音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
台風前の冷たい風に癒される

ここのところ台風が連続してやって来ている。

大雨も大風も決して歓迎はしないけれども、

やってくる前の、このなんとも言えない風の冷たさが、

なかなか終わってくれない夏の疲れをどれだけ癒してくれるか。

子供の頃は、そんなことを感じも思いもしなかったけれど。

 

今朝は早くからレコード三昧だ。

不思議なものであんまり暑いとレコードをゆっくり聴く気がしない。

別に管球アンプ使っているわけでもなし、レコードプレーヤー回すと暑いとか、

端的に思い当たることはないけれど、単に気持ちの余裕がないということか。

 

いよいよ、というか久々というか。

Johnny Hartmanの歌声でさらに癒されよう。

コルトレーンとのコラボレーションアルバム、"John Coltrane and Johnny Hartman"。

 

 

 

 

声ってほんとうに持って生まれるものなんだなと痛感させられる。

歌の上手下手の前に、

すでに多くがそこで決まってしまっているといっても言い過ぎでないような。

特にこのアルバムは、聞き手への贈り物のようにいい具合にまとまっていて、

聴き始めるとあっという間に針先は中心へと吸い込まれていくような気配が好きだ。

プレーヤーはどこまでいっても1つの装置であるかもしれないけれど、

いいレコードをかけているときは、何とはなしに、プレーヤーの機嫌も良さそうに見える。

思い込みなんだろうけれど。

 

+++

 

秋から冬にかけて部屋でちんまりとレコードを聴いていると、

うちの装置は少々大げさになり過ぎている気もしないでもなかったりする。

もっと年取って、その時にやっぱり音楽を聴いているならば、

管球とユニットの少ないスピーカーで、

思いっきりシンプルな装置にしてもいいなと思ったり。

 

+++

 

冷たい風といったけれど、今日はちょっと寒すぎるくらいで、

こうしてだんだん秋に近づいていくんだなとは思うけれど、

気温差に体がついていけてなくて、ぼんやりしてしまう。

まあいいか、今日みたいな日は何もせず1日中レコード聴いて終わってしまっても。

夏バテを理由についつい自分に甘くなる天気今ひとつの日曜だ。

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涼しさに救われる

1日夏休みを挟んでの4連休。

連休は人をダメにするか、否、その人次第だなんて当たり前のことを改めて痛感。

月末金曜の午後、消費を煽る目的で早退を制度化などという記事に目が留まる。

いったい、誰のことを考えてそんな制度をつくるんだろう。

休める人は休めるし、そうでない人はますます拘束されて辛くなる。

そんな気がするけれども気のせいだろうか。

 

頭が疲れたときにと勧められた西原理恵子さんの本を2冊ほど読んでゲラゲラ笑っていたら、

最後の休みがあっという間に過ぎていった。

近所のマンション建築工事も流石の今日は休みのようで、窓を開けても静かだったから、

わたしのゲラゲラという笑い声が妙に響く。

ああ、近所迷惑になりませんように。

 

午後もいい時間になると、昨日に続いて涼しい風が吹いてきた。

窓全開、カーテンがたなびくほどの強い風だけど、

辛気臭くなってるかもしれない部屋の空気を全とっかえしたあとは、

ピアノの良い音色で締めくくろう。

アレクサンドル・タローのBach。

 

 

 

 

Goldbergばかりいったい何枚持ってれば気が済むのだろう。

それでも、この1枚(2枚組だけど)はぜひお手元に。

わたしには絶対王者なGoldbergがあって、

そのレコードはちょっと特別な気分のときにだけ聴いているが、

そのレコードを凌駕するような1枚が出てくるんじゃないかと、

半ば期待しつつ、半ば心配しつつ、ついつい聴いてしまうのだ。

 

残念ながら、凌駕というところまではいかないのだけれど、

別の立ち位置といえばいいのだろうか、すっと耳に馴染み、染み込んでくる。

彼がもっと若い頃にこの曲を弾いていたらどうだったろう。

そんな想像を掻き立てながら、優しい調べを聴き進める。

 

夏の暑さも一息入れているかのような涼しさに救われる。

エアコン入れっぱなしでじっと部屋に籠るのは本当に不健康だと、

遠くに鳴る花火の音に一瞬心奪われつつ、

いつもの車の流れる騒音に戻ると、明日は月曜、がんばっていかねばと、

連休で鈍りきった気持ちに針金を通すような気持ちだ。

決してカツを入れる1枚ではないが、心のリハビリに優しいおすすめの1枚だ。

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10 Years Solo Live

Brad Mehldauが奏でる音色は、とちらかと言えば苦手な方だった。

ピアノトリオでの演奏を初めて聴いたのはいつのことだろう。

深く暗い淵に誘われるような響きに、

とてもではないが耐えられない、そんな心持ちの時期だったような気がする。

 

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そんな彼のピアノ演奏の、

しかも独奏ばかりを本人が選んだベストアルバムが出たというので、

試聴をしてみたのだけれど、

一人部屋でゆっくりと聞いてみたいと思ったのは何かの気の迷いなんだろうか。

しかもCDと比べて8枚組という大掛かりなLPレコードセットは少々高価で、

廉価になるのをしばらく待っての入手で、この休み、漸く耳にできた次第。

 

夏の蒸し暑い部屋に響かせるのはちょっと勿体ない気がした。

一音、一音に何かの重しでもあるんだろうかという強い存在感ながら、

時にラフに鍵盤の上を指が滑っていくような一瞬もあって、

適度に緊張が抜けるような、いい塩梅なのが私には良かったかもしれない。

 

内証的で独特の仄暗さは相変わらずで、

例えば北欧の港町の夕暮れが、どこまでも深い深い青みと冷たさを湛えるように、

ああこの箱は11月の終わりの、日曜の夕暮れ時に静かに聞くのがいいかもなどと、

ぶつぶつ言いながらも結局は一通り聴いてしまった。

 

そう、8枚のうち、これはと思う盤が7枚目、8枚目。

ポピュラーやロックからの選曲からブラームスetc...。

"Le Mémoire et la Mer"から"Hey you"に流れる面は、思わず息を呑む。

余計なものが一切取り払われて、メロディの美しさが浮かび上がる。

確かにこの2曲は、針を落としてぜひとも聴きたい、そんな2曲。

そして贅沢にもこの2曲で片面が終わるのだ。

 

ほぼ1年近く遅れての入手で、

しかも季節的にどうかというこの8月の猛暑の真っ最中ではあるけれど。

大切な1枚を手元に加えることができたことに感謝、感謝。

またしても悩める一週間が始まるけれど、いい音楽が聴けたのだからそれなりにがんばろう。

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