音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
NAS
わたしと同じDSユーザーの方から"NAS"はどうされていますか?とのお尋ねがあった。
現在稼働しているのは1TBのNASが2台。
バックアップはそれぞれ1TBのHDが2台。

以前のわたしなら、データが一杯になったらNASを買い足すか、
大きな容量のものに買い替えることを繰り返していたと思うのだけれども、
大地震があってからというものの、
いろいろと思うところあって手元のものを整理し始めて以来、 
拡大指向というか膨張指向はめっきり止んで、
そこそこに落ち着かせることに思いが至るようになった。

当初は手持ちのCDを喜んでデータ化し、文字通り端からNASに「放り込んで」いた。
そのうちデータの分類を始めて音源を探しやすくしたり、
2台のNASの中身を各々に整理し始めたりしているうちに、
聴く機会の極端に少ないデータが意外にあることに気がついた。

パレートの法則ではないけれど、
楽しい音楽生活を生み出してくれている音源は或る程度集中していて、
長い目で見ればコアの部分は流動しているのだけれども、
その変化はゆっくりだから、
その都度NASに入れ直したって全然問題ないということがわかったのだ。

そんなこんなでDSを入れてから1年弱で、NASの中身も適宜整理するように。
データ化作業は意外に(ほんとうに意外に!)楽で、コツさえ掴めば苦にならない。
なので、部屋をNASだらけにすることは回避できた。
(だいたい、NASを増やせるほど我が家の電源環境は良くない)

容量の要るHi-Fiデータが少ないからこのくらいでやりくりできるのかもしれないが、
普通のCDなら1TBでざっと2000枚くらいは入れられるという話だったので、
手元のCD枚数からすれば、2TBあれば十分やりくりできそうだ。
今後、新たに音源が増えたとしても、音楽を聴ける時間が今以上に自由にならない限りは、
だいたい物理的に聴けて、気に入る盤はそう一時に激増するわけではないから。

ということで、1TB2台を使い回すことでなんとかやれています。
Kinskyでの動作は500GBくらいの大きさが軽快ということもうかがっていますが、
電源が足りないため、1TBにしています。
1台当たりの収容枚数が多い分、探しやすいようジャケットデータは必ず入れるようにし、
また1TBのうち1割は空けておくようにしています。
お尋ねの答えになっていればいいのですが。

それにしても。
わたしの心も住まいの広さも、そしてNASも。
この空のようにどこまでも広いとほんとうに言うことはないのですが。


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リュートの調べに
もう随分前になるが、一時期、リュートの音楽に凝ったことがある。
たまたま音源も手に入りやすかった時期なので、財布にお金があると、盤を買っていた。 
日本の琵琶に見た目が似ているのに、琵琶の音のようなおどろおどろしさはなく、
繊細で何とも言えない響きの美しさはそれまで聞いたことのないものだった。

Jose Miguel Morenoという方が演奏と出版を手がけるGlossaというレーベルがあって、
ここからリリースされる一連の作品は、古楽の初心者にも手に取りやすく、
録音もまた素晴らしいものばかりだった。

ここ数年、当時のアルバムが装いも新たに再発されている。
当時のジャケットは美人画やそんな感じの絵をモチーフにしたものが中心で、
わたしには少々退屈だったけれども、
再発のものは博物シリーズのようで、中身が想像できるかどうかは別として、
同じならこちらで揃えたいなあと思いつつ、買い直すまでには至っていない。


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Weissのソナタ集"Ars Melancholiae"。
今朝は昨夜の豪雨の影響もあるのか、朝から涼しい風が吹いている。
日曜の朝から庭で騒ぐ子供の声もなく、ほんとうに静かだ。

いい音色、といっても、リュートは元々そんなに大きな音が出る楽器ではないから、
できればそれなりの音量で心地良く聴きたい。
今朝はさわやかで静かでと条件がピッタリだから、迷わずこの1枚を選んだ。

ベランダから外を見ると、赤とんぼが飛んでいる。
まだ色づいてはいないから、本当の朱色に染まるのはもう少し先なのだろうけれど、
ここ数年、トンボを見かけることが増えたのは、川の浄化が進んでいるからかも。

