Another You | 2011.07.31 Sunday |
"another you" という歌は思いのほかたくさんあるようだ。
というのも、歌詞が知りたくて検索してみたのだが、
正確な曲名を入れなかったせいもあって、肝心の曲はなかなか出てこなかった(笑)。
あなたの代わりは居ないのに
言い方によってはこれまた随分湿っぽく、或は恨みがましくなるが、
Chetが歌えばそんなもの、あさっての彼方に放ってしまって、というくらい、
あっけらかんとしている。
多分、この歌は元々そういうノリで作られたものじゃないかと思うほどに。
このアルバムでの"Another you"(正確にはThere will never be another you)は、
トランペットも声もとても若くて、カリフォルニアの青い空そのもの。
1954年から56年にかけて録音された12曲の最後に収められたこの曲は、
後年の彼のアルバムからは想像できないほど後味爽やかなしめくくりとして選ばれている。
3分に満たない演奏時間も、長尺に慣れた耳にはあまりにあっけないが、
腹八分目よろしく、もうちょっと聴きたいと思わせる後の引き方が良かったりもする。
...Yes, I may dream a million dreams
But how can they come true
If there will never ever be another you?
この歌の最後の文句がとても好きだ。
そうでなくても昔の歌ばかりが頭に浮かぶけど、
きっとそれは歌詞がすごくきれいだったり、ぐっと来たりするから。
表現はとてもシンプルなのに、噛んで含めたようにしてその意味はとても味わい深い。
そんな風に言いたいことや思ったことを書けたらなとはいつも思うこと。
"another you"、たった二言だけど、
すごく意味深な、受け取る人の体験にも左右されそうな、そんな題。
そういえば、わたしは10代の初めにこの曲をオルガンで弾いたりしていたけれど、
そんなことは露程も考えなかったし、思いもしなかった。
小洒落たジャズアレンジだったけど、今思えば赤面ものだ。
30年も前のことをなぜこんな風に思い出せてしまうものなのか、
音楽の不思議を感じずにはいられない、梅雨の戻りの涼しい夜。
others (music) | - | - | author : miss key