音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
豪華すぎて目眩のするような
近年稀に見る豪華メンバーが揃った今年のジャパンカップ。
凱旋門賞馬とドバイ・ワールドカップ優勝馬、それに天皇賞、ダービー、昨年のJC馬も。
出走馬の重賞勝ち星や賞金を重ねたらいったいいかほどになるのやら。
G2を1つ勝ったくらいでは目にも止まらないほどの目映さよ。 

わたしが期待していた馬達は残念ながら2着、4着だったけれど、
それでも最後の直線ではつかの間の夢を見た。

勝った馬は昨年の降着馬、ブエナビスタ号の雪辱は見事というしかない。
父スペシャルウィーク号との親娘制覇というおまけもついて、
唯一残念だったとすれば、連続一番人気が途絶えたことくらいか。
彼女の強さというよりも、生真面目に走る姿が強く印象に残ったレース。
国内では有馬記念がラストだというから、これは観戦にでかけなくてはならないだろう。

レースが終わっての家路は、応援馬が勝っても負けてもどこか寂しさがつきまとう。
あまりに豪華なレースに目眩さえしたが、終わってしまえばどのレースも同じ。
それでも今夜は余韻で頭がくらくら。
なので、音楽もやっぱりJCに負けないくらい豪華でゴージャスなものを。


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Gitte Haenningがクラーク・ボラン楽団をバックに歌う豪華なアルバム、
"Meets The Francy Boland Kenny Clarke Big Band"。
ブラスのグルーヴに甘くてコクのある歌声を乗せて、気分よく歌う様が目に浮かぶよう。

単なる歌伴ブラスじゃなくて、歌も添え物ではなくて。
どちらが勝ってるわけでもなくて、いい具合に1つになってる作品はそうないだろう。

嗚呼、素敵なクラーク・ボランの演奏を聴いてみても、
日が暮れた後も喉の奥に残るかすかなほろ苦さはなかなか癒されることなく。
戦い済んで、日が暮れて。
最後の直線は、返す返すも残念なジャパンカップだった。
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夜の国道
時々日本語の歌がとても聴きたくなる。
そういえば、J-PopのCDはまだほとんどリッピングしていない。
思い立ったら吉日、ではないが、キャビネットからJ-Popの引出しを引き抜いて、
ざっと眺めてみたら、風のベスト盤が目に留まった。

風は、中学時代、フォークギターを練習していた頃によく聴いていた。
いとこに彼らの大ファンがいて、出ていたアルバム全てカセットテープに録ってもらい、
夜な夜なラジカセで聴いていた。
寝る前にのんびり聴くのにちょうどいい、優しい歌声の歌が多いから。

ここのところ戻ってくる時間が遅くて、食事してお風呂に入るともういい時間。 
だからあと1曲聴きたい、というときにはちょっと考えてしまう。


「夜の国道」、風の中で1番よく聴いていた曲といえば、間違いなくこれだ。
このベスト盤はオリジナルとアレンジが違うので、あれ、と思うことが多いのだけれども、
この曲は元のアレンジとほとんど同じ、否、そのまんまかも。
レコード引っ張りだせば解決するのだけれど、今日は疲労困憊その元気なし。

夜の国道、というけれど、夜のドライブほど眠気に襲われて辛いものはなく、
車に弱いわたしはあまり喜んで出かけた覚えはない。
でもこの歌を聴いているだけで、いろいろなシーンが思い描かれ、
へたくそながら1曲、歌が作れそうな勢いだ。

今思えば、なんて投げやりな、或はやりどころのない歌詞なんだろう。
こんなの、10幾つのときに聞いて、一体何を思っていたんだろう。
その頃の出来事は思い出せても、気分が蘇ることはない。
心の渇きをまるで知らないあの10代の頃の気分が。


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守護天使
先日のTIASで聴いたデモディスクの中で、最も印象に残ったのは、
タイトルの読み方も、どこのことばで歌っているのかも分からない音楽だった。 


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Engleskyts、デンマーク語で守護天使を意味するとのこと。
パイプオルガン演奏をバックに美しい女声ヴォーカルが厳かに響き渡る。
デモではオルガンの奏でる超低音の朗々たる響きをお楽しみください、とのことであったが、
そろそろ席を立たなければいけないのに、
温もりあるオルガンの音色もさることながら、
その歌声のあまりの清々しさに時間を忘れて聞き惚れていた。

歌い手はAnne-Lise Bernsten
公式サイトのディスコグラフィーにたくさんのディスクが紹介されているが、
レーベルが北欧ということもあるのだろうか、
最近の盤についても入手がなかなか面倒だったり、中古があっても高価だったりするのが残念。

