音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
木に囲まれた生活にあこがれる
これまで「いかにモノを効率よく収納するか」ということを重視してきたが故に、
本やレコードをしまってある棚はスチール製の安価で何度でも組み直せる便利家具ばかり使ってきた。

ここ数年、その「ひんやり感」がどうも気になってしまい、
くつろぐ部屋というのはやはり木製の家具に囲まれたものであるべきだという、
どこか妄想にも似た思いにずっと囚われ続けてきた。

もともと引っ越しや模様替えが決して嫌いではないだけに、
一度そういうことがひっかかると、何か具体的に変えるまで気持ちも落ち付かない。
それに、正月が過ぎるとあっという間に春だ。
やっぱり何か変化をつけなくちゃ、と何が何でも部屋のどこかを変えたくなる(笑)。

でも、いざ木製の本棚やレコード棚を探してみると、
質感の良いものは値段も良い。
それに地震対策のことも考えなくては、なんて思っていると、
例えばおしゃれで安価なIKEAの家具などは背も高くて、
これに目一杯本を詰めたはいいが、夜中の地震でその下敷きになるのは・・・、
などと要らぬ想像もしてしまう(汗)。

ごちゃごちゃ言わないで、書庫の取れる間取りの部屋に住み替えるのが一番だが、
経済的なことからそれが許されないので、
当初、家具を買い替えて半ば力技でもって生活を一新する!という計画は、
もろくも崩れてしまった。

それで、加重のかかりすぎていたレコード棚だけ、木のラックを購入し、
余裕の出た棚に本をもう少しゆったりと入れて、床の負担を軽くすることにした。
ラックはとりあえず1台オーダーするとして、
「棚から一度中身を出して、組み替えた上で本だけ再収納する」
という作業だけをこの土日にやった。

途中の写真を載せようかと思いつつ、やっぱり恥ずかしい状態なので写真省略。
限られた床の面積をうまく使えるよう、
あらかじめ倉庫番の要領でチャートを作って作業に取りかかったものの、
出来上がりを想像しつつ楽しく進めるはずが、
途中から気分もかなりダルくなり、
暗くなる前に終わらなかったらどうしようかと思うほど作業ピッチもあがらず難儀したが、
なんとかとりあえず目標のところまで作業を終えることができてほっとした。

本や棚の後ろの埃を取ることができたので、たまにはこういうことも意味があるかと思うが、
今の時点ではとても次のことが考えられないほど辛かった。
こうしてキーボードを叩いている指がプルプル震えているくらい、手も疲れてしまった。
きっと明日には時間差で酷い筋肉痛が襲ってくるに違いない(笑)。

ラックが届くのは次の週末以降。
レコードは大まかなジャンルに分けて床に並べてあるものの、
ラックを組み立てて入れ直すにはまた半日以上かかるだろう。

こんな苦行に身をさらすためにレコードを買っているわけでは決してないが、
「もう買うのはやめよう」
とは露程も思わないのが少しかなしかったりする。
ああ、もう来週は2月だよとため息しながらカレンダーを眺めつつ、
あまりの作業の大変さに暖房入れるのも忘れて終わった週末。
レコードの話 | - | - | author : miss key
Yes We Can



"Yes We Can: Voices of a Grassroots Movement"は、
オバマ大統領を支持するミュージシャン達によるメモリアル・コンピレーションCD。

予備選挙の時から、しかも諸外国でもこんなに注目されるなんて、と、
特別な関心のないわたしでさえ気になった米大統領選。
様々な背景があるにせよ、こうしたCDを聞いていると、
改めて今回の出来事は、大勢の人々の注目を集める特別なものであったことを痛感する。

曲のイントロや途中にオバマ大統領の演説がかぶせてあったりして、
アレンジも凝っているし、ブックレットも充実。
わたしは値段の安い外盤を買ったけれど、
英語が苦手なくせになぜ対訳が付いているだろう国内盤を買わなかったかと、
今になって少し後悔(汗)。
せっかくだから歌詞等の意味をしっかり掴まないともったいないので、
ブックレットの歌詞とにらめっこ中(笑)。

後から盤をみて「こんなことがあったんだ」的なネタ盤になってしまいそうだけど、
この企画のために集まったアーティストの名前だけ見ていてもかなり豪華。
早速、iPodにも入れて、1曲、1曲丁寧に聴いてみようと思う。

◆ 曲目とアーティスト名はつづきを!
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pop & rock | - | - | author : miss key
「昔」の欠片をさがす
年末年始を過ごした田舎は、どことなく新しい家が増えて少し賑やかになったものの、
夜、空を見上げれば、たくさんの星が瞬いているし、
夕刻を告げる鐘の音も、子供の頃聞いたのと変わらず同じだった。

