音の快楽的日常

音、音楽と徒然の日々
shallow

週末になると雨、計ったように。

ベランダの植物も勢いよく芽吹き始め、春の実感が日に日に増す。

3月の終わりから4月にかけてのこの時期、

ひょっとしたら年末年始よりも「一区切り感」が強いかも知れない。

いろいろなことにやり直しの効く年齢ではなくなった代わりに、

過ぎ去った時の蓄積ゆえか、少々のことでは慌てふためくこともなく。

春は、そうした振り返りで懐かしみを一層感じることのできる季節だ。

 

A Star is Bornという映画がある。

邦訳のスター誕生というと、かなり昔のテレビ番組を思い浮かべるが、

レディ・ガガとブラッドリー・クーパーの監督主演で話題になった作品だ。

わたしの周囲では本作のサントラが好評で、

2枚組のレコードも必聴と勧められているが未だ手元にもなく。

そうこうしているうちに、最近のリリースをチェックしていたら、

Spotifyで知ったアメリカのシンガーソングライターがカバーをしているのを見つけた。

OSTのクライマックスを飾る1曲、歌はDave FenleyとBriana Moir。

 

 

 

 

人の声、というのは天からの贈り物だと思う。

聞く者に降り注ぐ幸福の凝縮感よ。

歌の巧拙とはまた違ったところからやってくるもの、

まさしくそれはGiftではないかと。

 

Dave Fenleyの作品を調べてみると、初期のアルバムがいくつかCDで手に入るほかは、

mp3での入手に限られるのが少々残念だ。

できればいい音質の音源でがっつり聴きたいから。

 

雨の日は部屋の中でじっとしているに限る。

本も映画も音楽もある生活にあらためて感謝しつつ、

3月という特別な月をしっかりと締めくくれるよう心のパワーを蓄えよう。

 

 

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hidden hollow

暖かい日が少しずつ増えてきた。

困ることがあるといえば、花粉アレルギーに悩まされることぐらいか。

いい装置で音楽を聞いたとしても肝心の耳のコンディションが・・・。

 

今朝もご多分にもれず、ではないが、朝から陽がさんさんと降り注ぐ陽気。

調子にのってベランダで作業をしていたら、くしゃみが止まらなくなった。

慌てて部屋に戻るも後の祭りとはこのことで、

今日は優しい音楽で部屋に篭ろう。

 

リリース直後のRadical Face "Hidden Hollow"。

 

 

 

Radical Faceの曲を思い出したのは、

彼の歌を初めて聞いた米TVドラマ「ブラックリスト」のシーズン7を最近見たからで、

そういえばここしばらくの新譜をチェックしていなかったなと確かめたら、

あら素敵こんなEPが出ていたではないか。

早速、音量少々控えめで再生、

シンガーソングライターBen Cooperの多重録音による繊細で温かな空間が

またしても部屋いっぱいに広がる。

 

天賦の、という形容詞がなんだか陳腐に思えるほど魅力的な声。

若い頃、バンドをやめて作家を目指すも、書きためたPCが壊れたのをきっかけにまた音楽へ。

来し方ゆかりまで小説のようだ。

 

彼の歌を聴いていると、心が自由になる。羽が生えたみたいに。

今日のような陽光燦々の日も、どんより曇り空の日も、雨の日も。

疵にちょっと沁みたりするのもまた心地よい。

素敵な歌声に感謝、感謝!

 

 

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Queen on the hillside

自粛、ということばにあまり緊張しなくなってしまった今日この頃。

どんな状況であれ、慣れは生じるものだとは何かの聞きかじり。

そうは言っても、気を張っているのか、

帰宅後はこんなご時世でなければベッドに直行したくなるほどで、

そういう時は、気分を緩めてくれるいい歌が欲しくなる。

 

Jeanette Lindströmの新譜、"Queen on the hillside"は、

録音がなんと8年超前の2012年だそう。

何か事情があって、音源としての販売は見送りになり、

2年ほど前にダウンロード音源で聴けるようになったが、

mp3だったので、できれば最低でもCDでと思っていたところだった。

 

 

 

 

