音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
iPodが壊れた
10年以上も使ってきた2台目iPodがとうとう壊れた。
最初は、突然ダウンしたり、音が飛んだりと、
ああとうとうハードディスクがおかしくなったのかなと思っていたら、
一週間と経たないうちに本格的に動作がおかしくなり、まともに再生ができなくなった。

そろそろ次の台を確保しないと、と思っていた矢先だった。
秋頃、最新のiPod classicにしようと思っていたら、
またしてもappleから突然の販売停止のお知らせが。
部品の調達が厳しくてもう作り続けられないようだ。
それですぐ店頭在庫をチェックすればよいものの、
何時もの通りぐずぐずしていたら、新品は酷いプレミアで何倍もの価格に。
ひと世代前の中古もびっくりする値段で、
修理も利かないかもしれない再生機にそれだけのお金を出す気にはなれなかった。


iPodのない生活も、一応は考えてみた。
そんなに長くない通勤時間。
音楽がどうしても必要だろうか。
でも、やっぱりないと、どうも調子が出ない。
あまりに当たり前の生活になっていて、違和感さえ感じる。

やれやれ。

それで、音楽再生専用機のコンパクトなものをあれこれ探し始めた。
Sonyのwalkmanも試聴してみたが、
耳に残る独特の圧縮感のようなものが疲れるようで、
コンパクトで価格もこなれているから魅力的ではあったが、パス。
そうすると、海外の見慣れないポータブルも視野に入れないと、
ということで、あれこれ弄ったり試聴させてもらい、
中古ではあるけれど、iriverというメーカーのものを入手した。





AK100というモデルのバージョンアップ版で日本国内仕様だそうだが、
細かなスペックは気にせず、聴いてみて耳馴染みが良く、操作が単純なのを選んだ。
データの取り込みも以前はmacのみで不便だったが、
この機種はハードディスクと同じように扱って平気、特に必要なソフトもなし。
iTunesに縛られることもなく、これなら便利と喜んで使っていたipodを忘れられそう。

さすがに今時のmp3プレーヤーよりは大きく、重たいけれど、
ポケットに入れてもかさばるほどではなく、大して気にするほどのこともなし。
これでflacで取り込んで聴けるのだから、DSとデータを共通にできるのも好都合。
同じ音源なのにflacとmacのデータが2種類というのは何とも無駄な話で、
かといってmacの形式にすべてを統一するのもどうかと迷っていたところだった。

予算の関係もあって中古を探したけれど、この機種はまだ店頭で売られている。
上位機種が随分と高価で、でも音質も良いらしく、
専門誌で取り上げられているのを目にしたことがあるが、
わたしが求める音質ならこのエントリーモデルで十分すぎるほど。
クリアで自然な再生は通勤途上ならずともヘッドホンでじっくり聴きたい時にぴったり。

たしかに操作の軽快さは使っていたiPodに劣るし、
データを更新したときの読み込みもゆっくりだが、
慣れればこれで十分というレベルのもの。
ちなみに、キリル文字の表示は問題ないが、
ウクライナ語のアルファベットは文字化けを起こして四角に×の表示が(笑)。
(このくらいは仕方ないかも)
これで新年の通勤態勢もばっちり(笑)。
年末の最後の最後で、いい買い物ができたかもとほっとする冬の夜。
audio | - | - | author : miss key
鉄壁
ベランダで草花の世話をしていたら、
ポットの中にひときわ大柄なみつばちを見つけた。
女王のようだけれども、結婚飛行の季節でもないし、どうしたのだろう。
調べてみたら、卵を産めなくなった女王は巣の外に出されてしまうのだという記述があった。
にわかに信じ難いが、働けなくなったらおしまい、
という話を蟻についても聞いたことがあるから、そうなのかも知れない。


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哀れ、という訳でもなかった。
凛としていて、手を近づけるとブーンと唸ってみせた美しい蜂。
花が咲いてまだ緑が残っていて良かった。


先日帰省していた折、犬がいつも見ているという朝のTV番組で、
女王蜂というロックバンドが紹介されていた。
生演奏で歌われた「鉄壁」、頭の中が一瞬でメルトダウンするような衝撃。





歌っているのが女性なのか男性なのか、一見解らないような雰囲気で、
それも一つの主張なんだろうと思いながらも、あっけにとられて曲はあっという間に過ぎた。
数日間に耳にした音楽はその1曲だけだったのは、
その後は、何も聞く気がしなくなってしまったからだ。
とにかく、鉄壁という歌はいったい何なんだろう、と。


 


