食わず嫌いは損をする | 2012.02.27 Monday |
テーマそのまんまのことを痛感したのがEmil Gilelsの弾くベートーベン、ピアノソナタ。
わたしは根っからの天の邪鬼であるし、
メインストリームからしっかり入っていこうなんて気構えはどこにも持ち合わせていない。
なので、
なにゆえそんなに「辺境」を好まれるのですか
などとお問い合わせをいただいてどっきりする始末。
それでも、ロシアに興味ある者として避けられないロシアピアニズムの系譜、
そして旧ソ連の鉄人と称される素晴らしいピアニストと作品の数々を目の当たりにし、
とうとう開眼したかもしれない、という調子で上述のピアノソナタにどっぷりはまっている。
本当は1枚、1枚をレコードで集めたいが、
CDでとても評判のよいセットがまだ手に入るということだったので、
この機会にと購入したのが下のアルバム集だ。
毛嫌いしていたわけではないが、特にこれといったきっかけもなかったベートーベンの作品。
そう、きっかけと言えば、昨年出かけたPeter Serkinのコンサートでの演目だろうか。
Gilelsというと、わたしはチャイコフスキーのコンチェルト1番とかばかり聴いていた。
バーンとした迫力と煌びやかさと繊細さ、全てが同居する豪華絢爛な演奏に目眩がするから。
逆にソロ演奏はあまり向き合って聴いたことがなかった。
元々音楽は好きでも、ピアノは子供の頃のトラウマがあったせいかどうも好きになれず、
こんな年になってあれこれ聴き始めている始末。
それも、非力で小さな手でもって面倒な練習曲を来る日も来る日も弾かされ続けたという、
とにかく痛くて辛い思いでがあるが故に、
まだ耳の若い頃は、わざわざピアノ曲を聞こうという気持ちになれなかった。
誰もが良いというもの、大勢が推挙するものにはやはり何かが「ある」のであって、
それも分からないうちから毛嫌いするのは、1度きりの人生、大損しているに違いない。
今になってそれが分かってどうするという気持ちもあれど、
これからは先入観に拘らず素直に手を伸ばしていこうと反省する。
内容のことには何も触れていないが、パッケージ違いの同作品リリース時より大評判との由、
今更書き足せることなどあるまい。
ああそれにしても、なんて素晴らしい歯切れの良さだろう、
Gilelsのピアノ、疲れた気分が一瞬で晴れるような響きがする。
眠る前の1枚ではないが、当面毎日の愛聴盤確定の1箱、おすすめです。
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