音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
戦いすんで、日が暮れて
昨日は1年にたった1度、東京優駿、ダービーの日。
これほどまでにメンバーが揃った豪華なレースもないと徹夜組が多数出たのは、
ディープインパクトのいつかのレース以来か・・・。

わたし自身は指定席を手に入れながら私事で府中に行くことができなかった。
長年のファンである武ジョッキーの不在と同じ位、これ以上残念なことはないが、
それもこれも、ほんとうに仕方のない事情なので諦めるしかない。

人気上位2頭は、父同士の因縁もあって、いずれが勝るかと事前の煽りもあったけれど、
わたしが応援していた馬が上がり33秒前半の脚を繰り出しても、
勝った馬は32秒台というから、いくらスローの用意ドン!でも仕方がなかった。
相手が悪かったし、勝った馬はきっと何もかも揃っていたのかも知れない。
何度思い返しても、ダービー馬になれるのはたった1頭。


馬が好きな人にとって、ダービーと有馬記念は盆暮れの区切りのようなもので、
わたしもダービーが終わると、さて夏の準備をするかと春先の眠気を払うようにして、
自然と力が湧いてくるものだが、
今回ばかりは、何としても応援馬に2冠をと余計な力みがあったせいか、
レース映像を何度見返しても、心の中に区切りらしいものはつきそうにない。

久々の心の底からの脱力感・・・。


なんとなく頭の中に浮かんで流れたのはScissor Sistersの"Mary"。
ことばを発する気力もなかったが、無音では心が堪えられなかったのだろうか(笑)。



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Richter in Hungary (1954-1993)
騙されたと思って買って聴いてみて

そう言われてリリース案内の直後に予約したリヒテルのBox Set。
クラシックの盤を予約してまで買うことはそうないから、
いつ来るか、いつ来るかと思っているうちに日延べがあって、
待ちくたびれ、そして忘れた頃にひょっこり届いた。 


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雨の日がここのところ多かったから、
部屋にじっといる時には流しっぱなしにして聴いた。
ピアノはすぐ飽きてしまうけど、
中にはずっと聴いていられる演奏家が何人かいて、
彼はそのうちの一人だ。

どの演奏もーCD14枚分の録音で、曲も多様ながらー、
ほんとうに心に染み渡る素晴らしいものばかりだが、
どうしても1枚だけ選ぶとしたら、いまなら13枚目のチャイコフスキーの作品だ。
Bachの演奏も捨てがたいのだけれど・・・。

Box Setを買ってもなかなか最後まで聴き通せないものだけど、
今回の作品はもう終わってしまったのかと最後の1枚を聴くのが惜しくなるほど。
決して録音の状態も良くはないし、廉価なセットが次々に出ている中で、
価格もそれなりにするのだけれども。

わたしも言おう。

「騙されたと思って買って聴いてみて。まだ売っているうちに!」

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雨の日の夜がつづいて
月曜の朝はそうでなくても憂鬱なのに、朝から重々しい雨。
小止みになったかと思えば、スプレーのような雨が未だ降り続く。




湿気がある方が、部屋の響きがよいようで、
じめじめは神経に障るけど、音楽は心地よく流れている。

こんな夜は、かえってしっとり感のある音色が聴きたくなる。
それでいて、少しばかり距離感があるような。
だから、今夜はStan Getzのライブ盤、"Anniversary"。

シンプルなピアノの伴奏に控えめなドラム、首もとをくすぐるようなベースライン。
そして、やや響きの多いホールでGetzのテナーは鈍い光を放つ。

頭と心を空っぽにしてひたすらこの柔らかなシャワーを浴びる。
都会の雨に薄汚れた体を洗うようにして。

明日はどうぞ晴れますように。 
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惹かれる理由が分からないけど
先日ラジオの話を書いた。
もともとロシア方面の文化や出来事に執着しだしたきっかけは、
自分でもよくわかっていないけど、
それを助長したのはあきらかに彼の国のラジオ番組だった。

当初はモスクワ放送。
当時はそれこそ地元民放局を押し分けてでも届くほど強力な電波でもって、
お国のプロパガンダありき、それはもうある種暴力的であったとも言えなくない。

放送を聴けば聴くほど、単純なわたしは、彼の国の「素晴らしさ」に目を輝かせ、
いつかその国にわたしも行くのだなどと想像してはひとりの部屋の夜を楽しんだ。

***

彼の国から亡命、
することの意味を理解したのは、結構遅かったし、時間もかかったのだと思う。
鉄のカーテンをくぐり抜けた人、くぐり抜けなかった人。
政治にはさほど興味はないものの、子供の頭でもやはり考えざるを得なかった。





最初に聞いたのはいつ頃だったか、アシュケナージの演奏。
ピアノという楽器はとても苦手だったのに、アシュケナージは聴いてすぐに好きになった。
何故か?
技巧とか、解釈とか、あるいはその運命とか。
否、わたしが子供の頃から惹かれてやまなかったロシアの薫りを、
彼の演奏は深々とたたえていたからではないか。