このアルバムは、発売後それほど間をおかずaudioファンの間でも話題になったそうだ。
いったいどうやってこういう音楽の存在を突き止めるのだろうと思いつつ、
こうして部屋で聴いているだけで心地良い眠気に襲われる。
音楽に包まれて全身の疲れを解したい方におすすめの1枚だ。
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赤いジャケットに手が伸びるときは
ぼんやりとピアノの曲を聴いていたら、雨の音に気がついた。
いつから降り出したのだろう、ピアノの音はとても小さいのに。


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Giovanni Mirabassiのピアノソロアルバム"AVANTI!"は戦いと鎮魂のアルバム。
とはいっても、1曲目から美しく切ないメロディが淡々と流れていくから、
内容も厚みも重たげなブックレットから目を逸らしてしまえば、
作品に込められたメッセージを正面から受け止めなくとも聴けてしまう。

それでいいのか、とふと思ってみたり、
ぐずぐずと鼻の奥を鳴らして、ただひたすら涙して聴いてみたり。
でも、わたしは本当に何かと戦ったことなどないから、
ミラバッシのメッセージは受け止め切れないし、受け止められていない。

何かに動揺したり、不安が拭いきれないような夜、
脈絡なく赤いジャケットのアルバムを聴きたくなる。
今夜はミラバッシ、もし明日がそうならジャレットのパリコンサートかも知れない。

赤いジャケットのCDは間違いがないと思えるほど、気に入った盤が多い。
でも正面から受け止めようと思えばどれもヘビーでエネルギーが要るから、
ずるをして、つい既の所で身をかわしてしまう。
音だけ聴いていて、音楽を聴いていない、そう思えるときもある。
ただただ、膝を抱えてうずくまっていたい夜だ。 
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三銃士
去年だったか、暮れに帰省した折、テレビで見た人形劇が印象的だった。
『新・三銃士』、後で調べてみたら三谷幸喜さんの脚色/脚本で、自身も声優を務めたとか。

人形劇というと、子供の頃に見た辻村ジュサブロー師の人形を思い出す。 
「新八犬伝」が見たくて、急ぎ足で家に帰ったこともしばしば(笑)。
それと比べると、新・三銃士の人形はずっとあか抜けていて少々バタ臭くもあったけれど、
アニメや実写にはないコミカルで活き活きした演出が何とも楽しかった。

三銃士つながりで楽しみにしているのが、ミラ・ジョヴォヴィッチの新作。
彼女の出る映画は一通り見ているけれど、本作はまだ映画館に行けず終い。
それでとりあえずサウンドトラックをチェックしてみた。


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Paul Haslingerの作品をじっくり聴くのはこれが初めて。
予告編の後ろにちょっと流れているのを聴いた限りではどうかなと思っていたのだけれど、
< 効果音のオンパレードで1枚聴くうちに飽きるかも、という不安が少々
1曲が短めでシーンの要所を引き締めるイメージの、いかにもなサントラ集だ。

ただ、全体にデジタル臭いというか、或は構成で勝負しているようなところが強くて、
確かにダイナミックではあるけれど、
例えばHans Zimmerのダ・ヴィンチ・コードのようなドラマチックな感じは余りない。
もう少しメロディアスでぐっと盛り上がる曲があるといいのになあというのは欲張りか。

映画作品を見れば楽曲への評価も変わるかもしれないが、
さすがに迫力満点というほどの大音量でこの盤を鳴らす勇気もなくて(笑)。
とりあえずは近日中になんとか映画館へ出かけようと思う。

◇ 映画『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』公式サイト
  http://34.gaga.ne.jp/
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DUETS 2 (from TIAS 2011)
デュエット集というのはそう珍しい企画ではないけれど、 
歌う二人の年齢を足したら幾つ!?なんて話題になる盤はそれほどない。 
大御所トニー・ベネットが豪華な顔ぶれと歌い継ぐアルバム、デュエットの第二集。 


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先日の有楽町TIASのデモで取り上げられていたディスクの1枚。 
かかったのは傅信幸氏の講演で、8曲目の"On the Sunny Side of the Street"。 
相方はウィリー・ネルソン、「味のある」ギターの間奏もあってなかなかに楽しい。 
でももっと楽しいのは、「バ、バ、バ、ババババ〜ン」とご機嫌なブラスのイントロ。 
嗚呼なんてゴージャス、ゆるっとしたベネットの歌にもピッタリ。 