彼女の出身国であるスウェーデンは、

当初ロックダウンなど厳しい措置を回避した点で注目されたが、

そこで暮らしている方々の実感としてはどうだったんだろうか。

本当に何が功をそうするかは、この災禍が終焉を迎え、

客観的な振り返りができて初めて解るのだろうが、

今回ばかりはその答えをどうにかして先に知りたいところ。

 

彼女の歌声は、audioマニア御用達な1枚、Feathersで聞かれた方も多いのでは。

 

 

 

 

Feathersほどシュールでヒンヤリではないけれど、

ゆったりと時間が流れるような曲集には違いない。

いまとなっては、こうして歌を聴ける時間が本当にありがたい。

心の栄養をこれほどまでに意識して摂ろうとしたことがあっただろうか。

心が寒いままではとてもじゃないがやっていかれない。

再生装置もLANケーブルを入れ替えたり、少し工夫してリラックスして聴ける環境に。

今は暖かな春を目標に、少しずつ態勢を整えていこう。

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今年最後の日曜に読む本

生活のリズムが崩れてきたな、と感じるのは、

本を読むペースが落ちた時。

学生時代の恩師や先輩から、「最近、何を読んだ?」と訊かれ、

答えられない恥ずかしさ、もどかしさを忘れたことはない。

人から言われて読むということではなくて、

読みたくても読めない人だっているんだ、ということでもなくて、

何かの肥やしと同じようにして、本はやはり読まなくてはいけないものだ。

 

新しいこと、既存の事象に加えられた新しい解釈、好奇心への刺激。

文字を追いかけ、行間にあるものを想像する頭と心の体操。

雑多に記憶の中に散らばってしまった知識や体験、思いの整理。

そうだな、年末に読むとしたら、これまでの棚卸しを兼ねた大蔵浚えが相応しい。

お正月にとっておいた本だけど、そう決まったなら読むしかない。

門間雄介著、「細野晴臣と彼らの時代」。

 

 

本の帯に「もうこれ以上、話すことはないです。」とした細野さんのことばが付され、

書店で買った際には気付かなかったのを見た時には思わず笑みがこぼれた。

「決定版」と銘打たれてもいるから、いろんな想像もしてしまうが、

音楽の本としては厚みのあるこの本は、極めて淡々と綴られていて、

細野さんと細野さんを取り巻く音楽人達のエピソードの邪魔を、

ほんの少しもしない、とでも言わんばかりの静かな調子で頁は進む。

そう、彩りも音もリズムも時代の匂いも、細野さんのエピソードには溢れんばかりだから。

 

おそらくファンの方なら、細野さん自身の著書はもちろん、

音楽専門誌の記事、レコードの解説や資料などなど、読み尽くされている方も少なくないかも。

だけれども、

オンタイムでの取材記事とはまた違った視点が持てるであろう、

この数年に再取材の上で書かれたものを一気読み!できる幸せというのは、

断片的には既知、ということの何十倍も濃く、目眩がした。

と同時に、

彼の音楽を通じて、そのエッセンスに触れてこられた幸運を改めて思わずにいられない。

 

一気読みのあとは、それぞれの章に合わせてBGMを選びたい。

それらをプレイリストとして整理してしまえば、さああとは改めて本を読むだけ。

同本の感想として、索引を付して欲しいとの要望がレビューに出ていたが、

わかる気がする、あったら無茶苦茶便利だとわたしも思うから。

否、もう1冊買って自分でつくるのがいいか、と思い始める今年最後の日曜だ。

 

 

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jewel box

今年も残すところ2週弱。

例年なら通りの店頭が緑と赤一色みたいな飾り付けなのが、ちょっと控えめ。

だから、というわけではないけれど、

思い切って買い求めたElton Johnのアーカイヴ豪華ボックスセット、

ジュエルボックス(CD8枚組)。

 

 

届いてわかったのが、箱の大きさ。

ブックレットという響きからは想像できない大判のハードカバー本に、

CDが直接仕込まれてるデザイン。

価格が半額近くと安いので輸入盤にしたため、英語解説をゆっくり読み進めつつ、

まずは音源を端から聞いていく。

 

B面の曲、何かの理由があって採用されなかった曲、

そしてElton自身が思い入れあって改めて選んだ楽曲など、

未発表60曲!に初デジタル化81曲!。

よほどコアなファンじゃないと楽しめなさげな構成だと思いきや、

これがどうして、驚きの連続。

どうしてこれが不採用!? 

