音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
ごく普通の日曜に

天気の良い土日はできるだけ外にでて歩くようにしている。

ここ2週間ほど忙しい日が続いたので散歩歩きの距離も激減していたが、

最近は20km歩いても大丈夫なくらい体力がついていたのに、

2週間サボっていたらすっかり脚が弱くなっていた。

それほど長距離を歩かなくてもいいから、歩かない日をつくらないように。

こつこつやってきたことが元に戻るくらいがっかりすることはないのだから。

 

歩いていると気がつくこと。

最近特に犬を連れて散歩している方の多いことといったら。

犬を連れた方たちの野外ミーティングのようなものも結構あって、

だいたいこの時間にこの場所で、というインフォーマルな「集会」が、

何やらとても楽しそうで、

実家で飼っていた犬が生きていたら、ちょっとまぜてほしいな、と・・・。

隣の家が遠いような田舎住まいなので、

友達になってもらえる犬もなかなかおらず、

家族と過ごす間に自分が犬であることを忘れてしまうかのようだったから。

 

 

ウクライナの戦争がなかなか終わらない。

多少の寄付をしたりするのが精一杯で、ただ祈るばかりで時間が経過する。

このことを考え始めると、環境に恵まれていることのありがたみと、

安穏とした生活への見えない不安とが綯い交ぜになる。

考えても仕方ないがつい頭から離れず、眠れなく夜に聞いている曲、

David SylvianのBuoy。

 

 

 

 

この曲を初めて聞いたのはたしかラジオの音楽番組だったが、

ディスクではEverything and Nothingというシルヴィアン自身のコンピレーションの音源を

聴いている。

オリジナルであるMick KarnのDreams of Reasonに収録の音源は未聴。

それを前提に、だけれども、Buoyを聞いた当初は、

中後期のYMOとか坂本龍一さんの音が聞こえる感じで、

耳馴染みがよかったという程度だったが、

歌詞を知って思わずうーんと考え込んでしまったのだった。

 

どうしてこうも出口の見えない辛い出来事が続くんだろうか。

今夜もまた眠れぬ夜が続くのか。

平穏で無事な日々をありがたく素直に受け止められない自分がいる。

頑なな心に音楽が答をくれると信じながら朝が来るのを待つとしよう。

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最初の1枚

今年ぐらい新年感が薄い正月もなかった。

カレンダーが進むことで区切りがつく、

そういうものだと思っていたが、

個々の努力だけではどうしようもないことがこうも続くと、

気持ちの切り替えが難しくなっているのかもしれない。

 

そうであっても、やっぱり新しい1年だから。

毎年、マーラーのシンフォニーを1番から聴くというのをやっているが、

今年はPink Floydを順に聴いた。

去年、前期後期アーカイブ集を聴き終え、感じたのが、

まだまだ全部聴き切っていない、気がついていないことがたくさんある、

ということだった。

未公認で出ている音源まで全部集めるようなファンではないが、

針を落とした回数が一番多いのが多分、おせっかいか狂気あたりだろうというくらい

ずっと聴いてきているので、さすがにとは思ったが、

自分自身の聴き方も変わってきているのか、感じ方にも違いが出てきているのがわかる。

なので、一から聞いてみようと。

 

 

 

 

話は逸れるが、レコードで音楽を聴く方がだんだん増えていて、

「レコードで聴くとしたら何がいい?」という嬉しい質問をされることも。

その方の好みにもよるが、「狂気」を挙げることにしている。

音楽の内容はもちろんのこと、バージョンを気にしなければ手に入れやすいし、

なかなか楽しく聴ける1枚だと思うから。

わたし自身がおせっかいや狂気から始めたこともあるかもしれない。

 

今年という1年は、これまで気付いていなかったことに触れたり、

忘れ物を取りに行くような、ある種の隙間を埋める年になりそうだ。

例えば、OSTはよく聞いているのに、もう何年も見ていない映画を久しぶりに見るとか。

あるいは、好きなミュージシャンで未聴のアルバムを聞いてみるとか、

場合によってはゆかりの地を訪ねたり、関係の深い何かを体験してみたりとか。

昨秋から始めた「街歩き」もその一つで、

知っているとばかり思っていた近所にこんな面白いところがたくさんあるなんて、

あっと気付いた瞬間のちょっとしたテンションを大切にしながら、

小さな楽しさ、幸せをちょっとずつ積み上げていきたいと思う。

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飛行機雲という名の馬が

昨日は涙あり、感動あり。

飛行機雲という名の馬が、多くの人々の夢を背負って晩秋の空に舞った。

まっすぐに、まっすぐに。

駆け抜けたのはゴールではなくて、一体何だったのか。

他の馬が一瞬消え去るほどの軌道を描き、有終の美を飾って見せた。

 