賑やかと言えば、地元のローカル線が三毛猫「たま」を駅長にしてからというものの、
テレビや新聞の取材は来るし、遠くからわざわざ何の変哲も無い田舎を訪ねるお客も増えて、
たしかに、何も変わらないと思いながらも、落ち着かず思いを巡らせてみれば、
全く匿名性のない小さな集落は静かに変化していたのだった。


わたしが通った小学校の学区は半径6km以上もあって、
子供の足だと片道2時間かけて歩いてくる同級生もいた。
わたしはというと、せいぜい道草食っても1時間ほどであったが、
車道をほとんど通らず、田んぼの畦を5分歩いてはしゃがんで虫を触ったりなどしながら、
今思えばまああんなのどかな時間がよくあったものだとつくづくも懐かしい。

ふと思い立ち、年末に犬を連れて実家からさらに山の方へと散歩に出てみた。
小学校の同級生の家が3軒あって、
男子は二人とも実家に戻って母屋の傍に立派な家を建てており、
たった一人いた女の子は嫁に出て、それも随分遠いところだと聞いた。
年末だからひょっとして戻っているかと思って寄らせていただいたが、
生憎みな出払っていて30年近くぶりの再会とは成らなかった。

新しい道が出来ていて、知ったところのはずが道に迷ってしまい、
結局、犬につれて帰ってもらったのだったが、
往復2時間ほども二人で訪ね歩いた道中、
気をつけて「昔」の欠片を探さなければ、つい見落としてしまいそうな、
そんな様子であった。

年末年始の、農村らしいひっそりとした静けさだけは相変わらずだったが、
うちの母屋もついに黒豆を煮るのに練炭を使わなくなっていたのには、
ああ、こうして少しずつ変わっていくのだな、と思わずしみじみした。

わたしにつき合わされて疲れきった犬はこたつの傍で足を伸ばして眠りこけていた。
平和な時ほどあっという間に過ぎてしまうことに改めて思い至った2009年の正月。




よもやま | - | - | author : miss key
鎮魂
悲惨な事件の記事が新聞に載らない日はないと感じるほど、
これでもか、というくらいの出来事の連続。
何でもかんでも最近の大量解雇に結びつけるのはどうかと思うが、
巷で言われる格差の存在がその根底にあるのだと言われれば、
そうなのかもしれない、と思う。

今夜もニュースに頻繁に取り上げられていた大学キャンパス内で起きた殺人事件。
被害に遭った方を直接は存じ上げないものの、
私が学生時代にお世話になった先生のご親戚らしいという話を、
職場の同僚から聞いて知った。

寂しいというのでも、悲しいというのでも、また腹立たしいというのでもない、
表現のしようのない感情が幾重にも綯い交ぜになりながらも、
心にすきま風が吹いているような感覚に戸惑いを覚える。





ただぼんやりとしたいときによく聴くアルバム、Gerard LesneのPurcell, "O Solitude"。
気持ちのささくれ立った時でも緊張を和らげてくれるような、
温かな真綿のような音楽。
それでも今夜はとても眠れそうにない。
外の風はどこまでも冷たく、闇が重くのしかかるような夜なのに。

others (music) | - | - | author : miss key
データの歌声
表題を見て意味不明と思われた方、おそらく多数と思われるが、
Star Trek "The Next Generation"のデータ少佐が、
映画『ネメシス』で歌う場面をご存知であれば話が早い。




アルバム"Ol' Yellow Eyes is Back"は、91年にリリースされた俳優Brent Spinerの歌謡集。
曲は"Time After Time"や"Embraceable You"など、
一度は耳にしたことがあるような懐かしいスタンダードナンバーがずらり12曲。
情感を込めてたっぷり歌う様はデータのイメージから一見遠く感じられるものの、
先の『ネメシス』で、クルーの結婚式に花を添える歌声に、
「おや?」と思った方は少なくないはず。

さて、このアルバムは当時、SF雑誌の出版社から出ていたようで、
わたしもCDの存在は聞いていても、手に入れるまでには至らなかった。
それが、Brentのファンの方が作ったサイトで試聴してからというものの、
いつかはぜひと思っていた1枚だったが、年末に思いがけず見つけて購入した。

Brent Spinerは他にもラジオドラマのようなミュージカル仕立てのアルバムも出していて、
こちらはまだアメリカのamazon等で手に入る。

さて、"Ol' Yellow Eyes is Back"のブックレットには、
ピカード艦長やライカー、ラフォージの写真も見える。
バックのコーラスにTNGのメンバーの歌声ともなると、
Star Trekファンにとってもやはり特別なアルバムだけれど、
amazonの中古でも出ているがやたらに高価で手が伸び難く、
安い盤は根気よく探さなくてはいけないのが難点だ。
それはさておき、本作は余分な先入観は捨てて、素の状態で聴くのがお勧め。
優しい歌声に心温まる1枚だ。
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気になるCMのBGM
日頃テレビを見ないわたしも、
年末年始はついついあれやこれやと番組をハシゴ。
おや、と思って眺めていたら、どこかで聞いたことのある音楽が。
最後におとうさん(カイ君の声&人形)が出てくるSoftbankのCMだった。