若さゆえの勢いや輝きがすごい頃の楽曲とはいえ、

じっと聞き入ってしまう歌の数々には思わずため息。

どうしてこれをこれまで発表してくれなかったのか、という恨み言は置いといて。

 

ポピュラー好きな方すべてに勧めたい。

でもこの価格が何と言ってもハードル高し、

カテゴリー別にリリースしているのは物理音源だとアナログレコードのみで、

これも枚数多い構成だと忙しいし、安くもないしで、

ダウンロード音源が利用できるなら、Deep Cutsと銘打たれた楽曲集だけでもぜひ。

(残念ながらhi-res音源では出ていない様子)

 

ファン向けの凝ったボックスセットというのは今更珍しいものではないけれど、

このぐらい充実というか、驚きのため息連発なリリースは

クリスマスプレゼントとお年玉が一度に来たどころではない(笑)。

早速ウォークマンにも詰めて昼休憩のおともに。

このぐらい元気が出る歌ないとやっていけない日常。

Eltonの企画、太っ腹!にあらためて感謝感激の週末だ。

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Drei

冬らしい澄み切った空気、朝から惜しみなく降り注ぐ陽光。

ニュースを見たり聞いたりしなければ、いつもの冬の平和な休日。

片付け日和と古い音源をあれこれ漁ってみた。

Glashausというドイツのバンドがリリースした3枚目のアルバム、Drei。

 

 

 

 

ラジオの音楽番組で紹介されていた"Du"という曲が気に入って探したCD。

女性ヴォーカルに男性メンバー2人の三人組、

R&Bとポピュラーの心地よい融合、そしてほんのりHip Hopの香り。

部屋で静かに聞いているのもいいけれど、

せっかくだからと、ポータブルプレイヤーに入れて、近くに出かけてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静まり返った通りのそこここに季節の色合い。

美しいとは思ってもそのありがたみをこれほど感じたことはなかったかも。

当たり前、という言葉の意味を改めて考える。

もう少し体に力が溜まったら、いま何ができるか考えよう、

前を向くようカツを入れてくれる音楽に海より深く感謝の日曜。

 

 

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Things'll get brighter

11月に入ってようやく頭の中の季節感と実際の気候が近づいてきた。

予想されてはいたことだが、

感染症もまた勢いを盛り返しつつある。

海外での猛威を思えばまだ序の口かもしれないが、

ようやく人の心に明るさというか、一息つけたところにこんな調子だと、

気持ちの持たせようが難しくなる。

 

でもものは考えようかもしれない。

何か面倒があるとつい自分の中の「70年代」に逃げ込もうとするけれど、

こんな歌があったよねと思い出してみたのが、Valerie CarterのOoh Childだ。

 

 

 

 

まだ子供の頃、ラジオで流れていた彼女の歌声が印象的で。

ソウルっぽいヒット曲といっしょに組まれてるような番組だったような気がしたが、

今改めて調べてみると、彼女は「ウエストコーストの歌姫」と呼ばれていて、

わたしの記憶は少しずれているかもしれない。

当時は歌の意味をどれだけわかっていたか怪しいけれど。

むやみに明るくいこうとは思わないが、いつ何時も光の方向を見失わないでいたい。

 

 

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saucerful of secrets

悲しいニュース、驚くようなニュースには耐性ができていたと思ったが、

女優竹内結子さんの訃報には流石に驚いた。

記事の直下に「いのちの電話」の案内が出ていて、

具体の記述はなくても、ああそうなんだと思えてしまうような記事だった。

 