鞍上の涙は、勝ったからではなくて、馬の無事を何より喜んだからでは。

もちろん血を残す大仕事を控えて勝つ以外になかったとしても、

デビュー前から不安があり、それを克服してここまできたという来し方に

ずっと手綱を取ってきた騎手であるからこそ、一層期するものがあったに違いない。

 

多くの人々の胸を一杯にした馬は無事引退の日を迎えた。

コロナ禍と重なってしまった2年余りの現役生活、

彼のレースを自分の眼で見られた人がほんとうに羨ましい。

 

大仕事をやってのけた騎手の涙にもらい泣きした後は、

久しぶりに聴いてみたZakk Wyldeのソロアルバム、"Book of Shadows ll"。

 

 

 

 

わたしはZakk Wyldeという人を詳しくは知らない。

だけども、淡々と歌い上げられた曲の数々、

どこか土の香りと大地を吹く爽やかな風のようで、いい気分の日にとても聴きたくなる。

どちらかというと激しいレースのイメージではなくて、

広い牧場でのんびり草を食む彼の姿を想像しながら。

 

気持ちが折れそうになる毎日の中、明日からもう一度頑張ろうと思える勇気をもらった。

彼の子供達がデビューするその時には、こんどはスタンドから応援の声を送りたい。

そのことを楽しみに、できることをしっかりやりながら前を向いていこう。

コントレイル号の最後の勇姿、素晴らしいレースに心から感謝した日曜の午後。

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冬らしい冬が

ここ数年、季節の移ろい、四季があることの有り難みを痛感している。

それは永遠に固有のもので、当然のものと思ってきた自分がいる。

難しいことはわからない。

疫病禍も同じ、

当たり前と思って享受してきたことの有り難みがこれほど痛感されたことがなかった。

 

そういうこともあるのか、10年単位で以前のことを思い出せる限り思い出してみて、

その時の出来事や世の中の様子、気持ちのあり様などを整理してみるにつけ、

しあわせというのは実はごく身近にあって気がつかないでいることが多いことに気づいた。

 

***

 

自粛モードからそろそろ再起動の時期がきたようで、

生活を少しずつ静から動へと切り替えているが、

自分でも驚くほど体力が落ちていたようで、

駅の階段を昇るのがしんどいという酷い有様に呆然とした。

 

もちろん急に起こった訳ではなく、

以前はこんなきつかったんだっけと思い出して初めて自覚したこと(苦笑)。

原因は当然のことながら2年近くの間に積もり積もった運動不足。

専門家にも相談し、1日5km程度歩くことにした。

 

通勤等の移動分も含めての5kmは、やってみると思いの外簡単で、

毎日どこかに出かけるなどしなくても、1つ前の駅で降りて帰宅、

程度の工夫で簡単に「達成」できた。

距離計測は万歩計替りに使える携帯のアプリが便利で、

GPSの位置計算でおよその距離を割り出してくれる。

もちろん電車などの高速移動は自動で除外してくれる。

 

これからぐっと冷え込んでくるだろうが、

冬らしい冬がいずれ無くなってしまうかもしれないと思うと、

これもきっと後年懐かしむ思い出になるかもと、

無理ない範囲で歩くのを続けてみようと思う。

 

***

 

寒い季節がうれしいのは、夜聴くレコードの音が良くなる感じがすること。

あくまでも感じ方でしかないが、

夏の暑い時期のように締め切ったままエアコンなしで音楽聴くのが辛いということもなく、

ご近所も窓全開で生活音を出しているというようなこともないので、

静かな環境が確保しやすいという点は確かかもしれない。

 

先日入手した、Pink Floydの「鬱」45回転2枚組レコードは、

ギルモアによるリミックス版で既発の豪華ボックスセットにて発表済みの音源だが、

こうしてレコードで聴けるというのがなんともうれしい。

 

