音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
久々に写真集を買う
twitterのつぶやきでYMOの写真集が出ると知り、少し前から予約してあったのが届いていた。
作品数が相当になるとの予告だったけど、
一体どんな装丁になるのやら、と楽しみにしていたのだが、
amazonで「電話帳のようだ」とか漫画とか表現している方がいて、なるほどと思った。




本自体は自立できないやわらかなものなので、箱に入れられている。
表紙と同じステッカーが箱に貼られていて、おそらく店頭では中身を見ることができないのでは。
なので、思っていたもの、
例えばもう随分前に出版されたYMOの写真集"Omiyage"のようなものを想像していると、
あれっ、という感じなんだろう。

わたし自身は小一時間ほど端から端まで眺めて愉しんだ。
印刷の質とか画質とかって先のコメントには出ていたけれど、
そういうのは全然気にならなくて、次々と並んでいる写真の数に圧倒され、
YMOのアルバムを繰り返し聴いてた頃がつい昨日のことのように思われた。

最近のわたしにとってのYMOというと、
家事に気乗りがしない時の勢いづけというか、
作業が捗るようBGMに流したりする感じ。
そういう生活へのとけ込み方をしている音楽は、わたしにはとても少ないものだから、
どこかやっぱりYMOの音楽は特別なのだろう。
1枚、1枚、薄紙を捲って写真を眺める度に、そう思う。 
pop & rock | - | - | author : miss key
Living Stereo 60 cd collection
ここ数年、やけにBox Setがいろいろ出ているように思うのは気のせいだろうか。
というか、安さにつられて結構買ってしまっているのだけれど、
今回のはとてもお買い得だったと思う。
"Living Stereo 60 cd collection"、50〜60年代初期のクラシック名演集だ。




60枚ものCDをすぐに聴ききれるわけでもないが、
時間があるとついつい聴いてしまう。
クラシック音楽がさほど得意なわけでもないわたしでも。
というのは、録音が良いのか、音楽が活き活きしていて聴いていてとても楽しくなるから。
 
同じセットを買われた方のblogなどをみると、
当時の録音の仕方に工夫があるようだ。
"living stereo"というネーミングに負けない、というのが何ともうれしい。

それに、このシリーズのアルバムには素敵なジャケットのものも多くて、
例えばバルトークの作品、一度見たら忘れないデザインだ。
いつかはレコードが欲しいと思いながら、手が出ない高嶺の花だけれども。
(レコードは持ってないから、CDのジャケットをお借りしました)




今回のBox Setは、価格で言えばわたしが購入した中では高い方だけれど、
通販の予約割引などを上手く使って1万円強、CD1枚あたり200円しないという安さ。
確かに紙ジャケットは、よくあるジャズやロックのようなLP盤を模して精巧に作られた、
そんなものではないけれど、
粗雑に作られてる訳でもないし、これで十分。
外箱もしっかりしていて、しかもコンパクトだから、
この手のCDをつい買ってしまう同類項のみなさまにも受けは良いのでは(笑)。
60枚なんてとても聴かないよ、という向きにもお財布に余裕があればぜひお薦めの1箱だ。

others (music) | - | - | author : miss key
観てから聴くか、聴いてから観るか
ディカプリオが歳とってからの作品を意外に面白く観ている自分がいる。
最近は映画館の埃っぽさが鬱陶しくて全然出かける気になれず、
DVDが出るまでじっと待つことが多い。
今回も、結局気になりながらもサントラを先に買って聴いている。
"Inception"、音楽はあのハンス・ジマー。




でもこの作品は、やっぱり映画が先の方が良かった気がする。
音楽がたるい訳じゃなくて、音楽の組み立てが見える方が面白そうな作品だからだ。
ハンスの作品、最近では何と言ってもダヴィンチ・コードや天使と悪魔が有名だし、
それらは構成、演奏、アレンジとも文句無しの一押しだけど、
今回のアルバムは、一連の流れからなのか、先が読めてしまうのが少し残念。
といっても、全く違う音楽をついつい期待してしまう贅沢がそう思わせる、その程度のこと。

この手のオーケストレーションは今やサントラ独特のものになってしまっているけど、
オーディオファンならこういう音楽を大音量で再生するのも楽しめる気がする。

それにしても今夜の蒸し暑いこと!
冷房を入れ続けてもなかなか冷えないのが辛い。
いつもなら音楽聴く時にはエアコンを切るのに、今日はとても無理。
休日の朝にでも、もう一度静かな環境でこのアルバムを楽しんでみることにしよう。 
cinema & Soundtrack | - | - | author : miss key
ぶくぶくの音
雨が降るかもと思い、毎日持って出かける傘の重たいこと。
本格的な豪雨なら、傘があっても無くてもたいした差はないのだろうけど。




