音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
apple music 止めてみた

未だ電グルショックから抜け出せないでいる。

何がそんなにショックなのかというと、電グルが解散するとか音源が買いにくくなったとかではなくて、

何かのきっかけでごく簡単に、これまで聞くことのできた音楽が聞けなくなる、

ほんとうに随分簡単にそういうことが目の前で起きたことだ。

 

ここ2、3年ずっとお世話になっていたapple music。

便利だし、聞いたことのない音楽をたくさん紹介もしてくれてその恩恵は計り知れない。

でも、手元のiPodからスルスルと、

本当に見事なほどあの事件の数日後に電気グルーヴの楽曲が消えていく様にことばがなかった。

そういうもんだ、音源を提供する側の判断であってapple music側に問題があるわけでもないことは承知の上で、

やっぱり、こういう出来事を目の当たりにしたくない、ということと、

同じくやっぱり、大事な音源、聞きたい音源は物理メディアで手元に置くのが安心、と痛感され、

(痛感、ということばの意味を思い知ることにもなったが)

丁度契約更新時期に来たこともあり、apple musicを止めてみた。

 

止めてみて、契約が切れると同時にあれほど作り込んでいたプレイリストもあっさり消失し、

がっかりしたり、があるのかなと思っていたがそれほどでもなかった。

わたし自身iCloudを上手く使えていないこともあるが、仕組み自体はややこしすぎて、

アプリの更新の度に???となることが多かったし、

よく聞いていた90年代のロシアのポピュラーも、音源提供の契約が切れたのか、

聞けなくなっていたものがたくさんあって、そういう意味でもいい潮時。

或いは、外に連れ出すのがiPod touchか、音質はいいがそこまで使いやすくないwalkmanか迷っていたのが、

apple musicの拘束!がなくなった今はwalkman一択となるので、

音源管理の手間も省けてスッキリもした。

 

apple musicの様々な音楽を気軽に試せるという良さは十分評価できるものの、

一つひとつの音源を丁寧に聞く姿勢を持ちやすいのは、

やはり気に入りそうな音源を根気よく探して盤を手にして聞く方のようだ。

ここは人によっていろいろだろうが、

レコード好きな人間には、レコードほどの愛着が湧かないにせよ、

CDという物理メディアにはまだまだわたしにとって存在意義があるということが嫌という程わかった。

 

GWの連休に入り、

時間と気持ちの余裕ができたところで改めて手元の音源をあれこれ眺めてみると、

かなり気に入っていた盤なのにどういうわけか遠ざかっているものも少なくなかった。

手元にたくさんありすぎる!ということが第一の原因ではあったとしても、

便利なものに頼りすぎて肝心なことが見えにくくなってしまっていた気がする。

 

電グルショックは、そういう意味でダラけたわたしの姿勢に喝を入れてくれた。

最近の卓球さんのツイートを見ても

電気グルーヴを止める気はさらさらなさそうだから安心したこともあるが、

好きな音楽を好きな時に聴けるという幸せを、今一度噛み締めたいと思う。

 

 

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よもやま | - | - | author : miss key
Hunter Killer

 

 

「潜水艦ものにハズレなし」とは映画好きがよく言うことば。

初日に仕事が休めず、土曜の朝にまずはと観に出かけた「ハンターキラー 潜航せよ」。

潜水艦を舞台にした映画は漏れなく観てきたつもりだが、

今回の作品は、国内で見られるだろうものとしては、

あのミレニアムのミカエル・ニクヴィストのほぼ最後の作品ということもあり、

どうしても映画館で見たかった。

(※リュック・ベッソン製作の"Kursk"にも出演、奇しくもこれまた潜水艦の物語)

 

まだ公開されて3日目とネタバレはよくないので、ストーリーは冒頭のトレーラーを見ていただくとして、

初見で強烈な印象の映像だったので、今日は連日の2回目(劇場は変えたが)、

ようやく細かいところを追いかけられた次第。

こういうときは英語力のある方が羨ましい。

 

ロシア国内のクーデターをきっかけに物語が進む関係で、ロシア人の俳優もたくさん出演しているが、

彼らのセリフの方がずっと聞きやすいのはなぜだろう。

要所要所、ロシア人の会話も英語が使われていて、その使い分けはなんだろうと思ったのはともかく、

(潜水艦が)沈んだ!(或いは沈められた)のsankなのかsunkなのかが聞き取れない耳だと、

2度目に字幕へ目をやるのを少なくすると、ちょっとどころか結構きつかったり(笑)。

 

話が逸れたが、本作には随所に細やかな演出、演技があって、

ひょっとしたら原作を読み込んでいるとその辺りぴんと来るのかもしれないが、

同じ原潜ものでもあのK-19のようなどっしりと重い雰囲気で当初から暗雲垂れ込める的な絵とは違い、

予定調和的に終わるであろうことを予感させつつも、

深海の闇と晴れ渡った海上の落差にも似て、様々な陰陽を織り交ぜながらの物語は、

いわゆる戦争もの、戦闘ものとして観てしまうには余りに惜しい。

 

 

 

 

本作はOSTも国内盤でリリース済み。

同じくジェラルド・バトラー主演の「エンド・オブ〜」のシリーズのサントラも手がけた、

トレヴァー・モリスが作曲。

腹の底にドスンと来るような低音使いが印象的な、

スケール感たっぷりのThe映画音楽な作・編曲作品に仕上がっている。

 

嗚呼それにしても惜しまれるミカエルの早逝。

「コロニア」の頃には(役柄もあるが)まだふっくらとして病気のようには見えないが、

その後、急に仕事を減らしていたようだから、ご本人としては本作も覚悟を持っての出演だったのかも。

その極まったものを感じてしまうせいか、エンディングの清々しさとは裏腹に、

彼の演じた敵艦のアンドロポフ艦長の機微が胸に突き刺さる。

何にでも最後はあるのだけれども、次作も次々作もぜひ見てみたかったと痛感した2時間×2だった。

 

 

 

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