夜桜の公園を通り抜けて | 2010.03.31 Wednesday |
肌寒さの抜けないこの時期なのに、
今夜は少し気が向いて、夜桜の公園を通り抜けて職場から歩いて帰ってみた。
気の早い花見組。
囲む鍋のカセットボンベが弱々しくてこちらの方が気になってしまうよ。
iPodに入れたジューン・テイバーの『林檎』がこんなそぞろ歩きにはぴったりだ。
彼女は英国のフォークシンガーで、
若い頃はフランソワーズ・アルディに憧れた、なんて解説に出ていたけれど、
わたしが初めてジューンの歌を聴いて思い浮かべたのがアルディだった。
アルディのごく初期のヒット曲の素朴な感じが、二人の音楽の底の方でつながっているような気がする。
本作のアルバムコンセプトになっている林檎。
ヨーロッパに横たわる林檎のイメージは、
遠く離れた島国の、彼の地の歴史に疎いわたしにはなかなか掴めないところがある。
でも桜なら、そう、桜なら。
桜の花の下を歩いていると、どこかそわそわと落ち着かず、
気持ちの在りどこもよくわからなくなってくる。
遠く記憶の彼方に去った懐かしい人々も、
桜の花の下ならそっと空から降りて来るような気さえする。
東京の夜は、随分と物騒な時代になった。
日々新聞に載せられる事件の記事。
何が一体それほどまでに人の心を狂わせるのか。
それでも、今夜のような夜はひとり、街灯に身を明かくする桜に身を寄せて歩きたくなる。
満月を1日過ぎた、ちょっとずれたところがいかにもわたしらしい夜。
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