
その後、ソロ演奏家として音楽活動を始めた。

バヤン(ロシアのアコーディオン)でクラシカルな音楽をやるのかな、と思いきや、
ジャケ買いしたデビューアルバム「23」は、
バンドを従え、テクノやフュージョンの要素も取り入れたお洒落サウンド満載。
取り上げている曲はチャルダッシュのようなスタンダードで耳慣れた曲も入れながら、
アコーディオン音楽の可能性を追求しているようだ。

全体に軽快なラテンのリズムをしっかり刻みながらも、
ロマンティックなメロディを力みなく乗せていく。
単なるインストルメンタルと違って、
ソロ演奏としてのパフォーマンスを意識したアレンジも面白い。





目新しさで注目される時期を過ぎて、その後どんな風に展開していくのかがとても楽しみ。
ロートルの演奏家が民謡を中心に鄙びた演奏をする、
といったアコーディオンにまつわる先入観を鮮やかに覆してくれたのだから、
やっぱり期待せずにはいられない。
このところ雨続きで鬱陶しい限りだが、
すっきりした気分にさせてくれる小気味よさが嬉しい夜だ。

□ Петр Дранга Official Site http://dranga.ru/
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