oldboy | 2018.02.18 Sunday |
韓国映画のOSTを取り上げるのに、
このアルバムを外してそのままにすることはできないだろう。
原作は日本の漫画作品ながら、パク・チャヌク監督による韓国の作品で、
2003年公開の「オールドボーイ」。
平穏無事な日々を送るサラリーマン男性が突如拉致され、某所に15年間も監禁される。
何故、自分が。そして一体誰が。
設定も背景も不明なまま物語が進み、ありえないようなシチュエーションながら、
見る者を不思議な世界にぐいぐいと引き込んでいく。
公開当初も、その直前も、とにかくネタバレに気を遣ったのだというが、
その何故、への答えは最後の最後に明かされる。
どんでん返しとか、衝撃の結末、とか。
サスペンスやスリラー、はたまたアクション系の作品にはありがちで、
或いは、恨みと悲劇は韓国映画に付き物なのかもしれないが。
物語は興味を持たれた方が各々ご覧いただくとして、
何と言ってもこのOSTが映像が先か、音楽が先か、
というくらい濃密に作品に沿う内容で。
このジャケットは、作品の重要な鍵を握る小物に一貫して採用されているデザイン。
映画を見た方なら、CDを手にした時に、数々の重要なシーンを思い浮かべることだろう。
曲順ももちろん作品の流れに沿って配されているが、
ここという曲がワルツというのも、恨みと復讐の輪廻よろしく、
その旋律が美しく切ないものであればあるほど、複雑な感情を噛み締めることになる。
映画のラストは、見る者によって解釈や受け止め方がかなり異なる作りだ。
年代や男女の違いによっても随分違ってくるのかもしれないが、
猥雑で埃っぽい世界から、一転、背景を雪の山中に切り替えているところからも、
さあ、解釈は、ご自由に、と宙に投げ出されたような虚を覚える。
韓国版のDVDを見ると、他で見るものと異なるシーンが追加されている。
(他では削除されているということなのかもしれない)
本作が同監督の復讐三部作、と呼ばれる所以か、韓国版の方がより徹底している気がしたが、
さて、その真意はどこにあるだろうか。
謎解きのてんこ盛りのような作品で、何度見ても飽きないが、
本国には熱心なファンの集うクラブがあるというのもうなづける。
OSTのCDは、上のジャケットのデジパック韓国版のほか、日本盤も出ているが、
残念ながら日本盤はCCCDとのこと。迷わず私は韓国盤を選択した。
廃盤ながら、中古はわりと入手しやすいが、apple music等でも聞けるので、
興味を持たれた方はまずはストリーミングで。
否、できればこれは映画を先に見た上でぜひ。
なお、蛇足ながら、日本語字幕のあるDVDは、中古でも結構出ているが、
blu-rayはプレミアなのか異様に高価。
英語字幕のみでよければ数年前にリマスターされたblu-ray盤がおすすめだ。