さて、この盤(わたしのは外盤なので17曲)でいくつか選ぶとしたら、 
アレハンドロ・サンスとの"Yesterday I Heard the Rain"、 
そして誰との曲よりも気持ちが入ってるかなと思えたノラ・ジョーンズとの"Speak Low"。 
男性ヴォーカルながら、醸し出される上品な色香に気分も上々。 
気持ち音量上げて聴きたくなる、ビッグバンドファンにもお勧めの1枚だ。
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10カラットじゃなくて
TIAS2011はフウ先生の講演のなかで、アルバムタイトルの話題になった。
どういう成り行きだったかは忘れたが、
「10カラットじゃなくて、9.5」というフレーズが頭にこびり付いた。
その夜、部屋に戻って早速引っ張りだしたのが、懐かしい「9.5カラット」。
作詞あるいは作曲した中から選んだ曲を自演した井上陽水のヒットアルバムだ。


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時間も遅かったので、音量もかなり小さめにしたけれど、
このレコード、相当聴いたのに瑞々しい歌声が生っぽく響いて思わずどっきり。
陽水の歌というと、「傘がない」と「心もよう」からなかなか離れられないわたし。
でもこの2曲をレコードで聴いても、背中がゾクゾクするようなことはなくて。

こうして聴き直してみると、どの歌も難しい、難しい曲ばかり。
このアルバムの曲では「はーばーらいと」、そして「からたちの花」が好きだけど、
カラオケで巧く歌えるような歌じゃなくて、やっぱりこうして陽水の歌で聴くのがいい。

そういえば、自宅浪人の夏頃だったか、地元のFM放送の電話リクエストで、
番組出演の記念に「とまどうペリカン」のドーナツ盤を貰ったのだった。
生放送に自分の声が流れたのが嬉しくて、つい要らないことまでしゃべった覚えがあるけど、
あまりに恥ずかしいので、このことはなかったことにしよう。

井上陽水の歌には、某か想い出の引っかかりがあるのか、あれやこれやと、とめどもない。
このままでは眠れなくなるのでこの辺で。
ちなみにこの手のレコードが懐かしくて聴きたくなった方へ。
レコファン渋谷あたりだと、程度のよい盤が安くでていてお勧めです。
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東京インターナショナルオーディオショウ2011に行った
今年も有楽町の定例イベント、東京インターナショナルオーディオショウ2011に出かけた。
海外のaudio製品がいろいろ見られたり、聴けたりするのもいいけれど、
デモで使われる音楽も新旧様々、魅力的な曲や演奏が各ブースで数多く紹介される。
日頃自分の探し方だけだと、どうしても狭くなりがちな音源集めだから、
朝から夕方までびっしりイベントが詰め込まれた機会はとても貴重だ。

今年は3日中2日、午後のイベントを中心にびっしり回った。
人気の講演はすぐに立錐の余地なく入室もできなくなるので、
30分前には会場入りして席をゲット。
立っていてもいいのだけれど、
スピーカーによっては立っていると音の感じが変わってしまうし、
あんまり前の列だと大音量で耳が疲れてしまう(笑)。
そういう残念なことにならないよう、ある程度場所が大事になってくる。

+++

備忘録として、今年聴いてみてよかったな、と思う機種をメモしておこう。
うちはLINNだから、自分が使っていない装置以外で。

一番印象に残ったのは、最後のブースで聴いたADAMというスピーカー。
取って付けたようなところもなく、楽に音が出ていて、音楽が楽しく聴けた。
聴いた機種はトールボーイだけれど、ブックシェルフもあるとのこと。
あれだけの広い部屋でしっかり鳴っていたから、普通のお部屋ではもっといい感じでは。
リボンを使ったスピーカーはピエガを使っていることもあって決して嫌いではないけれど、
ちょっと頑張ってお金を貯めれば買えそうな範囲の価格というのも好感が持てた。


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○ ADAM Audio http://www.taiyo-international.com/products/adam/column/ 


それから、次に面白かったのは、Magicoというスピーカーで、今度はブックシェルフ。
小さな巨人という感じで、朗々と鳴っていたのが印象的。
ただしブックシェルフながらオール金属のためかすごく重い。
それにスタンドも一体(最初からくっついた状態)とのこと。
わたしにはとても買えないから重たいことを心配する必要はないけれど。
ダイナミックな感じながら、エモーショナルかと言えばそうでもなくて。
小さな音量で鳴らしたらどんな感じなんだろうと、いろいろ想像してしまった。