 

 

 

オリジナルバージョンとの違い。

ヒプノシスデザインのジャケットも別バージョンだが、

今回のリミックス版の方が随分リラックスして聴けるというか、

オリジナルの何ともピリピリとした緊張感、重々しさと比べて、

こちらの方が個人的には愛聴盤になる気がする。

 

もちろん、ニックのドラム演奏追加やリックのキーボード演奏への一部差し替えなど、

ファン推し要素満載という点もあり、

ではなぜ当時、サポートメンバーの演奏だったのか?という点はさておき、

やはりこれがいいよね、となってしまう点はあらかじめお断りしておきたい(笑)。

 

これだけ、あれもこれもレコードで発売、という流れが、

わたしのような人間にとっては非常にありがたいことではあるが、

押し並べて高値安定の値付けであることは少々残念だ。

今回の2枚組も国内盤(盤質の違いは確かめてないが)で6600円。

音楽を気楽に楽しむのはサブスクで、これと気に入った音源はレコードやCDで

と割り切ればなんとかならないではないが、

一部のコアなファンは別として、あまり高額だといろんな方が入手するには

ハードルが上がりすぎてしまう。

もちろん今時はいい製品を作るとそれなりのコストで結果的に高くなるのは

わかってはいるのだけれど。

 

気がついたら11月もそろそろ終わりが見えてきた。

あっという間に年末だ。

何とか年内には以前の体力くらいには戻しておきたい。

さあ、お天気も良くなってきた、隣町の公園に出かけるとしよう。

 

 

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イコールズ(=)

「終活じゃないけれど、荷物を大量に整理してるの」とは友人の弁。

一つ一つ、自分で分別するのは大変だから、

不要物をひとまとめにして専門業者の方にお願いしようかと。

まだ先は長いにしても、周囲から同じようなことを聞くことが増えた。

わたしのように、部屋のキャパシティの問題からではなくて、

今から片付けておけば、先々何があっても安心ということらしい。

 

先のこと、というと。

約2年の間、疫病に振り回されて世の中の様子も生活も随分変わった気がする。

先が見えないこともあるのか、不安や不満の塊のようなニュースや話題が増えた気もする。

感染症対策で何かをお願いするのに配られた○○金という名のお金。

なぜ貰える人がいるのに、わたしは貰えないのか、等々、

不平不満のタネだらけになってしまったのは何故だろうか。

それとも、これまで目に見えなかっただけで、

水面下に蓄積されていたものが、今回のことが引き金で表に噴出しただけだろうか。

そういうニュースを目にするだけで消耗するので、

しばらくそういうニュースやサイトは断つことにした。

わたしの場合、物はかなり捨て切ってしまっているので、整理するとしたら情報だろう。

 

***

 

最近の新譜、新録には、この2年間を踏まえて、何かを振り返っての音楽が少なくない。

中には人生の転機が重なったり、あるいは音楽を発表する方法そのものが問われていたり。

なかでも先日リリースされたEd Sheeranの"="(イコールズ)、

1曲ずつ歌詞を確かめながら、聴き進めてみた。

 

 

 

 

ポップでノリがよくて、多分特別な言い回しとかはなくて、

普段使っている自分のことばで歌っていて。

きっと誰にでもある出来事、

見逃していた幸せな出来事がこのアルバムにはたくさん詰まっている気がして。

胸のあたりがキュッとするような。

 

わたしにも、目に入っていない、

或いは見逃してしまっている身近な幸せがたくさんあるような気がして。

雑音を排しても聞くべき音、聴きたい音を逃さないようにしたい。

 

 

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台風一過

天気予報を流し見しつつ、寝ている間の通過というのもあって

どこか油断していた今回の台風。

朝起きてみれば、結構な雨量、風速だったことが如実に見て取れた。

痛んでしまった植物たちよ、愚かな世話人を赦して欲しい。

薔薇は夏剪定後で影響はほぼ皆無、厳しかったのは小さめの鉢植え植物。

今後の台風は大小に関わらず弱いものは部屋に避難させることにした。

 