絶対聞いたことがあるよな、と何度もメロディを頭のなかで繰り返してみても、
あと一息、記憶の沼底に沈んでしまったのか、その曲名なり何なりが出てこない。
一時は寝付けないくらい気になったので知人に電話して調べてもらおうかと思ったが、
まあ大人げないかも、と思いながら結局その電話はつながらずに終わった。

さあて、「灯台守」とかそういう大自然がテーマの番組か映画のテーマだったかなあ、
とかあれこれぶつぶつ言ってたら、
そうそう、思い出した、「八甲田山」のサウンドトラックだあ、と、
ようやく喉の閊えが取れたのだった。
そのすっきりした気分といったら(笑)。





東京に戻ってから調べてみたら、どうやらOSTはCD化されていない様子。
で、LPレコードを探したら、すぐ近所のショップで見つかった。
作曲は芥川也寸志さん、結構重々しい曲調の作品が多いけれど、
メロディはとても美しくて一度聴いたら印象に残るフレーズも少なくない。

映画作品の方も、昔確か見ているはずだけど、こちらは筋がさっぱり思い出せず。
まあいいか、何のどんな曲かわかったのだから。
邦画のサントラ盤は今ひとつ手が伸びていなかったのだけれど、
思えばとても美しい曲が多かったりするので、
今年は少しずつ気の付いた時に探してみよう。

今夜遅くから雪が降るとの予報。
映画「八甲田山」サウンドトラック、
しんしんと冷え込む夜にぴったりの1枚だ。
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Вночі (Ночью) / Святослав Вакарчук
一時の冷え込みが和らいだとはいえ、まだまだ冷える夜が続く冬。
こんな季節にぴったりの音楽がタイミング良くリリースされた。
Океан Эльзы(オケアン・エリズィ)のヴォーカル、
Святослав Вакарчук(スヴャタスラフ・ヴァカルチュク)のソロ1stアルバム、"Вночі"(夜に)。





オケアン・エリズィはウクライナのロックバンドの雄。
アルバムが出る度に衣替えをするようにして新しい局面を聴かせてくれているが、
バンドでの活動は先頃出たベスト盤を見る限り、一段落した模様。

今回のソロアルバム、一聴して感じるのは、
オケアンの名義ではやりにくい、ジャンルに拘らないサウンドに溢れているということ。
Jazzやフォーク、さらにworld系の音まで、様々自由奔放に背景に描いてみせながらも、
定評ある彼の美しいメロディワークは健在。

心の底から絞りだしたような歌声に耳を澄ませば、
どこか懐かしいウクライナ民謡も聞こえてくる。
Popから少し距離を置いたところで何かやりたそうな気配はあったけれど、
このアルバムを聴いてみれば、彼はこんな風にメッセージを伝えたかったんだ、
とストレートに胸に迫るものがある。

不思議なのは、
例えばヴォプリ・ヴィドプリャソワの音楽ではものすごく泥臭く聞こえるウクライナ語の響きが、
ヴァカルチュクが歌うと、とても美しく、そして切なく聞こえること。
ことば一つ、一つを噛み締めるようにして歌う彼の口元から漏れる息音ですら・・・。

オリジナル10曲にボーナストラック(英語での歌)1曲を加えた全11曲。
本作用に特設された公式サイトで試聴することができる。
ヴァカルチュクによる曲ごとの解説や写真も掲載され、
デザインも落ち着いた素敵なデザインで一見の価値あり。

◆ Вночі Official Web Site http://www.vnochi.com/
pop & rock (russian and other slavic) | - | - | author : miss key
С Новым Годом - 2009



今年は久しぶりに年賀はがきを作ってみた。
でも絵柄がなかなか決まらず、
結局、もう何年も前に訪ねたクロアチアはドブロブニクの港の写真にした。

この写真、この場所に特別なエピソードはないが、
陽の差し具合がなんとも言えず心地よかったことはよく覚えている。
ここから小さな船で離れ小島に渡った折に飲んだ地元のビールの味も。

この写真を見てこんな言葉をくださった方がいる。

「ドブロブニクの港は、絶景というより、人工物の神の顕現」

海外への長旅はこのクロアチア行きを最後にぱったり止めてしまっているが、
この2週間弱で体験した光よりも素晴らしい処が果たしてあるのかどうか、
それを探し当てる自信がないのかも知れない。


同じく、彼の方よりいただいたメッセージをお借りして、
blogをお読みくださっている皆様にとっても新年が素晴らしい年になりますよう、
心からお祈りいたします。

「いつも音楽が傍に寄り添ってありますように」
よもやま | - | - | author : miss key