難しいことは書けないし、書かない。
彼のピアノの音色で、どんなに辛い夜も安らかな眠りを得、
或は朝の来ない夜はないのだと、明日への力を感じながら・・・。

数々の録音の中でも、やはり一番好きなのが、ラフマニノフの作品集。
悲しい時も、嬉しいときも、今夜のような雨の晩も、
この盤が聴きたくなる。
とても不思議な1枚だ。 
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Scratch my back
 


Peter Gabrielのアルバム、"Scratch my back"。
全曲カバーから編まれた最新作。

Peterの作品というと、ごく初期のものをレコードで聴いている以外は、
数年前に出た"Up"が印象的だった。
特に最後の曲。

その最後の曲のメッセージが根底に流れているかのような本作、
ジャケットの絵柄からも薫るような何かが感じられ、
わたしにしては珍しく予約までして購入した。

アルバム全体の静寂感、どこかデヴィッド・シルヴィアンの近作にも通じているようだけど、
あんなにストイックであれほどタイトな感じはしない、
むしろ、とてもふくよかで聴いた後の、体のどこからか力が湧いてくるような感触が、
なんとも生々しく、夢中になってしまう。

カバーアルバムというと、気に入った曲の元ネタを当たりたくなるが、
今回はそんな気も起こらない。
わたしは今回の12曲中、前から知っているのはごくわずか。
だからなのかもしれないが、最初っからPeterのオリジナルのように聞こえる。
そのくらい違和感もなく、また聴き古された感もなく。

少し小さめの音量で聴いていると、
まるで隣でぼそぼそ話しかけられているような錯覚もあって、
詩の意味はよくわからなくてもお腹のあたりがほくほくする。
とてもあったかくなる。

心の余裕が無くてきつかったここ数日感、
明日は周りの人にも優しく接することができるかも、そんな気にさせる1枚。
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ラジオの時間
音楽のソースというと、子供の頃はずっとラジオだった。
テレビも親につられて見るには見たが、何と言ってもラジオ。
起きたらラジオ付けてたし、家に帰ってからもスイッチオン。
テレビ小僧なら同じことをテレビでするのだろう。



いつも使っていたポータブルラジオが、いよいよガリも酷くなり不調なので、
思い切って新しいのを購入した。
FMは別のオールインワンオーディオで聴けるので、
中波中心に楽しめるものを、と捜したら、
もう随分長いことカタログに掲載されているSONYのEX5mk2というモデルがあった。
検索すると、使い勝手や性能など、全般的に評判も良いようなので、これに決定。

届いてみると、昔ながらのラジオらしい見た目がとても気に入った。
それに操作も簡単で、機能も基本的なものがしっかりしているので十分だ。
それにFMはもちろんのこと、おまけ程度に国内短波が聴けるのもとても便利。
ときどき競馬中継(特に国際レースの生中継など)を聴くのに短波は必要だから(笑)。


テレビは見ないんですか

そう訊かれて、ええあまり見ませんと答えるようになってもう随分になる。
要するに目が疲れるし、毎週決まった時間等々に続きを追いかけたりするのが面倒なだけだが、
人によってはそういう態度を「テレビは低俗で、日頃見ている自分は馬鹿にされたよう」
などと受け取る方もいるようで、誤解を解くのにもちょっと面倒だったりする。
確かに番組によってはつまらないものもあるだろうが全てではないだろうし、
見たい人が見れば良いだけのことで、見ないからといって見ている人を否定などしてはいない。
もっとも、暇つぶしの代表的なテレビ視聴が面倒臭いといわれてもね、ということか。
まあ、どうという問題でもないのだけれど・・・。
 
よもやま | - | - | author : miss key
何を聴いているのですか、と訊かれたら


春は新たな出会いもたくさんあって、自己紹介の機会も多いけれど、
趣味は?と訊かれて音楽鑑賞、と答えても、
どんな音楽を?と訊かれてシンプルに答えることができないのでいつも困ってしまう。

雑多に、とか、
少し音楽に興味のありそうな方ならworld系をいろいろ、とか。

シンプルに答えたところで話題が盛り上がらない、という話はあるけれど、
詳しく説明しても、もともとあまり音楽に興味のない方と話していると、
相手の頭の中にどんどんと「?」が増殖していくのが目に浮かぶようで、
例えばお酒の席でこちらにも多少のエンジンがかかってたりすると、
必要以上に相手を疲れさせたかも、と時々反省したりするのだ。

上の写真は、最近よく聴いているアルバム。
要するにポピュラー音楽なんだよな。


ロシアの歌謡曲を何故聴いてるのか
これは今までわたしに対する最も多い質問の一つ。
でも、これは自分でもよくわからない。
気がついたら毎日モスクワ放送やラジオ・マヤークを喜んで聴いてたから。

なので、答えられない、と分かっていることを訊かれそうだから、
ちょっと面倒になってしまうのかもしれない、今日改めてそう思った。

「最近、UKフォークにはまっちゃってさあ」。
そんな風に言えないんだよなあ、なかなか、きっと。

よもやま | - | - | author : miss key
テレム・カルテット来日公演
ロシアの民族楽器アンサンブル、テレム・カルテット(ТЕРЕМ-КВАРТЕТ)が来日します。