家に戻って一番先にすることは、飼っているメダカの様子を確認すること。
気温が上がりすぎると小さな魚なので体調を崩したり、
酷いときには死んだりする。

同居しているヌマエビも高温水は苦手だというので、
風通しよくして出かけるようにしてはいるが、
ドアを開けた瞬間、むっとする空気に出迎えられると、
とにかく水槽を覗かずにはいられない。


水槽を購入する際に、素人向けの簡単フィルタなどがセットでついていたが、
飼い始めて分かったことは、水流をなるべく弱くする方が良いこと。
流れが強かったり早かったりすれば、メダカはそれだけで消耗するそうだ。

それで、夏の酸素不足を補うためのエアレーション、通称ぶくぶく。
昨年、二世代目が孵化しはじめた折、アクアショップでアドバイスいただいた。
ぶくぶくの設置、泡(空気)の量の調節、フィルタの掃除の仕方など。
おかげさまで、病気になったり、体調を崩すメダカはほとんどなく、
今年もまたたくさんの稚魚が生まれた。
本当は、ぶくぶく無しでいられるほど水量にゆとりがあればいいのだが。

当初は、ぶくぶくの音が気になって仕方がなかった。
モーターのじいじい言う音、泡の音。
それが少しすればすっかり耳馴染みになって、今では何にも感じなくなった。
否、むしろ涼しさを感じたりさえする。

どんな音でも慣れるのかな、と思いきや、
例えば先日終幕したワールドカップのブブゼラの響きは、最後までだめだった。


今日、久しぶり明るいうちに部屋に戻ったら、
メダカ達がエアに体を寄せて遊んでいた。
彼らに感情があるのかどうかわからないけど、
きまりきった水槽の環境の中で、いろんな遊びを見つけているよう。
そういうのを眺めているだけで、とっぷりと日は暮れて行く。
辺りが静まり返って、ぶくぶくの音だけがただ静かに響く畳の部屋だ。 
よもやま | - | - | author : miss key
CDというメディア
わたしという人間は、無意識のうちにものを集めて面白がるところがある。
同じような規則や性質で括れるものや、
全くそうでないものでも何となく自分にとって共通の意味があると思うようなものまで。
そうして集めたものがただ規則正しく並んでいるだけで、
それを眺めているだけで、なんだかとても満足なのだ。

レコード屋やCD店、いや本屋を忘れてはいけないな。
そういうお店が好きなのも、形のある程度揃ったものが、
ずらずらと並べてあって、買うでもないのに眺めて歩くのがただ楽しかったりするのだ。

それが。

先日、銀座に出かけた折、久々に前を通った山野楽器のCD売り場が、
相当圧縮されてフロア構成ががらりと変わってしまっているのに驚いた。
時間があったから、普通なら喜んで入りそうなものなのに、
店頭のフロアガイドが大きく飾られているのだけで満腹になった。
そのちょっと前には渋谷HMVの閉店のニュースが。

CDが売れなくなった、とはもう此処何年か耳にしていたことだ。
何故売れなくなったのか、請われなくても月に10枚は買っているわたしだから、
そんなもの実感できるわけがない。
携帯電話があっても、着メロすらよく理解していないわたしだから、
今どきのダウンロードにも馴染めない。
なので、なおさらだ、そういう背景が理解できないのは。

ずっとその昔、町のレコード屋からレコードが消えてCDになり、
そのときは寂しさと、新しいメディアでいい音が聴けるという期待のようなものが混じって、
ちょっと複雑だった。
でも、もともと買っていたLPレコードの数より、何倍も多くのCDをここ20年で購入したけれど、
レコード一枚、一枚に対して異なる執着、愛着を持つような、そんな心持ちは、
CDに対してはついぞ現れなかった。

どうしてなのか。

LPより小さくて、おなじ樹脂でも妙にテカってたりしてチャッちく感じるからか?
それとも、単に懐古趣味なのか。
レコードから再生される音楽の楽しさが、
CDからはなかなか得られなかったからというのも大きいけれど、
音楽の価値には変わりないだろうに、見た目や触った感じで評価が変わるなんて、
自分はいい加減な人間なのかも。

でも。

時の移ろいが早すぎて、自分の思いさえうまく説明できない。
否、誰からも訊かれていないのだけれども。


よもやま | - | - | author : miss key
ティンブクトゥ
蒸し暑いのと月曜の憂鬱と。
どちらが先でもいいから、頭の中から早く追い出してしまいたかった。

電車の中で本を読むと目を痛めるから、
最近は文庫の類いをあまり読まなくなってたけれど、
表紙の絵柄が何だか気になって手に取った。
海外の作品、『ティンブクトゥ』。


