音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
apple music
3ヶ月無料のお試しを使ってみた、apple music。
意外なジャンルの意外なアルバムとの出会いがある、見つける楽しみがあるよ、
と教わったから。

確かに。
ゆっくり探す時間と気力があれば、それこそ底なし沼のようにいろんな音楽と出会える。
うれしかったのは、何と言ってもロシアを始めとした旧ソ連系アーティストの音源が、
それこそどっさり出てくること。
音質はそれなりだけれども、そこを贅沢言わなければ、さくさくと検索できるし、
アーティストによっては全アルバム登録されていたり・・・。

ラジオはまだこれからだけど、
apple musicが提案するプレイリストも適度な濃さでもってなかなか楽しめる。
契約するかどうかはまだ決めていないけれど、
さすがに聴けなくなると、それはそれで楽しみを一つ失うようなものかも。

ダウンロード音源が主流になりつつある今、露盤はかえって入手が面倒になってきているが、
好きなアーティストの新譜はやっぱりいち早く知りたいし、聴きたい。
ストリーミング放送で流れていた、気になるあの曲も探してすっきりしたい。

3ヶ月のお試し期間、まだまだあれこれ試してみて、気に入ったら継続しよう。
月々ほんのちょっとの費用でこんなに聴けるし体験できる。
今丁度これを書きながら、Чиж & Coの20周年記念liveを聴いている。
ああなんていい時代になったんだろう、
今時の若い人はほんとうにうらやましい、誰にも隠す必要もない、偽らざる本音だ。



 
audio | - | - | author : miss key
不条理という名の



レンタルDVDの最初にかかる宣伝ビデオで、ちょっと気になって探してみた1本、
「薄氷の殺人」。
正直、邦題の付け方はよくない。
"Black Coal, Thin Ice"という原題そのままにイメージした方がいい。

舞台は中国北部のとある町。
どこまでも乾いた中国の町中の風景と、妖しげなネオンの色合いが、
少し古めかしい映像の調子と相俟って、
知らない街に迷い込んでしまったような不思議な感覚に包まれる。

悲恋と言ってしまえばそれまでだけれども。
台湾の女優、グイ・ルンメイの透き通るような美しさが、
人のこころの余りの不条理さ故に胸に突き刺さるようだ。

余りと言えばあまりに壊れた元刑事を演じたリャオ・ファンは、
作品のグランプリ受賞とともに2014年のベルリン国際映画祭で主演男優賞。
あとから調べて知ったのだけれど、納得以上のものがあった。


作品中、音楽はあまり流れない。
乾いた空気をどこまでも充満させたまま、
或る種の緊張が解放されるのは最後の最後だから。
あるシーンでメランコリックな楽曲が挿入されるが、
さもありなんと思えども、
主人公の演技にすっかり引き込まれているのを自覚する。

こういう映画を、例えば深夜、小さなテレビでじりじりと眺めていたら、
思わず膝を抱えて泣きたくなるのかも知れないなあと。
冷えたビールを一気呑みして一瞬蒸し暑さを忘れつつ、
あのシーン、このシーンと反芻する。
中国の映画へのイメージがいろんな意味で「崩壊」した1本。
cinema & Soundtrack | - | - | author : miss key
wallflower
よく晴れて、30度を軽く越した休日の午後は、
聞くだけでヒンヤリと気分が涼しくなる歌が聞きたかった。
寒々というのでもなく、哀しげな音楽でもなく。
Diana Krallの"Wallflower"、バラードを中心としたカバーアルバムだ。





声質もあるのだろうけれど、こんなに乾いたSuperstarを聞いたことがない。
音がすっきりと整理された、やや控えめなピアノと、
しっとりしたストリングスの伴奏が心地良い。

アクセントとなるのはMichael Bubleとのデュエットで歌うAlone Again、
そして、何と言ってもElton JohnのSorry Seems To Be The Hardest Word。
時には心が空っぽの時にこんな歌を聞いて、
心のひだにこびり付いたものを全て拭い去ってしまいたくなる。
時の感情とは全く関係なく、澱という澱を一掃することができたなら、
この蒸し暑さもどうということなく過ごせてしまうのではないかと。

年々苦手になる、まるで熱帯地方のような夏に閉口するも、
彼女の歌声を聞いていれば、寝苦しい夜も何とかすごせそうだ。
気分が落ち着く盤をあれこれ引っ張り出しておかないと、
今年の夏を乗り切れそうにないと思えるほどの蒸し暑さに、
ふと年齢を考えてしまうのはわたしだけだろうか。


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pop & rock | - | - | author : miss key
梅雨は梅雨らしい方が
梅雨入りしてからこの方、
子どもの頃の記憶にあるようないかにもという雨模様ではないのが、
少し残念だった。
そんな気持ちが通じたんだろうか、この週末はいかにもな梅雨らしさ。
肌寒さは少し余計だが、しとしとと降り続く雨に濡れるベランダを、
こうして眺めているのもまた季節の愉しみの一つなんだろうと思う。


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BGMには何がいいんだろう。
そう思いながら、ジャケットの美しい緑色に惹かれて選んだ1枚、
Steve Kuhnの"Promises Kept"というwith stringsのアルバム。
気分的には、Kuhnのソロの方が合うのかも知れないが、
時に甘く嘆美なこのアルバムの響きも、小さな音量で流すならいいだろう。

思わせぶりな標題、そして曲名が並ぶ。
それでも、ぼんやりと外を眺める時の背景にこんないいアルバムがあったんだと、
買ったのがもう10年以上も前のことだからすっかり忘れてもいたのだけれど、
20年近く聞いている古いスピーカーから流れる音もこんなにいいなんて。

audioは何かの機会に買い替え、入れ替えてしまったりもするのだろうけれど、
スピーカーは簡単に手放さない方がいいなあと思った。
こわれるまでずっと一緒だ、とも。
夕暮れまではもう少し。だから、もう少し外を眺めていよう。


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