"Le Concert" | 2010.11.29 Monday |
泣いて笑って、また泣いて。
そんな映画に久々に出会えた。
邦題『オーケストラ!』、仏作品"Le Concert"だ。
舞台はロシア、モスクワ。
かつてはボリショイ劇場の人気指揮者であった主人公が、
ブレジネフ時代に起きたある事件をきっかけに転落、
今はしがない劇場の掃除人。
そんな彼がフランスからボリショイ劇場に届いた「代打ち依頼」に閃き、
一世一代の大勝負を仕掛けて・・・
DVDのパッケージから、お固いクラシック音楽映画だと思われたらそれは損。
もっとも、ドタバタが苦手な人に無理強いはしないが、
昔見た『フル・モンティ』のような終盤の盛り上がりに引き込まれること請け合い。
サントラを含め、演出の面では、ジプシーの音楽もある種一つの軸を成していて、
ワールド系に興味のある方には、本線とは別のストーリーにも思いを馳せるだろう。
作り込みすぎず、どこかぎごちなくて、どこか現実離れしたところがあるけれど、
それがいかにも映画らしくて、
それが故に、通底する旧ソ連社会の暗部を重たすぎず上手く織り込めていると思う。
縦糸横糸が巧みに絡み合って最後はそれぞれのハーモニーが形を成す。
さて、この作品はフランス製作で、劇中はフランス語とロシア語が飛び交う構成。
各々のことばの響きや調子から、登場人物のキャラクターやその思いが浮かび上がる。
このあたり、退屈と見るか、面白いと感じるかは分かれてしまいそうだが。
わたしのようなロシアに興味が尽きない人間にとっては、正に「萌え」の世界だ(笑)。
この映画は、DVDとブルーレイの両方で国内盤がリリースされている。
サントラ盤は仏盤の他、国内盤も出ている模様。
サントラの方はまだ手元に届いていないので未確認だが、
台詞等がおりこまれたいかにもの構成で、
ラストの圧巻、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲は抜粋とのことだ。
今年はレンタル、劇場とも例年にない本数を観たが、
本作がわたしの一押し、2010のベストワン。
年末、年越しにまたじっくり見直したい。
◆ 映画公式サイト http://orchestra.gaga.ne.jp/ (音が出ます!)
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