密室の無音ではなく、自然の背景音に包まれる中での静けさが、
今日のような太古のメロディを奏でる音楽にとてもよく合っている。
仕事が落ち着いたら、いつか郊外の緑の多いところに住まうのを夢みつつ、
美しくもメランコリックなメロディにうとうとする。
午睡のBGMにもお勧めしたい珠玉の1枚。
others (music) | - | - | author : miss key
アレンジ次第で
ここ数年、実際の放映からはかなり遅れてハマっているCSIシリーズ。
英語のヒアリングはからっきしダメなわたしでも、
"crime scene"とか、"murder weapon"など頻出の言葉はすっかり聞き取れる状態に(笑)。

前にも書いたかもしれない。
この一連のドラマは、音の演出もかなり凝っていて、
本当ならサントラ盤がシリーズ化されてもいいのではと思うが、
権利関係もあって実現はなかなか厄介かもしれない。

この番組のテーマソングは、The Whoの楽曲から選ばれているのをご存知の方も多いかも。
オリジナルのべガス、それからニューヨークは分かりやすかったが、
マイアミのテーマソングは、編曲の妙で独立した1曲のように聞こえるせいか、
改めてオリジナル曲を聴き直したら、随分と新鮮な感じがした。
アルバム"Who's next"に収められた"Won't get fooled again"だ。


◇ まずはオリジナル曲を。





◇ ではテーマソング版を。



もう遥か昔のことだけれども、音楽教室に通っていた頃、
適当に選んだ曲を編曲して仕上げるという課題が結構出されて、
例えば、映画音楽をオルガン用にアレンジすることはできても、
エッセンスを抜き出しての再構成的な発想は皆無だった。

もっとも編曲といっても、
自分だったらこう表現するみたいなところの延長でしかなかったが、
今思うに、飽きずに結構あれやこれややってみたりしていたから、
編曲の一連の作業はさして才能の無い子供にも面白かったんだろうと思う。

話を戻すと、CSIシリーズのサントラには、
新旧硬軟取り混ぜていろいろな楽曲が取り入れられていて、その「つまみ方」も絶妙だ。
放映開始からもうかれこれ10年以上は続いているから、
それこそ洋楽のトレンドをパノラマチックに楽しめたりもする。
もちろん音楽だけでなく、ストーリーや登場人物の人間模様もなかなかのお勧め作品だ。
cinema & Soundtrack | - | - | author : miss key
久々にレコード店に行った
買取UPキャンペーンに釣られて、いつもの中古店に出かけた。
持って行ったのはBlu-rayに買い替えたために見る機会の無くなったDVD。
安く引き取られたとしても、また見てくれる人のところに行く機会があった方がいい。

査定のために小一時間かかるので、別の階の箱を随分と久しぶりに覗きにいった。
特にセールをやっている訳でもないので、芋洗い状態でなかったのが幸い。
新着箱をはじめ、気になる箱の中身は一通り眺めることができたが、
結局引き抜いたのはギレリスのアルバム2枚のみ。


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グラモフォンから出ているギレリスのアルバムは、
何となく似たような絵柄のジャケットなので、
 
 どれを持っていてどれを持ってないか

というのが、正直心もとない状態で引き抜くことになる。
予めリストを作っておけばいいのに、ずぼらでついついそのままにしているから、
引き抜いた瞬間のあの何とも言えない「逡巡」の時を繰り返すことになる。

今回の2枚は幸運にも手持ちのどれともダブっていなかったので一安心。
万が一ダブっていたとしても、盤の状態も良好で廉価だったので、
音楽好きな友人にプレゼントしたって構わない(というのは用意してあった言い訳だ)。

今日は久しぶりにレコード日和。
窓を閉め切ってもエアコン無しでなんとかやり過ごせる気温だったから。
こういう週末がもう少し続いてくれないかと思うのだけれど。
そうしたら、何はなくともとにかく幸せな気分で過ごすことができる。

 暑い夏でもレコード盤の黒いのはちっとも暑苦しく感じないのはなぜか

などと他の方ならどうでもいいことをつらつらと考えていたら、
あっという間に終わってしまったひたすら平和な日曜。 
レコードの話 | - | - | author : miss key
あまりに素晴らしい夕焼けだったので
買い物から帰ったら、ふとドアの後ろに見たこともないような美しい夕焼けが。
もう見る機会が無いかもしれないから、記念に貼っておこう。