さて。

春夏に頼んであったレコードやらCDやらがようやく届き始めた。

適時に入手できないのは、まとめ買いの割引を前提にしているから。

数年前に大規模な断捨離をしてからというもの、

入手するときにも、本当に必要な(聴くもの)アイテムを経済的に。

がっつりと経済に貢献するだけの力もないところ、

無理働きみたいな真似もしたくないので今はこういうスタイルがちょうどいい。

 

 

 

 

ところで。

今朝は台風一過の快晴、強い日差しのもといい風が。

こういう日は窓開けたまま小さめの音でレコードが楽しい。

上の2枚は、2、3ヶ月越しで届いたMåneskinというロックグループのアルバム。

いずれも再発で目の覚めるようなブラッドオレンジと濃いブルーの透明系カラーバイナル。

(黒いノーマルなレコードはそもそも出ているかどうか・・・)

 

Spotifyでちらっと聞きで目眩しそうな衝撃。

イタリアのバンド、というのもあるかもしれないが、

単なるロックじゃなくていろんな音楽が聞こえてくる。

バンド名はデンマーク語で「月光」だという。

mp3のしゃりしゃりした再生では到底分からなかったが、

いざレコードで再生すると、ビシッとバスドラが効いていて、

チャラさ皆無の意外なほど硬派でリスニング快楽度大。

タメがしっかり聞き取れる環境でこそのアルバムなんだろうか。

こんなバンドが来日してフェス参加とか言われたら、

わたしのような人間でも喜んでチケット争奪戦参加したに違いない(苦笑)。

そのくらい一度でいいから生で体験したいなあと思うのだ。

 

もう話題にされ尽くしている感がある彼らのアルバムなので、

詳しくは書くまい。

このblogのタイトルにある通り、快楽満載の音源、音楽を探して日々「放浪」。

好き嫌いは分かれるヴォーカルだと思うが、

まあ騙されたと思っていずれか1枚試しにどうぞ。

長いトンネルの出口が見えず重苦しい空気の中にも気合を入れてくれるアルバムだ。

 

 

 

 

◆ Måneskin Official web site  https://www.maneskin.it

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amnesiac

通勤途上に一番よく聞いているのはRadioheadだ。

記録しているわけではないから何回と判っているわけではないが、

多分、OK Computer、それからKID Aあたりが一番多いのではないか。

 

イヤホンではなくヘッドホンとポータブルの組み合わせだが、

それほど長くはない通勤時間の中で求めるのは気持ちの切り替えだ。

そして嫌な音が一切しないこと。

 

朝一番にRadioheadなんてシュールである種不健康と思われるかもしれないが、

意外に朝起きてそれほど頭がはっきりしていない時間帯に、

少々アンビエントでスローなテンポで始まる楽曲のあるアルバムの方がしっくりくる。

 

そのRadioheadのアルバムで、同時期録音とされるKID AとAmnesiacに未発表音源を加えた

"KID A Mnesia"が11月初旬リリースされるそうだ。

 

3枚組アナログやCDのセットなど、またアナログも赤とノーマルの2種類とか。

ポータブルに入れるならCDがいいんだけれど、やっぱりレコードで買うかな、

と迷っている間もなかなか楽しいが、

予約期間中に予定数ソールドアウトすることもあるからそろそろ決めなくては(笑)。

とりあえず、日曜の朝一番目は、

最近修理から戻ってきたメインの装置で久々に聴くAmnesiac。

 

 

 

 

その装置だが、再生自体には影響のない、

ちょっとした不調ではあったが、直せるうちにやっておこうと、

はるばる飛行機で海外里帰りし、2ヶ月ほどで手元に戻ってきた(感謝)。

曲の出だしから、ああこれこれと唸りたくなる浸透力。

情報量や解像度などを言えばもっと別のシステムがあるだろうし、

音源も今時のhi-res系データをあつらえてとなるのだろうが、

 

Pink FloydとかRadioheadを「こういう風に聴きたい」

 

という私のワガママをきいてくれる装置はなかなかそうはなくて。

基本ウエルバランスの再生だけれど、いざ音楽がこっちに「来る」感覚は、

それ自体をうまく言葉で表すことができなくて、

音を出してみて、ああこれこれ、という感じなのだ。

 

