音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
日曜だからゴキゲンな一枚を

映画のサントラばかり掘っていたので、少し趣向を変えてみて。

近所に去年できた美味しいベーカリーに出かけ並んでまで買ってきた何某を頬張りながら、

清々しい休日の午後にこれは!という1枚を聞いてみた。

Jeff Goldblum&The Mildred Snitzer Orchestraのデビューアルバム、The Capitol Studios Sessions。

 

 

 

 

このジャケットをみてあれ?と思った方はどのくらいいるだろう。

思い浮かべたのはジェラシック・パーク? それともインディペンデンス・デイ?

俳優として活躍している彼がピアノでジャズをやっていて、

それも自分のオーケストラまで持っているとはこのアルバムを知るまで知らなかった。

 

さて肝心の演奏。

軽いタッチで弾かれるピアノも洒落ていて驚くのだけれど、

観客を入れて、なおかつ適度な響きを生かしての録音が効いているのか、

目を閉じれば自分がまるでステージかぶりつきに居るような楽しさが。

 

Till Bronnerが参加のほか、女性ヴォーカルも何曲かあって、

その昔、ビッグバンドが大流行の時代の豪華アルバムのような編成がうれしい。

気になって調べてみたら、彼は子供の頃からジャズを聴いて育ち、

クラシックピアノから転向してジャズに。

俳優として成功する傍ら、自らのバンドを率いてのlive演奏では知るひとぞ知る存在ながら、

アルバムリリースとしては初、デビュー盤とのことだ。

 

俳優でピアノというと、「ドクター・ハウス」のHugh Laurieのブルース弾き語りだったり、

演技のキャラクターとやはり繋がるものを感じるけれど、

Jeffの小気味好いピアノの音色にアルコールも入っていないのにすっかりゴキゲンな午後。

 

そうそう、このアルバムは最初からアナログレコードでも発売されていて、

しかも45回転の2枚組ときた!

さらにしかもしかも、ジャケットが違う。

 

 

 

 

このジャケットだとあの「地球を救ったデイヴィッド」とは思うまい。

わたしは迷わずレコードを買ったが、CDのジャケットも捨てがたい(笑)。

最近、盤探しにダレ気味だったわたしに喝!を入れてくれた。

こういうアルバムが出てくるならやっぱり新譜も丁寧にチェックしないとと反省しきり。

apple musicやtidalでも聞けるんだけど、やっぱり盤が欲しくなる1枚だ。

others (music) | - | - | author : miss key
TIAS 2018

 

 

今年もなんとか東京インターナショナルオーディオショウに出かけることができた。

こういう記事を書くと、

「装置よりも音源にお金をかけたほうが幸せになりますよ」

といったメッセージが届いたりする。

だけれども、

オーディオをつくる企業の数、設計者の数、そして個々の製品の数だけいろんな音があり、

ことばで表すことがとても難しい、相手に正確に伝えるのが難しい音だからこそ、

自分が欲する音、その音で音楽が聴ける装置を探し出すのに、

(否、探し出せなくてもそれに近づくために)

こんな良い機会はないと思いながらあちこちのブースに出かけて楽しんでいる。

お店とは違い、「作り手」の側の方、設計者の方などが直接説明に出向いていて、

自らの手で生み出した製品について語る様子の瞳の輝きが、

わが子のことを話す親のようで、ただ話を聞いているだけで温かい気持ちになる。

 

例年と違うのは、残念ながら権利関係の問題で、

製品紹介に使われた音楽のリストが配られなかったことだ。

またリストでなくても、デモンストレーションの中で曲名やアーティスト名に触れるのも、

気を遣われているようで、

何曲かは、後日ディスクを入手するために訊いておきたかったが、少々気後れした。

 

そんな中で、とあるブースで紹介していただいたピアニストの音が、

どこかで聞いた覚えのある音なのだけれど、と気になって調べてみたら、

春先だったか観た映画のサントラでの演奏がその彼だった。

84年アイスランド生まれのピアニスト、VÍKINGUR ÓLAFSSON(ヴィキングル・オラフソン)。

 

取り急ぎ既発のアルバムを調べてみたら、まだダウロードでしか入手できないBachのEPが。

これがわたしの思うところの北欧の空気、透明感があるのに重々しい曇空のようなアレンジで、

すっかりハマってしまった。

ドイツ・グラモフォンからこの10月にリリースされたばかりのBach Reworks (Part1)だ。

 

 

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パート1だからパート2も出るのかと早くも期待がコップから溢れそうな1枚。

この1つ前にまとまったBachのアルバムも出ていて、

こちらはCDだけでなく、アナログレコードも発売されている。

もちろんこちらはLPでオーダーしたが届くのは週末になりそうで、

そろそろ暖房が要りそうな夜のひとときに待ちきれないアルバムだ。

彼のアルバムはApple musicで一通り聞けるが、音質がいまひとつなので、

やはり最低でもCDかレコードで聴きたいところ。

 

件の権利関係、確かにわかるのだけれども、

スマートフォンも持たず、即検索とはいかないが、

わたしのように気に入ったアルバムから同じ演奏家のアルバムにと、

相当買い込む人間もいるから、

来年のこのイベントまでにうまく物事が解決するといいなと思う。

 

そう、TIASの後はあれやこれやとCDやLPを探し、それなりの散財が待っている。

これもまた楽しいイベントということで、来年11月を楽しみにしたいと思う。

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