音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
INTERSTELLAR



映画はまだ観ていないのに、先にサントラを聴いてしまった。
何せHans Zimmerの新作だから。

このアルバム、できれば音量を上げて聴きたい。
うちでボリュームの50を超えて再生した音楽は久しぶり。
もちろんご近所のいない時間帯を選んでのことだったけれど。

部屋に音楽が充満するような感じで再生すると、
まるで自分がふわりと空間に投げ出されたような不思議感覚に包まれる。
5次元の世界とか、全然理屈を理解していないわたしだけれど、
この浮遊感覚に溺れてしまいそう、なんという快楽。

環境が許せばあとひと絞りボリュームを上げて、
音楽の洪水に身を任せ、遠い世界に投げ出されてしまいたい衝動に駆られる。

映画作品の方は超絶映像ということで、
できれば理屈をきちんと押さえてから観た方がいいよとの助言を貰ったせいか、
かえって気後れして劇場に足が向かないでいる。
しかし、そうであっても、
この音楽を音響の良い大劇場で、
それも壁や床がじりじりみしみしと揺れるような音量の、
圧倒的な映像が眼前に迫る中で身を置くことができたなら、
話の筋がよくわからなくても、それでいいかとさえ思えてしまうのだ。

Hans Zimmerというひとは本当に不思議で自在な作曲家だと思う。
ダヴィンチコードのように、メロディアスで多少ポピュラーよりの作りで劇的演出をしたり、
或いは今回のような、まるでどこと掴みどころのない空間を延々と描いてみたり。

大編成や凝ったアレンジ、録音の作品を楽しみたいと思ったら、
いまどきは取りあえずはサウンドトラック作品から選んでみるのが早道で、
それでも星の数ほどある中から、やっぱりこれはと思う1枚はそんなにはないはずだから。

低音派でも大音量派でもないわたしがとにかくこれはボリューム上げたい。
そんなアルバムも滅多にないからここに書き留めておこう。


 
cinema & Soundtrack | - | - | author : miss key
気がついたら11月も真ん中に
朝の通勤途上、空を見上げると月の姿がくっきりと見える。
いよいよ冬になってきたな、もうそろそろ沿道の並木も紅葉だ。

晩秋というこの季節だからこそ聴きたい1枚がある。
ボシュニアコーヴィチの82年ライヴ録音の2枚組レコードだ。


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音の消えゆく最後の最後まで何と甘やかで美しい響きのすることか。
何とも言えぬ光を放って音が美しく広がる様に思わず息をのむ。

ショパンを中心に編まれたプログラムだが、
このレコードの前主は同じ曲ばかりを聴いたのだろう。
1枚目のノイズは少々残念ながらも、目を閉じて音の世界に集中すれば、
それもやがて霧散する程度のこと。

このレコード音源がCD化されているかどうか調べてみたがよくわからなかった。
Denonより彼の音源がいくつか発売されていたが、大半は廃盤のようだ。

彼の奏でるショパンの数々。
メランコリックに過ぎるという方もいるかも知れないが、
だからこそ、こんな季節にボシュニアコーヴィチの弾くショパンが聴きたくなる。
プチプチと軽いノイズさえも気持ちを感傷的にさせるスパイスのようで、
陽が落ちてだんだんと暗くなるこの部屋にじっと身を潜めてみる。
夜が長いからこその1枚、もしレコード店で見つけたら迷わず入手を。


レコードの話 | - | - | author : miss key
5 years later
ここ数ヶ月、手元の音源の整理をこつこつ進めてきた。
以前はそれこそずらっとレコードやCDが目の前に並んでいること自体が、
いつでも好きな音楽を聴ける、という実感が沸くからなのか、
楽しかったし、そういう環境じゃないと落ち着かない気がした。

大震災後に思うところがあり、ものに執着し、拘泥する生活から抜け出そうと、
まずは部屋の中の飽和感を無くすことに取りかかった。
一定の空間が得られてからは、本当に手元に残しておきたいものと、
実はそうでもなかったものの違いがだんだんとわかるようになった。

CDは正直、数があり過ぎてなかなか整理するに腰が上がらなかったものの、
いざやってみると勢いがつくもので、概ね音源の整理に目処が立った。
なんというか、本当にほっとした。
やってみたことのある方ならわかってもらえるのだろうが、
モノが少なくなって脱力し、寂しくなったりするかと思ったが杞憂に終わった。

いざそうしてみると、適当にジャケット買いしたり、思いつきで選んでいた音源であったが、
そうポンポンと入手することはしなくなり、
その代わり、1つの音源をじっくり丁寧に何度も聞き返すようになった。
確かに、まだ聴いたことの無い新しい音楽は魅力的で、
出会いを増やさないと、この1枚!には出会えないことも分かっている。
それでも、数をこなすリスニングはもういいのではないかと思えるようになった。
音にまみれる生活から、寄り添うように流れる音楽を聴く時間へ。