ストロベリーナイトというテレビ番組の主演作がある。

わたしはテレビを見ないので、知っているのは後に作られた映画版。

映画は2013年の作品だから7年前。

彼女はとても若くて美しくて、

暗い過去を持つ尖ったナイフのような刑事という役どころながら、

きらきらと輝いて見ていて気持ちのいいくらいだ。

亡くなってもこうして映像が残っていくのは、ある種残酷でさえあるのかもしれない。

 

映画が終わってこのあと何か聞くのなら、手元にテレビ版サントラもあったのだけれど、

少し切り替えておこうと思った。

Pink Floydのドラマー、ニック・メイソン率いるバンド、

Nick Mason's Saucerful of Secretsのライブ映像で、週末を締めよう。

 

 

 

 

新型肺炎の影響でリリースが少し遅くなった分、やっと届いた感ありありな盤をトレイへ。

映像始まってその雰囲気たるや、澱んだ部屋の空気を一変。

失礼ながら、おじさんパワー恐るべし。

バンド名からも想像つく通り、フロイドの初期アルバムの楽曲を中心に、

緩くてサイケで楽しくて、ああこれでパーフェクトだ(笑)と独り言ちるステージ。

珍しく映像ソフトも最初から予約していたが、

このライブはやはり聴くより観た方が絶対に楽しめる。

 

 

 

 

数ある公演の中から今回リリースされたのは2019年5月、ロンドンはラウンドハウスでの演奏。

ギルモアもウォーターズも、ライブでフロイドの曲をたくさん取り上げるけど、

メンバーによってこうも選曲が変わるんだと思うくらい、

Pink Floydというバンドをどうみているのかが透けて見えるようで興味深い。

 

それにしても。

フロイドを初めて聞いたのは、まだ学校に上がる前だった。

メンバーが亡くなったり、ソロ活動だったりと形は変わっているけれど、

2020年になって、こうしてまた楽しませてくれるなんて、信じられないくらいすごい。

演奏の合間に挟まれている「歴史的!」映像や当時の関係者のコメントも貴重。

古いファンにとって、「おーっ」と思わず声の出る映像集。

音源はSpotifyにもあるし、映像も質を問わなければいろんなのがyoutubeに上がっている。

でもこれを見ると、フロイドのオリジナルアルバムを聴きたくなるんじゃないかな、と。

今回の映像はファンじゃない方にもぜひご覧いただきたい作品だ。

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風は風でも

熱波が充満した8月もようやく終わり。

17時過ぎ、そろそろ日が暮れはじめ、いい風が吹いてくるのだけれど、

今日はまだまだ熱風だ。

夕立のあと軽装でそぞろ歩き、なんていうのは昔話になってしまうのかも。

 

確かに、熱い風。

でも、風は風でもー。

何年前だったか、ヒット曲のカバーで弾き語りの動画が印象的で、

その時はIDが同じ名前でもアルファベット表記だったから同じ人と気づくまで時間が。

藤井風、1stアルバム"Help Ever Hurt Never"がほんとうにホットな1枚で。

 

 

 

 

日本語で歌う新譜を久しぶりに手にしたかも。

何に惹かれたかって、全編通して感じる、

伸びやかで、何かに囚われることのない、一言でいえば自由さ。

単にこの楽しさだけなら、かつての歌謡曲全盛時代からの正統進化?

と思えなくもないけれど、

何かに媚びたり、捉われたりがないってこんなに気持ちの良いものなんだろうか。

 

 

 

 

ああ、新しい時代のアーティストなんだなって感じるのは、

メジャーデビューに至るまでの数々の演奏や歌がネット上の動画で体験できること。

まるでガラス張り状態だけれど、そういうことにも拘りがあるのかないのか、

楽器も弾きたいように弾き、歌いたいように歌う。

その潔さのようなものが彼の魅力の隠し味のようなものかも。

ネット上のレビューで、いくつか比較に登っていた宇多田ヒカルさんのデビュー時の衝撃。

確かに。当時、普段こういう音楽を聞かない職場の上司にCD買ってきてと頼まれたり(笑)。

タイプは違うけれど、音楽の強さは共通するものがあるかも。

 