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よもやま | - | - | author : miss key
muddy water
いったいどこの国かと思うような、突然の大雨。
さっきまで穏やかだった夜に稲光と轟音、そしてざざ降りの雨。
今夜は運良く降られないうちに部屋に戻っていたが、
小さめの音で聴いていたとはいえ、部屋に流れていた音楽は外の音でかき消されてしまった。


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Freeの"Hertbreaker"というアルバムに、"Muddy Water" という曲がある。
偶然、ラジオだか何だかで耳にして、すごく気に入ったのだが、
当時、誰が歌っているのかもわからず終いで、
このアルバムに辿り着くまでに随分時間が経ってしまった。

もちろん、歌詞なんて聞き取れてもいなかったのだけれど、
今こうして聴いてみると、胸の隅っこに何やら重たいものが残るような。
この曲を歌うために生まれてきたような声の持ち主が、
わたしの傍に居て思いで語りをするような錯覚を運んでくる。

きっと急なざざ降りの雨のせいだ。
そう思うことに、しよう。
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pop & rock | - | - | author : miss key
カヌーンの響き
夏の暑いのには冷たいものではなくて熱いものがいい、なんていうけれど、
熱気漂う彼の地の音楽は思った以上にこの季節、相性が良さそう。
2ヶ月ほど前のアオラさんでの即売会でゲットした盤から、
こういうのが聴きたかった!というカヌーン奏者そして歌手、Sakis Xenoudisのアルバム。


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Sakisはギリシャのアーティストだけど、本作"To Mousiko Taxidi Molis Xekinise"は、
ギリシャの古い音楽とアラブの音楽がいい具合に混ざりあい、
1曲目が流れると同時に独特の薫りが立ち上る。

カヌーン(撥弦楽器の1種)ってどんな風に弾くんだろうと興味津々だったが、
Sakisの演奏の様子がYoutubeにも出ていて、
素の状態での演奏がこんな感じというのがよくわかる。

さすがにアルバムの方は、彼のカヌーンとヴォーカルの他、
クラリネット、バイオリン、ウード、ダルブッカ、そしてネイと重厚なアンサンブルに。
ギリシャもアラブも好きだという方にはもう堪らない響きだ。

買った当初は、夜遅い時間に静かな部屋の中で流して、
瞑想の真似事をして面白がっていたのだが、
今日、暑い最中に強めの音量で聴いてみたら、あら不思議、
湿気たっぷりの熱風でさえ、いい感じに思えてしまったから勝手なものだ(笑)。

ところでこのアルバムは、どうやら彼の1stアルバムだとのこと。
変形の美麗ジャケットに盤とお洒落なブックレットが収まっている。
残念ながらCD-Rだけれど、音質は上々。
といっても入手が面倒なギリシャ盤、念のため、バックアップも怠り無く。



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生成りの素朴さと「クール」が同居すれば
相変わらずの猛暑日が続いている。
このまま自堕落に毎晩ビールを呑みながら過ごすのも悪くはないのだろうが、
「ビール星人にはなりません」とつまらない約束をしてしまい、
後悔先に立たずとはまさにこのこと。

なので、毎夜することといえば、まず涼しげな音楽、涼しくなる音楽を漁ること。
それでも、アジムスとか、
10代の頃からお世話になっている「季節の音楽」はひと通り登場し、一巡(汗)。
なので、深い歌、深い音楽に触れて心底「クール」を感じようと方向転換した。


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紹介済みだったらすみません、ということで、
スペイン語で「目覚めさせる」という意味の標題をもつペルー音楽のアルバム、
Rosa Guzmanの歌う"Despertar"。

ムシカ・クリオーヤ(クリオーヨ音楽)とは、
大まかに言えば、彼の地に土着化したスペイン等からの移民の音楽を指す言葉だそうだ。
決して一様ではない、メロディとリズムの豊かな表情がとても魅力的だ。

本作の歌姫、Rosa Guzmanは、
芯があって艶やかな歌声でなんとも意味深な歌をさらりと歌ってみせる。
時に軽やかに、時に切々と。
陰と陽が代わる代わるに現れてはそっと胸を締め付け、
ギターとベースの簡素ながらも美しい伴奏が自在の歌声を一層引き立てる。

