音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
梅雨らしい蒸し暑さに閉口する

英国のEU脱退という投票結果には世事に疎いわたしもさすがに驚いた。

そして結果が出た翌日には、多くの後悔の声が渦巻いて、

再投票を呼びかける署名が多数集まっているということにも。

 

海を隔てたところの大きな島と小さな島々の連合、というところに

どこか親しみを覚えてしまうわたしはただの呑気者なのかもしれないが。

投票って簡単なようでなかなか厄介だ。

自分の選択に責任を持つって、簡単なようでいて実はなかなかできないのかもしれない。

近々ある選挙、まだポスターの貼られていないベニヤ板を眺めて反省する。

 

 

夕方を過ぎて、ついさっきまで心地よく吹いていた風も止んで、

いかにも梅雨な蒸し暑さに思わず閉口する。

エアコンをつけてしまえばおしまいだけれど、

どこまでも自然な心地よさを知ってしまうと、どうもエアコンは。

19時過ぎてぼんやり明るい空を眺めながら、

Neil Youngの"Mellow my mind"を聴いてみた。

 

 

 

 

部屋の中にもあっと広がるスタジオの空気。

埃っぽい中にもぎゅっと詰まった熱を感じながら、

ハーモニカの物哀しい音色に却って癒される。

歌詞を知って少々気持ちが重たくなったけれど、

この蒸し暑さ、胸苦しさを忘れることができるのだったら・・・。

 

 

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pop & rock | - | - | author : miss key
「国境なし」という名の

Океан Эльзы(オケアン・エリズィ)の久々の新譜、"Без меж"(国境なし)。

いつもならお店でキャンペーンがあったりとそれなりに「騒がしくなる」はずなのに、

今回は気がついたら出ていたという拍子抜けのようなリリース。

少々訝しくも、ファンであるわたしは素直に嬉しがるべきなのだ。

3年待ったのだから。

 

 

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Apple Musicでも彼らのOfficial Siteでも聞けるから、

CDがKievから届くまでの間、取り急ぎはストリーミングで聞いたりしたのだが、

何とも懐かしい音にただじっと耳を傾けた。

何とも懐かしい土と風の薫りよ。

 

 

 

 

いろんな媒体で気軽に聞けるのに、未だにCDかと思われるかもしれないが、

気に入った音源は目に見える形で手元に置いておきたい。

いつまでこうした形で音源を手に入れることができるのかはわからないけれど。

 

 

新聞か何かの記事で若い人たちの間でカセットテープが注目されていることを知った。

うちには壊れたラジカセが1台あるが、

そんなブーム(?)のおかげで再修理できたりするようにならないだろうか。

流石に40年以上前のものだからこのままそっとしておきたい気もするけれど、

もしまたカセットテープが手に入ったりすれば、ちょっと聞いてみたい気もする。

オリジナルのテープを作るほどの熱は、もうわたしの中のどこにも残ってはいないけれど。

 

彼らの音楽を知った頃、ロシアではまだカセットがたくさん流通していて、

安価で楽しいお土産になったから、掴み取りのようにしてたくさん買ってきたのを思い出す。

先を考えるより思い出すことの方がたくさんになった自分の歳をおもいながら。

 

 

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pop & rock (russian and other slavic) | - | - | author : miss key
Spooks/MI-5
このところ暇さえあれば映画三昧。
視力が落ちたのはこのせいではないと思いたいがどうだろう。
物語の中に入ってしまえば、1日がどれほど散々であったとしても、
すっぱり切り替えられることをしばらくぶりに思い出した。
目は疲れるが、それでも映画を観よう。

劇場にも出かけているが、レンタルでおっと思ったのはこの1枚、
英国の大ヒットTVドラマ"Spooks"の映画版、もちろん最新エピソードだ。





TVドラマをご覧になっていない方が見たときに、少々辛いものがあるかもしれない。
アクションや謀略の数々の見せ方よりも、
人間関係が複雑に織りなす世界が魅力の作品だから、
独立した映画として成立はしていても、前提を知っていればそれだけのめり込める。

人の心がどれだけ荒んだように見えていても、
血の通う温かみを完全に失う人なんてそうはいない。
静かな息遣いの中にも、全てを賭してその責務のために闘う様に、
思わず胸熱くする充実の1本。


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cinema & Soundtrack | - | - | author : miss key
Brahmsブーム

通勤途上、iPodで聞くのは専らクラシック、それもシンフォニー。
何かの弾みだったかもしれないが、Brahmsブームが、それも大ブームが訪れた。
これまで1番や4番は、思い出せばあったかも知れない。
でも今回は3番。3番の第3楽章。

レコードで持っているものなら文句なしにバルビローリの全集で聴くのが心地よいが、
BrahmsのCDを端から聴き比べてみたら、一番好きな演奏は意外なところに。
ズデニク・マーツァル&チェコフィルによる3番だった。





録音が新しくてaudio的快楽に溢れてるせいもあるのかも知れない。
説得力なら、ジュリーニの若い頃の録音も好きだし、
ザンデルリンクも捨て難い。
これと選べないほど好きな演奏はたくさんあるが、
マーツァルとチェコフィルの演奏は繰り返し聴きたくなる。
ボヘミアの薫り漂うBrahmsのシンフォニー、
わたしにBrahmsの美しさを教えてくれた人ならなんと言うだろうか。

5月は親しかった人々の命日が何故か多くて、
わたしもとうとう彼らの年に追いついたり追い越したりで、
夜空を眺めては未だ涙が溢れるのをぐっと抑えることもある。
泣いてしまうのは容易くて、嚙みしめることで込上げる感情を愛おしく思うのだ。
そんな季節だからきっと美しいメロディに浸りこんでしまいたいのかもしれない。
だから3番の第3楽章。
もうすぐ梅雨。梅雨が明けたら本当に夏。気持ちを吹っ切る区切りの夏だ。


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