音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
雨が止んで
梅雨の頃より雨が続いているような。
雨の合間に蝉時雨、季節の移ろいについていけなくて、
まるで焦っているように聞こえてしまうのはわたしの心持ちのせいだろうか。





BTTB、何時頃のアルバムだろうと思って調べてみたら、
軽く10年以上前だとわかって少し気後した。
響きを聞いている限り、そんな時の経過を想像もしないけど。
それにしても雨上がりによくあう1枚、ついリピートしてしまう。


新しい環境にだんだん馴染んでいく。
雨が少しずつ地面にしみ込むようなスピードで。
もっと緑に囲まれて暮らしたい。
もう秋だ、秋を全身で感じていたい。







 
pop & rock | - | - | author : miss key
MRI
まだまだ暑い午後の時間に、MRI検査を受けに出かけた。
簡単な問診の後、金属類のチェックを受けて、丸い筒のような装置にセットされた。
日頃診ていただいている先生の想定だと、
頸椎に何か悪さをしているものがあるらしいというので、
レントゲンでは判断ができないものを強烈な磁気を使った装置で撮影するという。

撮影中に動いたりしなければ、
かなりの精度で(神経が1本1本見えるような!)撮れるそうで、
わずか15分程の間ではあるが、
首や顎を動かさないでじっとしているのがなかなかの苦行だった。

苦行と言えば、MRIの何が大変かって、撮影中は何とも言えない機械音が発せられ、
遮音用にヘッドホンを装着するのだけれど、
一体それが何?というくらい大きな騒音がするのだ。
独特のリズムをもったその騒音も、数分で慣れてやがては眠気が出てくるから、
人間というのは何と言うか、不思議なところがあるものだと思う。


無事、検査も終わり、一雨来そうな空模様を多少は気にしつつ、
蒸し暑さが充満する部屋に帰り戻った。
窓を開けて風を通した後、まだ9月にもなっていないのに、
チャイコフスキーの「四季」、「10月」が聴きたくなる。


 


演奏している会場のこの雰囲気!
こんなに間近にプレトニョフのチャイコフスキーが聴けた方が羨ましすぎる。
「10月」はおよそ27分20秒過ぎに始まるが、
この曲はやはりロシアのピアニストの演奏がいいと思う。

大音量のヒップホップともつかない「音楽」を頭に叩き込まれた後に、
こんなに繊細でメランコリックな音楽を聴いてしまったりすると、
心の中の何かが壊れてしまいそうでもあるが。

昼間はまだ蝉の鳴き声がしていたけれど、夜のこの時間にはもうコオロギが鳴いている。
ふと気がつくと、あの蒸し暑さが嘘のように涼しくていい風が入ってくる。
秋の気配にほっとしつつ、日曜の夜のこの憂鬱のやり場がなくてぼんやり外を眺めてみる。
遠くでちらつくネオン、たな引く雲の影。
早く夏が終わって秋が来ますように。
よもやま | - | - | author : miss key
夏の引っ越しは
急に思い立って10年以上住んだ部屋を住み替えることにした。
半分冷やかしで見せてもらった空き部屋の眺望が何とも気に入ったのと、
荷物を減らして、心の荷物を軽くするには、
とにかく狭い部屋に移って無理矢理物理的に荷物を圧縮するしかないのだと思ったから。

部屋の広さは元の部屋を1とするとおよそ3分の2ほどで、
何かの特集に出てくるような極端な断捨離やミニマルな生活を目指した訳ではない。
それでも、いざ引っ越すぞと決めてからの2週間、
様々な手続きや手配に追われ、疲労困憊の中でのパッキング作業は、
正直、こんなに無理しなくてもなあと思わず溜息が出たのだった。

夏の引っ越しなんて誰もしないだろうとのんびりしていたら、
盆休みの間は、意外に転居件数の多い時期でもあって、
今月中にゆっくり引っ越そうと思っていた計画も当初で頓挫、設計変更を余儀なくされた。
おまけに10年以上使い続けている生活家電の買い替えも重なり、
この暑さもあって、冷蔵庫や洗濯機の有り難みをひしと感じもした(笑)。


ところで、今度もまた川の流れが見える部屋だ。
よく風が通り、日当りも良い。
何しろ遮るものがほとんどない。
部屋は確かに狭くなったし、減らしたはずの荷物で一杯になっているが、
部屋の音響は思った以上にデッドで、これまた意外に鳴らしやすい。
装置のセッティングがひととおりなされた後は、
それほど悩まずして心地良く音楽が聴けていることは暑い中での救いだ。

さらにところで。
夏の引っ越しは、やはりお勧めできない。
若い方なら落ち込む気力を補って余りある体力があるかもしれないが、
今回は作業も荷物も段取りも全てあの倉庫番のように、
何かひとつ順番を違えると前に進めなくなるようなタイトさで、
暑さでダレきった頭と体にムチを打つような引っ越しになった。

或いは。
やろうと思えばできるし、こうして引っ越してみれば、
あの部屋に拘って10年以上もいたことを実は少し妙にも感じている。
何しろ、10年以上通った道は、既に過去のものとなって、
先日、掃除に出かけた折などは、もう懐かしいと感じるような始末で。

今日も1日暑かった。
1日の終わりに、大好きなパニアグアを聴こう。
引っ越しの直前にようやく届いた2枚組のレコードで。
(ジャケットはCDのもの、念のため)


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よもやま | - | - | author : miss key
旅に出るような
旅に出る時間がない訳ではないが、
どうも億劫と言うか、いろんな荷物が重たいように思えてなかなか気が進まない。
もっと身軽にしてみよう、
物理的な、そう、重さもかさも、見た目にもっと身軽な生活に。
そう思い立ってしばらくしてから見つけた映画、「リスボンに誘われて」。





MI:5のようなドラマばかり見ていて少々肩が凝ったこともあったけれども、
リスボンはぜひゆっくり行ってみたい地のひとつで、
脳内旅行ではないが、こうして映画の中の旅を追いかけていくだけで、
まるで自分自身がそこに居るかのような錯覚でもって、
もう映画だか、リアル旅行だかわからないくらいに没頭してしまえる。

話のさわりを書きたいところが、思いっきりネタバレになってしまうので、
主人公の男性がなぜ旅に出ることになったのか、
その辺りをじっくり愉しんでもらいたいのだ、同じこの映画を見るのであれば。

もちろん、「こんなことはあり得ないだろう」と思いながら、
登場人物の人間模様に焦点を当てるもよし、
その土地の空気や生活感をじんわりと感じながら、
おいしい料理とお酒ですっかりリラックスするというのもいい。
そこそこ長尺の作品なので、
わたし自身はその両方でもって2時間弱を堪能した。

ところで、この映画に出てくる鉄道の旅。
最近は缶ビールのおまけにまで鉄道グッズが出ている有様で、
わたしも普段は飲まないエビスビールなど買ってみたのだが。
嗚呼、しばらくぶりに夜行列車に乗って旅がしたい。
冷えたビールは缶のままで構わないから。


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