「正しさなんて今は何の役にも立たない」

ってストレートに言われたら驚くよね、って落ち着いてる場合じゃないよって。
メッセージは強ければいいってものじゃないけれど、
こんな風に若い人から言われてしまうと、どうしたらいいんだろうって戸惑いが・・・。

1年を振り返ってみて、今年ほど自分にできることはいったい何だろうと思う年も無かった。
何かをしなければいけないと焦っている訳ではないけれど、
すべきことに気がついていないのではないか、と少しだけ立ち止まってみる。
年内もあと少し。
何となく気が急く時期ではあるけれど、少しだけしゃがんで考えてみる。
pop & rock | - | - | author : miss key
老犬介護体験
田舎に老犬と二人暮らしの母が短期間の入院をすることになり、
老犬の介護に急遽、帰省することになった。
二人あわせて人間の歳で言えばゆうに150歳を超える。
老老介護、なんてことばがあるけれど、当てはまるのは人間だけじゃない。

これまでなら動物病院に併設のペットホテルに預かってもらうこともできた。
でも、今は足も弱って平らなところでも転んだりする老いた犬を、
それでも他の犬がいる前では虚勢を張ってみせてしまう、
そんな犬を預けることは到底できない。

仕事のことは気がかりではあったけれど、
帰ることぐらいしかできることはないわけで、
取る物も取り敢えずの状態でしばらくぶりの田舎に帰った。





母と入れ替わりに家についたら、
冷蔵庫のドアに、「介護心得」が詳細に書かれて貼られていた。
食事の与え方や薬の種類と時間、散歩時の注意など。
普段の生活と何ら変わりなく過ごさせることが一番大切だということが、
一読して理解できたものの、
家族の中では母の次に懐いているわたしのはずであったが、
頑固になったおじいさん犬の気に入るようにごはんを出すことすら、
最初はなかなか難しかった。

歳とって頑固になるというのは、人間もそうだけれども、
だからといってそう具合の悪いものでも面倒なものでもないなと思った。
ことばが通じない相手だけに、そう思えたのかも知れないが、
頑固で融通の利かない中に垣間見える可愛さのようなものが、
介護がうまく行かない焦りを次第に癒していく。





今時は年老いた飼い猫や飼い犬の終の住処として専門の施設がそこここにできていると聞く。
どうしてもの場合はそうしたお金の解決もやむを得ないのかも知れないが、
小さな体で家族をずっと支えてきてくれた彼のことを、
最後まで住み慣れた自分の家ですごさせてあげたい。
長生きすることが生き物の自然な幸せであると信じているなら、
或いはそうであるからこそ。

小さな体と優しい瞳。
数日間、わたしが彼を介護していたつもりが、癒されたのはわたしだった。
知っているようで、分かっているようでいて、解ってはいなかったことを、
そっと優しく教えられ諭された、郷里での数日間。
窓の外に吹く風は、いつしか冬の足音がしていた。
よもやま | - | - | author : miss key
永遠という名の
突然リリースされたPink Floyd名義の、永遠と言う名のアルバム。
前作、と言っても、20年も前のThe Division Bell(対)の未使用音源を元に、
改めて編まれた作品・・・。



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フロイド名義で久々に出る音源だけに、
長年のファンからすれば期待するなという方が無理というもの。
オリジナルのメンバーもストームのようなクリエイティブメンバーを含めれば、
既に半分になってしまった感のあるフロイド。

そのうちの2人が先に逝ったメンバーへの鎮魂の意を込めて、
ということなんだろうか。
原題の"The Endless Riever"、そしてジャケットの図柄。


遠く空の星になった友人に、そっと語りかけているかのような響き。
サウンド全体に共通する響きは、その遠くに射す光にも似て、
具体的なメッセージというよりは、
終わり切れていなかったものを締めくくるようなものに思えた。
メンバーの極々プライベートな一面に触れることのできたような、
ほっとするというか、ああこれでよかったんだとひとりごちた。

これまでフロイドのアルバムを聴く度にさまざまな驚きや発見や戸惑いがあったけれど、

その意味では裏切られることの無かった永遠という名のアルバム。
率直な感想ということでいえば、
新作ということばに心躍らせ、全く違ったイメージのものも想像していたから・・・。
そう、例えば張り切って出かけたデートで、
相手と全然ミスマッチな洋服を選んでしまったときの顔に出せない落胆のように、
それでも大切な相手と時間を過ごせるのだからと気を取り直してみせるような。
もう少し時間が経って聴けば、否、わたしがもう少し歳をとれば、
いまとは違った世界が見えるのかも知れない—。



pop & rock | - | - | author : miss key