○ MAGICO Q1 http://magico.net/Product/Q1/Q1_01.php


さらに、スピーカーばかりじゃなくて、アンプ類もいろいろ聴いたけれど、
(あくまでも何かのスピーカーとの組み合わせで単純な比較はできないけれども)
もし、自分の使っているaudioとは別のものを何か買うとしたら、
間違いなくジェフローランドがいい。
外観がシンプルでおしゃれ、しかもヒンヤリした感じなのに、
出てくる音楽は意外にほっこりした雰囲気も出ていい感じ。
デモでは高級な機種だったけれど、他のハイエンドモデルと比べた中では一番歌心を感じた。
それに買える範囲のエントリーモデルもあって、小ぶりでお部屋にあっても違和感なし。
逆にこんなaudioがあったらインテリアもおしゃれにしようと努力できるかも(笑)。

○ Jeff Rowland http://www.taiyo-international.com/products/jrdg/capri/


聴けるのではと楽しみにしていたLINN DSMシリーズは外観だけの紹介だった。
装置がコンパクトで効率よくなっていくのは世の中の流れもあるのだろうけど、大歓迎。
ばかに大きなスピーカーとかアンプ類はそれほど多くないけれど、
やはりしっかりとした筐体に包まれた装置が大半を占めた。
いい音のためには仕方のないことなのかもしれないが、
ついついわがままを言いたくなる(笑)。

さて、来年のTIAS、11月2日から3日間とのこと。
今年、どうしても取れなかった某ブースの講演チケット、
来年はゲットできるように頑張って早起きしよう(笑)。

それから、収集したディスク、音源情報。
手元に盤が届いたら聴いてみて、それから改めて紹介したい。


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肩の力を抜きたいときは
中島らもが逝ってもう何年になるのだろう。
好きな作家、好きな音楽家がどんどん星になっていく。
仕方ない、こればっかりは。
それでも訃報に敏感になってしまうのは自分自身がそれなりに歳をとったから?


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らもの本がここ数年の間に文庫で再刊されていて、
表紙もマンガチックな旧版から本人の写真入りに変わっていた。 
この本も昔、単行本で読んで中身は知ってはいたのだが、
懐かしくなってつい買い求めてしまった。
表紙の写真が「おおさかのおっちゃん」ぽくて親近感わいたし(笑)。

『僕にはわからない』、中島らもが得意としていた悩み相談系を少し発展させて、
世の中の身近な不思議に自問自答してみせるエッセイ集。
問いに対する答えがそれでいいのか!?ということは置いといて、
(それが気になる方は、きっともっと別に読むべき本があるだろう)
彼は本当に好奇心の尽きない人であったのがよくわかる。

あとがきにも「徹底した快楽主義者」と評されていたけれど、
普通の人ならここまでかなというハードルを易々と超えるというか突き抜けてしまった。
エッセイもお芝居も、そして音楽も。

彼という人を振り返るのに、これがベストな作品とは言えないし、
途中から後半はいかにもらもファン向きなテーマ設定で、万人にはお勧めしにくいが、
ついつい、こういう向き合い方ってあるよね、と思わず口元が緩む。
10ページか20ページも読み進む頃には、間違いなく肩の力が抜けて楽になっているはず。
肩こりどころか頭のこりも取れそうな、同年代のサラリーマンにお勧めしたい1冊だ。
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「気持ちいい音楽。」
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本日発売号のブルータスは『気持ちいい音楽。』。
随分たくさんのアルバムとお洒落なカフェが紹介されている。
自分の住んでる街から近いところにもこんなに、という驚き。

でもこの雑誌を買った理由は、盤紹介はもとより、表紙があまりに可愛かったから。
不思議顔の猫、まこ。
何冊も写真集が出されている人気の彼女(否、彼かも)。
こんな風にねこと一緒に暮らして音楽を楽しめたら、と想像して、にやついてしまって。

うちにはDJセットがないけど、ねこが喜ぶのなら買ってしまうかもしれない。
わたしの音楽を聴く目的とはちょっとばかしずれてしまうけれど、も。

サブタイトルにある「週末に聴く、穏やかで気持ちいい音楽。」。
中でも見開きで編まれた細野晴臣さんのインタビューが興味深い。
3.11後としても語られたこの内容、
そして「音楽の快感とは、未知の世界へ感覚を拡張すること」だと。

今までもぞっとしてことばにならなかった感覚が細野さんの力を借りてすっきり。
週末は都心に出かけるから、ガイドを便りに気持ちいい音楽を捜して歩いてみよう。
出不精のわたしでもその気にさせてくれる、おすすめの1冊。
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