日本でもバラライカは割とポピュラーな楽器かもしれませんが、
ドムラやバヤンなどはなかなか生演奏で聴く機会がないと思います。
一つ一つは素朴な響きの楽器ですが、彼らの演奏とアレンジは現代的でアグレッシブ。

さて、テレム・カルテットはヨーロッパでも注目されているグループで、
今回、7月初旬より、東京、埼玉、神奈川で公演が予定されているとのこと。
詳細は、招聘元のweb siteをご覧ください。

http://www.arstokyo.co.jp/concert/concert_2010/c01/

◆ ARS TOKYO  http://www.arstokyo.co.jp/

◆ ТЕРЕМ-КВАРТЕТ Official Site  http://terem-quartet.ru/


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audio雑誌を読む
週末にaudio関係のイベントに出かけたせいか、
久しぶりに雑誌も読んでみたくなったので、店頭にあった新刊誌を購入。
ビートサウンド、創刊の頃は毎号買っていたが、
編集方針が少し変わって読みづらくなったので遠ざかっていた。
でも、表紙に「プログレ〜」と謳っていたのでついつい釣られてしまった。




アルバム評にはそれほど目新しさは感じなかったけど、
面白かったのはPC時代のシステム構築術という特集記事。
デジタルファイルの再生について、初心者向きに機器も紹介しながらの読みやすい内容。

理屈で一から説明してあるものよりは、事例形式で簡単にまとまっているのが、
かえって各々の機器の役割や機能をざっくり理解、整理できてわたしの頭もすっきり(笑)。
いまさらながら、手持ちのiPodならこういう風に活用できるのね〜などと楽しく読めた。

それから、レコードを大量にお持ちのリスナー訪問記事。
写真だけでは音は聞こえてこないけれど、たくさんのソフトをどんな風に整理して、
どんなaudioで音楽を楽しんでいるのか、その雰囲気だけでも伝わってくるものがあって、
かつての『音の書斎』のような本を、またどこかの出版社が企画してくれないかな、
などと思ったりする。

ところで、我が家。
PCオーディオまでは少し距離があるというか時間がかかりそう。
理由は簡単、リッピングが面倒臭いから。

ケースから盤を取り出し、トレイに載せる。
そのひと手間は結構愉しいのに、リッピングは面倒とは、勝手ぼしもいいところだけれど。
iPodは昔使っていたウオークマンやディスクマンの代わりでしかなくて・・・。
いろいろ使えば面白いのだろうに、
そういうひと手間というか、工夫自体を楽しめないのはちょっと勿体ないかも。
そんな反省などしつつ、気軽に読み流せた久々のオーディオ誌だった。
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ヘッドフォン祭り初体験


ツイッターを流し読みしていたら、中野で『ヘッドフォン祭り』がやっているという。
訊いてみると、自分のiPod持ち込みで試聴も大丈夫のよう。

日頃は10年以上使っているSonyのイヤフォンだけど、
時々耳が疲れたような感じになるので(聴き疲れではなくて、物理的な痛みとか)、
オーバーヘッドのものに買い替えたかった。

で、ずらっと現行の機種が並ぶ見本市に行けば、欲しいものが見つかるのでは、
と淡い期待を抱きつつ、バスに揺られ揺られて会場へ向かった。

驚いたのは会場に入ってから。
確かに、女子の来場者にはイヤフォンプレゼント、とあったけれど、
audioのイベントにしては女子率高し!
しかも男性の同伴でというよりは、自分用のを捜している方も結構見かけた。

もっとも、わたしなどは女子に見られたかどうかはわからないが(笑)、
さっさと試聴してとっとと会場を出よう、みたいな雰囲気にならずに済んだ。

ところでおおっと思ったのはaudioに詳しい知人一押しのEdition8という高級機。
さすがに他とは違う、聴きやすさ。
ずっしりと重みがあるのは仕方ないとしても、音のバランスがよくて◯。
ただ、唯一の欠点は、何と言ってもその価格。
15万円近くするヘッドフォンを日頃、馬鹿混みの通勤電車で使う勇気はない。

それで、同じメーカーのもっと身近なモデルがトータル的には好印象。


それと、中身的には近いらしいモデルもなかなか好印象。



でもこの2機種、共通して今ひとつなのは音がだだ漏れなこと。
これでは通勤電車ではおいそれと使えない。

せっかく買えそうな価格なのになあ、見た目も着け心地も音も良いのになあ、
と後ろ髪引かれるようにして会場を後にした。

ところで、お土産に配られたイヤフォンは、わりとちゃんとしたもので、
少なくともiPodに附属のものよりはいい感じで聴けたので、ノベルティとしては豪華かも。

かくして、わたしのヘッドフォン難民はもうしばらくつづきそうだ。
でもこのイベント、メーカーや代理店の方々といろんな話もできて結構面白かったので、
来年あったらまた行くかも。
女性でも参加しやすいイベントなので、iPodユーザー、或はそうでなくてもお勧めです。 
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