その装置のいない間、何をしていたかというと、

部屋の中にもう少しレコードやらCDやらを置ける場所を作っていた。

飽和点に達する1歩手前だったため、二人がけのソファーを処分した。

幸い気に入ったという方がおられ、第二の人生のためにもらわれていった。

さほど大きなものではなかったが、開放感は相当に上がり、

棚を置こうと思えば置ける程度の床も空いた。

この際は慌ててラックを買わず、ある程度床置きの盤が溜まったら改めて考えることに。

大画面TVとさよならできればもっと空間はできるし圧迫感もなくなるが、

現役映画小僧のためそれはなかなかできかねた(笑)。

 

さてもう日曜のお昼前。休みはあと半日だ。

月曜の朝を迎えるにあたって相当気合を入れないとダメなのがなかなかに辛い。

あと半日、あれこれ聴いて心の栄養をしっかり貯め込むとしよう。

 

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god moving over the face of the waters

人気弁当店で起こったある事件が話題になっている

深夜、弁当を買いにやってきた二人組の男性が、

何の腹いせだったのか、店員に暴言を吐き、金銭を投げつけたという。

店は従前より商品管理と24時間営業のため防犯カメラを設置していた。

その様子も録画されており、店側は毅然とした態度を取る意思表示としてその様子を公表。

一部には「やりすぎだ」との意見もあったように記憶する。

その後、二人組の1人が謝罪のため菓子折りを携えて店を訪ねたが、

店側は示談に応じず、結果として警察への出頭を促したとのこと。

 

経営者の機転もあり、今回の事件は明るみに出たが、

思うに、同様の出来事は吐いて捨てるほど世の中に蔓延っている。

相手の立場を思いやれないとか、やりきれない憤懣なのだとか、

コロナ禍が生んだ歪みだとかいろいろ言われているが、

ふと感じるのは、

何かにつけ上下をつけてしか解釈したり行動したりできない人が増えていることだ。

 

ハラスメント、ということば。

たった一言の簡単な表現、一体いつから何にでもハラスメントということばがくっつき

説明しなければならないことが増えたことか。

人間の本性、といえばそれまでなのだろうが、

そうした本性がわたしにもあるのなら、それを直視することができるだろうか。

 

わたしは、日頃そうしたハラスメントを受けがちな立場にいる。

相手は明らかに反論したり逃げたりしたりできない「弱み」を分かった上でやっているのが手に取るようにわかる。

ものすごく「分かりやすい」言動だから、かえって辛いし哀しくもなる。

そういう人間のサガが自分にもあるだろうことを感じて絶望を感じることもあれば怯えることもある。

他者を痛めつけることで何らかの埋め合わせをする、

そんなことをするのは数多ある生き物の中で人間だけではないか。

 

 

 

 

Mobyという人のアルバムを手にしたのは初めてになる。

このアルバムは彼の作品をオーケストラアレンジにしたもので、

オリジナルを聞いている方ならまた違った感想になるのかもしれないが、

わたしは偶然耳にしたその中の1曲、

God Moving Over The  Face of The Watersが印象的で、

それもそのはず、ピアノを演奏しているのが大好きなVíkingur Ólafssonだった。

 

彼の音楽はとても振れ幅が大きいようだ。

サブスクで過去アルバムをざっとさらってみたが、

昨年リリースの文字通りアンビエント作品、"live ambient improvised recording vol.1"が

何とも良かったので、他の作品もしっかりと聴きはじめたところだ。

 

 

 

 

 

 

目を伏せたくなるようなニュースがひっきりなしの日々。

いつかは終わると思い、いつかきっと以前の日常が取り戻せるのではと淡い期待を失わず。

毎日ほんの隙間のひとときであっても、素晴らしい音楽を心に摂りこんでいこう。

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I'll be the one

植物を育てていると、朝の水やりの量でおよその季節や移ろいがわかる。

多くの植物は暖かくて気候の安定している時期に、それっと掛け声のごとく猛烈に成長する。

冬にはあれだけなりを潜めるようにしていたものも、

繁茂、という表現がぴったりくる勢いだ。

 

生き残りをかけての「闘い」だから遠慮がない。

その遠慮のなさに、こういう時節だからか、感動さえ覚える。

バラのようにある程度人の手をかけないと順調にいかないものもあるが、

野生の植物の逞しさには眺める毎に癒されるのだ。

 

 

 