そんな数ヶ月の作業も終わり、久々にこれはと手にした1枚、
Ralph Townerの"Five Years Later"。


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ECMのアルバムは、CDに加えてレコードでリリースされるものもあり、
これはアナログレコードで購入した。
最近、ポピュラーの国内盤レコードを買っては盤が反っていたりして、
思わずがっかりという場面が多いのだが、
ECMのレコードは見るからに触るからにして安心感がある。
もちろん、音質も。

Ralph Townerというミュージシャンのアルバムは初めて。
この82年に出たアルバムが再発するというのをネットで偶然目にしたところ、
お試し音源を耳にして、ああこれからの季節に聴くのにいいなあと思ったのだった。

アコースティックギターの音色。
透明感のある独特の響きが、そろそろ冬が近づいて来た部屋の空気に良く馴染む。
寒々としすぎると感じるひともいるかも知れないが、
あのウインダム・ヒルのシリーズの凛とした感じが好みであれば、
もっと内省的で時にシュールではあるけれど、この作品も大丈夫なはず。

朝、目が覚めて、こういう音楽聴きながら体を少しずつ解し伸ばしていきたい、
そんな想像が具体の音楽になったような1枚。
others (music) | - | - | author : miss key
Expendables 3
公開初日に観に行くなんて久しぶりのこと。
初日から3日間、女性は特別割引ありというのに釣られてというのもあるが、
先日、フライト・ゲームを観に行った時の予告編で、
「これは絶対みる、できたら初日に観る!」と思っていたのだ。

同じ観るならできるだけ大きな画面で、いい音響で、いいシートで。
しかもわくわく感を共有できるかもしれない他のお客さんと。
となれば、やっぱり早い時期のいいタイミングで観るのが一番。
そこまでして何見た、と言われそうだけれど—。
シルベスター・スタローン脚本・監督作品のシリーズ三作目、"Ecpendables 3"。





この手の映画に何を求めているのか。
答えは簡単かつシンプル。
好きなアクション俳優が同じ作品で相見えること。
それも彼らひとり一人が輝くよう、ファンが唸るような演出が、
痒い所に手が届くようにして徹底していることだ。

本作品のストーリー自体もシンプルで、ネタバレになるから書かないにしても、
展開そのものもある程度は読めてしまったりする。
或いは、出演者の出演作品やあれこれを小ネタにしたシーンづくりなど、
ある程度は彼らを追っかけていないと面白みに欠けるかも知れない。
それでも。

私はドルフ・ラングレンが大好きなので、
おまけに大好きなハリソン・フォードまで出て来てしまうからもう大変で、
それにあの「デスペラード」のアントニオ・バンデラスまで出てしまうって、
一体どういう役どころ???と興味津々で映画館に出かけたが、
今回もっとも番狂わせで意外で笑えたのがバンデラスの登場シーンだった。

たとえば、友情、とか、絆、とか、仲間、とか・・・。
そういうキーワードっていかにもで古くさいと感じる向きもあるだろうけど、
否だからこそ、アクションガンガンで一直線でわっかりやすいストーリーだから、
うーんと楽しめるし、ジンと来るところは来るんだろうなって改めて感じた。

ロケ地はブルガリア。
エンドロールにはスタッフや出演者のOVで終わる名前がずらっと並んでいて、
一体どこの作品かと思うほど。
セットなのか、元々なのかは不明だけれど、最後の戦闘シーンに選ばれた場所は、
かつてカジノを擁する娯楽施設があったようで、
キリル文字の看板が朽ちていたりするのが画面の端はしに出てくる。
独特の廃墟空間が物語の非現実感を一層増しているようだ。

***

それにしても土曜の午後一番というのは、映画館ってこんなに混んでた?というくらい、
お客さんが芋洗い状態になっていて開場前に並ぶのも一苦労。
一時、映画館は斜陽産業なんて言われてたけれど、最近は少し違うんだろうか。
或いはこんなの、都心の有名シネコンだけなんだろうか。

日頃、あれこれ見たいからと、どうしてもレンタルに頼ってしまうのだが、
やっぱり時間を見つけて観たい映画は大きな画面の映画館で観るのが一番。
どの館にもアクセスのいいところに住んでいたりするんだから、
それをもっと生かさないともったいないかも知れない。

それにしても、往年の、とはファンとしてはまだ口にしたくないスターの面々の活躍を、
とにかく新しい作品で観たい!のはわたしだけではないはず。
4は無いかも知れないが、もう一度細かいところを注目しながら1から通しで観たい。
嗚呼やっぱりわたしはアクション映画が好きだ!と痛感させられる、血湧き肉踊る1本。



 
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