音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
横浜イングリッシュガーデン

真夏のような週末に、少しだけ遠出して横浜イングリッシュガーデンに出かけた。

住宅展示場の隣接に配されたバラや様々な花々で一杯の庭園。

春のバラの時期には少しピークが過ぎたかと思っていたが、

通路は溢れんばかりのお客さんでいっぱいだ。

 

 

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バラのアーチを潜りながら、メインの通路が十字に通る中、

小道がそこここにあって、バラ園でなくても贅沢な散歩になるが、

香り高い品種が多く集められているのか、或いはその密集度によるのか、

甘い香りで満たされた空間は、人々の喧騒がなければ極上の贅沢というものだろう。

 

 

バラだけをたくさん集めたバラ園と比べ、

咲ききった花もそのままになるべく自然のまま置かれているのが逆に新鮮で、

地面にしっかりと根を張り、太い幹を何本も伸ばして無数の花をつける様子に、

うちのバラもできたら地植えしたいものだけれど、とため息が出た。

うちでは体力消耗を避ける意味で、或いは痛んだ花をそのままにするのは忍びなく、

ある程度のところで切り花にしてしまうが、いつか株がしっかりとした暁には、

種ができるまでそっと自然にしておこうかと思った。

 

 

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原種に近いバラや古い品種もたくさんあり、さらには日本のバラもたくさん咲いていて、

先日出かけた西武ドームの国バラとはまた違った良さが。

もちろん人為的に造られた庭だから、まるっきりの自然ではないし、

何も手をかけないでいるとバラは病気で枯れてしまうから、

違和感なく楽しめる雰囲気の背景には、技術と日々の管理努力があるのだろう。

わずかな入場料でここまで花を見せていただける機会に感謝して会場を後にした。

 

帰りの電車の中、バラの香りを思い出しながらヘッドホンで聞いたスクリャービン。

ロシアのピアニスト、Evgeny Zarafiantsによるプレリュード集だ。

 

 

 

ラフマニノフの演奏が気に入って、同じピアニストでと探した1枚。

演奏に、これという目立った特徴があるわけではないが、

聴く者をふんわりと包み込むような温かさがしみる。

時折はっとするような煌めきとともに高みから降り注ぐような音とともに

よどみなく続く演奏。

神秘と美とが共存するスクリャービンの楽曲は、昨日見たバラ達にぴったりだけど、

こうしてひっそりとヘッドホンで聴いていると、少々センチメンタルになる。

旺盛に咲いて、そして散っていく様を思い浮かべながら。

 

 

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薔薇よ、薔薇よ

今年は随分とうどん粉病に悩まされてきたが、

1年で1番ベランダが賑わう季節がやってきた。

この数日の暖かさで、次々と満開を迎える薔薇たち。

毎日、寒い日も暑い日も世話してきてよかったと思えるひとときだ。

 

 

 

 

朝起きてベランダに出た時の、ほんのりと香る甘い香りがなんとも贅沢だ。

こんな日は、次第に開いていく花を何度も眺めながら、

ぼんやりと音楽を聴くのがいちばんだ。

 

アルヴォ・ペルトの1枚を。"Part: the Sound of Arvo Part"。

 

 

 

LPレコードなので、うっかりうたた寝をしないようにしないといけないが、

透明感溢れる楽曲、演奏でついついうっかりしそうになる。

バイオリンが2人、ピアノが2人。

そしてクレジットにあるBournemouth Sinfoniettaという楽団を検索してみると、

1999年に経済的な理由で解散されたとあった。

このレコードの発売自体は2015年となっていて、録音がもっと古いのか、

その辺りのことはよく分からない。

特別な特徴はないけれど、肌に優しいこなれたお湯のような感じで、

じんわりとしみ込んでくるような演奏だ。

 

薔薇はペルトの音楽を聴いているかどうかはわからないけれど、

この陽気に開ききった1輪を切り花にして眺めていると、

なにやらしんみりした様子に、音楽が聞こえているのでは、と想像を逞しくする。

 

いずれにせよ、薔薇たちが長く良い状態で咲き続けるためには、

1にも2にもちょうどよい気候でいてくれるのがいちばんだ。

もちろん、人の体調にも。

さて、もう一度、Spiegel im Spiegelを聴こう。

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