思えば人間ほどストレスや環境変化に弱い生き物もないのかもしれない。

個々のストレスへの反応が集合するととんでもない負のエネルギーに発展、

それらは正直手のつけようがないと全面降伏、やり過ごすのにも一苦労。

先のことを想像したり考えたりする力が仇になるんだろうか。

 

 

頭の中に充満したよもやまを瞬殺したい。

そんな時にこれ!と最近よく聞いているアルバムを。

英国のロックバンド、Thunderの最新作、"All The Right Noises"。

 

 

 

 

ギターがめちゃくちゃかっこいい。

それだけでもこのアルバムを手に取る価値があると思うが、

日々揺れる気分に合わせてぐっとくる1曲がある、という安定感というか信頼感というか。

ストレートなロックがこれほど解放感に溢れさせてくれるなんて、

全然気がついていなかったよ。

これで明日からまた少しだけ頑張れるかな、

まさに音楽は力なり、海より深く感謝。

 

 

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ひと区切り

年末に購入したPink Floydのボックスセット。

彼らの音楽をおよそ前期後期に分けて、

大量の音源や映像と当時のチケットやパンフのレプリカを詰め込んだ大型ボックスセットが

順次発売されたのが数年前のこと。

後期のボックスは偶々廉価に予約できたこともあってすんなり手元にやってきたが、

量も金額もとんでもないものになっていた初期作品のボックスは見送ったまま、

もう存在を忘れるぐらい時間が経っていた。

(※これらのボックスセットの他に作品別に「狂気」他の豪華セットが出ているが、

  高額なことやおまけが今ひとつな内容もあってファンの間で不評であった。)

 

 

 

去年の暮れに、その初期ボックスセットの外箱(といっても外箱をさらに入れる配送箱)が

傷ついていて、アウトレット価格で叩き売られているのを見つけた。

しかも30%のポイントバックもあって、計算するまでもなくとても安い!

(※5桁の値段のものを「安い」と感じる時点でもう感覚がおかしいが)

この手のものは買う人しか買わないし、大ぶりで倉庫にあっても邪魔だろう。

他にも探してみたら、そこそこ安く「処分価格」で出ていたから、

限定品とはいえ高額なので結局売れ残ってしまった歓迎されない在庫だったかもしれない。

 

部屋篭り中にちょうどいいものが買えた、と喜んで聴き始めたが、

ものすごい量というか時間数のアーカイヴで、

こなすことがノルマになってしまってはつまらないということで、

年次を追って少しずつ楽しんでいたのだが、この週末でようやくゴールを迎えた。

聴き始めた時は大変な山に登ることになった、と気後れもなしではなかったが、

いまは逆に、貴重な記録がもう出てくることがないかもなどと逆に寂しくなる始末。

なんて勝手なことか(笑)。

 

狭い部屋で置き場所にも困るのに、なぜ買ったのか。

それはいろんなところで発売される非公認の音源が、興味はあれど、

質があまり良くなくてかえってがっかりすることが多いので、

いい状態できっちり観たり聴いたりしたかったのだ。

フロイドの全部を知りたい!と熱くなるほどのファンではないが、

何十年も経って、鬼籍に入ったメンバーも出て本当の再結成は不可能になった今、

今だからこそ、振り返ることでこれまで聞いてきたアルバムをより理解し、

感じ取れるようになるかもと思ったから。

 

ひと区切りついた今日はあいにくの雨だ。

湿度が高くて片付けものには不向きだがそうもいっていられない。

あれやこれやのCD、DVD、メモラビリアを元どおりに箱に収め、

大箱ごとアーカイヴ置き場に仕舞った。

初めてフロイドを聞いたのは、親戚がかけてくれたおせっかいのレコードだった。

世界というとほんの身の回りででしかなかった子供の頭の中にいきなり未知の空間が開かれて、

驚くというのはこういう感覚なんだとあの時の興奮がいまだに忘れられない。

ましてやその時、数十年経って自分がこんなことをしているなんて、当然想像もできなかった(笑)。

 

このボックス、基本的にはフロイドの強烈なファンの方向けに編集されたもの。

ただ、年代ごとに音源がまとめられて、バラ売りもされているし、hi-res音源でも出ている。

映像や一部の特典を除けば大半は気軽に試せるので、ご興味のある方はぜひ。

 

Sony mora WALKMAN公式ミュージックストア https://mora.jp/artist/579953/h#discArea

 

 

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