 

海外ものは滅多に読まないので、オースターという著者の本がどんだけ売れてるかは不知、
出だしの緩さと独特のくどい言い回しさへやり過ごしてしまえば、
あとは、主人公であるワン公(本の中では名前で呼ばれてるけど、そういう言い方が合いそうな犬だ)が物語の世界に案内してくれる。

ある種の幸福と不幸の欠片を斜めに見るようにして、
ワン公が人の世界に送る視線の、
そう、いかにも犬の目線の冷ややかさに時折ぎょっとしつつ、
読み終えてどこかほっとするのは、ワン公があと半日もすれば長い旅から解放される、
そんな期待で結ばれているからだろうか。

幸福は望んだからといって訪れるものではないのに、
不幸は望んでもいない傍からそっとやってくる。
だからといって不遇の人生が不幸の吹きだまりという訳でもないのと同じで、
時折は思い出して頬の緩むひとときというものが、誰にだってある。

ミスター・ボーンズ、カル、そしてスパーキー、いくつもの名で呼ばれたワン公が、
薬で身を持ち崩した詩人崩れの最初の主人から離れ、
最後には愛情と人のつながりの不思議さ、危うさを垣間見せる裕福な家庭まで、
わずかな時の間に、
物陰からそっと覗かれているような低い視線から眺められた人生の様々に彩られ、
最後に彼が見たアスファルトの続く先の夕暮れに、
一体どんな心持ちがしていたことだろう。

苦行の終わりの安堵、度々夢に立ち現れるやさぐれ主人への懐かしさ、
灼けるような体中の痛みと熱も忘れて。

読み終わったと同時に、背中に何かの存在を感じて思わず振り返った。
まさかワン公がいるわけでもあるまいし。
ちびちび読むよりは、ざっと読み下して胸の中に去来する感情の波と戯れるが吉の一冊。
よもやま | - | - | author : miss key
Бухта Филиппа


ロシアのTVドラマ、"Бухта Филиппа"。
全4話(1話、前後編約90分)のシリーズもので、
主演は"Night Watch"でもおなじみのコンスタンチン・ハベンスキー。
ハベンスキー扮する元検事のフィリップ・ロニンが
事件の追求を軸に彼を取り巻く人間模様を描いたヒューマンドラマ。

物語自体はそれほど捻りもなくて、地味そのものだけれども、
今どきのアップテンポな勢いで見せるドラマとは一線を画した作品。
話が進むにつれて、フィリップの人となりや過去が透けて見えてくる様がいい。

さて、このBOX Set、放映された映像が4枚のDVDに編集された総集編になっているが、
残念ながら字幕が入っていない。
わたし自身も何度か繰り返して見ながら台詞を追っかけて楽しんでいるが、
露語と縁のない方だとかなりしんどいのがとても残念。

"Night Watch"では日本でも注目されたハベンスキーなので、
いつか翻訳版、字幕版が出てくれないかな、なんてはなかい期待かもしれないが―。
ここ数年、ロシアものの映像ソフトはそれこそ山のようにリリースされているが、
こうしたTV番組の編集ものにも面白いものが結構あるので侮れない。
これからも気になる俳優の作品を頼りにあれこれチェックしてみたいと思う。
cinema & Soundtrack | - | - | author : miss key
Night Work
梅雨の蒸し暑さが日に日に本格的になってきた。
暑いのは少々大丈夫なのに、湿気は苦手だ。
否、得意な人は少ないだろうが、職場までのわずか30分でぐったり、
着席してからも涼んで落ち着くまではなかなか手が動かない。


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気合いをさあ入れるぞ、という1枚がシザーシスターズの新譜、"Night Work"。
この夏は来日公演も控えているということで、新譜情報も結構早めだったので、
実際手にするまでに随分と待ちくたびれてしまったほど。

通して聴いてみて、意外だったのはそのまとまり具合。
これまでの2枚のアルバムは、言ってみればおもちゃ箱をヒックリ替えしたような、
何が飛び出てくるのかわくわくするような感じがあって、
わたしはそういうところになんとも言えず惹かれた。
だから、今回も別のおもちゃ箱を無意識に期待していたのだけれど、
良くも悪くもそれが裏切られた(笑)。

アルバムとしての一体感、密度感。
キラキラした輝かしさの一方で、爽快感も。
解説によると、前作から相当時間が開いたのは、
一旦作った作品をチャラにしてやり直したからだとか。

何にせよ、だれ切ったわたしの気分に喝を入れてくれたとびっきりの1枚。
しばらくは朝に夕にリピートしそうだ。
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