そういえば、大分前に紹介したペルーのおじいさん達の楽しいアルバムも、
本作と同じSayariyというレーベルから出ている。
今まで買った何枚かはどれも録音が素晴らしく、audio的快楽盤としてもお勧めのシリーズ。
本作含め一連の作品は、国内盤、外盤両方とも入手可能だが、
解説や歌詞の和訳など付録が充実しているので国内盤がお勧めだ。
わたしはつい廉価な方を買ってしまい、日本語解説なしで苦労してしまう。

さて、そうこうしているうちに一番暑い時間帯をやり過ごせた。
こんな暑い日がいったいあと何日続くのやら。
手持ちのライブラリから涼しく過ごすための音源発掘、気合いを入れて頑張ろう(笑)。

◇ Sayariy Official Site http://www.sayariy.com 
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もう熱帯夜?
暑くて死にそうだ、ではなくて、暑くて寝ていられない夜がとうとう今年もやってきた。
いつもより、ものすごく早い気がするが、温暖化進行のせいだろうか。
もっとも、寝るのにも体力がいって、
暑くて寝ていられないというのは体力不足もあるのだとか。 
汗を気持ちよくかけてはいても、日頃の運動不足がたたっているかもしれない。


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せめても、蒸し暑い夏を少しでも快適にすごせる音源を手元に揃えよう。
ということで、まず指にひっかかったのが、Joe Passの"Simplicity"。
なんと67年リリースだというから、46年も前のアルバムになるけれど、
古びた感じは少しもなくて、
ひたすら心地良いギターの音色を優しいオルガンとベースがそっと支えている。

ボッサや緩いペースのジャズは寝苦しい夜のお供にピッタリだけど、
この盤、いったい何時頃どうやって入手したかを思い出してみたら、
同じJoe Passのアルバムと「2枚1」になった企画盤で、
実はChetと共演しているもう1枚の"A Sign of the Times"が欲しくて買ったのだった。

買った当時はA Sign...の方ばかり聞いていて、本作は正直素通り状態だったのが、
買ってから随分経って、こちらのアルバムにも随分お世話になることになった(笑)。
おじぎそう(に似ている草)の盤、ということでもう10数年親しんでいるけれど、
何故か飽きが来ない。何度聞いてもいいものはいいってこういうことなのか。

マリガンの"Night Lights"は当然持ってるけれど、
これと続けて聴けて熱帯夜をやり過ごせる、
睡眠導入剤的定番を更に増やしたい向きにお勧めの1枚。
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梅雨が明けたら
午前中のニュースで「梅雨明け」と流れたが、
今日は真夏日、しかも湿度の高い風が吹いている。
そんなこんなで、ここ連日の酷い蒸し暑さに堪え兼ね、髪を切りに行った。

予約をしていったカットハウスはいつもに増して盛況で、
急に暑くなったから考えることは同じかもと思いながら、
雑誌を読んで順番が来るのを待っていた。

「婦人画報」という分厚くて宣伝一杯の重たい女性誌。
パラパラ眺めていたら、なんと梶芽衣子さんのインタビュー記事が。
タランティーノ監督の来日時、彼女との面談がその条件になっていたが、
ご本人には当初ピンと来ていなかったという!エピソードや、
海外にもカルトなファンがたくさんいるが、昔の作品じゃなくて今を見て欲しい等々、
なるほどと思える受け応えの連続であった。


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上の画像は昭和カルチャーの特集本で、彼女の他にモップスなんかが載っていたりする。
この黒ずくめの衣装を見て「ああ」とわかる方なら説明は要らないのだろうが、
有名なさそりシリーズへの出演は、彼女自身もためらいがあったそうで、
それでも「台詞がないなら」ということで主演が実現したという件に、思わず頷いた。
あの台詞の少なさが独特の空気になっている一連の作品を想起すれば、
上手くいくときってそういうものなんだろうなと。



カットハウスを出て見上げた空は、すっかり夏の空になっていて、
いつもより少し早い気もするが、夏支度しなくてはと足早に帰宅した。
歩きながら、無意識に「恨み節」の鼻歌が出てしまい、思わず周囲を見渡したら、
明日参院選の掲示板には飛び飛びに貼られたポスターが随分寂しげで、
思わず立ち止まり、溜息した夏の午後だ。


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