ありがたいな、と思ったのはダウンロード音楽に加え、物理音源も出ていること。

アナログレコードもこれからリリース予定だそうだが、残念なのはカラー盤のみ。

できれば良い音質で長いこと聞きたいから、エビデンスはないけど、普通の黒いのがいい。

 

明日からまた慌ただしい毎日に戻るから、

このぐらい強く背中を押してくれる音楽が日曜の夜には必要だよ。

食わず嫌いせずにいろんな音楽を聴いていかなきゃね、と思い直した週末だ。

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Kestrel

サブスクと呼ばれる定額課金のストリーミングサービスを電グル事件を機に解約後は、

無料版のSpotifyだけアカウントを残し、検索に利用している。

週末にオススメのプレイリストがDMで届くのだが、

好きなアーティストや気に入った!と登録した楽曲が参考になっているとは言え、

ものすごくツボな提案があって驚くことが少なくない。

 

最近では、レコードがやたら高額で有名なKestrelの曲が入っていて、

「ああ、このジャケットなら見たことある」と思いつつクリックしたら、

70年代英国のポップやロックでよく耳にする、何やらいわくありげな響きでスタート。

「え、これ、何?」と耳がピーンと立つ感じ、2曲目、3曲目とどんどん再生する。

そこここに登場する、子供の頃は楽器の姿が想像できなかったメロトロン、

今ならネット検索で見た目も音色も見たり聞いたりができるけれど(笑)。

それに変幻自在のコード進行に堪らないほどの凝縮感といったら。

 

高額盤、と書いたが、レコードが高いのはジャズやクラシック、と思われる方が多いのでは。

意外にといったらいけないけれど、

ロックやポピュラーの盤も異様な金額のものがたくさんあって、

(中古店で「まあビートルズより安いからー笑」とある種の言い訳を聞いたことは

 1度や2度どころではない)

探すのが大変でしかも高いのに、なぜ人はそれを探し求めるのか、

単にそれがレアだからというだけでもなくて。

わたし自身はもっと気楽なレコード好きだから、

何がしかの盤がターンテーブルにのっていて音が出てればそれで十分幸せで、

それが増して良い音で鳴っているのであれば最高にしあわせだ。

それで済んでること自体がある種のしあわせかもしれないが。

 

話が逸れたが、Spotifyのちょっと聞きでえらく気に入ったので、

早速再発盤のCDを買い求めた。

これが彼ら唯一のアルバムとボーナストラックからなる2枚組の音源。

 

 

 

 

正直、中身とジャケットが結びつかない。

プログレのジャケットと言われたら、今なら「そうかなあ」と思うけれども、

このアルバムは発売された75年当時なんて、今ほど試聴もできないし、

お店の棚で見つけても、限られた資金の中でこの盤を引き抜くことはないだろう。

なんだけれども、

今こうして聞いていて、ジャズやクロスオーバーが好きな方向きな感じもするし、

万華鏡のようなポピュラーが好みでも、

あるいはプログレなロックが好きな方でもいけそうなのに、

こんだけ入り口がたくさんあって、変幻自在な感じなのに、

あんまり売れてなかったんだとしたら、寧ろその理由がものすごく知りたい。

 

できるミュージシャンがワークショップ的に集まって、

見事な化学反応を起こしたら結果的に1枚だけアルバムができました、

みたいな感じなんだろうか。

これという確かな記述は見つけられなかったものの、

本作が「隠れた名盤」と評されているのは確かのようだ。

ちなみにわたしが購入したのは2013年リマスター盤の再発もので今でも普通に買える。

 

こうしてみると、「夏休み」にわたしがやっていることは、

3,40年前とさして変わりがないような気がする。

違いといえば、かけ流しのラジオから素敵な曲が流れてきて、

慌ててラジカセの録音ボタンを押しつつ、曲名やバンドの名前を書きとる、ことから、

キーボードをパタパタと押して検索したりに変わっただけで、

本質的には何ら変わりがないことに愕然とする。

進歩がないのかもしれないが、こんな時間を過ごせることを今はとてもありがたく感じる。

そういう意味では、わたしにとってこの夏は特別な夏なんだろう。

あと半日ほどの夏休み、しっかりネジを巻き直していこう。

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